JPS6340709Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は既存の吊杆部材を利用した支持装置
に係り、ビル、工場等の建築物の竣工完成後にお
いて各種設備を増設する場合、ダクト等を吊持し
ている吊ボルトの如き吊杆部材相互の空間内にダ
クト、ケーブルラツク、多量の配管等の設置が可
能となるように、その空間を有効利用できる既存
の吊杆部材を利用した支持装置に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来、建築工事においての衛生、空調、電気、
防災等のためのダクト、配管その他の種々の設備
は、天井スラブ等に埋設固定してあるインサート
具によつて吊ボルトの如き吊杆部材を吊下し、こ
の吊杆部材に直接に、或いは吊杆部材相互間に仮
設した溝形鋼材製のハンガーを介して支持されて
いるのが多い。その際、当初の建築設備計画とし
て、吊杆部材相互間の空間にダクトが予定されて
いる場合は、順次施工すればよいから問題はない
が、竣工完成後に設備増強計画が企画された場合
は、吊杆部材相互の空間部分以外に増設スペース
がないというのが現状である。

（考案が解決しようとする問題点） そのため、ダクト、ケーブルラツク、大量の配
管等の支持物が重い場合は、天井スラブ面にアン
カー等を打設固定し、新たに吊杆部材を吊下して
ハンガーを架設する必要があつた。ところが、こ
れは非常に時間と費用とがかかり、経済的ではな
くも、これに代え得る他の手段がないため、やむ
を得ないものとされていた。

また、支持物が１本の配管の如き軽い場合に
は、配管を跨いで吊杆部材に係合するよう、締付
ネジがねじ込まれている断面溝形の金具や、両端
に係合部を有し、側面略く字形で反り返り状の弾
撥力を有する金具によつて、既存の吊杆部材に直
接に簡易迅速に取付け可能であるが、これは前述
の重い支持物には利用出来ないものであつた。

ところで、実公昭57−20937号公報によれば、
リツプ溝形鋼からなるハンガーの端部を挿入する
開口を有し、上下面に該開口に連なる吊ボルトの
挿通用切込みを有する筐型吊金具と、吊ボルトの
挿通孔を切欠で周縁に開口させた上下の押え金具
と、これら両押え金具を上下から押えるための吊
ボルトに螺挿した上下のナツトとから成り、ハン
ガーの交換を容易に行い得るように改良されたハ
ンガーの吊下装置が開示されている。

すなわち、吊ボルトに螺挿された上下のナツト
を緩めて、押え金具を上下に離し、筐型吊金具、
或いは筐型吊金具と押え金具との両者を大型のも
のと交換して、より大きなハンガーと交換するも
のである。

従つて、これによれば、ハンガーの交換に際し
て、吊ボルトには予め上下のナツトが螺挿されて
いることが最低限必要であり、このハンガーの吊
下装置を使用したものについてのハンガーの交換
は可能であるが、既にハンガーが架設された既存
の吊杆部材について新たにハンガーを増設するこ
とは出来なかつた。

そこでこの考案は、従来存した叙上の問題点に
鑑みて案出されたものであり、予定されないハン
ガーを増設する際に、新たに吊杆部材を吊下して
ハンガーを架設することなく、既存の吊杆部材に
簡単に固定できる既存の吊杆部材を利用した支持
装置を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） このためこの考案の要旨は既存の吊杆部材に外
嵌する嵌合切欠を切設した上下翼片を奥底片上下
に相対峙するよう折曲連設して成る断面溝形の支
持具と、吊杆部材相互間に配置されるリツプ溝形
鋼製の支持部材と、前記支持具との間で吊杆部材
を挟持すると共に支持部材に固定される側面略Ｌ
字形の連結具との組合わせから成り、連結具は、
支持部材のリツプに内側から係合するナツトとこ
のナツトにねじ込まれる挟持ボルトとで、支持部
材上縁に挟持される挟持片と、この挟持片に立設
され、支持具の奥底片に貫挿された締付ネジがね
じ込まれることで自身の背面と支持具との間で吊
杆部材を圧接固定する圧止片とから成ることに存
する。

