JP2509667Y2 - ガイド機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば車両にトー調整のために設けられる
懸架装置の支点位置の調整機構等に用いられるガイド機
構に関する。

（従来の技術） 車両に設けられた懸架装置は、車両の直進性を向上さ
せるためや、左右のバランスを調整するため、車輪に連
結されているサスペンションアームの支点を車体に対し
て移動調整するガイド機構を有している。

この様なガイド機構は従来から多数提案されており、
例えば、サスペンションアームの支点を、対向する一対
の側壁を有する車体に固定のブラケットに締結するボル
ト及びナットを有し、これらの内の一方と連動する２枚
の偏心カムを各側壁の外側面に配置する。そして該偏心
カムの移動を一方向に規制するカムガイドに保持させた
状態で偏心カムを回動させ、上記支点を移動調整した
後、上記ボルト及びナットの内の偏心カムと連動しない
他方を締め付け、該支点をブラケットに固定する装置
が、実公昭60-20485号公報に記載されている。

（考案が解決しようとする課題） 上記のごとき従来の装置ではブラケットの各側壁の外
側面に各々偏心カムを配置しているため、車体構造上、
ブラケットの側壁の一方の外側面が外部から隔絶され、
袋状にしなければならない場合には、該外部と隔絶する
壁板に偏心カム配置用の開口部を設けなければならな
い。従って、該開口部を設けることにより車体剛性が低
下し、あるいは該車体剛性の低下が許容されない場合に
は上記従来の装置を実施することができないという問題
が生じる。

また、偏心カムがブラケットの側壁の外側面に設置さ
れているため、ボルトとナットとによる締結時にはボル
ト及びナットの座面が偏心カムと接触し、締結トルクが
偏心カムに伝達される。従って、偏心カムを強力に保持
しなければ締結トルクにより偏心カムが回動し、上記サ
スペンションアームの支点が移動するという問題が生じ
る。尚、該問題はボルト及びナットと、偏心カムとの間
にワッシャを挿入し両者の直接接触を避けて解決される
ものではない。

そこで本願考案は、ブラケットの一方の側壁の外側面
が外部に対し隔絶された場合でも車体剛性を低下させる
ことなくサスペンションアームを車体に締結でき、かつ
締結トルクによりサスペンションアームが移動しないガ
イド機構を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本願考案によれば、対向する一対の側壁を有するブラ
ケットの該両側壁間に支持軸により軸支される被取付物
の位置を調整自在にガイドするガイド機構において、上
記被取付物の端部および上記側壁の内側面に挟まれて配
置されると共に上記被取付物の端部に相対回転可能に嵌
合された偏心カムと、上記ブラケットの上記内側面に設
けられ上記偏心カムの周縁部を挟持し上記調整方向への
偏心カムの移動を規制するカムガイドと、上記偏心カム
に設けられ上記被取付物の位置調整用工具と係合する工
具係合部と、一方の側壁の外側面に上記調整方向に摺動
自在に保持され他方の側壁の外側面から上記被取付物お
よび上記偏心カムの内部に挿通される支持軸との螺合部
を有する摺動部材とを有することを特徴とするガイド機
構が提供される。

（作用） 本願考案によるガイド機構では、ナットに相当する摺
動部材を、ブラケットの一方の側壁の外側面に摺動自在
に保持し、他方の側壁の外側面からボルトに相当する支
持軸を挿入し、両者を締結する。

また、偏心カムは上記ブラケットの内側にボルト、ナ
ットとは接することなく配置されるので、締結トルクは
該ブラケットで遮断され偏心カムに伝達されない。

（実施例） 本願考案のガイド機構の実施例について以下に説明す
る。

第１図は、本願考案によるガイド機構が適用される部
位の概略を示す図である。

本図において１はガイド機構であり、車体の一部であ
るサブフレーム21に対するサスペンションアーム22の支
点の取付け位置を、図における左右方向に移動調整し締
結するものである。

ところで、該サブフレーム21は上下２枚の板を袋状に
接合して形成されている。また下板を上方に折曲げて形
成した第１側壁31と、上板を下方に折曲げ該第１側壁31
に対し平行に対向させた第２側壁32とによる逆Ｕ字形の
ブラケットが一体に形成されている。そして、上記サス
ペンションアーム22は所定角度範囲にて揺動自在に該ブ
ラケットに保持されている。

次に、ガイド機構１の構造について、第２図及び第３
図を用いて詳細に説明する。

上記第１側壁31及び第２側壁32には互いに対向する位
置に、第２図の紙面垂直方向に長手の長穴33及び長穴34
が各々穿設されている。そして、第１側壁31の外側面、
すなわちサブフレーム21の内側面には長穴33の長手方向
に沿って摺動自在な摺動部材たる摺動ナット４が保持さ
れている。該摺動ナット４の座部41は矩形状に形成され
ており、該座部41を押え金具42で保持しているので、摺
動ナット４は上記のごとく摺動のみ自在であり、回動運
動は規制される。

