JPS6344124Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、たとえばゴム製やポリエチレン製
のような弾性容器の容器壁を手圧して噴霧を行う
手圧噴霧器に関するもので、容器を転倒した場合
でも液もれが起こらず、かつ噴射の初期から強力
微細な噴霧が得られるような手圧噴霧手段を提供
するのがその目的である。

従来の前記したような手圧噴霧器にあつては、
噴射で消費した液量に見あう空気量を容器内に補
充する必要があるため、ノズルの噴射孔あるいは
別途に設けた通気孔を補給空気の通路として使用
する関係上、容器を転倒すれば、これらの空気通
路から液もれする欠点があつた。また、手圧ピス
トンによる噴霧のように微細で強い噴霧が得られ
ないし、噴霧の際ノズルから液滴のポタ落ちする
欠点もあつた。

この考案は、弾性容器の容器壁を手圧して噴霧
する手圧噴霧器の前記した各種の欠点を除去でき
るもので、以下、図示した実施例によりこの考案
を説明する。すなわち、１はポリエチレンやゴム
製などの弾性容器で、その口壁２には噴射ノズル
３つきの頭体４の裾壁５が嵌着されている。７は
中心筒６を垂設したダイヤフラムでその周縁は口
壁２に密に固定されている。１１は上方のみに開
く第１逆止弁８を介してシリンダ室９の下端に吸
液管１０を接続したシリンダで、このシリンダ１
１は中心筒６に密挿されて懸垂支持され、かつ中
心筒６はその外周の正圧で閉じ、負圧で開くフラ
ツプ弁を構成している。

図示の例において、シリンダ１１を懸垂支持す
るため、シリンダ１１にはこれと一体に上、下の
つば１７，１８が設けられており、シリンダ１１
はこれらのつば１７，１８によつて抜け難く支え
られている。また、これらのつば１７，１８には
数個の切欠き（図面には切欠きの面が現われてい
る）が切込まれており、同時に、シリンダ１１周
面の母線にそつて前記切欠きに通じる浅い縦溝１
９が穿たれている。つば１７，１８のこれらのつ
ばおよび縦溝１９は中心筒６のフラツプ弁として
の弁作用を確実にするため設けたものである。

１３は頭体４に上部が固定されている中空のピ
ストン桿で、摺動自在にシリンダ１１に挿入され
ている。ピストン桿１３はまた、頭体４において
噴射ノズル３にいたる噴射通路１２に続いてい
る。噴射ノズル３と噴射通路１２の出口１４との
間には、外方にのみ開く第２逆止弁１５が設けら
れ、また、通気孔１６が頭体４に穿たれている。
第２逆止弁１５は、また一定圧以上の圧力で開弁
するものである。

なお、図示した実施例の第１逆止弁８および第
２逆止弁について説明すれば、第１逆止弁８は周
知のボール弁で、図示のように弁座である円錐面
に着座することにより弁を閉じ、弁座より下方か
らの正圧によつて弁座を離れることにより弁を開
く。第２逆止弁１５は比較的やわらかいゴム製な
どの弾性板で、噴射ノズル３により前記した噴射
通路１２の出口周縁部に圧接され、その出口を閉
じているが、噴射通路１２内の圧力の上昇があれ
ば押圧変形し、前記弾性板と噴射通路１２の前記
出口周縁部の間に隙間が生ずることにより開弁す
るものである。

さて、この考案は前記のようにしてなるので、
弾性容器１の内外は、ダイヤフラム７の中心筒６
からなるフラツプ弁および頭体４に穿つた通気孔
１６を介する一系統の通路と、シリンダ室９下部
の第１逆止弁８および噴射通路１２出口の第２逆
止弁１５を介する他系統の通路との２系統によつ
てのみ連通が可能である。ところで前記したフラ
ツプ弁は外周の正圧によつて閉じるものであり、
第２逆止弁は内部の正圧が一定限度に昇圧した場
合に開くものであるから、弾性容器１の手圧によ
つてその内圧が高まつた場合、その内圧の一定限
度までは弾性容器１の内外間に通路が生じない。
しかしながら、ダイヤフラム７の頭体４に面する
側は通気孔１６により外気に通じているので、弾
性容器１の前記内圧の高まりに従つてダイヤフラ
ム７が変形し、その中心筒６が第２図左半のよう
に上昇する。噴射通路１２はピストン桿１３、シ
リンダ室９、第１逆止弁８および吸液管１０をへ
て弾性容器１内に通じているので、前記内圧は第
２逆止弁１５に負荷されており、前記内圧が一定
限度に達したとき第２逆止弁１５が開くので、シ
リンダ室９、ピストン桿１３および噴射通路１２
内の空気は、前記内圧により吸液管１０および第
２逆止弁８を通じて押上げられる液圧により噴射
ノズル３から押出されるとともにその液によつて
交換される。この際の手圧による弾性容器１の容
器壁の変形は２点鎖線で示した。