以下、図面を参照してこの考案の一実施例を説
明する。

図において示さる符号１は断面溝形の支持具１
であり、第１図に示す如く、天井スラブその他か
ら吊下されている吊ボルト、丸棒、吊鉄線の如き
既存の吊杆部材Ｂに外嵌する嵌合切欠５を切設し
た上下翼片４を奥底片２上下に相対峙するよう折
曲連設して成る。この支持具１自体は、適宜肉厚
の矩形鈑材を適宜に裁断し、折曲することで得ら
れ、嵌合切欠５は上下翼片４に於ける開口端縁か
らコ字形に切欠することで設けられ、吊杆部材Ｂ
径に対応した深さ、幅員を有する。

６は吊杆部材Ｂ相互間に架設状に配置されるリ
ツプ溝形鋼製の支持部材６であり、通常はリツプ
部７がある開口がわが上向きにして使用され、そ
の全体断面は図示の如く〓形である場合に限ら
ず、〓形、〓形であつてもよい。

この支持部材６を、前記支持具１と協働して吊
杆部材Ｂに連結固定すために側面略Ｌ字形の連結
具８があり、この連結具８は挟持片９及び圧止片
１３を有する。挟持片９は、支持部材６のリツプ
部７をねじ止め挟持すべく、第１図、第５図に示
すように、挟持ボルト１０、ナツト１１を有して
おり、支持部材６内に挿入した状態でリツプ部７
内側に係合させた平面矩形乃至平行四辺形状のナ
ツト１１に対し、挟持片９に開穿した貫通孔１２
に貫挿させた挟持ボルト１０をねじ込むことで、
挟持片９とナツト１１とでリツプ部７を強く挟着
し、支持するものである。その際、第５図に示す
如く、挟持片９を支持部材６に外嵌する断面溝形
に形成しておくことは極めて好ましく、挟着時に
あつてのがたつきを防止し、支持安定性を増大さ
せる。

一方、圧止片１３は、挟持片９から立設されて
いて、前記支持具１の奥底片２に貫挿した締付ネ
ジ１６がねじ込まれて自身の背面が吊杆部材Ｂに
圧接されるものであり、そのため、奥底片２の左
右で開穿した一対の貫挿孔３夫々に貫挿させた締
付ネジ１６がねじ込まれるネジ孔１４を左右に開
穿形成してある。尚、１５は挟持片９と圧止片１
３との立設連続部分に形成した補強用ビードであ
る。

この考案は以上のように構成されており、これ
が使用に際しては、第２図に示す如く、衛生、空
調、電気、防災等の種々の設備Ｓを支持すべく吊
下されている既存の吊杆部材Ｂがある場合に、増
設を予定するダクトＤ、ケーブルラツク、大量の
配管その他に対応して所定高さ位置で対向させ
て、支持具１、連結具８を組合わせて吊杆部材Ｂ
にセツトする一方、連結具８相互間に支持部材６
を架設状に配置すればよい。例えば、挟持ボルト
１０、ナツト１１、挟持片９によつて支持部材６
のリツプ部７を挟着することで連結具８を支持部
材６の両端に装着しておき、この状態で、第３
図、第４図に示す如く、吊杆部材Ｂの所定位置で
吊杆部材Ｂを挟み込むようにして支持具１、圧止
片１３相互を締付ネジ１６にてねじ止めし、吊杆
部材Ｂを挟着することで連結支持するものであ
る。然る後、支持部材６上にダクトＤその他を載
置セツトすればよいものである。

