JPS6345558Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は軽合金材料を用いて軽量化を図つた
エンジンのシリンダブロツクに関する。

例えば自動車用エンジン等にあつては、近年そ
の軽量化が大きな課題となつており、従来の鋳鉄
製シリンダブロツクに代えてアルミニウム合金等
の軽合金製シリンダブロツクが多く採用される傾
向にある。ここで従来の軽合金製シリンダブロツ
ク１は、第１図に示すように、基本的には通常の
鋳鉄製シリンダブロツクと大差のない構成であつ
て、ピストン２が摺動するシリンダ部３を囲んで
ウオータジヤケツト４を形成すべくウオータジヤ
ケツト外壁５が設けられ、かつロアデツキ部６の
下方には、バルクヘツド部７およびスカート部８
が一体に形成されている。そして、この一体に鋳
造成形されたシリンダブロツク１のバルクヘツド
部７下縁に、ベアリングキヤツプ９がベアリング
キヤツプボルト１０にて固定され、クランクシヤ
フト１１を回転自在に支承する構成となつてい
る。

しかし、このような軽合金製シリンダブロツク
１にあつては、その剛性が低いが故に、燃焼爆発
力によつてクランクシヤフト１１を中心にして変
形が生じ易く、この初期変形に起因してシリンダ
ブロツク１全体が種々のモードで振動し、ウオー
タジヤケツト外壁５やスカート部８等から極めて
高いレベルの騒音が放射され易い、という欠点が
あつた。

この考案は上記のような従来の欠点に鑑みてな
されたもので、その目的とするところは、アルミ
ニウム合金等の軽合金材料を主体とした軽量でし
かも発生騒音の低いエンジンのシリンダブロツク
を提供することにある。

すなわち、この考案に係るエンジンのシリンダ
ブロツクは、ロアデツキ部、シリンダ部およびバ
ルクヘツド部を軽合金にて一体に鋳造成形すると
ともに、上記ロアデツキ部およびバルクヘツド部
を貫通して、上端にシリンダヘツドボルトが、下
端にベアリングキヤツプボルトが夫々螺着する高
剛性材料からなる柱状部材を固着し、かつウオー
タジヤケツト外壁およびスカート部を軟質材にて
成形して上記ロアデツキ部に固着してなることを
特徴とするものである。

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

第２図はこの考案に係るシリンダブロツク２１
の断面図であり、第３図はその分解状態を示すも
のであつて、このシリンダブロツク２１は、アル
ミニウム合金等の軽合金にて鋳造成形されたシリ
ンダブロツク本体２２と、炭素鋼等の高剛性材料
からなる柱状部材２３と、比較的軟質な合成樹脂
等にて成形されたウオータジヤケツト外壁２４お
よびスカート部２５とから大略構成されている。
上記シリンダブロツク本体２２は、ロアデツキ部
２６に複数のシリンダ部２７が一体に形成され、
かつその下面にバルクヘツド部２８が設けられて
いる。また前後両端には、上記ウオータジヤケツ
ト外壁２４に連なるウオータジヤケツト前端壁２
９、後端壁３０と、スカート部２５に連なるスカ
ート前端壁３１、後端壁３２がロアデツキ部２６
に一体に形成されている。

一方、上記柱状部材２３は、第３図に示すよう
に、シリンダヘツドボルト（図示せず）が螺着す
る雌ねじ部３３を上端に有し、かつベアリングキ
ヤツプ３４固定用のベアリングキヤツプボルト３
５が螺着する雌ねじ部３６を下端に有し、さらに
略中央部に雄ねじ部３７および位置決め用フラン
ジ３８が形成されているものであつて、上記シリ
ンダブロツク本体２２のロアデツキ部２６および
バルクヘツド部２８を貫通して上記雄ねじ部３７
の螺合によりシリンダブロツク本体２２に固定さ
れている。

