JPS6347770Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

この考案は、加熱室の開口部を開閉する加熱調
理器の扉開閉装置に関する。 一般に加熱調理器の扉開閉装置にあつては、フ
ツク体を採用した係脱機構が用いられている。そ
して、そのほとんどの扉開閉装置は、扉体側に内
装され、またフツク体を扉体に設けた操作ハンド
ルに連動させる構造、いわゆる可動操作ハンドル
形態が採用されている。既に知られている扉開閉
装置としては、第１図で示す電子レンジの扉開閉
装置がある。この扉開閉装置は、図面で示すよう
に、扉体ａの自由端側の表面側に可動形の操作ハ
ンドルｂを設け、また同じく扉体ａの裏面側に可
動形のフツク体ｃを設け、このフツク体ｃと上記
操作ハンドルｂとを扉体ａ内に内装されたリンク
等の連動機構ｄで連絡して構成されるもので、フ
ツク体ｃを加熱室ｅの前面壁部に設けたロツク部
材ｆで構成される係合受部ｇに係脱自在に係合さ
せることにより、閉じた扉体ａを本体ｅ側へロツ
クさせ、同時に安全スイツチｉを閉成して調理可
能状態が構成されるようになつている。 しかしながら、このような連動機構ｄを採用し
た扉開閉装置では、連動機構ｄが操作ハンドルｂ
からフツク体ｃに至るまで広範囲に扉体ａ内を占
め、また扉体ａの構造を複雑にしてしまうことか
ら、扉体ａは組立性の点で不利で、コスト的に高
価になつてしまうといつた問題がある。しかも扉
体ａは、可動形の操作ハンドルｂの採用によつて
デザイン的にも制約を受けるといつた問題も伴
う。そのうえ、チヨーク方式を採用した電波シー
ルの扉体ａにおいては、連動機構ｄの設置がチヨ
ーク構造に影響を与え、電波シール性能を低下さ
せる要因ともなる。 この考案は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、本体側で、扉体の
フツク体を受けることにより調理可能に至る扉体
のロツクを確実に行なわせるとともにそのロツク
を解除させる構造にして、扉体側の連動機構を一
切不要にし、扉体の構成の簡素化を図つて、扉体
の組立性、デザイン性の向上および扉体の製作コ
ストの軽減を図ることができる、簡潔、かつ簡単
な加熱調理器の扉開閉装置を提供することにあ
る。 以下、この考案を図面に示す一実施例にもとづ
いて説明する。第２図中１は加熱調理器２の本体
で、この本体１内には加熱室３が設けられてい
る。さらに本体１内には、高周波発振装置（図示
しない）および加熱ヒーター（図示しない）など
の加熱機器が配設されており、加熱室３内に収容
される調理物（図示しない）を高周波的あるいは
熱的に加熱することができるようになつている。
また本体１の前面側には、右側部に位置して、調
理選択釦群および時間設定タイマーなどの各種操
作部４ａを備える操作パネル４が設けられてお
り、操作部４ａの操作で所望とする各種加熱調理
を行なうことができるようになつている。さらに
本体１の前面側には、操作パネル４に隣接して左
側部にたとえば横開き式の扉体５が回動自在に枢
着されており、加熱室３の開口部を開閉すること
ができるようになつている。そして、この扉体５
の自由端側の裏面部およびこの裏面部に対応する
本体１側にこの考案の要旨とする扉開閉装置６が
設けられる。そして、この扉開閉装置６の詳細は
第３図に示されている。この扉開閉装置６の構造
について説明すれば、扉体５側は、扉体５の裏面
の自由端部に、フツク体７を回転軸８を介し回動
自在に突設してなる。そして、このフツク体７
は、スプリング部材９およびストツパー（図示し
ない）により通常時はほぼ水平位の状態に保持さ
れ、回動が許される構成となつている。 つぎに本体１側の構造について説明すれば、図
中１０は上記フツク体７に対応して加熱室３の前
