JPS6340069Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自転車用サドルトツプのカバーの改
良に関するものである。

（従来技術） 従来、この種のカバーは、一般にビニルレザー
シートを平面ほぼ栗形に裁断、縫製加工し、その
周辺部に紐通し部を縫製し、この紐通し部に針金
を通してなるもので、サドルベースの上面に発泡
ウレタン等からなる板状クツシヨン材を貼着した
後、その表面に前記カバーを被せ、該カバーの周
辺部をサドルベースの内側に折辺し、前記針金に
よりカバー周辺部を絞ることによつて、カバーを
前記クツシヨン材とサドルベースに密着させて取
付けていた。

この場合、カバーの素材がビニルレザーシート
でその厚みが薄いために、サドルベースの希望寸
法に対する寸法過不足がそのまま製品の寸法誤差
となつて表われ、製品規格の許容値を大きくとら
ねばならぬという問題があつた。また、カバーが
強度的に弱く、かつ、サドルベースが薄い金属板
からなるものであり、しかも、カバーに皺やたる
みが生じないように、カバーを緊張させて取付け
るため、そのカバーの取付け、梱包、出荷等の製
造、運搬作業時さらには自転車等に取付けて使用
した場合等に、外部からの異物の接触、摩擦等に
より、前記カバー周辺の折返しによる屈曲部が破
れ、いわゆる縁切れが生じ、このため、サドルベ
ースの周縁が露呈して商品価値が低下し、かつ、
搭乗者に危険をおよぼすおそれもあつた。

なお、最近、カバーの強度アツプのために、塩
化ビニル等の合成樹脂の射出成形により、カバー
の本体部分とその折返し部とをサドルベースに沿
つた曲面形状に一体成形し、かつ、そのカバーの
厚みを全体的に厚くしたものが提案されている
が、この場合もカバーが一定の厚みでサドルベー
スに沿つた形状に形成されているため、前記ビニ
ルレザーシート製のカバーの場合と同様に、サド
ルベースの寸法誤差がそのまま製品の寸法誤差と
なつて表われ、製品にばらつきが生じるという問
題がある。また、カバーの厚みを厚くし過ぎる
と、サドルベースに対する取付けが困難となるた
め、厚みには必然的に限度があり、また、たとえ
厚みを全体的に厚くしたとしても、カバー周面部
と折返し片との折返し部（屈曲部）の内面が薄い
金属板製のサドルベースの周縁に密着するため、
この屈曲部に応力集中が生じ、その結果、前記ビ
ニルレザーシート製のカバーの場合と同様に縁切
れが生じるおそれがあり、この縁切れの問題を完
全に解消することはできない。

（考案の目的） 本考案は、このような従来の問題を解決するた
めになされたものであり、簡単な構造で、サドル
ベースの寸法過不足を調節して製品の規格の許容
値をより少なくすることができると共に、縁切れ
を防止して、カバーの寿命を長くできるようにす
ることを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案は、柔軟性を有する材料により座面部６
と周面部７を一体に形成し、かつ、その周面部６
の下端に内方への折返し片９を一体に設けると共
に、この折返し片９の下端折返し部８を下方に一
体的に延出させて緩衝片１１を形成し、上記周面
部７と折返し片９との間に形成されたサドルトツ
プ係合溝１２の底部に対応する緩衝片１１の基端
部abの厚みが、上記周面部７の厚みと折返し片
９の厚みとの和以上で、緩衝片１１全体が上記基
端部abを底辺とし先端ｃを頂点とする三角形断
面以上の大きさの厚みを有するように形成してな
ることを特徴とするものである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図によつて説明する。

１はサドルベースで、金属板によるプレス加工
により平面ほぼ栗形の座面部２と、該座面部２の
周辺から下向きに連続する周面部３とを一体に形
成し、かつ、周面部３に数個の係止爪４を内向き
に一体に切起し形成している。サドルベース１の
下面には舟線およびばねの取付用のボルト（図示
省略）が突設されている。なお、サドルベース１
は合成樹脂材による射出成形等にて形成してもよ
い。

