JPS6341545B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、アマンド・キヤラメリゼ（糖がけ
アーモンド）、ノワゼツト・キヤラメリゼ（糖が
けヘーゼルナツツ）などの糖がけナツツの製造法
の改良に関するものである。

この発明は、表皮がはがれ難く、しかも保存性
の良好な糖がけナツツを供することが目的であ
る。

ナツツを糖がけするには、鍋に糖液を入れ煮詰
めた中にナツツを入れ、かきまぜながら更に煮詰
め、融けた糖をナツツの表面に付着させ、バター
を加えて混ぜてから鍋から取り出し冷やして作ら
れている。

また、多量に処理するには、ナツツを糖液に浸
漬し、要すれば糖液にて煮沸した後、油でフライ
することにより行われている。

このような方法でナツツの糖がけをした場合、
糖衣層がナツツの表皮に付着して冷えるためか表
皮と胚乳部の間に隙間が生じ、時には表皮がはが
れることもある。

このようなナツツは、吸湿、酸敗しやすく、保
存性が悪いものである。

この発明の発明者らは、あらかじめクエン酸基
を有する溶液に浸漬し、又は／及びクエン酸基を
有する溶液で煮沸したナツツを用いて糖がけ処理
をすると胚乳部と表皮の間に隙間が生じないこと
を見いだし、この発明を完成させた。この発明に
おいてクエン酸基を有する溶液とは、クエン酸溶
液、クエン酸塩溶液、両者の混合及び併用を含む
ものである。

すなわち、ナツツをクエン酸基を有する溶液に
浸漬し、又は／及びクエン酸基を有する溶液に浸
漬したまま煮沸し、取り出し、要すればナツツに
付着しているクエン酸、クエン酸塩などを中和、
洗浄し、次いで乾燥し又は乾燥せずに糖液に浸漬
し、又は糖液に浸漬したまま煮沸し、次いで糖液
より取り出して油でフライして得た糖がけナツツ
は、表皮と胚乳部の間に隙間が見られず、表皮が
胚乳部にしつかり付着したものとなり、表皮がは
がれ難い糖がけナツツとなつた。また、この糖が
けナツツの保存性は、良好であつた。

この発明を実施するには、まずナツツをクエン
酸又は／及びクエン酸塩の溶液に浸漬する。

ナツツとしては、アーモンド、ヘーゼルナツ
ツ、落花生、くるみなどの可食性種実が用いられ
る。

クエン酸、クエン酸塩の溶液の濃度は、薄いと
効果が少なく、濃すぎると味覚、色等に影響を与
えるため、0.1〜５％とするのが望ましい。

クエン酸を用いると後で酸味が残ることがあ
り、また糖液で処理するとき砂糖を転化すること
があるため、必要に応じ洗浄又は／及び中和する
ようにする。また、クエン酸の代りにクエン酸塩
を用いた場合中和処理は不要となる。このとき要
いるクエン酸塩としては、溶解性、味覚などより
ナトリウム塩又はカリウム塩が望ましい。

ナツツをクエン酸、クエン酸塩の溶液に浸漬す
る時、加温するのが望ましく、要すれば浸漬した
まま煮沸する。

クエン酸、クエン酸塩の溶液にて処理したナツ
ツは、次いで乾燥し又は乾燥せずに糖液に浸漬す
るが、必要に応じ糖液に浸漬する前に中和又は／
及び洗浄を行う。中和は、重炭酸ナトリウム等の
アルカリ溶液で浸漬、洗浄することにより行わ
れ、洗浄は、温水又は冷水にて行われる。

糖液として砂糖（しよ糖）、ぶどう糖、水飴、
麦芽糖、ソルビートル、マルチトール等通常ナツ
ツ処理に用いられる糖類、糖アルコール類の水溶
液が用いられる。また、その濃度は、所望により
任意に定められるが、通常Bx30〜90゜とするのが
望ましい。

糖液への浸漬は、糖のナツツへの付着を良くす
るため加温して行うのが望ましく、要すれば糖液
へ浸漬したまま煮沸を行う。

次いで、ナツツを糖液より取り出し、常法によ
りフライ処理を行う。

すなわち、コーン油、こめ油、菜種油などの液
状油或いは植物性硬化油、ラードなどの固形脂な
どの油脂をおよそ140〜280℃とし、その中に糖液
より取り出したナツツを数分〜数十分間浸漬後、
取り出し、冷却することにより糖がけナツツが得
られる。

次に実施例により説明する。

実施例 １ アーモンドを１％クエン酸ナトリウム溶液に浸
漬し、約３分間煮沸後取り出し、水にて洗浄し、
水切りした。次いでBx.75゜のしよ糖溶液に浸漬
し、そのままBx.80゜となるまで煮詰めた後取り出
し、およそ170℃の油に約８分間浸漬し、油より
取り出して冷却し、付着した油を遠心分離して除
き糖がけアーモンドを得た。

この糖がけアーモンドは、表皮と胚乳部の間に
隙間がみられず表皮がはがれることがなく、しか
も食したとき適度の硬さをした風味良好なもので
あつた。また、このものを30℃にて３か月間保存
したものも同様であつた。

なお、アーモンドをクエン酸ナトリウム溶液で
処理することなく、直接しよ糖溶液に浸漬し、以
下同様に処理して得た糖がけアーモンドは、表皮
と胚乳部の間に隙間がみられ、処理中に一部表皮
のはがれがみられた。このものは、１か月の保存
で吸湿と変敗がみられた。

実施例 ２ ペカンナツツを90℃に加熱した0.5％クエン酸
溶液に約５分間浸漬後0.5％重炭酸ナトリウム溶
液、次いで水で洗浄し、水切後乾燥し、80℃の
Bx.65゜のしよ糖、ソルビトール等量溶解溶液に７
分間浸漬し、次いで170℃にて５分間フライ処理
し、糖がけヘーゼルナツツを得た。このものは、
表皮と胚乳部に隙間がみられず、表皮がはがれる
ことなく、香味の良好なものであつた。

実施例 ３ 約60℃の0.5％クエン酸溶液に２分間アーモン
ドを浸漬した後取り出し、次いで１％クエン酸カ
リウム溶液に浸漬し２分間煮沸した後取り出し、
0.1％重炭酸ナトリウムを含有する水にて洗浄し
た。次いで、ぶどう糖と麦芽糖が等量入つている
Bx.60゜の糖液に浸漬し、糖液濃度がBx.70゜となる
まで煮沸してから取り出した。

糖液より取り出したアーモンドは、180℃の油
に約５分間浸漬してフライ処理し、糖がけアーモ
ンドを得た。

この糖がけアーモンドは、表皮がはがれず、良
好な風味をしたものであつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ナツツを糖液に浸漬した後、或いは糖液にて
   煮沸した後、油でフライして糖がけナツツを製造
   する際に、あらかじめクエン酸基を有する溶液に
   浸漬し、又は／及びクエン酸基を有する溶液にて
   煮沸し、要すれば次いで中和、水洗又は／及び乾
   燥したナツツを用いることを特徴とする糖がけナ
   ツツの製造法。