JPS6342381Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は水晶時計の輪列配置構造の改良に関
し、更に詳しくは時分針駆動用の変換機及び輪列
と、秒針駆動用の変換機及び輪列とを独立に有す
る水晶時計に於ける秒針駆動用輪列の組込位置構
造に関するものである。

〔考案の背景〕

近年水晶時計は普及率が急速に高まり、それに
伴つてユーザーのニーズも非常に多様化してきて
いる。そのニーズに対応するためには商品のバラ
エテイを豊富にする必要があることから時計の多
機能化及びデザインの多様化の要求が強まつてい
る。

時計の多機能化に答える一手段として変換機を
従来のように１個使用するだけではなく、秒針駆
動用の変換機と時分針駆動用の変換機とを別々に
設けることにより、多機能を実現しようとするも
のがすでに提案されている。

一方、秒針の取付け位置で見るならば、文字板
の中心部に取付けられる中三針タイプだけでな
く、文字板の中心と６時位置との中間に取付ける
副秒針タイプのものも商品バラエテイとして必要
であり、既に実現されている。

〔従来技術と問題点〕

従来の水晶時計に於ては１個の変換機を使用し
輪列を介して、時分秒針の全てを駆動する構造を
取るのが普通で、その場合、通常秒針の位置は、
文字板の中心部に設定されている。従つて秒針の
取付け位置が文字板の中心部と６時位置との中間
にある副秒針タイプを実現するためには別に専用
のムーブメントを作成するか、又は従来のムーブ
メントの変換機用ローターから秒針車までの輪列
の途中に別の輪列を分岐状に追加して、副秒針駆
動用の輪列を作成し、秒針の取付け位置を変更す
る方法を取つていた。上記２つの方法の内、新た
な専用のムーブメントを作成することは、設計製
作負荷も大変な上、生産性も悪いという欠点があ
つた。

一方、秒針が文字板の中心部に取付けられるよ
うに作成されたムーブメントに副秒針用の輪列を
追加して秒針の取付け位置を変更する場合は、時
分針を駆動するために従来の輪列は全て必要であ
る上、新たに副秒針駆動用の輪列と、場合によつ
ては輪列受が必要になることから、部品点数が多
くなり、従つて部品製作上の負荷が増大し、組立
工数も大になる上、組立及び部品管理上の負荷も
増えて、結果的にコスト高になる。更に追加する
輪列の配置構造によつてはムーブメントの厚みが
増加し、デザイン上の制約を生じる等の欠点があ
つた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は上記欠点を除去し、最小の部品
点数で容易に副秒針タイプと中三針タイプの双方
に使用できる輪列配置構造を提供することにあ
る。

〔考案の構成〕

本考案の構成は時分針駆動用の変換機及び輪列
と秒針駆動用の変換機及び輪列とを独立に有する
水晶時計に於て、秒針駆動用の輪列の一部の組込
位置を変更することのみにより、秒針の取付け位
置を文字板の中心部以外に変更できるようにした
ものである。

〔考案の実施例〕

以下図面に基ずいて、本考案の実施例を説明す
る。

第１図より第４図はすべて本考案を示し、第１
図及び第２図は秒針を取付ける秒針車を文字板の
中心部に配置した場合であり、第１図は平面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図及び第４
図は副秒針を取付ける副秒針車を文字板の中心部
と６時位置との中間に配置した場合であり、第３
図は平面図、第４図は第３図のＢ−Ｂ断面図であ
る。

先ず、第１図及び第２図にて秒針が文字板中心
部に取付けられる、いわゆる中三針タイプの場合
から説明する。

１は地板、２は輪列受、３は中心パイプ４が押
込固定された中受で、輪列受２と中受３は地板１
にネジ（図示せず）にて固定されている。１３は
文字板で、該文字板１３の中央に位置する中心穴
２６は前記中心パイプ４と同心をなしている。

