JP2501052Y2 - 指針表示式多針時計 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は指針表示式多針時計の輪列構造に関するもの
である。

〔従来の技術〕

時計の成熟化に伴い、指針表示式時計に於いても、複
数の機能を有するデジタル時計のように、例えば多針の
クロノグラフ、指針表示式オートカレンダー等の多針表
示による多機能付時計の要求が高まってきている。しか
しながらこれら多機能品は、専用の時計を設計・製造す
ると生産数がそれ程多くないため合理化生産が難しく、
どうしてもコスト高となり高価格な商品になってしまい
ユーザーの要求と合致しないという問題があった。

一方、３針表示の通常の指針表示式時計に於いては、
デザインの多様性もあり、時計モジュールのコストはそ
の大規模な合理化生産によって、大幅なコストダウンが
可能となってきている。

前記多機能のコストダウンの方法として量産通常モジ
ュールを複数個使用して１ケの多針表示時計にする等の
商品も出てきている。

また、通常の時刻を作りだすモーターや輪列系を有す
る大規模量産モジュールを基本モジュールとし、その周
囲に機能針を駆動するモーターを配置することによっ
て、コストを下げた多機能時計を商品化しようとする提
案もある。このような提案は、本出願人が特開昭63-149
586号公報として提示しているのもその一例である。特
開昭63-149586号公報には、中央にいわゆる基本モジュ
ールと呼ばれるムーブメントを配置し、その周囲に３個
のモーターを配して指針軸を配設した時計が開示されて
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前者のように、複数のモジュールを使
用する場合、全ての指針を多機能的に使い分けることは
難しく、どうしても多時刻表示、世界時計等の時刻表示
に限られてしまい、また時計サイズ全体も大きくなり商
品バリエーションの多く取れる多機能多針表示時計は難
かしかった。

後者の場合、確かにコストが安くしかも比較的商品バ
リエーションの多く取れる多機能多針表示時計を作るこ
とが出来るようになった。しかし基本モジュールが中央
にあるため、時刻表示に重要な時分針ばかりでなく、そ
れほどは重要と言えない秒針も中央に配置するようにな
る。ところが時計の中央には、特に多針表示時計の場
合、およその位置がわかれば良い秒針よりも、正確に読
み取りたい他の針を配置したほうが、針の長さを長く出
来るため非常に見易い時計を得ることが出来ることとな
る。また特開昭63-149586号公報では、地板を時計全体
のモジュールと同径とした新規の地板に基本モジュール
に使用されている輪列等の部品を組み立てているため、
基本モジュールを構成する部品は共通化できても、加工
に非常に工数の掛かる地板を基本モジュールとは共通化
できていないため、コスト的にもまだまだ不充分であ
る。このため特開昭63-149586号公報の構成は、それな
りに改良されているとはいえ、まだまだ不十分な構成で
あった。

本考案の目的は、従来より一般的に配置されているよ
うに時計中心に時分針を設け、周辺に複数の機能針や小
秒針表示を備え、コストを安くしかも機能表示が見易い
指針表示式多針時計の構成を提供しようとするものであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本考案の構成は、 少なくとも通常時刻の秒針表示が可能な基本モジュー
ル、及び該基本モジュールの領域外で、基本モジュール
からの回転力の伝達により通常時刻の分針表示が可能
な、また通常時刻以外の時刻情報又は時間情報表示が可
能な第２のモジュールより成る時計において、前記基本
モジュールは、該基本モジュールの秒針表示を行なうた
めの四番車から回転力を伝達される中心車を含む輪列機
構と、該輪列機構を駆動するモーターと、指針修正を行
なうための巻真等の外部操作切換え機構と、前記輪列機
構を軸支する第１の基板と受を備え、前記第２のモジュ
ールは、前記基本モジュールを載置する第２の基板と、
前記基本モジュールの領域外で且つ前記外部操作切換え
機構と反対側の前記時計の中心位置に、前記第２の基板
上に配置されて通常時刻の分を表示するための歯車とカ
ナより成る二番車と、該二番車と同軸に配置されて時針
が固着される筒車と、前記二番車と同軸で前記通常時刻
以外の時刻情報又は時間情報を指針により表示するため
別モーターで駆動される機能車とを備えており、更に、
前記中心車と同軸で且つ同一方向に回転するよう前記中
心車に係合し、前記第１の基板に対し前記受と反対側に
配置された伝エ車と、該伝エ車と前記二番車との間に配
設された中間車とを有し、該中間車と前記伝エ車及び前
記二番歯車の噛み合い位置を略同一断面位置に配設した
ことを特徴としている。

