JP3559146B2 - 野縁受け支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井下地組を構成する野縁を支持する野縁受けを、梁材に対して水平状態で支持するようになった野縁受け支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物における天井の下地組では、通常、直線状に延びる野縁受けが、梁材に対して吊り下げられた状態で水平に支持されており、この野縁受けに、下地骨となる野縁が直交状態で支持されている。図5は、野縁を支持するために配置される野縁受けの支持構造を示す分解斜視図である。断面コ字状の溝型鋼によって構成された直線状に延びる野縁受け14は、各側縁部が、それぞれ上下になるように配置されており、各側縁部には、軸心方向に適当な間隔をあけて複数の貫通孔14aが、それぞれ設けられている。各貫通孔14aは、野縁受け14の長さ等によって予め設定された所定位置にそれぞれ設けられている。野縁受け14を支持する野縁受け吊り具12は、水平状態に配置される梁材に対して、野縁受け14に設けられた各貫通孔14aに対応した位置にそれぞれ取り付けられる。
【0003】
梁材に取り付けられた各野縁受け吊り具12には、ボルト17の上端部が一対のナット18によってそれぞれ取り付けられており、各ボルト17の下端部が、野縁受け14における上側の側縁部に設けられた所定の貫通孔14a内に挿入されて、野縁受け14の上側の側縁部を上下方向から挟むように配置された一対のナット19によって、その側縁部に取り付けられている。
【0004】
梁材に取り付けられた各野縁受け吊り具12によって、野縁受け14が水平状態に支持されると、野縁受け14の下側の側縁部に、複数の野縁支持具が適当な間隔をあけて取り付けられて、各野縁支持具によって、野縁が、野縁受け14に対して直交状態でそれぞれ支持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような野縁受け支持構造では、野縁受け14の所定位置に予め設けられた貫通孔14aに対応した位置に、野縁受け吊り具12をそれぞれ取り付けて、各野縁受け吊り具12に吊り下げられたボルト17を貫通孔14a内にそれぞれ挿入して、各ボルト17にネジ結合された一対のナット19によって野縁受け14を固定する必要がある。しかしながら、ブレース等が交差していると、野縁受け吊り具12に吊り下げられたボルト17を野縁受け14の貫通孔14aに挿入することができなくなり、野縁受け吊り具12にて野縁受け14を支持することができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、野縁受けにおける貫通孔によって野縁受けを支持することができない場合にも、野縁受けを支持することができる野縁受け支持構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の野縁受け支持構造は、梁材に取り付けられた野縁受け吊り具に、ボルトが垂直に吊り下げられた状態で支持され、ボルトの下端部には、天井の下地骨を構成する野縁を直行状態で支持するように、野縁受けが吊り下げられた状態で水平に支持される野縁受け支持構造であって、断面コ字状の溝型鋼によって構成された直線状に延びる野縁受けに対して、スライド可能に嵌合する野縁受け支持具が、野縁受け吊り具に、吊り下げられた状態で取り付けられており、野縁受け支持具は、ボルトの下端部にネジ結合される雌ネジ部が下方に突出するように設けられている長方形状の上面部と、この上面部の正面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された正面部と、上面部の背面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された背面部と、この背面部の下端縁から正面側に向かって直角に屈曲された下面部と、正面部の下端縁から背面部に向かって直角に屈曲された係合部とを有し、