面壁部３ａの裏面側に設けたロツク部材で、この
ロツク部材１０には、前面壁部３ａに設けたフツ
ク挿通口１１に対向してシリンダ１２が設けられ
ている。そして、このシリンダ１２内には、スプ
リング部材１３でフツク挿通口１１に向けて常に
付勢される扉開ブツシヤー１４が進退自在に内装
されている。またロツク部材１０には、フツク挿
通口１１の開口縁部で構成されるストツパー部２
３（ラツチ部に相当）に一端を臨ませて下方へ延
びる挿通路１５が構成されている。そして、この
挿通路１５内には、上方側から、筒状に構成され
る第１の可動体１６、第１の弾性部材であるスプ
リング部材１７、筒状に構成される第２の可動体
１８、第２の可動体１８を弾性的に支持する第２
の弾性部材である前記スプリング部材１７より弾
性力が小さいスプリング部材１９が順次進退自在
に配設されている。またこのスプリング部材１９
の後方には、カム体２０が回動自在に配設され
る。このカム体２０は、扇状の切欠部２１を備え
てたとえば円板状に構成されていて、その切欠部
２１の一方の端部側には、段部溝で構成される係
止部２２が設けられている。そして、このカム体
２０の近辺に上記スプリング部材１９が設置さ
れ、第１の可動体１６、第２の可動体１８を弾性
的に支持する構成となつている。（図示せず）ま
たこの支持と同時に第２の可動体１８の底面のコ
ーナー部は、係止部２２で係脱自在に係止され
る。そして、さらに第１の可動体１６はフツク挿
通口１１のストツパー部２３でその上方向が規制
され、また第２の可動体１８は挿通路１５の壁部
で構成されたストツパー部２４および第２の可動
体１８に設けた規制片部１８ａでその上方向が規
制され、各ストツパー部２３，２４およびカム体
２０で第１および第２の可動体１６，１８の進退
動に伴う規制構造を構成している。なお、２７は
規制片部１８ａの移動軌跡上に配設された安全ス
イツチで、この安全スイツチ２７は上記加熱機器
に１次側主回路（図示しない）を介して連絡さ
れ、調理開始のメインスイツチを兼ねている。一
方、図中２８は操作パネル４の下部側に回動自在
な押し釦を設けて構成される調理開始用の操作具
である。そして、この操作具２８の内側に位置す
る回動片部２８ａには、カム体２０に突設され
た、たとえばＬ字状の伝達アーム２９が係止され
ていて、操作具２８の操作で、伝達アーム２９を
介してカム体２０を時計方向へ回動せしめ、係止
部２２による第２の可動体１８の拘束を解除する
ことができるようになつている。しかして、カム
体２０および伝達アーム２９で、第２の可動体１
８を扉体５のフツク体７が本体１側にロツクする
までは拘束させ、ロツク後、操作具２８を操作す
ることによりその拘束を解除して第２の可動体１
８の後退動にもとずき安全スイツチ２７を閉成動
作させることができるようになつている。つま
り、カム体２０および伝達アーム２９で動作制御
部材３０を構成している。なお、３１は復帰用の
スプリング部材である。他方、図中３２はロツク
解除操作杆で、このロツク解除動作杆３２は、た
とえば挿通杆部３２ａと伝達杆部３２ｂとを備え
て全体としてＬ字状に構成される。そして、この
ロツク解除動作杆３２の挿通杆部３２ａは、先端
が第１の可動体１６の先端面から進避した状態
で、第１の可動体１６、スプリング部材１７、第
２の可動体１８、スプリング部材１９およびカム
体２０に進退自在に挿通され、また伝達杆部３２
ｂの先端部が操作具２８に隣接して操作パネル４
に設けた扉開操作釦３３（操作手段に相当）の回
動片部３３ａに係止されて配備されている。しか
して、扉開操作釦３３の操作で、挿通杆部３２ａ
を上方向へ前進動させて本体１側にロツクされる
フツク体７の前記ロツクを解除することができる
ようになつている。なお、３４はロツク解除動作
