JPS6345302Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、鮮魚類、カニ・エビ・切身魚などの
冷凍魚、精肉、日配食品などの生鮮食品の包装パ
ツクに用いるのに適するドリツプ吸収シートに関
するものである。なおドリツプとは、魚体、肉な
どの中から漏出する流出液、液汁を指称する。

〔従来の技術〕

生鮮食品を発泡スチロール製などの包装容器
（トレイ）に入れ、包装して商品とする場合、そ
の食品に含まれる水分、体液や水洗いした食品の
水滴、または味付けした汁や油などは時間が経過
するにつれてドリツプとして浸出してくる。低温
流通の場合、氷を入れた発泡スチロール製などの
トレイの中の食品は、露と水滴で著しい鮮度低下
を見せている。また一部の低温流通の食品は、霜
とドリツプのため鮮度が低下する。

また実開昭57−9767号公報に示されるように、
吸水板８の表面に多孔質板９を貼り合わせた内底
５を有する食品パツクが提案されている。

さらに実開昭55−123325号公報には、吸水シー
ト１の表面に非吸水性薄膜２を貼合し、この非吸
水性薄膜２に吸水孔３または吸水間隙を設けた保
温食品水滴吸収紙が記載されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来、ドリツプ対策として、一層からなる不織
布を吸水紙としてトレイに敷いていたが、ドリツ
プは血や体液のため有色であり、このドリツプが
吸水紙全体に広がつて見苦しく、また多量のドリ
ツプの場合は吸水紙が吸収しきれず、トレイ内に
溜まるという状態である。また低温流通の場合
は、適当な吸水紙が無いのが現状である。このた
め、ドリツプ取りの巻き直しのための時間と資材
の使用量が多くなり、また販売における機会ロス
も高く、品質低下のためのロスも発生し、きわめ
て非経済的ある。また冷凍品が一旦解凍し、再度
凍結させると、不織布と食品とがくつつき、食品
を取り出すとき不織布の繊維が食品に付着してき
わめて非衛生的である。

また上記の実開昭57−9767号公報に記載された
食品パツクは、吸水板８および多孔質板９で食品
を支持しなければならないので、吸水板および多
孔質板が厚くなり、したがつてこの分だけコスト
が嵩み、また多孔質板が透明の場合は、吸収され
たドリツプの色が見え非衛生的な感じを与えると
いう問題がある。

さらに上記の実開昭55−123325号公報記載の吸
収紙は、飯類、ギヨウザ、シユウマイ等の保温食
品を収容する容器に使用するもので、保温食品の
上面に非吸水性薄膜２を下向きにして吸収紙を載
せ、保温食品から蒸発する蒸気を吸水孔３を経て
吸水シート１に受け止めさせ、その凝縮水分を吸
水シート１に吸収させるようにし、これにより食
品の軟弱化を防止し、それに伴う腐敗を防止する
ようにしたものである。なお非吸水性薄膜２は食
品と吸水シート１との間に介在して、吸収シート
１が食品に付着せず、食品の見映えを損わないよ
うにするためのものである。なおこの実開昭55−
123325号公報には、非吸水性薄膜２を不透明また
は着色シートにすることについては何ら記載され
ていない。

本考案は上記の諸点に鑑みなされたもので、吸
水性、吸湿性、保温性、緩衝性に優れ、かつ有色
ドリツプを吸収しても有色を呈しないドリツプ吸
収シートを提供することを目的とするものであ
る。

〔問題点を解決するための手段および作用〕

上記の目的を達成するために、本考案のドリツ
プ吸収シートは、図面に示す番号を用いて説明す
れば、吸水性を有するシート１の片面に、不透明
または着色した吸水性を有さない薄いシート２を
接合し、少なくとも吸水性を有さない薄いシート
２に複数の孔３を設けたことを特徴としている。

吸水性を有するシートとしては、パルプ・レー
ヨンなどの不織布、スポンジ、綿、布、紙などが
用いられ、不透明または着色した吸水性を有さな
い薄いシートとしては、薄紙にポリエチレンなど
の合成樹脂をコーテイングしたもの、紙にグラシ
ン加工したもの、耐油紙、硫酸紙、アルミニウム
箔、アルミニウム蒸着箔、合成紙などが用いられ
る。