５，６，７は時分針駆動用変換機のコイル、ス
テータ、ローターである。該ローター７からは五
番車８、四番車９、三番車１０、二番車１１、日
ノ裏車（図示せず）筒車１２の順に噛合つて減速
され、二番車１１に取付けられた分針（図示せ
ず）と筒車１２に取付けられた時針（図示せず）
とを駆動する。

前記ローター７と五番車８は地板１と輪列受２
に固定された軸受１４により軸支され、四番車９
と三番車１０は地板１に固定された軸受１４と地
板１及び中受３に設けられた軸受穴１５とによつ
て軸支されている。

中受３の中心パイプ４に二番車１１、更に二番
車１１に筒車１２が組込まれ、中心パイプ４を回
転軸にして回転する。

１６，１７，１８は秒針駆動用変換機の秒コイ
ル、秒テータ、秒ローターであり、該秒ローター
１８からは秒中間車１９、秒針車２０の順に噛合
つて減速され、秒針車２０に取付けられた秒針
（図示せず）を駆動する。秒ローター１８と秒中
間車１９は地板１と輪列受２に固定された軸受１
４により軸支され、秒針車２０は輪列受３に固定
された軸受１４と中受３の中心パイプ４の中心穴
２１により軸支されている。

尚、秒中間車１９には上カナ部２２と下カナ部
２３の２個所に歯型が形成されており、上記説明
の場合、秒針車２０の秒針歯車２９が噛合うのは
上カナ部２２であり、下カナ部２３はいずれの車
とも噛合わず回転している。

従つて、時分針を駆動する変換機及び輪列と秒
針を駆動する変換機及び輪列とは全く別の独立し
た駆動系統によつて構成されていることになる。

又この構造では秒針車２０と二番車１１、筒車
１２は全て中心パイプ４によりガイドされ、同一
の回転中心を有し、且つ前述のように中心パイプ
４が文字板１３の中心穴２６と同心であることか
ら、時、分、秒針共文字板１３の中心に取付けら
れることになり、中三針の時計を構成する。

更に地板１及び輪列受２には秒中間車１９の柄
径に合う軸受２４が地板１及び輪列受２の同一位
置に固定され、又地板１及び中受３には軸受２５
が地板１及び中受３の同一位置に固定されてい
る。

軸受２４の位置は秒ローター１８の軸受１４を
中心にして、秒中間車１９の軸受１４を回転させ
た位置である。従つて秒ローター１８の軸受１４
と軸受２４の真心距離は秒ローター１８と秒中間
車１９との真心距離と一致する。

又軸受２５の位置は文字板１３の中心穴２６の
中心と文字板１３の６時位置とを結ぶＹ軸上にあ
り、軸受２４と軸受２５の真心距離は秒中間車１
９と秒針車２０との真心距離と一致している。

次に第３図及び第４図に示す副秒針が文字板と
文字板の６時位置との中間に取付けられる副秒針
タイプの場合について説明する。

２７は先端に副秒針３０を有する副秒針車で、
該副秒針車２７の副秒針歯車２８は秒針車２０の
秒針歯車２９と内径のみ異なるが歯型は全く同一
である。

３１は文字板で、該文字板３１には副秒針車２
７の先端が突出する文字板穴３２を中心に副秒針
３０用の凹部３３が設けられている。

時分針駆動用の変換機及び輪列は第１図及び第
２図の場合と全く同様であり、又秒針駆動用の変
換機も第１図及び第２図と同様である。

秒針駆動用の輪列については、先ず地板１に固
定された軸受２５と、中受３に固定された軸受２
５の間に副秒針車２７を組込み、次に秒中間車１
９を第１図及び第２図に示す位置ではなく、地板
１に固定された軸受２４と、輪列受２に固定され
た軸受２４の間の位置に組込み、秒針車２０は第
１図、第２図に示した位置から取りはずした状態
とし、組込まない。又輪列受２及び中受３は第１
図及び第２図の場合と同一品を使用する。