野縁受けは、各側縁部を上側および下側として、その開口部が野縁受け支持具の背面部とは反対側に位置した状態で、下側の側縁部が野縁受け支持具の下面部上に支持されるとともに、上側の側縁部が、野縁受け支持具の係合部上にて支持されて、野縁受け支持具内にスライド可能に嵌合されるとともに、野縁受けの上側の側縁部に、野縁受け支持具の上面部の雌ネジ部にネジ結合されたボルトの下端面が押圧された状態で、このボルトにネジ結合されたナットが、野縁受け支持具の上面部に当接するように調整されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の野縁受け支持構造の実施の形態の一例を示す天井下地組の断面図、図2は、その要部の正面図、図3はその斜視図である。この天井下地組は、水平に配置された梁材11に、適当な間隔をあけて複数の野縁受け吊り具12がそれぞれ取り付けられており、各野縁受け吊り具12に、ボルト17がそれぞれ垂直に吊り下げられた状態で支持されている。各ボルト17の下端部には、直線状に延びる断面コ字状の野縁受け14が吊り下げられた状態で水平に支持されている。この野縁受け14には、適当な間隔をあけて複数の野縁支持具15が取り付けられており、各野縁支持具15によって、直線状に延びる断面四角形の中空パイプ状をした野縁16が、野縁受け14に対してそれぞれ直交状態で支持されている。
【0010】
梁材11は、I型鋼によって構成されており、各フランジ部11aが上側および下側になるように配置されている。そして、下側のフランジ部11aにおける一方の側縁部に、複数の野縁受け吊り具12が適当な間隔をあけて取り付けられている。
【0011】
野縁受け吊り具12は、鋼板を屈曲成形して構成されており、相互に平行な状態で垂直に配置される一対の脚部12aと、各脚部12aの上端縁同士を連結して水平に配置される上面部12bとによって、断面下向きコ字状に形成されている。上面部12bは、各脚部12aに対して一方の側方に水平に延出しており、その延出した部分にボルト挿通孔が設けられている。このボルト挿通孔には。ボルト17が挿通されて、ボルト17の上部が、野縁受け吊り具12の上面部12bを挟んで配置された一対のナット18によって、その上面部12bに取り付けられている。ボルト17は垂直状態で垂下した状態になっている。
【0012】
野縁受け吊り具12の各脚部12aには、梁材11における下側フランジ部11aの側縁部に係合されるように、ボルト17の遠方側の側部に、水平に切欠部12cがそれぞれ設けられている。各切欠部12cは、梁材11における下側のフランジ部11aの側縁部に係合されるように、各脚部12aの側縁に開口した状態になっている。
【0013】
野縁受け吊り具12に垂直に支持されたボルト17の下端部は、通常、野縁受け14の上側の側縁部に設けられた各貫通孔内に挿入されて、一対のナットによって野縁受け14の上側の側縁部に取り付けられるようになっているが、野縁受け14に設けられた貫通孔にボルト17を挿入することができない場合には、必要に応じて、野縁受け14にスライド可能に嵌合して支持する野縁受け支持具13が取り付けられる。
【0014】
図4(a)は、ボルト17の下端部に取り付けられた野縁受け支持具13の側面図、図4(b)は、ボルト17が取り外された野縁受け支持具13の平面図、図4(c)は、その正面図である。この野縁受け支持具13は、鋼板を屈曲成形して構成されており、ボルト17の下端部に水平に取り付けられる長方形状の上面部13aと、この上面部13aの正面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された正面部13bと、上面部13aの背面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された背面部13cと、この背面部13cの下端縁から正面側に向かって直角に屈曲された下面部13dとを有している。
【0015】
野縁受け支持具13の上面部13aの中央部には、ボルト17の下端部にネジ結合される雌ネジ部13eが下方に突出するように設けられている。上面部13aの正面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された正面部13bの下端縁は、上面部13aの背面側の側縁から下方に向かって屈曲された背面部13cの上下方向の中程に位置しており、その下端縁から背面部13cに向かって直角に係合部13fが屈曲されている。係合部13fは、下面部13dに対して適当な間隔があけられており、上面部13aの1/3程度の長さにわたって背面部13c側に延出している。
【0016】
正面部13bの中央部には貫通孔13gが設けられており、また、下面部13dの中央部にも貫通孔13hが設けられている。
【0017】