杆３２を復帰させるためのスプリング部材であ
る。 しかして、このように構成された扉開閉装置６
で加熱調理器２の扉体５を閉じるときには、扉体
５に設けた扉開閉用の操作部３５を閉じ側へ回動
操作することにより、フツク体７はフツク挿通口
１１を通して本体１側に挿入され、扉開プツシヤ
ー１４および第１の可動体１６を押圧しつつ、加
熱室３の前面壁部３ａと係合し、第４図ａで示す
如く扉体５のロツクが行なわれる。このとき、ス
プリング部材１７およびスプリング部材１３にそ
れぞれフツク体７の変位量が力として蓄えられ
る。こののち、調理開始用の操作具２８を「押し
操作」すれば、操作具２８の回動変位に伴つてカ
ム体２０は時計方向へ回動し、今までカム体２０
の係止部２２で保持されていた第２の可動体１８
はその拘束が解除され、スプリング部材１７に蓄
えられた力で下方向へ移動することになる。しか
して、安全スイツチ２７は、第２の可動体１８の
移動に伴い、第４図ｂで示すように、規制片部１
８ａを制御部として安全スイツチ２７のアマチユ
アが押されて閉成動作され、調理が開始されるこ
とになる。 また、調理を終えて扉体５を開けるときには、
扉開操作釦３３を「押し操作」すれば、ロツク解
除動作杆３２が上方向へ移動して挿通杆部３２ａ
の先端が第１の可動体１６の先端面から飛び出
し、フツク体７の先端を押し上げて、フツク体７
のロツクを解除することになる。しかして、フツ
ク体７は、第４図ｃで示すように、扉開プツシヤ
ー１４で扉体５の開き側へ押され、扉体５が開放
されることになる。また、フツク体７のロツクの
解除に伴つて、第１および第２の可動体１６，１
８およびカム体２０は、各スプリング部材１７，
１９，３１の弾性力で第１図に示す初期の状態に
復帰することになる。 かくして、扉体５の開閉は、下記の「表」で示
す手順に沿つて行なわれる。

【表】

【表】 しかして、従来のような可動形の操作ハンドル
および連動機構といつた扉体５側の機構を用いる
ことなく、本体１側で扉体５の調理可能状態に至
るロツクおよびロツク解除を行なうことができ
る。したがつて、扉体５においては構造の簡素化
を図ることができる。よつて、扉体５の組立性お
よびデザイン性の向上を図り得、扉体５の製作コ
ストの軽減を図るとともに、またチヨーク方式を
採用した扉体５においては、電波シール性能の低
下を防止することができる。しかも、第１の可動
体１６、第２の可動体１８およびロツク解除動作
杆３２をフツク体５の係止方向に沿つて配設して
一体的な構成としたことにより、本体１内を占め
る割合が少なく、かつデツドスペースでも対応で
きる簡潔、かつ簡単な、いわゆるコンパクトな構
造にできるものである。また、第１の可動体１６
および第２の可動体１８の２つの可動体を用い、
第１の可動体１６でフツク体７のロツクおよびロ
ツク解除を行ない、また第２の可動体１８で第１
の可動体１６を制御媒体として調理可能に至る動
作を行なうようにしたことにより、その動作は部
材の変形、こすれ、かじり等の不動作の少ない極
めてスムーズな動きを達成することができるもの
で、動作上の信頼性は大である。また操作の面に
おいては、本体１側に設けた扉開操作釦３３の採
用によつて１タツチで扉体５の開操作を行なうこ
とができるもので、その操作は極めて容易で操作
ハンドルを不要にした扉体５の開閉操作の実現を
図ることができる。 なお、上述した実施例では、この考案を横開き
式の扉体に適用したが、上下開き式の扉体にも適
用できることはいうまでもない。また上述した実
施例では、レンジおよびオーブン機能を有した加
熱調理器にこの考案を適用したが、これはたんな
る一例であり、レンジ機能、あるいはヒーター、
ガス等の加熱機能を有した加熱調理器などにも適
用できることはもちろんである。 この考案は以上説明したように、扉体にフツク