前述のように地板１に固定された軸受２４と、
輪列受２に固定された軸受２４の間に、秒中間車
１９を組込んだとき、秒ローター１８と秒中間車
１９の真心距離は第１図及び第２図の場合と同一
であるため、秒ローター１８と秒中間車１９との
噛合いは全く変化せず、且つ中受３と秒ステータ
１７は形状的に逃がしてあるため秒中間車１９の
組込には何の支障もない。

又秒中間車１９と副秒針車２７の関係は、秒中
間車１９の下カナ部２３と副秒針歯車２８が噛合
うが秒中間車１９と副秒針車２７の真心距離は前
述の通り、秒針車２０と秒中間車１９の真心距離
と同一であり、且つ副秒針歯車２８が秒針歯車２
９と歯型が同一であるため、全く支障を生じるこ
とはなく、秒ローター１８の回転は秒中間車１９
を介して、副秒針車２７へ伝えられ、副秒針３０
が駆動されることになる。

従つて、秒中間車１９の位置を第１図の位置か
ら第３図の位置へ組込位置変更を行ない、秒針車
２０の代りに副秒針車２７を組込むことのみで他
の部品を変更すること無しに、秒針の位置を文字
板３１の中心部から中心部と６時位置の中間に変
更することが可能となる。

〔考案の効果〕

以上述べた如く、本考案によれば、秒中間車の
組込位置を変更し、秒針車を副秒針車に変更する
ことのみで他の部品を代えることなく、中三針タ
イプから副秒針タイプが実現できることになるた
め副秒針専用のムーブメントを新設する必要のな
いことは当然の上、部品点数が増加することな
く、従つて部品製作の負荷も軽減され、組立工数
も全く変らない。

又ムーブメントの厚みも変化せず、従つてデザ
イン制約もない低コストの副秒針タイプの時計が
実現できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の一実施例を示し、
第１図及び第２図は秒針車を文字板中心部に配置
した場合であり、第１図は平面図、第２図は第１
図のＡ−Ａ断面図、第３図及び第４図は副秒針車
を文字板中心部と６時位置との中間に配置した場
合であり、第３図は平面図、第４図は第３図のＢ
−Ｂ断面図である。 １８……秒ローター、１９……秒中間車、２０
……秒針車、２７……副秒針車、２２……上カナ
部、２３……下カナ部、３０……副秒針。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 時分針駆動用の変換機及び輪列と、秒針駆動用
   の変換機及び輪列とをそれぞれ独立に有するとと
   もに、前記各変換機及び各輪列を軸支するための
   複数の軸受が設けられた地板、輪列受、中受等の
   受部材を有する水晶時計に於いて、 前記秒針駆動用の輪列は少なくとも秒針歯車を
   有する秒針車と、前記秒針駆動用の変換機を構成
   するローターの回転を前記秒針車へ伝達するため
   の秒中間車とを備えるとともに、前記受部材には
   前記ローターを軸支するための唯一のローター軸
   受と、前記秒針車を中三針位置、又は副秒針位置
   にそれぞれ選択して配置できるように設けた二つ
   の秒針車軸受と、前記秒中間車を軸支するため、
   前記ローター軸受と前記二つの秒針車軸受の位置
   に対応して設けた二つの秒中間車軸受とを備え、
   該二つの秒中間車軸受に対し同一の前記秒中間車
   が配置でき、且つ前記二つの秒針車軸受に対し同
   一の前記秒針歯車を有する秒針車が配置できるよ
   うにするため、前記ローター軸受と前記二つの秒
   中間車軸受との真心距離及び前記二つの秒中間車
   軸受と前記二つの秒針車軸受との真心距離がそれ
   ぞれ一致するように構成するとともに、前記秒中
   間車のカナ部は、前記中三針位置の前記秒針車及
   び前記副秒針位置の前記秒針車とそれぞれ異なる
   軸方向位置で噛合うように構成されていることを
   特徴とする水晶時計の輪列配置構造。