JPH05151829A - 無機材料被覆部材 - Google Patents

無機材料被覆部材

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Publication number
JPH05151829A
JPH05151829A JP12339792A JP12339792A JPH05151829A JP H05151829 A JPH05151829 A JP H05151829A JP 12339792 A JP12339792 A JP 12339792A JP 12339792 A JP12339792 A JP 12339792A JP H05151829 A JPH05151829 A JP H05151829A
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JP
Japan
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insulating layer
inorganic
oxide
inorganic insulating
base material
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Withdrawn
Application number
JP12339792A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Inasawa
信二 稲澤
Kazuo Sawada
和夫 澤田
Koichi Yamada
浩一 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Insulated Metal Substrates For Printed Circuits (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エッジ部においても均一な厚みを有する無機
絶縁層が形成された無機材料被覆部材を提供する。 【構成】 エッジ部を有し、不銹鋼またはニッケルクロ
ム合金より形成される基材1と、基材1を酸化雰囲気で
加熱処理することにより基材1の外表面に形成される酸
化皮膜2と、ゾルゲル法により調製される金属酸化物前
駆体のゾルに金属の無機塩を添加した液中に、酸化皮膜
が形成された基材を浸漬し、基材を陰極として通電し
て、酸化皮膜の外表面に金属酸化物前駆体を付着させ、
この付着物を加熱処理することによって形成した無機絶
縁層3とを備える部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、平角線およびテープ
状電線などのエッジ部を有する電線、ならびに金属芯プ
リント配線基板やフラットディスプレーパネルのスペー
サなどの貫通孔を有した導体表面に絶縁層が形成された
ような絶縁基板に代表される無機材料被覆部材に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来の無機絶縁テープ状線材を
示す断面図である。図4を参照して、テープ状線材であ
る導体部31のまわりには、無機材料から形成された絶
縁層32が設けられている。このようなテープ状電線を
高温環境下で使用する場合および高真空下で使用する場
合には、絶縁材料として有機材料を使用することができ
ない。特願昭62−67646号には、絶縁層としてセ
ラミックスを使用した技術が開示されている。しかしな
がら、このような従来の技術に従い、スプレーおよび浸
漬などにより無機材料を表面に形成させようとする場合
には、エッジの部分で皮膜が薄くなったり、逆に厚くな
ったりし、均一な厚さの皮膜を形成することが困難であ
った。
【0003】図5は、従来の金属芯プリント配線基板を
示す断面図であり、図6は、その平面図である。図5お
よび図6を参照して、金属芯33の上には絶縁層34が
形成されており、絶縁層34の上に回路パターン35が
形成されている。この絶縁層34は、エポキシなどの樹
脂により形成されている。このプリント配線基板には、
貫通孔38が形成されていおり、この貫通孔38には、
両側からスペーサ36が挿入されている。このスペーサ
36の絶縁筒体37により、貫通孔38内は絶縁されて
いる。
【0004】特開昭63−222498号公報には、金
属芯33の上の絶縁層34をセラミックスで形成した高
耐熱性の金属芯プリント配線基板が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図4に示すようなテー
プ状導体に、従来の技術に従い、スプレーおよび浸漬な
どでセラミックス前駆体を含む溶液を塗布し、これを加
熱分解して絶縁皮膜を形成させようとすると、エッジ部
分で皮膜が薄くなったり、逆に厚くなったりし、均一な
厚さの皮膜を得ることができない。
【0006】また図5および図6に示すような金属芯プ
リント配線基板において、金属芯プリント配線基板を微
細化しようとすると、貫通孔を小型化する必要が生じる
が、従来のようなセラミックス製スペーサを用いた場合
には、スペーサの小型化が困難であり、製作工程上も作
業性が悪く、高いコストになる。
【0007】このような金属芯プリント配線基板におい
て、貫通孔内を、セラミックス前駆体溶液の塗布により
絶縁しようとすると、図4に示すテープ状線材と同様
に、貫通孔のエッジ部分での皮膜が不均一になるという
問題を生じる。
【0008】この発明の目的は、テープ状電線や、貫通
孔を有した金属芯プリント配線基板などのように、エッ
ジ部を有する導電性基材の表面に、均一な無機絶縁層が
形成された無機材料被覆部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の無機材料被覆