食品から浸出するドリツプは、吸水性を有さな
いシートの孔、または吸水性を有するシートの側
面から吸収される。この場合、通常はドリツプに
色がついているので、吸水性を有さないシートに
色をつけて不透明または着色シートとし、ドリツ
プの色が見えないようにする。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。本考案のドリツプ吸収シートは第１図に示す
ように、吸水性を有するシート１（以下、吸水シ
ート１という）の片面に、吸水性を有さない薄い
不透明または着色シート２（以下、防水シート２
という）を接合し、吸水シート２に複数の孔３を
設けたものである。この場合は、予め複数の孔３
を穿設した防水シート２を吸水シート１の片面に
接合する。第２図に示すように、吸水シート１に
も孔４を設ける場合がある。この場合は、吸水シ
ート１と防水シート２とを接合した後、孔３，４
を同時に穿設する。第１図およ第２図に示すドリ
ツプ吸水シートは、生食品、冷凍食品を包装して
低温流通用として用いるのに適している。

第３図および第４図に示すように、吸水シート
１の下面に防水シート２ａを貼着して３層とし、
下方からの氷などの水分が吸水されないようにす
る場合もある。

また第５図および第６図に示すように、吸水シ
ート１の下側にさらに吸水シート１ａに防水シー
ト２ａを貼着したものを敷いて４層とする場合が
ある。

さらに第７図に示すように、吸水シート１の下
面に複数層の吸水シート、たとえば吸水シート１
ａ，１ｂをおき、さらに吸水シート１ａに防水シ
ート２ａを貼着したシートで挟むようにする場合
がある。

つぎに上記のようにして構成したドリツプ吸収
シートの使用例について説明する。第８図に示す
ように包装容器５（トレイ）内に本考案のドリツ
プ吸水シートを敷き、この上に食品６を載せ、透
明フイルム７で被覆して包装する。食品６から浸
出するドリツプは孔３から吸水シート１に吸収さ
れ、このドリツプは外から見えず、かつ吸水シー
ト１の繊維が食品６に付着することもない。

第９図は食品が冷凍されている場合の低温流通
用の包装を示している。発泡スチロール製の容器
８内の底部にドリツプ吸水シートを敷き、この吸
水シートの上に冷凍食品６ａを載せ、さらに吸水
シートで被覆する。９は蓋である。このようにす
ると、吸湿、保温、吸水により鮮度が安定する。

第１０図は生の食品を低温流通する場合を示し
ている。容器８内の底部に氷１０を収納し、この
氷の上に３層のドリツプ吸水シートを敷き、この
吸収シートに食品６ｂを載せて包装する。この場
合、下の氷からの水分が３層目の防水シート２ａ
で止まる。食品６ｂからのドリツプは吸水シート
１に吸収される。

〔考案の効果〕

本考案のドリツプ吸収シートは上記のように構
成されているので、食品から浸出したドリツプは
防水シートの孔から吸水シートに吸収され、外観
上、見苦しくなくなり、かつ防水シートを設けて
いるため、吸水シートの繊維が食品に付着するよ
うなこともなく、きわめて衛生的である。多量の
ドリツプが浸出する場合は、予め吸水層を厚くす
ることにより解決できる。また防水シートを不透
明または着色シートとしているので、吸収された
ドリツプは外から見えず外観を良好にし、かつ鮮
度感のある包装を行うことができる。さらに防水
シートは薄くてよいので、コストの低減を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第７図は本考案のドリツプ吸収シート
の実施例を示す断面図、第８図〜第１０図はドリ
ツプ吸水シートの使用例を示す説明図である。 １，１ａ，１ｂ……吸水性を有するシート（吸
水シート）、２，２ａ……吸水性を有さないシー
ト（防水シート）、３……孔、４……孔、５……
包装容器、６，６ａ，６ｂ……食品、７……透明
フイルム、８……容器、９……蓋、１０……氷。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸水性を有するシートの片面に、不透明または
   着色した吸水性を有さない薄いシートを接合し、
   少なくとも吸水性を有さない薄いシートに複数の
   孔を設けたことを特徴とするドリツプ吸収シー
   ト。