JP2700188B2 - 食品包装用などのシート材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、主としてトレーなどの食品包装容器内に
取付け、肉魚類など生鮮食品のドリップを吸収せしめる
ために使用するシート材に関する。 〔従来の技術、及びその問題点〕 一般に、肉魚類など生鮮食品はトレーラップ包装など
の包装形態がとられているため、その貯蔵、輸送、ある
いは陳列などの過程においてドリップを生じる。かかる
ドリップは、包装体の外観を著しく損なうのみならず、
肉魚類など生鮮食品の鮮度を低下せしめるものである。 かかるドリップを吸収せしめるものとして織物、編
物、不織布あるいは紙状物などのセルロース繊維より構
成されたシート材（実公昭54−5349号公報）、粉末状の
高分子吸収体や紙や不織布などで被覆したシート材（実
開昭58−49779号公報）などが提案されている。 しかしながら、セルロース繊維より構成されたシート
材は、ドリップの吸収を毛細管現象により行わしめるも
のであるから、その吸収量が非常に少なく、しかも、ド
リップ色が被包装物の接触周縁に拡散して見苦しいもの
であった。また、吸収能が低く、しかも圧力がかかると
吸収水を放出するものであって歩水性においても極めて
劣るものであった。 さらに、粉末状の高分子吸収体より構成されたシート
材は、ドリップの吸収能が大である反面、シート形態へ
の加工に多大の困難を伴うと共に、吸水面積が小さく、
ひいては、吸収速度が遅いのみならず、吸収した水の移
動がないため所謂ブロック現象を生じて含水ゲルがはみ
出しやすく、しかも、個々の高分子吸収体の吸収能が大
であることも相まって吸収保持した水の自由度が大とな
り、最近などの培地となりやすい欠点があった。 この発明は、従来の問題点を一挙に解決し、吸収速度
が早く、しかも、自由度の少ない状態で吸収水を安定的
な歩水形態に保持せしめることができる便利な食品包装
用などに好適なシート材を提供しようとするものであ
る。 〔問題点を解決するための手段〕 即ち、この発明は、シート材をヒドロゲルからなる外
層とアクリロニトリル系重合体からなる内層との２層構
造に形成された繊維状の高分子吸収体１より構成された
ものである。 〔作 用〕 ヒドロゲルからなる外層とアクリロニトリル系重合体
からなる内層との２層構造に形成された繊維状の高分子
吸収体１より構成されているから、吸水面積を著しく増
大せしめて吸収速度を大幅に向上せしめることができる
のみならず、セルロース繊維よりなるシート材のように
毛細管現象によるドリップの拡散がなく、ひいては、被
包装物の接触周縁におけるドリップ色を確実に防止する
ことができる。さらに、ドリップの吸収保持はアクリロ
ニトリル系重合体からなる内層を芯として繊維がからみ
合った微細、かつ複雑な構造下で行わしめるものである
から、吸収水は非常に分散された自由度の少ない状態で
安定的な保水形態に保持されるものであって、ひいて
は、水分活性を低下せしめ、細菌の培地となりにくいも
のである。 〔実施例〕 以下に、この発明を図面に示す１実施例について説明
する。 １はシート状の繊維状高分子吸収体、２は該繊維状高
分子吸収体１の上面に形成されたフィルム状通水シー
ト、３・４は該通水シート２と繊維状高分子吸収体１を
各々連通して形成された多数の小孔である。そして、上
記の繊維状高分子吸収体１は、水膨潤性重合体たるヒド
ロゲルからなる外層とアクリロニトリル系重合体からな
る内層との２層構造に形成されたランシール（日本エク
スラン工業株式会社の登録商標）に代表されるカルボキ
シル基を0.5〜4.0mmol/gを含有するもので優れた吸水能
と共に共振度などの物性も優れており、ドリップの保水
状態下においてもアクリロニトリル系重合体からなる内
装の芯があるため保水形態の安定保持ができるのみなら
ず、例えば、カルボキシル基の中和度を80％以下にして
おけば残存する酸型カルボキシル基（−COOH）がアンモ
ニア、アミン等を選択的に吸着させることができるもの
である。また、通水シート２としては、ドリップが通過
するのに充分なシートであれば、フィルム、不織布、織
布、スパンボンデットメルトブロウ不織布、フイラメン