上記ベアリングキヤツプ３４は、上記バルクヘ
ツド部２８に夫々対向して取り付けられるキヤツ
プ部３９と、このキヤツプ部３９を前後方向に一
体に連結するビーム部４０とが一体に形成されて
おり、上記キヤツプ部３９を上記柱状部材２３が
貫通し、かつその下端に螺着するベアリングキヤ
ツプボルト３５にて上記シリンダブロツク本体２
２に固定されている。また上記ビーム部４０には
オイルギヤラリ４１が、キヤツプ部３９には軸受
内周に至る油孔４２が夫々設けられており、前端
部に配設されたオイルポンプ４３によつて潤滑油
がオイルフイルタ４４を経て上記オイルギヤラリ
４１へ供給されるようになつている。

そして、比較的軟質な合成樹脂等からなるウオ
ータジヤケツト外壁２４は、シリンダブロツク本
体２２のロアデツキ部２６およびウオータジヤケ
ツト前端壁２９、後端壁３０に形成した凹溝４２
内に嵌合され、かつ接着等の手段にて水密性を確
保するように固定されている。また同様に軟質合
成樹脂等からなるスカート部２５は、ロアデツキ
部２６およびスカート前端壁３１、後端壁３２に
形成した凹溝４３内に嵌合され、かつ接着等によ
り固定されており、さらに該スカート部２５の下
縁にオイルパン４４が装着されるようになつてい
る。尚、上記凹溝４２，４３に代えて第４図に示
すように位置決め用の段部４２′，４３′に嵌合固
定するようにしても良い。

さて上記の如く構成されたシリンダブロツク２
１にあつては、主体をなすシリンダブロツク本体
２２が軽合金にて形成され、しかもウオータジヤ
ケツト外壁２４およびスカート部２５が軽量な合
成樹脂等からなるため、従前の鋳鉄製シリンダブ
ロツクに比較して極めて軽量なものとなる。一
方、高剛性材料からなる柱状部材２３によつて、
クランクシヤフト４５から加わら燃焼衝撃力を効
果的に支承することができ、シリンダブロツク本
体２２に生じる初期変形を抑制して、これに起因
する振動を減少せしめることができる。そして、
これに加えて外部への露出面となるウオータジヤ
ケツト外壁２４およびスカート部２５が軟質なた
め、振動減衰効果が得られるとともに、振動に伴
う発音が抑制され、これらの相乗によつて大幅な
エンジン騒音の低減が達成されるのである。また
上記実施例では、ベアリングキヤツプ３４をビー
ム部４０で前後方向に連結することで、その剛性
が高められ、一層効果的に振動を抑制することが
できる。

尚、上記実施例では柱状部材２３をシリンダブ
ロツク本体２２に対し雄ねじ部３７の螺合により
固着せしめているが、他に圧入あるいは鋳込み等
の手段を用いることも可能である。

以上の説明で明らかなように、この考案に係る
エンジンのシリンダブロツクにあつては、軽合金
材料を主体としてその軽量化が達成できるととも
に、燃焼衝撃に抗する十分な剛性を効果的に確保
して、振動発生を抑制でき、例えば自動車用エン
ジンの軽量化ならびに低騒音化を両立せしめるこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の軽合金製シリンダブロツクの断
面図、第２図はこの考案に係るシリンダブロツク
の断面図、第３図はその分解斜視図、第４図は異
なる実施例を示す要部のみの断面図である。 ２１……シリンダブロツク、２２……シリンダ
ブロツク本体、２３……柱状部材、２４……ウオ
ータジヤケツト外壁、２５……スカート部、２６
……ロアデツキ部、２７……シリンダ部、２８…
…バルクヘツド部、３４……ベアリングキヤツ
プ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロアデツキ部、シリンダ部およびバルクヘツド
   部を軽合金にて一体に鋳造成形するとともに、上
   記ロアデツキ部およびバルクヘツド部を貫通し
   て、上端にシリンダヘツドボルトが、下端にベア
   リングキヤツプボルトが夫々螺着する高剛性材料
   からなる柱状部材を固着し、かつウオータジヤケ
   ツト外壁およびスカート部を軟質材にて成形して
   上記ロアデツキ部に固着してなることを特徴とす
   るエンジンのシリンダブロツク。