JPS6337922B2 - - Google Patents

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JPS6337922B2
JPS6337922B2 JP55165700A JP16570080A JPS6337922B2 JP S6337922 B2 JPS6337922 B2 JP S6337922B2 JP 55165700 A JP55165700 A JP 55165700A JP 16570080 A JP16570080 A JP 16570080A JP S6337922 B2 JPS6337922 B2 JP S6337922B2
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JP
Japan
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composite layer
heat
layer
inorganic
wire
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JP55165700A
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Ryukichi Usuki
Yukio Endo
Katsuhiko Ueda
Kichizo Ito
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Fujikura Cable Works Ltd
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Fujikura Cable Works Ltd
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  • Inorganic Insulating Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
この発明は、絶縁被覆層が未だ焼成されていな
い可撓性に富む状態で巻付け加工を行ない、その
後高温で熱処理して被覆層をセラミツク化させて
使用するか、あるいは通常は未焼成の状態のまま
使用して異常時の高温により徐々に無機化され、
最終的にセラミツク化された絶縁層が形成される
ようにした耐熱絶縁電線に関するものである。 本発明者は既に、加工特性等の点において従来
のセラミツク絶縁電線では得られない優れた特性
を有する耐熱絶縁電線として、可撓性に優れたシ
リコーン系樹脂等の無機高分子とアルミナ、シリ
カ等の無機物粒子とを主成分とする複合層を導体
上に形成した耐熱絶縁電線を提案している。この
耐熱絶縁電線は、複合層を焼成していない状態で
は可撓性に富み、しかも常温においては従来の通
常の有機質エナメル絶縁電線と同程度の絶縁特性
を有し、一方高温で処理されるかまたは異常時等
により高温に曝されれば、複合層がセラミツク化
し、高い耐熱絶縁特性を示すようになるものであ
り、したがつて前述のように未焼成の状態でコイ
ル巻加工を行つた後高温で焼成熱処理して使用し
たり、あるいは未焼成のまま用いて、異常時等に
高温に曝されたときにセラミツク化されるような
用途に適している。 上述のような耐熱絶縁電線について本発明者等
がさらに実験・研究を進めたところ、使用目的等
によつては複合層の高温時における焼結性に未だ
若干の改善の余地があることが判明した。 すなわち、前記複合層を有する電線を高温状態
にすれば、複合層中の無機高分子等が酸化、分解
し、複合層全体が若干収縮しながら無機物化し、
しかも無機高分子の分解生成物が無機物粒子の結
合剤として作用して強固なセラミツク層が生成さ
れるのであるが、その分解過程の温度条件によつ
ては導体の膨張と複合層の収縮との関係で絶縁層
に割れが生じたり、あるいは複合層の表面部分の
無機高分子の分解生成物(残渣物)がその部分に
沈積されずにガスとして消失する割合が多くなつ
て、その結果表面部分の空隙が多くなり、それら
の割れや空隙により絶縁層の結合力が弱くなると
ともに、そのような割れや空隙が生じた後には結
合剤として残るべき分解生成物がなお一層保持さ
れなくなつてガスとして消失するようになり、そ
の結果焼結性が益々低下する問題がある。 このような複合層の焼結力(結合力)の低下を
防止する方法としては、 (a) 複合層中の無機高分子の分解が殆ど完了する
温度附近で半融または軟化流動する比較的低融