５はカバーで、ゴムまたは軟質塩化ビニル等の
合成樹脂あるいは発泡樹脂その他の柔軟性を有す
る材料により、前記サドルベース１の座面部２に
対応する座面部６と、座面部６の周辺から下向き
に連続する周面部７と、周面部７の下端から折返
し部８を経て内側に折返す形状に連続する折返し
片９と、折返し片９の先端において前記係止爪４
に対応する部分に設けられる被係止突起１０とが
一体に形成され、さらに、前記周面部７の下端折
返し部８の外面に、緩衝片１１が下向きに一体に
突設されている。なおこの場合、第３図に示すよ
うに緩衝片１１は折返し部８を下方に延出して形
成されるもので、上記周面部７と折返し片９との
間に形成されたサドルトツプ係合溝１２の底部に
対応する緩衝片１１の基端部ａ，ｂ間の厚みＴ
が、上記折返し部８の表面の折返し直径Ｄ（2r）
以上の厚み、すなわち上記周面部７の厚みと折返
し片９の厚みとの和以上の厚みで、緩衝片１１全
体が上記基端部abを底辺とし先端ｃを頂点とす
る三角形（△abc）の断面以上の大きさの厚みを
有するように形成し、緩衝片１１の表面を上記周
面部７の表面および折返し片９の表面に対して段
差が生じない平滑面により連続するように形成さ
れる。

また、図例では、座面部６の内面に下向きに多
数のクツシヨン用突起１２を一体に突設し、か
つ、前記折返し片９の先端部数箇所からサドルベ
ース１の内面に沿つてサドルベース１のボルトに
対応する位置まで伸びるように取付け片１３を突
設し、この取付け片１３に前記ボルトの挿通穴１
４を設けている。

而して、上記カバー５をサドルベース１に被
せ、カバー５の座面部６の内面に突設された各ク
ツシヨン用突起１２の下端面をサドルベース１の
座面部２の上面に密着させると共に、周面部７を
周面部３の表面に密着させ、該周面部７の下端の
折返し片９を前記周面部３の下端部内側に沿わ
せ、各取付け片１３の挿通穴１４をサドルベース
１の下面に突設したボルトに挿通すると共に、各
係止爪４を被係止突起１０に係止することによつ
て、カバー５をサドルベース１に冠着、固定し、
然る後、前記ボルトに舟線やばねを取付ける。

こうしてカバー５をサドルベース１に被せて固
定することにより、サドルベース１の外観が向上
される。この場合、カバー周面部７の下方に緩衝
片１１を一体に延出してあるので、該周面部７の
全体高さすなわちサドルとしての製品周面部の高
さを大きくでき、緩衝片１１の高さ分だけサドル
ベース１の周面部３を低く形成できると共に、サ
ドルベース１の周面部３の寸法誤差を吸収して製
品の寸法ばらつきを防止できることになる。しか
も、応力集中が生じ易い折返し部８の外面を前記
緩衝片１１によつて補強できるので、カバーに皺
やたるみが生じないように、カバーを緊張させて
取付けても、該折返し部８に縁切れが生じるおそ
れはない。また、そのカバーの取付け、梱包、出
荷等の製造、運搬作業時さらには自転車等に取付
けて使用した場合等に、外部からの異物の接触、
摩擦等に対して、緩衝片１１が適度の緩衝作用を
発揮して折返し部８を保護し、該折返し部８の縁
切れを防止できると共に、人体に対する怪我等の
事故を少なくできる。

また、上記実施例によれば、サドルベース１の
座面部２と、カバー５の座面部６との間に、多数
のクツシヨン用突起１２が介在され、これらクツ
シヨン用突起１２によつてクツシヨン効果が発揮
される。