（考案の効果） 従つて、この考案によれば、種々の設備Ｓを支
持している既存の吊杆部材Ｂでも、夫々の吊杆部
材Ｂに対して使用できる空間があれば、その吊杆
部材Ｂ間に新たに支持部材６を取付けることがで
き、必要とするダクトＤ、ケーブルラツク、大量
の配管その他の増設を、既存の設備Ｓに邪魔され
ることなく簡易迅速に実施することができる。特
に、増設すべきものが重い場合であつてもこれを
充分に支持できる耐荷重性を有し、その支持安定
性は大きく、増設計画がいかなるものであつても
これに対応可能である。尚、340mmの間隔で配置
されている吊杆部材ＢをＷ3/8ボルトとして荷重
試験を実施したところ、最大静荷重は約1000Kgで
あつた。

また、支持具１自体は既存の吊杆部材Ｂに外嵌
する嵌合切欠５を切設した上下翼片４を奥底片２
上下に相対峙させて折曲連設して成る断面溝形で
あるから、吊杆部材Ｂの任意位置に直接装着する
ことができ、また、連結具８における圧止片１３
に対して奥底片２に貫挿させた締付ネジ１６がね
じ込まれることで、圧止片１３背面と嵌合切欠５
奥縁とが、吊杆部材Ｂに対し、一方は面状に当接
し他方は喰込状に圧入し、しかも両側方で挟着す
るから、堅固にセツトでき、耐荷重性に優れ大容
量のダクトＤ等であつても充分に支持可能であ
る。

ダクトＤ等が載置セツトされる支持具１は、リ
ツプ溝形構成のものであるから、耐荷重性につい
ては何らの問題もないと共に、吊杆部材Ｂ相互間
に配置されるとき、そのリツプ部７は、挟持ボル
ト１０、ナツト１１にて連結具８の挟持片９によ
つて挟持されるから、支持部材６と連結具８との
連結は確実であり、支持部材６自体は任意長さに
設定できるから吊杆部材Ｂ相互の間隔に対応可能
である。

連結具８は、側面略Ｌ字形で、支持部材６を挟
着連結する挟持片９と、これに立設され、支持具
１と協働して吊杆部材Ｂをねじ止め圧接する圧止
片１３とから成るから、吊杆部材Ｂの任位置での
支持部材６の配置固定を可能とすると共に、既設
の設備Ｓの影響を受けることなく使用でき頗る便
利である。

以上説明したようにこの考案によれば、建築物
の竣工完成後ににおいての各種設備の増設に際
し、既存の吊ボルトの如き吊杆部材相互の空間を
利用してダクトその他の設置を可能とし、しかも
それが重い場合であつてもこれを支持できると共
に、既設の設備の影響を受けず、互いに邪魔にな
ることもないばかりでなく、簡易迅速らに作業を
遂行できるなどの実用上極めて有益な効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の一実施例を示すもので、第
１図は分解斜視図、第２図は使用状態の概略正面
図、第３図は要部正面図、第４図は要部平面図、
第５図は要部側面図である。 Ｂ……吊杆部材、Ｄ……ダクトＤ、Ｈ……ハン
ガー、Ｓ……設備、１……支持具、２……奥底
片、３……貫挿孔、４……上下翼片、５……嵌合
切欠、６……支持部材、７……リツプ部、８……
連結具、９……挟持片、１０……挟持ボルト、１
１……ナツト、１２……貫挿孔、１３……圧止
片、１４……ネジ孔、１５……補強用ビート、１
６……締付ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 既存の吊杆部材に外嵌する嵌合切欠を切設した
   上下翼片を奥底片上下に相対峙するよう折曲連設
   して成る断面溝形の支持具と、吊杆部材相互間に
   配置されるリツプ溝形鋼製の支持部材と、前記支
   持具との間で吊杆部材を挟持すると共に支持部材
   に固定される側面略Ｌ字形の連結具との組合わせ
   から成り、連結具は、支持部材のリツプに内側か
   ら係合するナツトとこのナツトにねじ込まれる挟
   持ボルトとで、支持部材上縁に挟持される挟持片
   と、この挟持片に立設され、支持具の奥底片に貫
   挿された締付ネジがねじ込まれることで自身の背
   面と支持具との間で吊杆部材を圧接固定する圧止
   片とから成ることを特徴とする既存の吊杆部材を
   利用した支持装置。