点の無機物を、アルミナやシリカ等の比較的高
融点の無機物に添加混合して複合層に用いる
か、または前述の比較的低融点の無機物とシリ
コーン系樹脂などの無機高分子もしくはアクリ
ル酸エステル系樹脂などの分解消失し易い有機
高分子との混合物を、アルミナやシリカなどの
比較的高融点の無機物と無機高分子とからなる
複合層の上に形成した構成とし、高温で複合層
中の有機物質を分解消失させた上で、比較的低
融点の前記無機物の半融または軟化流動温度に
加熱して無機物層を強固に結合させる方法、 (b) シリコーン系樹脂などの無機高分子とアルミ
ナ、シリカなどの高融点無機物とからなる複合
層の上に、有機質樹脂を主成分とするオーバー
コート層を設けて、バインダとなる無機高分子
からの分解生成ガスの放出を押える方法、 などの方法が考えられる。しかしながらこれらの
改善方法は必ずしも満足できるものとは言えない
のが実情である。すなわち、(a)の軟化溶融物質に
よる焼結力の改善方法は、これを実施した場合、
焼成時の焼き締りによる寸法変化が大きくなり、
またヒートシヨツクに対して弱くなり、さらには
適正な条件で焼成しなければ炭素残渣が残り易く
なつて電気的特性が低下するおそれがある等の欠
点がある。一方(b)のオーバーコート層による改善
方法では、スペースフアクタが悪くなる問題があ
る他、未焼成状態で使用する場合の種々の温度条
件に耐え得る耐熱特性と優れた加工特性とを有す
るものとするためにオーバーコート層を複合層に
対し非接着状態で形成した構造とした場合、オー
バーコート層が部分的に傷付いて破れればその部
分で焼結力が低下してしまうなどの問題がある。 この発明は以上のような問題が生じることなく
焼結力を向上させた耐熱絶縁電線を提供すること
を目的とするものである。 すなわちこの発明は複合層の焼結力の改善方法
につき鋭意実験・検討を重ねた結果、導体上に形
成された複合層の表面部分または複合層全体に、
加水分解または熱分解によつて耐熱性無機物質を
生成する有機金属化合物を含浸および/または被
覆して複合層をより緻密化させ、これによつて高
温焼成時の被覆層の収縮を小さくして無機高分子
等の分解過程での割れの発生を防ぎ、併せて焼成
時に結合剤として作用する複合被覆層中の分解生
成ガスの消失を少なくして、分解ガスから生成さ
れる酸化物などの無機物を、骨材となる無機物粒
子の空隙に可及的多量に沈積させ、以つて前述の
ような問題が生じることなく焼結力を向上させ得
ることを見出し、この発明をなすに至つたのであ
る。 したがつてこの発明の耐熱絶縁電線は、導体上
に無機物粒子とシリコーン系樹脂とを主成分とす
る複合層が形成されかつその複合層中の樹脂が少
くとも部分的に硬化されており、さらに前記複合
層に、加水分解もしくは熱分解により耐熱性無機
物質を生成する有機金属化合物が含浸および/ま
たは被覆されていることを特徴とするものであ
る。 上述のような有機金属化合物としては、後に詳
細に説明するように、加水分解性のアルコキシ
基、アセトキシル基、ハロゲン原子などを持つた
Si、B、Al、P、Ti、Zrなどの化合物や、シリ
コーン系樹脂と反応性のビニル基、アルキルアミ
ノ基、アルキルメルカプト基などを持つたSi、
B、Al、P、Ti、Zrなどの化合物、さらにはこ
れらの化合物の誘導体や重合体、これらの部分的
な加水分解物、あるいはまたオクチル酸の金属塩
(Fe、Co、Pb、Znなど)、酢酸金属塩(Pb、Zn、
Mgなど)などの有機金属塩類などが用いられる
が、これらの有機金属化合物を液状またはコロイ
ド状態で硬化または半硬化状態(好ましくは半硬
化状態)の複合層に含浸・被覆することによつて
複合層が緻密化され、かつこれらの有機金属化合
物の多くはシリコーン系樹脂の硬化促進剤として
の作用を持つているため単に複合層を緻密化させ
るだけではなく、複合層中のシリコーン系樹脂の
末端基と反応したり、縮合を促進するなどの作用
によつて含浸された部分の被覆層を収縮させる効
果をもたらして、これによつて複合層を2重に緻
密化させることができ、そしてこのように緻密化
することにより焼成時における収縮を小さくする
ことができる。また前述のように含浸・被覆され
た有機金属化合物の加水分解や熱分解によつて生
成した無機物などの薄い層が複合層の表面に形成
されたり、あるいは生成した微粒子物質が複合層
中の空隙部分を埋めたりし、これによつて焼成時
の樹脂からの分解ガスの消失を妨げる作用を果た
す。このようにして焼成時(高温時)の収縮によ
る割れの発生が防止されるとともに分解ガスの消