ト編織物、紙など製造法、素材に限定されることなく使
用できる。素材としてはポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリエステル、ナイロン等の比較的低温で熱接着可
能な濡れ感の少ない合成繊維が望ましいが、通水性の補
助的な役割のために半合成繊維、天然繊維、パルプ、超
吸収性繊維等の混用は通水性、ドライ感を損わない限り
差支えない。また、繊維自体熱接着性を有することが望
ましが熱融着ポリマー等の接着剤を使用することは差支
えない。さらに、繊維状高分子吸収体１の小孔４は貫通
孔とされているが、盲孔にしてもよいものである。 この発明に係るシート材は、第２図及び第３図に示す
ように、トレーなど包装容器５底面に接着剤などで取付
けて使用に供する。そして、包装容器５に所要の被包装
物Ａを包装せしめると、被包装物Ａのドリップは通水シ
ート２面のみならず、小孔３・４を通って繊維状高分子
吸収体１に吸収され、安定的な保水形態を保持するもの
である。 つぎに、この発明に係るシート材を用いて常法により
水分活性値を測定した比較例として市販のセルロース系
吸水紙を用いた。その結果を第１表に示す。 第１表から明らかな通り、実施例品は比較例品に比べ
て著しい水分活性の低下が認められる。 さらに、この発明に係るシート材に1mlのバチルス・
サブティルス菌液を添加し、35℃で24時間放置したのち
菌数を測定することにより微生物増殖テストを行った。
比較例品として市販のセルロース系吸水紙を用いた。そ
の結果を第２表に示す。 上表から明らかな通り、この発明に係る食品包装用シ
ート材は24時間経過後においても菌に増殖がなく、明ら
かに静菌作用が認められた。かかる静菌作用のメカニズ
ムについては明らかでないが、繊維がからみ合った微細
かつ、複雑な構造下で安定的な保水形態に吸水保持する
ものであるから、水分子の自由度が制約され、水分活性
が著しく低下して細菌などの培地となりにくいものと思
われる。 なお、上記実施例において、繊維状高分子吸収体１に
小孔４が形成されると共に、上面には小孔３を有する通
水シート２が形成されているが、これに限定されるもの
でなく、小孔を形成することなく繊維状高分子吸収体１
上に通水シート２を形成せしめたり、あるいは、繊維状
高分子吸収体１を単独で用いてもこの発明の目的を有効
に達成することができるものである。さらに、上記実施
例は食品包装用としての用途を示したが、これに限定さ
れるものではなく、食品の水分吸収シート材として他の
用途にも適用することができるものである。 〔発明の効果〕 この発明によれば以上の次第で、シート材がヒドロゲ
ルからなる外層とアクリロニトリル系重合体からなる内
層との２層構造に形成された繊維状の高分子吸収体１よ
り構成されているから、吸水面積を著しく増大せしめて
吸収速度を大幅に向上せしめることができるのみなら
ず、セルロース繊維よりなるシート材のような毛細管現
象によるドリップの拡散がなく、ひいては、被包装物の
接触周縁におけるドリップ色を確実に防止することがで
きる。さらに、ドリップの吸収保持はアクリロニトリル
系重合体からなる内層を芯として繊維がからみ合った微
細、かつ複雑な製造下で行わしめるものであるから、粉
末状の高分子吸収体より構成されたシート材のように含
水ゲルがはみ出すことなく、吸収水は非常に分散された
自由度の少ない状態で安定的な保水形態に保持されるも
のであって、ひいては、水分活性を低下せしめ、細菌の
培地とないにくく、静菌作用を有効に発揮せしめること
ができる。

【図面の簡単な説明】 図面はこの発明の１実施例を示すもので、第１図は要部
拡大断面図、第２図は使用状態を示す分解斜視図、第３
図は使用状態を示す垂直断面図である。 １……繊維状高分子吸収体、２……通水シート、３・４
……小孔、Ａ……被包装物。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．ヒドロゲルからなる外層とアクリロニトリル系重合
   体からなる内層との２層構造に形成された繊維状の高分
   子吸収体より構成されてなることを特徴とする食品包装
   用などのシート材。