ところで、上記実施例において、緩衝片１１
は、通常カバー５の下端折返し部８に沿つて全周
にわたつて設けるが、とくに縁切れが生じ易い部
分たとえばカバー５の左右両側の突出部や後端部
あるいは前端部等に部分的に設けてもよい。ま
た、緩衝片１１の断面形状として、通常は第１図
に示すように、緩衝片１１を周面部７および折返
し片９の下端から下方に先細りに延出するように
設けるが、第３図ａ〜ｃに示すように、緩衝片１
１の厚みを周面部７と折返し片９の厚みの和と同
程度の均一厚みで下方に延出としてもよく、ま
た、緩衝片１１の基端部をサドル外側あるいは内
側に膨出させることにより基端部付近を厚くして
緩衝片１１の折れ曲りに対する反力を増大するよ
うにしてもよい。

また、上記実施例では、カバー５の内面にクツ
シヨン用突起１２を設けて、このカバー５をサド
ルベース１に直接冠着しているが、カバー内面の
クツシヨン用突起１２を省略して、そのカバー５
とサドルベース１との間に従来と同様の板状クツ
シヨン材を介在させてもよく、また、前記クツシ
ヨン用突起１２と板状クツシヨン材とを併用して
もよい。なお、クツシヨン用突起１２の形状、大
きさ、配置、組合わせ等は所望に応じて任意に決
定し得るものである。

前記カバー５をサドルベース１に固定する手段
として、前記係止爪４と被係止突起１０との係止
に代えて、ボルト、ナツトその他の止着具を用い
てもよく、また、カバー５の折返し片９をサドル
ベース１の周面部３の内面に接着してもよい。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、カバー
の周面部の下方に緩衝片を設けることによつて、
該周面部の全体高さすなわちサドルとしての製品
周面部の高さを大きくできるので、緩衝片の高さ
分だけサドルベースの周面部を低く形成できると
共に、サドルベースの周面部の寸法誤差を吸収し
て製品の寸法ばらつきを防止できる。しかも、前
記緩衝片によりとくに応力集中が生じ易い折返し
部を補強でき、そのカバーの取付け、梱包、出荷
等の製造、運搬作業時さらには自転車等に取付け
て使用した場合等に、外部からの異物の接触、摩
擦等に対して、緩衝片が適度の緩衝作用を発揮し
て折返し部を保護し、該折返し部の縁切れを防止
できる。また、緩衝片の基端部の厚みを上記周面
部の厚みと折返し片の厚みとの和以上の厚みと
し、緩衝片全体にある程度の厚みをもたせ、上記
周面部の表面および折返し片の表面に対して段差
が生じない平滑面により連続するように形成して
あるので、樹脂成形の際に緩衝片の基端部に樹脂
のヒケによる凹溝等が生じるおそれがなく、非常
に体裁良く成形でき、かつ、緩衝片の基端部に応
力集中が生じることを防止でき、緩衝片自身が折
損するおそれもなくなり、これによつて、カバー
の寿命を向上させることができると共に、安全性
を高め、商品価値を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のカバーをサドルベースに取付
けた状態の一例を示す一部切欠斜視図、第２図は
そのカバーの一例を示す底面図、第３図は緩衝片
とカバー周面部および折返し片との関係を説明す
るための部分断面図、第４図ａ〜ｃは緩衝片の別
例を示す部分断面図である。 １……サドルベース、２……座面部、３……周
面部、５……カバー、６……座面部、７……周面
部、８……折返し部、９……折返し片、１１……
緩衝片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 柔軟性を有する材料により座面部６と周面部７
   を一体に形成し、かつ、その周面部６の下端に内
   方への折返し片９を一体に設けると共に、この折
   返し片９の下端折返し部８を下方に一体的に延出
   させて緩衝片１１を形成し、上記周面部７と折返
   し片９との間に形成されたサドルトツプ係合溝１
   ２の底部に対応する緩衝片１１の基端部abの厚
   みが、上記周面部７の厚みと折返し片９の厚みと
   の和以上で、緩衝片１１全体が上記基端部abを
   底辺とし先端ｃを頂点とする三角形断面以上の大
   きさの厚みを有するように形成してなることを特
   徴とする自転車用サドルトツプのカバー。