失が妨げられる結果、複合層の焼結力(結合力)
が向上されるのである。 以下この発明の耐熱絶縁電線につきより具体的
に説明する。 第1図はこの発明の耐熱絶縁電線に使用される
複合層の一例を示すものであり、導体1上には無
機物粒子2とシリコーン系樹脂3とからなる複合
層4が形成されており、この複合層4はバインダ
ーとしてのシリコーン系樹脂3が硬化もしくは半
硬化されている。第2図は上述のような複合層4
に対して有機金属化合物5を含浸/被覆させたこ
の発明の耐熱絶縁電線の一例を示す。 前記導体1としては銅線、銅合金線、アルミニ
ウム線、アルミニウム合金線、コンスタンタン
線、銀線、金線、白金線、ステンレス鋼線、ニク
ロム線、さらにはニツケルや銀等の耐熱性金属も
しくは合金のメツキ銅線やクラツド銅線などの良
導電性金属線、望ましくは耐熱性を有する良導電
金属線が用いられる。 前記複合層4のバインダとして用いられるシリ
コーン系樹脂3は、複合層4に可撓性を附与する
とともに、焼成熱処理時または異常時に高温状態
となつた時の分解後の生成物質が骨材としての無
機物粒子の結合剤として作用して強固なセラミツ
ク層を生成させる作用を果たすものである。この
ようなシリコーン系樹脂としては、各種のシリコ
ーン樹脂や変性シリコーン樹脂、例えばシロキサ
ンとメチルメタクリレート、アクリロニトリル等
の有機モノマーとの共重合物、あるいはシリコー
ン樹脂とアルキツド樹脂、フエノール樹脂、エポ
キシ樹脂、メラミン樹脂等との共重合物、さらに
はSiとTi、B、Al、N、P、Ge、As、Sb等の元
素の一種以上と酸素とを骨格に持つたシリコーン
系樹脂、またはSiとTi、B、Al、N、P、Ge、
As、Sb等の元素の一種以上と酸素と炭素とを骨
格に持つたシリコーン系樹脂、またはこれらと前
記有機モノマーや樹脂との共重合物等を使用する
ことができるが、これらの各種のシリコーン系樹
脂の内でも可撓性に優れかつ耐熱温度以上では炭
化水素基等が徐々に分解するタイプのシリコーン
系樹脂、例えばメチル―フエニルシリコーンの如
く、分解温度の異なる2種以上の基を持つシリコ
ーン系樹脂であつて、望ましくは分解生成する無
機物量の割合がより多いものが適当である。なお
複合層のバインダとしてはシリコーン系樹脂を単
独で使用しても良いが、特に機械的強度等を考慮
してシリコーン系樹脂に他の有機樹脂例えばエポ
キシ樹脂、ポリカーボネート、フエノール樹脂等
を混合して用いることができる。 一方前記複合層4に使用される無機物粒子2と
しては、バインダとして使用されるシリコーン系
樹脂の分解温度附近で半融または溶融しないも
の、すなわち望ましくは融点が550℃以上、より
望ましくは700℃以上であつて電気的絶縁特性が
優れた結晶質無機物あるいはガラス質フリツトが
使用される。具体的には、アルミナ(Al2O3)、
チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸カルシ
ウム(CaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジル
コン(ZrSiO4)、ジルコン酸バリウム
(BaZrO3)、ステアタイト(MgSiO3)、シリカ
(SiO2)、ベリリア(BeO)、ジルコニア(ZrO2)、
マグネシア(MgO)、クレー、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、カオリン、あるいは通常の高
融点ガラスフリツト、マイカ等の酸化物、あるい
はボロンナイトライド(BN)、窒化ケイ素等の
窒化物、またはこれらの混合粉末等が使用され
る。これらの無機物粒子の粒径は導体の径に応じ
て適宜の大きさのものが使用されるが、通常は
10μm以下のものが好ましい。また無機物粒子の
粒度は均一であつても良いが、複合層が可及的に
緻密な構造となるよう、大径の粒子と小径の粒子
とがうまく組合された状態とすることが望まし
い。 なお複合層4における無機物粒子とシリコーン
系樹脂との配合比は、シリコーン系樹脂が少な過
ぎれば複合層の可撓性が不足してコイル巻加工が
困難となり、逆にシリコーン系樹脂が多過ぎれ
ば、未焼成のまま使用する場合に高温で軟質化し
て機械的に弱くなるおそれがあり、これらの理由
から無機物粒子100重量部に対しシリコーン系樹
脂10〜200重量部とすることが望ましく、その範
囲内でも特にシリコーン系樹脂20〜60重量部とす
ることが望ましい。また複合層4の全厚みは、1