体を設け、本体側に前記フツク体の係止方向に沿
つて第１の可動体、第１の弾性部材、第２の可動
体、第２の弾性部材を配設し、上記第２の可動体
を動作制御部材で調理開始用の操作具と連絡して
ロツク完了と調理開始の２段動作で調理可能にす
るとともに、第１の可動体および第２の可動体を
通してロツク解除杆動作を配設したから、本体側
で扉体の調理可能に至るロツクおよび扉体のロツ
ク解除を行なうことができる。 したがつて、扉体においては、可動形の操作ハ
ンドルおよび連動機構が一切不要となり、扉体の
構造の簡素化を図ることができ、扉体の組立性お
よびデザイン性の向上を図ることができる。よつ
て扉体の製作コストの軽減を図ることができると
ともに、チヨーク方式を採用した扉体においては
電波シール性能の低下を防止することができる。 また、第１の可動体、第２の可動体、ロツク解
除動作杆をフツク体の係止方向に沿つて配設した
ので、本体内を占める割合が少なく、かつデツド
スペースでも対応できる簡潔、かつ簡単な、コン
パクトの構造にすることができ、さらには変形、
こすれ、かじり等の不動作の極めて少ないスムー
ズな動作を得ることができ、組立性および動作上
の信頼性の面でその効果は優れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の扉開閉装置を示す断面図、第２
図はこの考案にかかる加熱調理器を示す斜視図、
第３図はこの考案の一実施例の扉開閉装置を示す
側面図、第４図ａ，ｂ，ｃはその装置の扉体がロ
ツクに至るまでの状況およびその扉体のロツクが
解除される状況を示す状態図である。 １……本体、３……加熱室、５……扉体、６…
…扉開閉装置、７……フツク体、１１……ストツ
パー部（ラツチ部）、１６……第１の可動体、１
７……スプリング部材（第１の弾性部材）、１８
……第２の可動体、１９……スプリング部材（第
２の弾性部材）、３０……動作制御部材、３２…
…ロツク解除動作杆、２８……操作具、３３……
扉開操作釦（操作手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱室および加熱機器を備えた本体の前記加熱
   室の開口部を開閉する扉体と、この扉体の裏面側
   に突設された回動自在なフツク体と、このフツク
   体の位置に対応して前記本体に設けた前記フツク
   体と係脱可能なラツチ部と、一端をこのラツチ部
   に臨ませて前記フツク体の係止方向に沿つて設け
   られた挿通路と、この挿通路のラツチ部側にスラ
   イド自在に設けられ前記ラツチ部と係合するフツ
   ク体の先端を受けて可動する第１の可動体と、こ
   の第１の可動体と共に前記フツク体の係止方向に
   沿つてスライド自在に設けられた第２の可動体
   と、前記第１の可動体と第２の可動体との間に介
   装された第１の弾性部材と、前記第２の可動体を
   弾性的に支持する前記第１の弾性部材よりは小さ
   な弾性力を有した第２の弾性部材と、この第２の
   弾性部材で支持された第２の可動体と係脱自在に
   係合して該第２の可動体の動きを拘束する動作制
   御部材と、前記本体に設けられ前記動作部材の係
   合を解除する操作具と、前記第２の可動体の周辺
   に配設され前記動作制御部材の係合解除によつて
   変位する第２の可動体で開閉される前記加熱機器
   に接続されたスイツチと、前記第１の可動体、第
   １の弾性部材および第２の可動体内を貫通して前
   記挿通路にスライド自在に挿通されたロツク解除
   動作杆と、このロツク解除動作杆を軸方向に操作
   して前記前記ラツチ部に係合するフツク体の先端
   を押し上げる操作手段とを具備したことを特徴と
   する加熱調理器の扉開閉装置。