また、少なくとも通常時刻の秒針表示が可能な基本モ
ジュール、及び該基本モジュールの領域外で、基本モジ
ュールからの回転力の伝達により通常時刻の分針表示が
可能な、また通常時刻以外の時刻情報又は時間情報表示
が可能な第２のモジュールより成る時計において、前記
基本モジュールは、該基本モジュールの秒針表示を行な
うための四番車から回転力を伝達される中心車を含む輪
列機構と、該輪列機構を駆動するモーターと、指針修正
を行なうための巻真等の外部操作切換え機構と、前記輪
列機構を軸支する第１の基板と受を備え、前記第２のモ
ジュールは、前記基本モジュールを載置する第２の基板
と、前記基本モジュールの領域外で且つ前記外部操作切
換え機構と反対側の前記時計の中心位置に、前記第２の
基板上に配置されて通常時刻の分を表示するための二番
車と、該二番車と同軸に配置されて時針が固着される筒
車と、前記二番車と同軸で前記通常時刻以外の時刻情報
又は時間情報を指針により表示するため別モーターで駆
動される機能車とを備えており、更に、前記中心車と同
軸で且つ同一方向に回転するよう前記中心車に係合し、
前記第１の基板に対し前記受と反対側に配置されカナが
形成された伝エ車と、前記通常時刻以外の時刻情報又は
時間情報の表示を行なうための信号を出力させるスイッ
チ機能を果たすスイッチ車と、該スイッチ車に前記伝エ
車の回転を伝達するため歯車の上下にカナを持つ機能中
間車とを有し、該機能中間車の歯車は前記伝エ車のカナ
と噛合し、前記機能中間車の上下のカナより前記スイッ
チ車と上記とは別の機能車への２系列の減速輪列機構を
構成したことを特徴とするものである。

〔実施例〕 以下に本考案の実施例について図面により説明する。

第１図は本考案の実施例による輪列機構を示す要部断
面図、第２図は指針表示式多針時計の外観平面図、第３
図は第１図と異なる輪列機構を示す要部断面図、第４図
は文字板（Ｄ）側より見た時計ムーブメントの概略平面
図である。第１図〜第４図において同一番号は同一構成
要素を示す。

まず第２図を用いて本考案を使用した時計の外観図に
ついて説明する。時計は外装内の文字板Ｄ上で多針で表
示される表示部を有し、外装の側面には、修正や信号入
力のためのリューズ10と第１プッシュボタン25、第２プ
ッシュボタン26および第３プッシュボタン27が各々配置
されている。表示部には８本の針が配設されており、本
実施例では各々次のような機能を有している。すなわ
ち、36、37は通常時刻を表示する時針と分針であり、33
は通常時刻の秒針である。49は第１機能針であり、本実
施例では24時間表示の針である。29は第２機能針であ
り、本実施例ではカレンダーの年表示用の針である。30
は第３機能針であり、本実施例ではカレンダーの月を表
わす月表示針である。31は第４機能針であり、本実施例
ではカレンダーの日表示用の針である。また32は第５機
能針であり、本実施例ではカレンダーの曜を表示する表
示針である。

第４図において２点鎖線のハッチングを付して示して
いる（Ａ）は大規模量産をしている小型の３針用モジュ
ール（以下は基本モジュールと呼ぶ）であり、電気機械
変換機であるステップモーター１と、第１の基板である
地板２、輪列受３、中受４等により軸支されるローター
５や五番車６、四番車７、三番車８あるいは中心車９等
の輪列機構と、リューズ10を固着する巻真11を構成要素
に含む外部切換機構（図示せず）等とを備えているが、
電源である電池、及び回路ブロックは後述する第２モジ
ュールと共用させ、部品点数の削減を図った構成となっ
ている。又、発振回路、駆動回路、指針制御回路等を構
成する水晶振動子12、第1IC13、第2IC14を搭載して成る
回路ブロック15は、前記基本モジュール（Ａ）の一部と
平面的に重なり合うと共に、電気的導通が図れるような
レイアウトになっている。

第２モジュール（Ｂ）は、基本モジュールの領域外で
前述の番車から巻真と反対側の隔離した位置に配置され
ていて、基本モジュール（Ａ）の巻真11と反対側の外周
部近傍に中心部があり、基本モジュール（Ａ）を平面的
に包含する配置となっており、基本モジュール（Ａ）と
同様に、電気機械変換機である第２〜第４ステップモー
ター16、17、18と、第２地板19、下受20等により軸支さ
れる通常時刻を表示するため分針が固着される二番車2
1、指針車として時針が固着される筒車22、また中介車
としての第２日ノ裏車23、二番中間車24等の輪列機構
と、外部操作部材でるプッシュボタン25、26、27に連動
し回路ブロック15に情報信号を入力するためのスイッチ
部材（図示せず）と、電池28等とを備え、機能針29、3
0、31、32の運針制御を行なう機能を有する構成となっ
ている。