〜100μm程度とすることが望ましい。 上述のような複合層に含浸および/または被覆
される有機金属化合物は、前述のように加水分解
または熱分解によつて耐熱性を有する無機質酸化
物等の無機物質を生成するものであり、具体的に
は次の(a)、(b)に属するものの内、1種または2種
以上が選ばれる。 (a) 加水分解性のアルコキシ基、アセトキシ基、
ハロゲン原子や、シリコーン系樹脂と反応性の
ビニル基、アルキルアミノ酸、アルキルメルカ
プト基、エポキシ基などの基を有するSi、B、
P、Ti、Zr、Alなどの化合物、またはこれら
の誘導体や重合体、もしくはこれらの部分的な
加水分解物。より具体的には、 一般式RSiX3 [R:ビニル基、アルキルアミノ酸、アル
キルメルカプト基、エポキシ基など X:ハロゲン原子、アルコキシ基、アセト
キシル基など] で表わされる有機ケイ素化合物、例えばビニル
トリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ―グリシドオキシプロピル
トリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシ
ラン等の化合物や、 一般式Si(OR)4 〔R:メチル、エチル、プロピル、ブチル等
のアルキル基〕 で表わされるテトラアルキルシリケート等の有
機ケイ素化合物、 テトラブチルチタネート、テトライソプロピル
チタネート、イソプロポキシチタニウムステア
レート、チタニウムアセチルアセトネートなど
の有機チタン化合物、 リン酸トリn―ブチルエステル、亜リン酸ジエ
チルエステルなどの有機リン化合物、 ホウ酸トリn―ブチルエステル、ホウ酸トリイ
ソプロピルエステルなどのボロンアルコキシ
ド、アルミニウム―n―ブトキシド、アルミニ
ウムイソプロポキサイドなどのアルミニウムア
ルコキシド、 その他加水分解性のアルコキシ基、ハロゲン原
子、アセトキシル基などを有する有機金属化合
物、またはこれらの誘導体や重合体もしくはこ
れらの部分的な加水分解物。 (b) オクチル酸鉛、オクチル酸亜鉛、酢酸マグネ
シウム、酢酸鉛、酢酸亜鉛等の有機塩類。 次にこの発明の耐熱絶縁電線を製造する方法に
ついて説明すると、先ず導体上にシリコーン系樹
脂、無機物粒子および希釈剤を主要成分とするス
ラリー状物質を塗布するか、またはシリコーン系
樹脂および無機物粒子を主要成分とする混合物を
導体上に押出被覆して、複合層4を形成する。次
いで複合層4中のバインダー樹脂(主としてシリ
コーン系樹脂)を硬化または半硬化させる。その
後、前述のような有機金属化合物の1種または2
種以上をキシレン、トルエンなどの溶剤物質で希
釈した溶液または他の適当な溶媒物質によるコロ
イド溶液中に浸漬するかあるいはこれらの溶液を
塗布するなどの方法によつて、前記有機金属化合
物を複合層4に含浸させるかまたは複合層の表面
に有機金属化合物の薄層を形成させる。この後に
は必要に応じて前記有機金属化合物を加水分解
(部分的な加水分解を含む)または熱分解あるい
はシリコーン系樹脂の未反応部分の基と反応させ
る等の処理を行う。このようにして得られた耐熱
絶縁電線は、通常はコイル巻加工等を行つた後、
400〜700℃程度の温度に加熱(焼成熱処理)して
シリコーン系樹脂を分解させ、複合層を無機質化
(セラミツク化)させて使用するか、または未焼
成のまま使用して、使用中における異常時の高温
により無機質化させる。このような使用前におけ
る焼成熱処理時または使用中の高温時にはシリコ
ーン系樹脂が分解してその分解生成物が骨材とし
ての無機物粒子の結合剤として作用して強固なセ
ラミツク層が形成されるのであるが、その際、前
記有機金属化合物の加水分解や熱分解により生成
された無機物が複合層の表面に薄層として形成さ
れているかまたは生成された無機物の微粒子が複
合層内の空隙を埋めているため、シリコーン系樹
脂の分解ガスがそのまま消失することが阻止さ
れ、その分解ガスから生成される酸化物などの無
機物が骨材となる無機物粒子の空隙に多量に沈漬
され、すなわちシリコーン系樹脂の分解生成物が
骨材としての無機物粒子の結合剤として有効に作
用することになる。なおこのような作用は、複合
層の表面に有機金属化合物を極く薄く被覆させる
かまたは複合層の外層部分のみに含浸させるだけ
でも得られる。一方、複合層の内部まで有機金属
化合物を含浸させておいた場合には、複合層は内
部まで高度に緻密化されるため焼成時や使用中の
高温時における複合層の収縮をより小さくしてシ
リコーン系樹脂分解過程での割れの発生を可及的
