JPH0326920Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、液体を噴霧するスプレーポンプに関
するものである。

「従来の技術」 液体を噴霧する装置として、壜体の口筒に組み
付けられるスプレーポンプが広く用いられてい
る。

このスプレーポンプの最も代表的な構成の作用
は、操作レバーを引くことによりポンプ内の内圧
を高めて液体を噴霧し、弾撥スプリングの弾力に
より操作レバーが原状態に復帰する際に壜体内の
液体をポンプ内に吸い上げるものであつた。

この構成では、弾撥スプリングがポンプ内に配
置されていることが殆どであるため、弾撥スプリ
ングが液体によつて変質してしまうことが多く、
早期劣化の原因となり、円滑な作動が阻害される
ことにもなりかねなかつた。

また壜体内の液体をポンプ内に吸い上げる動作
に伴い、壜体内が負圧になつてしまうので、この
負圧を解消するべく壜体内と外部とを連通させな
ければならず、従つて壜体を誤つて倒したような
場合には、この連通空気路から液体が漏れる虞れ
があつた。

「考案が解決しようとする問題点」 本考案は、上述した従来の欠点、不都合を解消
するべく考案されたスプレーポンプに関するもの
であつて、弾撥スプリングの変質を防止し、液体
の漏れを防ぐことを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 壜体１の口筒２に組み付けられる本考案のスプ
レーポンプは、本体筒３と、ノズル筒８と、シリ
ンダー筒１２と、ピストン筒１６と、弾撥スプリ
ング２４と、保持ピン２５と、操作レバー３０と
から構成される。

先ず本体筒３は、壜体１の底部に基端が開口す
る吸い上げパイプ４１の先端が密嵌入し、内部に
第一の逆止弁４２を配した構成で、該本体筒３の
先端に連通設されるノズル筒８は、先端にスピン
ナー溝（図示省略）とノズル孔１１とを設け、内
部に第二の逆止弁４４を配した構成である。

またシリンダー筒１２は、外筒壁１３と内筒壁
１４とから成る二重壁構造であつて前記本体筒３
の外周に突設され、該外筒壁１３と内筒壁１４と
の間に圧力室１５が形成され、しかも該内筒壁１
４と前記壜体１内とは連通している。

次にピストン筒１６は、嵌入筒部１７と保持筒
部１９との二重筒形状であつて、嵌入筒部１７は
シリンダー筒１２の前記圧力室１５内に密に摺動
自在に挿入され、保持筒部１９は両端が開口して
いて前記内筒壁１４内に遊挿される。

そして前記シリンダー筒１２の内筒壁１４内に
は、前記ピストン筒１６に弾接する弾撥スプリン
グ２４が収納され、かつ保持ピン２５が突設され
ている。

この保持ピン２５は、内筒壁１４の軸心に沿つ
て位置し、基端が内筒壁１４基端に固定されてお
り、シリンダー筒１２内にピストン筒１６を挿入
した状態でピストン筒１６の保持筒部１９内に挿
入され、前記弾撥スプリング２４の弾力による前
記ピストン筒１６の突出限姿勢で、該保持筒部１
９を閉塞する。

また操作レバー３０は、前記ノズル筒８の一部
に軸支され、前記ピストン筒１６の先端に当接す
る。

そして前記第一と第二の逆止弁４２，４４との
間の内部に形成される空間と前記圧力室１５と
は、連通している。

「作用」 上述した構成にあつて、第一と第二の逆止弁４
２，４４とによつて形成される空間内から圧力室
１５内にかけては、前の操作で吸い上げられた液
体が充填待機しており、この状態で操作レバー３
０を弾撥スプリング２４の弾力に逆らつて引き、
ピストン筒１６をシリンダー筒１２内で密に摺動
させると、圧力室１５の内圧が高まつて、第一の
逆止弁４２が閉じると共に第二の逆止弁４４が開
き、待機していた前記液体は、ノズル筒８のノズ
ル孔１１から、スピンナー溝による渦流となつて
噴霧するのである。

この噴霧操作が終了し、操作レバー３０に加え
た力を解除すると、弾撥スプリング２４の弾力に
よつて操作レバー３０はピストン筒１６の突出限
で原状態に復帰する。

そしてこの復帰動作時にあつて、ピストン筒１
６がシリンダー筒１２内で密に摺動すると、圧力
室１５内が負圧となるので、第一の逆止弁４２が
開くと共に第二の逆止弁４４が閉じ、壜体１内の
液体は、吸い上げパイプ４１を介して吸い上げら
れて、第一と第二の逆止弁４２，４４によつて形
成される空間内から圧力室１５内にかけて、充填
されることになる。