基本モジュール（Ａ）の四番車７には秒針33が固定さ
れており、五番車６を介してステップモーター１のロー
ター５により駆動される。さらに四番車７の回転は三番
車８を介して中心車９へと伝えられる。中心車９は中心
歯車9aとカナ9bとから成る周知のスリップ構造となって
おり、カナ9bの軸には第１の伝エ車としての分伝エ車34
が圧入固着されている。分伝エ車34は地板２に対し第２
地板19側に配置されており、中心車９と同速回転により
１時間11回転で駆動する。

第２モジュール（Ｂ）の中心部に同心で配置される第
３機能車35、筒車22、二番車21にはそれぞれカレンダー
の月表示用の第３機能針30、時針36、分針37が固定され
ている。第３機能車35は、第３ステップモーター17を構
成する第３ローター38と噛合う第４機能中間車39を介し
てカレンダーの日表示の第４機能針31を固定している第
４機能車40を回転させ、第４機能車40より中間輪列であ
る第３機能伝エ車41、第３機能中間車〔Ｉ〕42、第３機
能中間車〔II〕43を介して駆動する輪列構成となってい
る。

二番車21は二番歯車21aと二番カナ21bとから成り、二
番歯車21aは分伝エ車34からの回転を二番中間車24を介
して伝達されてステップモーター１により駆動される。
この時二番歯車21aと分伝エ車34を同じ歯数とすること
により、増速や減速を必要としないアイドラー車での伝
達が可能となって、時計の薄型化が出来る。更に、筒車
22は二番カナ21bと噛合う第２日の裏車23のカナ23aと噛
合って駆動され、分伝エ車34から筒車22までの輪列構成
を採っている。そして分伝エ車34と二番歯車21aおよび
二番中間車24との噛合い位置を略同一断面位置に配設し
ている。カレンダーの年表示用の第２機能針29を固着し
ている第２機能車44は第３機能車35や第４機能車40と同
じように第２機能中間車46を介して、またカレンダーの
曜表示の第５機能針32を固着している第５機能車45は同
様に第５機能中間車47と第５機能伝エ車48を介してIC制
御により動作する第２、第４ステップモーター16、18に
より各々駆動され、すでに多く報告されている多機能時
計のような種々の機能を表示することを可能とするもの
である。

一方、第３図によれば24時間を表示する第１機能針49
を固着する第１機能車50は中心車９と同心に配置され、
分伝エ車34に設けたカナ34aと共に、減速輪列を構成す
る第１機能中間車51のカナ51aによって駆動される。第
１機能中間車51には、前記カナ51aと同一形状のカナ51b
を歯車に対して反対側にも設けてあり、IC制御スイッチ
の一端を構成するスイッチ端子52と時間的周期でスイッ
チングするように構成したスイッチバネ53を動作させる
ためのスイッチ車54を駆動するように構成されている。
このように分伝エ車34の回転が、第１機能中間車51を介
して減速されてスイッチ車54に伝達されると、スイッチ
車54と第１機能車50は同じ歯数を有し、同速で駆動する
ので、スイッチ車54は24時間に１回転づつ回転すること
となる。従ってスイッチ車54に一体化されたスイッチバ
ネ53が、１日に１回回路ブロック15に接触しているスイ
ッチ端子52と当接し、１日に１信号を発生させるため、
この信号によって、第４機能針31の日や第５機能針32の
曜等のステップモータを１ステップづつ歩進させる役目
を果している。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案によれば、３針用の輪列機構
を第１の基板と受で保持した基本モジュールを１ブロッ
クとすることで、大規模生産による安価な部品並に扱
い、このブロックを第２の基板に搭載するようにしたた
め、基本部分は非常に低コスト化を計ることが出来る。
しかも多針時計でありながら、時計に重要な時分針と、
通常時刻以外の時刻情報や時間情報の機能針を、最も長
く出来る中央へ配置できるため、見易い表示を可能とす
る。

更に、中間車、伝エ車及び二番歯車の噛み合い位置を
略同一断面位置に配設したので、歯形の噛み合い部分で
発生する従動車側（実施例では分伝エ車34に対する二番
車）の偶力の影響は少なく、とりわけ二番車の傾きによ
る分針のアオリが少ないことから、針が擦れる状態（実
施例的に言えば時針と分針が擦れる状態）を気にせずに
針の取り付けが出来るので、作業性も良く、安定した針
間隔を維持することが出来る。また中間車を伝エ車及び
二番歯車の噛み合い位置と略同一断面位置に配設したた
め、中間車の大きさを小さくして伝エ車と二番歯車の大
きさを大きくできるので、噛み合い部分のバックラッシ
ュの影響で発生し易い分針ズレ量を極力押さえることが
でき、経過時間を正確に読み取ることが出来るようにな
る。