に防止して、分解ガスの消失をより一層確実に阻
止して、焼結力をより一層向上させることができ
る。また、有機金属化合物の多くはシリコーン系
樹脂の硬化促進剤としての作用を持つているか
ら、複合層内に含浸させている場合には、複合層
中のシリコーン系樹脂の末端基と反応したり縮合
を促進したりする作用を果たし、したがつて複合
層を収縮させる効果によつてその複合層が一層緻
密化され、前述の焼成時、高温時における複合層
中のシリコーン系樹脂の分解ガス消失をより一層
有効に阻止することができる。 なお、前述のように有機金属化合物を複合層に
含浸および/または被覆させる際、通常は有機金
属化合物を10%程度以下に溶剤などで希釈して用
いる。これ以上高濃度では可撓性が低下するとと
もに複合層に逆に割れが生じる等の問題がある。
一方、濃度が低過ぎる場合には1回の処理では焼
結力の向上効果が得られないことがあり、したが
つてその場合には2回以上繰返して含浸等の処理
を施すことが必要である。 また、複合層に含浸・被覆させる有機金属化合
物としては、焼結力を向上させるだけの目的から
は前述の全てのものを使用可能であるが、特に導
体と焼成されたセラミツク層との密着性を高めて
セラミツク層の結合力を向上させるためには、金
属導体との密着性に優れたPやBなどの元素を含
む酸化物を生成する有機金属化合物、例えばB
(OR)3、PO(OR)3等(但しRはアルキル基)を
用いることが望ましい。また、特に電気的特性を
良好にしたい場合には、Al、Si、Zr、Tiなどの
加水分解性基を持つた単量体や重合体、または有
機酸塩などの有機塩類を使用することが好まし
い。 次にこの発明の実施例および比較例を記す。 実施例 外径0.5mmのニツケルメツキ銅線、アルミニウ
ム線、もしくはステンレス鋼線に次に記すような
塗料組成物AもしくはBを繰返し塗布して350〜
450℃の温度で加熱硬化させ、約23μm厚の複合層
を形成した。 塗料組成物A: アルミナ粒子(平均粒径1〜1.5μm)67重量部 シリコーンワニス(東芝製TSR116;不揮発分
50%) 66重量部 溶剤(キシレン) 塗料組成物B: アルミナ粒子(平均粒径1〜1.5μm)67重量部 シリコーンワニス(東芝製TSR108;不揮発分
55%) 60重量部 触媒(CR―12) 1.3重量部 溶剤(キシレン) 次いで前記複合層が形成された耐熱線を、キシ
レン、アルコールなどの溶剤で溶解または希釈し
た2〜5%濃度のアルコキシドなどの各種の有機
金属化合物(第1表参照)の溶液に浸漬し、その
後200〜250℃の温度で加熱処理を行なつてこの発
明の耐熱絶縁電線を得た。 比較例 外径0.5mmのニツケルメツキ銅線に前記実施例
で示した塗料組成物AもしくはB、または次に示
す塗料組成物Cを繰返し塗布して350〜450℃の温
度で加熱硬化させ、約23μm厚の複合層を形成し
た耐熱絶縁電線を得た。 塗料組成物C: アルミナ粒子(平均粒径1〜1.5μm)43重量部 含鉛フリツト(軟化流動温度650℃;−400メツ
シユ) 25重量部 シリコーンワニス(東芝製TSR116;不揮発分
50%) 66重量部 溶剤(キシレン) 以上の実施例および比較例の各耐熱絶縁電線を
そのままの状態(未焼成状態)で自己径巻付けを
行ない、その時の割れの発生の有無を調べ、これ
によつて未焼成状態における可撓性を判定した。
また実施例および比較例の各耐熱絶縁電線を400
〜600℃の温度範囲で焼成し、セラミツク化させ
た。その焼成前後の外径変化を調べ、これによつ
て被覆層の収縮を判定した。また実施例および比
較例の各耐熱絶縁電線を各径50mmのボビンにコイ
ル巻加工して、前記条件にて焼成し、振動試験を
4Gにて行ない、線同士の擦れ強さ、すなわちセ
ラミツク層の結合強さを判定した。これらの各試
験結果を第1表に示す。 第1表の結果から、この発明の実施例の耐熱絶
縁電線では、可撓性の低下がないとともに外径の
変動が著しく小さく、かつ耐振性も高いことが明
らかである。
【表】 以上のようなこの発明の耐熱絶縁電線は、バイ
ンダ樹脂の熱分解温度附近で軟化流動する低融点
フリツトを特に用いずにそれと同等以上に強固に
結合されたセラミツク層が得られるものであり、
このように低融点フリツトを特に添加しなくて良
いため低融点フリツトを添加する場合の如き焼成
時の被覆層の収縮や、熱軟化特性の低下、炭素残
渣の生成による電気特性の低下、および耐ヒート
シヨツク性の低下を防止できる。また含浸およ
び/または被覆剤として用いる有機金属化合物
は、硬化もしくは半硬化されている複合層に含