尚、摺動ナット４及び押え金具42はサブフレーム21を
袋状に形成する前に、予め第１側壁31の外側面に配設し
ておく。

そして、上記サスペンションアーム22の端部はブッシ
ュ51及びゴムブッシュ52を介して被取付物としての円筒
状のブッシュカラー５に連結されている。該ブッシュカ
ラー５はサスペンションアーム22の支点として作用する
ものであり、第２側壁32の外側面側から、長穴34・ブッ
シュカラー５の中空部・長穴33を通して摺動ナット４と
螺合する支持軸たるボルト６によってブラケットの内側
に保持される。尚、ブッシュカラー５の一方端にはフラ
ンジ部53が設けられており、ブラケットに保持される時
のブッシュカラー５の倒れを防止する。

また、該ブッシュカラー５の他方端にはカラー54が圧
入されており、該カラー54には偏心カム７が遊嵌されて
いる。該偏心カム７の外縁部は、第１側壁31の内側面に
固定されたカムガイド71によって挟持されている。該カ
ムガイド71は偏心カム７の移動方向を、ブッシュカラー
５の調整方向に対して直交方向、すなわち第２図及び第
３図における上下方向のみに規制するものである。そし
て、該偏心カム７には該偏心カム７を回動させブッシュ
カラー５の位置を調整方向に移動させるためのスパナ等
の工具が係合する工具係合部72が設けられている。

次に、上記構成による実施例の作用について説明す
る。

予め外部にて、サスペンションアーム22にブッシュカ
ラー５とゴムブッシュ51とブッシュ52との一体部材をセ
ットし、更にブッシュカラー５に圧入されているカラー
54に偏心カム７を遊嵌させた状態で、第１側壁31と第２
側壁32とからなるブラケットの内側へと挿入する。そし
て、偏心カム７をカムガイド71内にセットし、次にボル
ト６を挿通して摺動ナット４と螺合させる。この時、締
結トルクは与えず、単にサスペンションアーム22の脱落
を防止するのみとする。

次に、工具係合部72にスパナ等の工具を係合させ、偏
心カム７を回動させることにより、ブッシュカラー５の
位置を調整する。

次に、スパナ等の工具を軽く保持し、あるいはサスペ
ンションアーム22が移動しないようであれば工具をはず
し、ボルト６に締結トルクを与え、締結を完了させる。
尚、該締結トルクは第２側壁32で遮断され、ブッシュカ
ラー５には伝達されないので、調整位置がずれるという
ことはない。

ところで、上記実施例においては、偏心カム７をブッ
シュカラー５の摺動ナット４側の端部に連結したが、フ
ランジ部53と偏心カム７との位置を逆としても良く、ま
た、偏心カム７をいずれの端部に連結しても、偏心カム
７は１枚で良いため、２枚の偏心カムを用いていた従来
装置に比して部品点数を削減させることができる。

また、上記ボルト６の先端部には摺動ナット４との螺
合性向上のため、テーパ部を設けているが、予め摺動ナ
ット４を摺動方向の一方端に付勢するスプリングを押え
金具42に配設し、ボルト６との螺合開始時には摺動ナッ
ト４が所定位置にあるようにしてもよい。

以上、本願考案を上記実施例により説明したが、本願
考案は上記実用新案登録請求の範囲に記載した事項にの
み限定され、特定の実施例により限定されるものではな
い。

（考案の効果） 本願考案によるガイド機構では、締結用ボルトと螺合
する摺動ナットを予め摺動自在にブラケットの一方の側
壁に保持しているので、一方向からの作業で締結が可能
であり、従って、該摺動ナットが保持される側壁の外側
面が車体構造上、外部に対して隔絶されても、車体剛性
を低下させることなくサスペンションアームの支点を車
体に締結することができる。

また、偏心カムをブラケットの内側に設けたので、締
結トルクは該ブラケットで遮断され偏心カムに伝達され
ず、従って締結時における調整位置のずれを防止し、調
整精度を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願考案が適用される部位を示す図、第２図は
第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は第２図のＢ−Ｂ断面図
である。 １……ガイド機構、４……摺動ナット、６……ボルト、
７……偏心カム、31……第１側壁、32……第２側壁、42
……押え金具、71……カムガイド、72……工具係合部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】対向する一対の側壁を有するブラケットの
   該両側壁間に支持軸により軸支される被取付物の位置を
   調整自在にガイドするガイド機構において、上記被取付
   物の端部および上記側壁の内側面に挟まれて配置される
   と共に上記被取付物の端部に相対回転可能に嵌合された
   偏心カムと、上記ブラケットの上記内側面に設けられ上
   記偏心カムの周縁部を挟持し上記調整方向への偏心カム
   の移動を規制するカムガイドと、上記偏心カムに設けら
   れ上記被取付物の位置調整用工具と係合する工具係合部
   と、一方の側壁の外側面に上記調整方向に摺動自在に保
   持され他方の側壁の外側面から上記被取付物および上記
   偏心カムの内部に挿通される支持軸との螺合部を有する
   摺動部材とを有することを特徴とするガイド機構。