このような野縁受け支持具13は、上面部13aの中央部に設けられた雌ネジ部13eに、ボルト17の下端部がネジ結合されて、上面部13aの上側にてボルト17にネジ結合されたナット19によって、ボルト17の所定位置に固定される。そして、断面コ字状の溝型鋼によって構成された野縁受け14が、野縁受け支持具13内にスライド可能に嵌合されて支持される。この場合、野縁受け14は、各側縁部を上側および下側として、その開口部を野縁受け支持具13の背面部13cとは反対側に位置した状態で、下側の側縁部が野縁受け支持具13の下面部13d上に支持されるとともに、野縁受け14の上側の側縁部が、野縁受け支持具13の係合部13f上にて支持される。そして、野縁受け支持具13にて支持される野縁受け14の上側の側縁部に、野縁受け支持具13を支持するボルト17の下端面が押圧されて、ナット19が野縁受け支持具13の上面部13aに当接するように調整される。
【0018】
梁材11に取り付けられた複数の野縁受け吊り具12に対して1本の野縁受け14が吊り下げられた状態で水平に支持されると、野縁受け14の下側の側縁部に複数の野縁支持具15が取り付けられて、各野縁支持具15によって、野縁16が、野縁受け14に対して直交状態になるように、それぞれ支持される。
【0019】
なお、野縁受け14は、通常、上下方向の厚さが30mmの溝型鋼が使用されるが、野縁受け14がブレースと干渉するような場合には、上下方向の厚さが20mmの溝型鋼が使用されることがある。このような上下方向の厚さが20mmの野縁受け14を使用する場合にも、野縁受け支持具13によって、確実に支持することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の野縁受け支持構造は、このように、野縁受け吊り具によって吊り下げられた野縁受け支持具に野縁受けがスライド可能に嵌合されて、野縁受けが支持されるようになっているために、野縁受けに設けられた貫通孔を利用することができない場合にも、野縁受けを支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の野縁受け支持構造の実施の形態の一例を示す天井下地組の断面図である。
【図2】その野縁受け支持構造の要部を示す正面図である。
【図3】その斜視図である。
【図4】(a)その野縁受け支持構造に使用される野縁受け支持具の正面図、(b)は、ボルトを取り外した状態の野縁受け支持具の平面図、(c)は、その野縁受け支持具の側面図である。
【図5】従来の野縁受け支持構造の一例を示す要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
11 梁材
12 野縁受け吊り具
12a 脚部
12b 上面部
12c 切欠部
13 野縁受け支持具
13a 上面部
13b 正面部
13c 背面部
13d 下面部
13e 雌ネジ部
13f 係合部
14 野縁受け
15 野縁支持具
16 野縁
17 ボルト
18 ナット
19 ナット
Claims (1)
- 梁材に取り付けられた野縁受け吊り具に、ボルトが垂直に吊り下げられた状態で支持され、ボルトの下端部には、天井の下地骨を構成する野縁を直行状態で支持するように、野縁受けが吊り下げられた状態で水平に支持される野縁受け支持構造であって、
断面コ字状の溝型鋼によって構成された直線状に延びる野縁受けに対して、スライド可能に嵌合する野縁受け支持具が、野縁受け吊り具に、吊り下げられた状態で取り付けられており、
野縁受け支持具は、ボルトの下端部にネジ結合される雌ネジ部が下方に突出するように設けられている長方形状の上面部と、この上面部の正面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された正面部と、上面部の背面側の側縁から下方に向かって直角に屈曲された背面部と、この背面部の下端縁から正面側に向かって直角に屈曲された下面部と、正面部の下端縁から背面部に向かって直角に屈曲された係合部とを有し、
野縁受けは、各側縁部を上側および下側として、その開口部が野縁受け支持具の背面部とは反対側に位置した状態で、下側の側縁部が野縁受け支持具の下面部上に支持されるとともに、上側の側縁部が、野縁受け支持具の係合部上にて支持されて、野縁受け支持具内にスライド可能に嵌合されるとともに、
野縁受けの上側の側縁部に、野縁受け支持具の上面部の雌ネジ部にネジ結合されたボルトの下端面が押圧された状態で、このボルトにネジ結合されたナットが、野縁受け支持具の上面部に当接するように調整されていることを特徴とする野縁受け支持構造。
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