浸、被覆されるから、3次元化し易い有機金属化
合物を用いてもバインダ樹脂(主としてシリコー
ン系樹脂)の本来の機械的特性(特に可撓性)を
損うことが少なく、また仮にバインダ樹脂の機械
的特性を損うおそれがある場合でも複合層の表面
に極く薄く形成するかまたは複合層の外層部分の
みに含浸させるだけで目的とする焼結力向上効果
が得られ、したがつて総じて可撓性等の加工特性
を低下させることなく焼結力の改善をなすことが
できる。そしてまた、含浸処理によりバインダ樹
脂の耐熱性が向上するから、耐熱性が比較的劣る
シリコーン系樹脂をも使用することができるので
ある。 以上の説明で明らかなようにこの発明の耐熱絶
縁電線は、未焼成時における可撓性の低下を招く
ことなくしかも焼成時の外径変化が殆どない状態
で高い結合力のセラミツク層が得られ、そのため
コイル巻線として使用した場合、使用時の振動に
よる線同士の擦れが起きにくく、しかも擦られた
場合でもセラミツク層の損傷が少なく、スペース
フアクタや耐振性が特に問題となる機器等の耐熱
絶縁電線として有益なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の耐熱絶縁電線に使用される
複合層の一例を模式的に示す断面図、第2図はこ
の発明の耐熱絶縁電線の一例を模式的に示す断面
図である。 1…導体、2…無機物粒子、3…シリコーン系
樹脂、4…複合層、5…有機金属化合物。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 導体上に無機物粒子とシリコーン系樹脂とを
    主成分とする複合層が形成されかつその複合層中
    の樹脂が少くとも部分的に硬化されており、さら
    に前記複合層に、加水分解もしくは熱分解により
    耐熱性無機物質を生成する有機金属化合物が含浸
    または/および被覆されていることを特徴とする
    耐熱絶縁電線。
JP55165700A 1980-11-25 1980-11-25 Heat resistant insulated wire Granted JPS5788620A (en)

Priority Applications (1)

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JP55165700A JPS5788620A (en) 1980-11-25 1980-11-25 Heat resistant insulated wire

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JP55165700A JPS5788620A (en) 1980-11-25 1980-11-25 Heat resistant insulated wire

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Publication Number Publication Date
JPS5788620A JPS5788620A (en) 1982-06-02
JPS6337922B2 true JPS6337922B2 (ja) 1988-07-27

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ID=15817384

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JP55165700A Granted JPS5788620A (en) 1980-11-25 1980-11-25 Heat resistant insulated wire

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03217725A (ja) * 1990-01-23 1991-09-25 Noritz Corp 浴室の床の暖房装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03217725A (ja) * 1990-01-23 1991-09-25 Noritz Corp 浴室の床の暖房装置

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JPS5788620A (en) 1982-06-02

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