上述した一連の動作にあつて、第一と第二の逆
止弁４２，４４とによつて形成される空間内から
圧力室１５内にかけての空間と、弾撥スプリング
２４が配置されているシリンダー筒１２の内筒壁
１４およびピストン筒１６の嵌入筒部１７とによ
つて形成される空間とは、液密に区画されている
ので、液体が弾撥スプリング２４に直接触れるこ
とはなく、影響を与える虞れはない。

またシリンダー筒１２の内筒壁１４は、壜体１
内と連通していてピストン筒１６内とで空気室を
形成しているが、弾撥スプリング２４の弾力によ
る前記ピストン筒１６の突出限姿勢では前記保持
ピン２５がピストン筒１６の保持筒部１９を閉塞
しているので、前記空気室が外部と連通すること
はなく、従つて壜体１を誤つて倒すようなことが
あつても、液体が漏れる虞れはない。

そして操作レバー３０を弾撥スプリング２４の
弾力に逆らつて引き、ピストン筒１６をシリンダ
ー筒１２内で密に摺動させると保持筒部１９は開
口することになるので、前記空気室は外部と連通
し、操作レバー３０の復帰時に壜体１内は外部と
連通するので、負圧となることはない。

「実施例」 以下に本考案の実施例を説明する。

本体筒３の先端に連通設されるノズル筒８は、
垂直姿勢の本体筒３に対して直角に屈曲して一体
設されており、またシリンダー筒１２は、本体筒
３の外周にノズル筒８の突出方向に平行に一体設
されている。

そして本体筒３の筒壁４の上端部にあつて、シ
リンダー筒１２の圧力室１５に対応する箇所には
連通孔５が開孔されていて、第一と第二の逆止弁
４２，４４とによつて形成される空間と圧力室１
５とを連通し、該連通孔５よりもやや下位でシリ
ンダー筒１２の内筒壁１４内に対応する箇所には
通気孔６が開孔されている。

前記本体筒３の筒壁４内にほぼ上端から下端に
かけて筒部３３が密に嵌入されている組付筒３２
は、筒壁４の前記連通孔５に対応する箇所よりも
上部を先端筒部３４として、外径を小さくして筒
壁４内周との間に間隙を形成しており、筒部３３
の前記通気孔６に対応する箇所には周溝３６が周
設され、さらに該周溝３６に連続して筒部３３外
周には、下端にかけて通気縦溝３９が設けられて
いる。

この組付筒３２は、その筒部３３の下端である
基端にフランジ３７が設けられ、このフランジ３
７の上面には、前記本体筒３の外径に等しい内径
の短筒部３８が立設され、本体筒３に確固と組み
付くようになつており、フランジ３７の前記通気
縦溝３９に対応する箇所には空気孔４０が開孔し
ている。

従つて壜体１は、空気孔４０、通気縦溝３９、
周溝３６、通気孔６を介してシリンダー筒１２の
内筒壁１４内と連通する。

組付筒３２がほぼ上端部まで嵌入されている本
体筒３の上部内にあつて、組付筒３２の上端部内
周には弁座片３５が鍔状に設けられ、組付筒３２
の上端部内に弁座片３５が乗載する形態で弁球４
３が配され、さらに該弁球４３に対向するノズル
筒８基端部分には、押し上げられた弁球４３が組
付筒３２の上端部内から脱出することのないよう
に、阻止ピン７が突設されており、第一の逆止弁
４２を形成している。

そして吸い上げパイプ４１は、組付筒３２内の
弁座片３５下位にまで密嵌入され、壜体１底部に
まで延出する。

従つて、圧力室１５が負圧となると弁球４３が
弁座片３５が浮き上がり、圧力室１５の圧力が上
昇すると弁球４３が弁座片３５に密着し、第一の
逆止弁４２の開閉を達成している。

次に、先端部の内径を大きくして内周に段部９
を形成したノズル筒８の先端には、ノズルキヤツ
プ１０が組み付けられていて、このノズルキヤツ
プ１０の端板中心にノズル孔１１を開孔すると共
に、端板内面にスピンナー溝が刻設され、ノズル
筒８の前記先端部内に第二の逆止弁４４が配され
ている。

この第二の逆止弁４４は軟質弾材製であつて、
ノズル筒８の軸方向に伸縮する伸縮片４７のノズ
ルキヤツプ１０側端にノズル筒８の先端部の内径
よりもやや小さい直径の当接片４６、反対側端に
は同様の直径の弁片４５を設けた構成で、伸長状
態で当接片４６はノズルキヤツプ１０の端板に当
接すると共に弁片４５はその周縁部が前記段部９
に弾密接してシールし、第一と第二の逆止弁４
２，４４とによつて形成される空間内から圧力室
１５内にかけての空間内の圧力が高まると、伸縮
片４７が収縮変形して、弁片４５と段部９とのシ
ールが解かれ、液体はノズル筒８内周面と当接片
４６との間の間隙からスピンナー溝を通つてノズ
ル孔１１より噴霧されるのである。

