JPS6341814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は突極同期機の回転子、特に回転子の磁
極に巻回している乱巻界磁巻線間が近接している
突極同期機の回転子に関する。

一般に従来のこの種の回転子は第１図に示すご
とく構成されている。すなわち、１は回転軸、２
は回転軸１に固定され抜板鉄心を積層して形成さ
れた突極磁極、３は突極磁極２に巻回して設けら
れた乱巻界磁巻線（以下単に界磁巻線と言う）、
４は突極磁極２に設けられたねじ穴５に螺着しコ
イルブラケツト６を介して界磁巻線３を押圧固定
するスタツドボルトである。尚、７は界磁巻線３
を一体に包む絶縁紙、８は突極磁極２の周面に設
けた制動巻線である。

ところで、一般に回転電機は固定子および回転
子が発熱するために別個羽根車を設け、冷却風が
回転電機内部を軸方向に流れるよう構成してい
る。しかし第１図に示すごとき構造の回転子で
は、界磁巻線３間が近接しているために、冷却風
は固定子と回転子との僅かな隙間しか流れず冷却
風の流れが悪くなる。しかも、界磁巻線３は熱伝
達の悪いコイルブラケツト６あるいは磁極２で囲
まれているために放熱性が悪く、また熱の一部が
コイルブラケツト６あるいは磁極２を伝達して固
定子と回転子間を流れる冷却風に放熱されようと
しても、固定子と回転子間は前述したように僅か
な隙間しかなく冷却風の流れが悪いために放熱し
きれない。このため、固定子および回転子の温度
が上昇して各部の温度許容限度に対する裕度が非
常に小さくなる欠点がある。

この欠点を回避するには固定子および回転子の
形枠を１段上げて界磁巻線間に隙間を設け、その
隙間に冷却風を流せばよいが、このような構成と
すると同一容量のものに比でべ構造が大きくなる
ばかりか、界磁巻線が遠心力によつて形崩れしな
いように整形したものとする必要があり、非常に
高価なものになつてしまう欠点がある。しかも、
このような構成は近年小型化が進む中で要望に反
したものとなり、何らかの対応策が望まれてい
た。

本考案の目的は、従来の形枠を大きくすること
なく冷却効果の高いかつ乱巻界磁巻線を強固に支
持し得る突極同期機の回転子を提供するにある。

本考案による突極同期機の回転子は、界磁巻線
間に非磁性体で熱伝導性の優れた材料によつて作
られて冷却風を導きかつ内部に補強をかねた放熱
フインを有する冷却通路部材を対向する界磁巻線
の側壁の全面にわたつて接触して設けたことを特
徴とするものである。

以下、本考案の実施例を第２図を参照して説明
するが第１図と同一部分には同一符号を付し説明
は省略する。すなわち、本考案は従来界磁巻線３
を磁極２に押圧固定するために界磁巻線３間に設
けられていたスタツドボルトを取り除き、その取
り除いた後の界磁巻線３間に非磁性体で熱伝導の
優れた材料で形成した冷却通路部材１０をその側
壁を界磁巻線３の側壁全面にわたつて接触させて
設けたものである。

そして、この各冷却通路部材１０は軸方向両端
部が第３図に示すように開口部１４で開口してお
り、冷却風が通路内を流れるようにしていると共
に、各冷却通路部材１０内には放熱効果を上げる
とともに内部を円周方向の補強をかねるための放
熱フイン１１が固定して設けられている。また冷
却通路部材１０の一方の開口部１４には冷却風の
取り入れ効率を上げるために第３図に示すごとく
冷却風取入れ用案内羽根１３を設けている。ま
た、１２は磁極２のポールチツプ部２ａにて支持
され、各冷却通路部材１０および界磁巻線３を固
定するコイルブラケトで、第１図のコイルブラケ
ツト６とスタツドボルト４との働きを兼ね備えて
いる。尚、このコイルブラケツト１２は軸方向か
ら所定位置まで挿入されており、乱巻界磁巻線３
および冷却通路部材１０を強固に支持している。

このように構成した本考案の回転子は、隣接す
る界磁巻線３の対向側壁間に熱伝導の優れた材料
で形成した冷却通路部材１０を対向側壁の全面に
接触させてその通路内を冷却風が流れるように
し、その冷却通路部材１０の側壁に界磁巻線３を
接触させているので、界磁巻線３から発熱する熱
は、ほとんど熱伝導の優れた冷却通路部材１０を
通り放熱フイン１１でその通路内を流れる冷却風
に放熱されることとなり、界磁巻線３は有効に冷
却されることとなる。

冷却通路部材１０は従来のスタツドボルトを取
り除いた後の隙間に設けられているので、回転子
の形枠は従来の大きさを変える必要がなく、場合
によつては界磁巻線が有効に冷却されるので形枠
を１段小形にすることもありうる。また、界磁巻
線３は冷却通路部材１０の側壁とコイルブラケツ
ト１２により保持されているので、整形する必要
もない。更に回転電機は軸方向に冷却風を流すよ
う構成しているので、各冷却通路部材内には自然
に冷却風が流れ込むが、冷却通路部材１０の一方
の開口部に回転子の回転により冷却風の取り入れ
を容易にする冷却風取入れ用案内羽根１３を設け
ると更に冷却風の流れがスムーズになり冷却効果
が高められる。尚、冷却通路部材１０を非磁性体
で構成したのは漏洩磁束を防止するためのもので
ある。

このように本考案は従来界磁巻線間に設けられ
ていたスタツドボルトを取り除いてその後の界磁
巻線間にその界磁巻線の対向する側壁全面が側壁
に接触するような冷却通路を設けたので、従来の
同一容量のものに比べ非常に冷却効果が優れ、各
部の温度許容限度に対する裕度が大きく増す効果
がある。しかも、従来界磁巻線間に設けられてい
たスタツドボルトを取り除いた後に冷却通路部材
を設けたので従来のものに比で形枠は同じか、あ
るいは、冷却効果が増した分だけ形枠を小さなも
のとすることができる効果がある。さらに突極磁
極のポールチツプ部で支持されたコイルブラケツ
トにより、乱巻界磁巻線は強固に保持され、冷却
通路部材は乱巻界磁巻線の対向側壁の全面に押し
つけられて熱伝達をよくして冷却効果の向上に役
立つている。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の突極同期機の回転子を示す断面
図、第２図は本考案による突極同期機の回転子の
一実施例を示す断面図、第３図はその回転子に設
けた冷却通路部材の端部付近を拡大して示す平面
図である。 １……回転軸、２……突極磁極、３……界磁巻
線、１０……冷却通路部材、１１……冷却フイ
ン、１２……コイルブラケツト、１３……冷却風
取入れ用案内羽根、１４……開口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 突極磁極に巻回した乱巻界磁巻線が相互に隣接
   している突極同期機の回転子において、前記隣接
   する乱巻界磁巻線間に、非磁性体でかつ熱伝導性
   の優れた材料によつて作られ、しかも筒状で軸方
   向両端部が開口し、一方の開口部に冷却風取入れ
   用案内羽根を設けて内部に冷却風の流れを誘導
   し、更に、内部を円周方向の補強をかねた放熱フ
   インで径方向に複数に区切つた冷却通路部材をそ
   の隣接する乱巻界磁巻線の対向側壁の全面にわた
   つて接触して設けるとともに、前記突極磁極のポ
   ールチツプ部で支持されて前記冷却通路部材およ
   び乱巻界磁巻線を固定するコイルブラケツトを設
   けたことを特徴とする突極同期機の回転子。