また、伝エ車にカナを設け、機能中間車に設けた上下
のカナより２系列の減速輪列を形成して、そのうちの１
系列でスイッチ車を駆動するようにしたので、スイッチ
車の出力信号により、通常時刻以外の時刻情報又は時間
情報の機能駆動が可能となり、コストを安く、デザイン
の多様化が可能で、商品バリエーションを従来に比して
向上させることができ、極めて有効な効果をあげること
が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例による輪列機構を示す要部断面
図、第２図は指針表示式多針時計の外観平面図、第３図
は第１図と異なる輪列機構を示す要部断面図、第４図は
文字板側より見た時計ムーブメントの概略平面図であ
る。 １、16、17、18……ステップモーター、９……中心車、
11……巻真、21……二番車、22……筒車、24……二番中
間車、29、30、31、32、49……機能針、34……分伝エ
車、51……機能中間車、（Ａ）……３針用モジュール、
（Ｂ）……第２モジュール、（Ｄ）……文字板。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも通常時刻の秒針表示が可能な基
   本モジュール、及び該基本モジュールの領域外で、基本
   モジュールからの回転力の伝達により通常時刻の分針表
   示が可能な、また通常時刻以外の時刻情報又は時間情報
   表示が可能な第２のモジュールより成る時計において、 前記基本モジュールは、 該基本モジュールの秒針表示を行なうための四番車から
   回転力を伝達される中心車を含む輪列機構と、 該輪列機構を駆動するモーターと、 指針修正を行なうための巻真等の外部操作切換え機構
   と、 前記輪列機構を軸支する第１の基板と受を備え、 前記第２のモジュールは、 前記基本モジュールを載置する第２の基板と、 前記基本モジュールの領域外で且つ前記外部操作切換え
   機構と反対側の前記時計の中心位置に、前記第２の基板
   上に配置されて通常時刻の分を表示するための歯車とカ
   ナより成る二番車と、 該二番車と同軸に配置されて時針が固着される筒車と、 前記二番車と同軸で前記通常時刻以外の時刻情報又は時
   間情報を指針により表示するため別モーターで駆動され
   る機能車とを備えており、 更に、前記中心車と同軸で且つ同一方向に回転するよう
   前記中心車に係合し、前記第１の基板に対し前記受と反
   対側に配置された伝エ車と、 該伝エ車と前記二番車との間に配設された中間車とを有
   し、 該中間車と前記伝エ車及び前記二番歯車の噛み合い位置
   を略同一断面位置に配設したことを特徴とする指針表示
   式多針時計。
2. 【請求項２】少なくとも通常時刻の秒針表示が可能な基
   本モジュール、及び該基本モジュールの領域外で、基本
   モジュールからの回転力の伝達により通常時刻の分針表
   示が可能な、また通常時刻以外の時刻情報又は時間情報
   表示が可能な第２のモジュールより成る時計において、 前記基本モジュールは、 該基本モジュールの秒針表示を行なうための四番車から
   回転力を伝達される中心車を含む輪列機構と、 該輪列機構を駆動するモーターと、 指針修正を行なうための巻真等の外部操作切換え機構
   と、 前記輪列機構を軸支する第１の基板と受を備え、 前記第２のモジュールは、 前記基本モジュールを載置する第２の基板と、 前記基本モジュールの領域外で且つ前記外部操作切換え
   機構と反対側の前記時計の中心位置に、前記第２の基板
   上に配置されて通常時刻の分を表示するための二番車
   と、 該二番車と同軸に配置されて時針が固着される筒車と、 前記二番車と同軸で前記通常時刻以外の時刻情報又は時
   間情報を指針により表示するため別モーターで駆動され
   る機能車とを備えており、 更に、前記中心車と同軸で且つ同一方向に回転するよう
   前記中心車に係合し、前記第１の基板に対し前記受と反
   対側に配置されカナが形成された伝エ車と、 前記通常時刻以外の時刻情報又は時間情報の表示を行な
   うための信号を出力させるスイッチ機能を果たすスイッ
   チ車と、 該スイッチ車に前記伝エ車の回転を伝達するため歯車の
   上下にカナを持つ機能中間車とを有し、 該機能中間車の歯車は前記伝エ車のカナと噛合し、前記
   機能中間車の上下のカナより前記スイッチ車と上記とは
   別の機能車への２系列の減速輪列機構を構成したことを
   特徴とする指針表示式多針時計。