次にピストン筒１６にあつて、嵌入筒部１７と
保持筒部１９とは先端でフランジ板２１を介して
連設され、圧力室１５内に挿入される嵌入筒部１
７の基端には、シリンダー筒１２の外筒壁１３の
内周面と内筒壁１４の外周面とに密接触するピス
トン弾片１８が設けられ、両端が開口した保持筒
部１９の基端内周面には、シール条２０が周設さ
れている。

また前記フランジ板２１の先端面は、保持筒部
１９の先端開口部を中心にして半球凹部２２とな
つており、該半球凹部２２の表面には半径方向に
沿つて通気溝２３が刻設されている。

さらに、前記シリンダー筒１２の内筒壁１４内
に突設されている保持ピン２５は、内筒壁１４の
軸心に沿つたピン部２６の基端を基端板部２７と
して内筒壁１４基端に固定され、この基端板部２
７には前記本体筒１の通気孔６と連通する通孔２
８が開孔し、またピストン筒１６の保持筒部１９
内に挿入されるピン部２６の先端には、ピストン
筒１６の突出限姿勢で前記保持筒部１９内周のシ
ール条２０に密接する膨出シール部２９が設けら
れ、保持筒部１９を閉塞する。

それゆえに壜体１内と前記経路によつて連通し
ているシリンダー筒１２の内筒壁１４は、シリン
ダー筒１２内にピストン筒１６が嵌入した状態
で、通気溝２３、保持筒部１９を介して外部とも
連通するのである。

そして弾撥スプリング２４は、一端が基端板部
２７に、他端がフランジ板２１内面に夫々弾接す
る。

また操作レバー３０は、前記ノズル筒８の先端
部に上端が軸支され、一部に前記ピストン筒１６
先端のフランジ板２１の半球凹部２２に当接して
いる。

なお符号４９は、壜体１の口筒２に組み付けら
れるキヤツプであつて、前記組付筒３２のフラン
ジ３７が嵌め込まれ、フランジ３７と口筒２との
間にパツキン４８が配され、また本体筒３とノズ
ル筒８との間の両側には、ガードプレート５０が
設けられている。

「効果」 以上の説明から明らかなように、本考案のスプ
レーポンプは、液体が弾撥スプリング２４に直接
触れることがないので弾撥スプリング２４の作動
に支障をきたすことはなく、円滑な操作が期待で
きる。

また壜体１内は外部と連通しているので、所定
の操作を行なつても壜体１内が負圧となることは
なく、しかも不使用時には壜体１内と外部とは遮
断されるので、壜体１を誤つて倒すようなことが
あつても、液体が漏れる虞れはない。

よつて本考案によれば、スプレー操作が容易で
あつて動作が円滑であり、多くの優れた作用効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の断面図である。 符号の説明、１……壜体、２……口筒、３……
本体筒、５……連通孔、６……通気孔、８……ノ
ズル筒、１１……ノズル孔、１２……シリンダー
筒、１３……外筒壁、１４……内筒壁、１５……
圧力室、１６……ピストン筒、１７……嵌入筒
部、１９……ピストン弾片、２４……弾撥スプリ
ング、２５……保持ピン、３０……操作レバー、
３２……組付筒、４１……吸い上げパイプ、４２
……第一の逆止弁、４２……第二の逆止弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 壜体の口筒に組み付けられるスプレーポンプで
   あつて、前記壜体の底部に基端が開口する吸い上
   げパイプの先端が密嵌入し、内部に第一の逆止弁
   を配した本体筒と、該本体筒先端に連通設され、
   先端にスピンナー溝とノズル孔とを設け、内部に
   第二の逆止弁を配したノズル筒と、外筒壁と内筒
   壁との間に圧力室を形成すると共に、該内筒壁と
   前記壜体内とが連通した二重壁構造で、前記本体
   筒外周に突設されるシリンダー筒と、前記圧力室
   内に密に摺動自在に挿入される嵌入筒部と前記内
   筒壁内に遊挿されかつ両端が開口した保持筒部と
   の二重筒形状のピストン筒と、前記内筒壁内に収
   納され、前記ピストン体に弾接する弾撥スプリン
   グと、前記内筒壁内に突設されて前記保持筒部内
   に挿入され、前記弾撥スプリングの弾力による前
   記ピストン体の突出限姿勢で前記保持筒部を閉塞
   する保持ピンと、前記ノズル筒の一部に軸支さ
   れ、前記ピストン体の先端に当接する操作レバー
   とを有し、前記圧力室を、前記第一と第二の逆止
   弁との間の内部に形成される空間と連通して成る
   スプレーポンプ。