つぎに、弾性容器１の手圧をやめ、容器壁が弾
性により復元するに従い、弾性容器１の内圧が負
圧化するので、ダイヤフラムの中心筒６からなる
フラツプ弁が第２図右半のように開くとともに、
外気が通気孔１６およびこのフラツプ弁を通じて
弾性容器１内に侵入する。この際、弾性容器１内
の負圧化によりダイヤフラム７も第１図のように
復元すると同時に、シリンダ１１とピストン桿１
３との相対位置の変化に伴なうシリンダ室９の容
積拡大があり、従つて、シリンダ室９が負圧化す
るので、吸液管１０および第１逆止弁８を通じて
液が上昇し、前記容積拡大に対応する液量が補給
される。

弾性容器１の２回目の手圧を行なえば、その際
は液がシリンダ室９から噴射通路１４まで充満し
ており、かつ液は非圧縮性であるから、弾性容器
１の内圧が第２逆止弁１５に対応する一定圧に達
するまではピストン桿１３とシリンダ１１との相
対位置の移動はなく、液の噴射はない。しかし、
前記内圧が前記一定圧に達すれば、第２逆止弁１
５が開くので、液の噴射がはじめて行われる。こ
のように、液の噴射が一定の強圧下ではじめて行
なわれるので、噴射は初期から強力であり、微細
な噴霧が得られるし、かつ従来のような噴射ノズ
ルからのポタ落ちもない。

前記したように、この噴霧器には前記した２系
統以外、内外を連ねる通路がなく、一方の系統の
フラツプ弁は前記したように内圧の上昇では開か
ず、他系統の第２逆止弁は内圧が一定強圧まで上
昇しないと開かないので、弾性容器１を誤まつて
転倒した場合に生じる内圧の小さい変化ではそれ
らフラツプ弁または第２逆止弁を通じて液もれし
ない。

かくして、この考案によれば前記したような手
圧噴霧器であつて、しかも噴射の初期から強力微
細な噴霧が得られ、かつ転倒しても液もれ発生の
欠点なく、かつ噴射ノズルからの液のポタ落ちの
ない、従つて、使用に便利かつ優れた性能をもつ
噴霧器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかる手圧噴霧器の一実施
例の不作動時における要部縦断面図、第２図は同
じく作動時における２状態の半裁要部縦断面図で
ある。 １は弾性容器、２は口壁、３は噴射ノズル、４
は頭体、５は裾壁、６は中心筒、７はダイヤフラ
ム、８は第１逆止弁、９はシリンダ室、１０は吸
液管、１１はシリンダ、１２は噴射通路、１３は
ピストン桿、１４は出口、１５は第２逆止弁、１
６は通気孔、１７，１８はつば、１９は縦溝であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性容器１の口壁２に噴射ノズル３つき頭体４
   の裾壁５を嵌着するとともに、中心筒６を垂設し
   たダイヤフラム７の周縁を口壁２に密に固定し、
   上方にのみ開く第１逆止弁８を介してシリンダ室
   ９の下端に吸液管１０を接続したシリンダ１１を
   中心筒６に密挿してシリンダ１１を懸垂支持する
   とともに、外周の正圧で閉じ負圧で開くフラツプ
   弁を中心筒６によつて構成させ、上部を頭体４に
   固定して噴射ノズル３にいたる噴射通路１２に続
   く中空のピストン桿１３を摺動自在にシリンダ１
   １に挿入し、噴射ノズル３と噴射通路１２の出口
   １４との間には一定圧以上の圧力で外方にのみ開
   く第２逆止弁１５を設け、裾壁５の内側への通気
   孔１６を頭体４に穿つてなる手圧噴霧器。