部材は、エッジ部を有する導電性の基材と、ゾルゲル法
により調製される金属酸化物前駆体のゾルに金属の無機
塩を添加した液中に基材を浸漬し、基材を陰極として通
電して基材に金属酸化物前駆体を付着させ、この付着物
を加熱処理することによって形成される無機絶縁層とを
備えている。
【0010】本発明は、従来のスプレーや浸漬などでは
無機絶縁層を均一に形成することのできない導電性基材
に適用されるものである。このような基材は、無機絶縁
層を均一に設けることが困難なエッジ部を有する。
【0011】エッジ部は、種々の形状の基材に見られ、
その態様も任意であるが、たとえば、三次元関数的に不
連続な部分、すなわち接平面を規定することができない
部分ということもできる。このようなエッジ部は、たと
えば、平角な形状を有する基材、孔、特に貫通孔が形成
された基材、および凹凸を有する基材等においてみるこ
とができる。より具体的には、この発明に従う基材は、
平角線およびテープ状電線などのエッジ部を有する電
線、ならびに金属芯プリント配線基板などの貫通孔を有
した導体などとすることができる。
【0012】本発明に従う基材は、たとえば、不銹鋼ま
たはニッケルクロム合金から形成することができる。こ
の場合、基材の該表面に、基材自体が酸化された酸化皮
膜を設けることができる。このような酸化は、たとえ
ば、基材を酸化雰囲気下で加熱処理することによって行
なうことができる。
【0013】また、本発明に従う基材は、導電性および
コストの観点から、たとえば、ニッケルメッキおよびク
ロムメッキの少なくともいずれかを施した銅、銅合金、
鉄、鉄合金、ニッケルならびにニッケル合金等から形成
することもできる。
【0014】また、上記無機絶縁層は、基材を被うよう
設けられた酸化皮膜上に形成させることができる。
【0015】基材を覆う酸化皮膜は、上述したように基
材自体を酸化したもののほか、基材上に新たに設けられ
たものとすることもできる。新たに酸化皮膜を設ける場
合、酸化皮膜として酸化クロムを主成分とする層が好ま
しい。酸化クロムを主成分とする層は、たとえば、電気
メッキ等によって基材上に好ましく形成することができ
る。
【0016】この発明においては、表面の平滑性の向上
および絶縁性の向上のため、上記無機絶縁層を有機金属
化合物の加熱分解によって形成される第2の無機絶縁層
で覆ってもよい。このような第2の無機絶縁層は、たと
えば、有機金属ポリマー、有機金属オリゴマーおよび有
機金属モノマーのうちの少なくとも1種を加熱分解する
ことにより形成することができる。
【0017】有機金属ポリマー、有機金属オリゴマーお
よび有機金属モノマーとしては、金属アルコキシド、金
属有機酸塩、ポリシラザン、ポリカルボシラン、または
ポリボロシロキサンが好ましい。
【0018】有機金属ポリマー、有機金属オリゴマーお
よび有機金属モノマーは、ハンドリング性および塗布に
適した粘度に調整するため、適当な有機溶媒で希釈して
もよい。
【0019】また、第2の無機絶縁層は、たとえば、そ
の用途により、シリカ、アルミナ、ジルコニア、窒化ケ
イ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、もしくはこれら
の複合体または部分安定化ジルコニアを含むものとする
ことができる。
【0020】また、第2の無機絶縁層の厚みを大きくし
たい場合には、第2の無機絶縁層にセラミックス微粒子
を含ませてもよい。
【0021】さらに、上記無機絶縁層は、アルカリ珪酸
塩の水溶液の加熱処理によって得られる無機材料から形
成された第3の無機絶縁層で覆うことができる。このよ
うな第3の無機絶縁層は、金属酸化物前駆体による無機
絶縁層の上に直接設けてもよいし、上述した第2の無機
絶縁層を介して設けてもよい。さらに、金属酸化物前駆
体による無機絶縁層の上に第3の無機絶縁層を設け、そ
の上に第2の無機絶縁層を設けてもよい。
【0022】さらにまた、金属酸化物前駆体による無機
絶縁層は、酸化ホウ素、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化バリウ
ムおよび酸化カルシウムの少なくとも1つの酸化物を主
成分とするガラスで覆われてもよい。このようなガラス
の層は、金属酸化物前駆体による無機絶縁層の上に直接
形成してもよいし、上述した第2の無機絶縁層を介して
設けてもよい。また、金属酸化物前駆体による無機絶縁
層の上にガラス層を形成し、その上に第2の無機絶縁層
を形成してもよい。
【0023】このように第3の無機絶縁層またはガラス
層を設ける場合、たとえば、珪酸ナトリウム水溶液(い
わゆる水ガラス)、または、酸化ホウ素、酸化鉛、酸化
亜鉛、酸化バリウムおよび酸化カルシウムのうち少なく
とも1種の酸化物を含有するガラスを、たとえば、シリ
コン樹脂やポリシラザン等のバインダとともにスプレー
コーティングを行ない、乾燥後、ガラスのガラス転移温
度もしくは融点以上に加熱して緻密化することが好まし
い。
【0024】本発明の無機材料被覆部材は、たとえば次
のようにして製造することができる。まず、エッジ部を
有する導電性の基材を準備する。次に、必要に応じて基
材の表面に酸化皮膜を形成する。その後、ゾルゲル法に
より調製される金属酸化物前駆体のゾルに金属の無機塩
を添加した液中に、基材を浸漬し、基材を陰極として通
電して酸化皮膜の外表面に金属酸化物前駆体を付着させ
る。この付着物を加熱処理することによって基材上に無
機絶縁層が形成される。なお、上記酸化皮膜は、場合に
よっては形成しなくともよい。
【0025】このような方法において、酸化皮膜は、上
述したように形成することができる。また、無機絶縁層
上には、上述したように第2の無機絶縁層、第3の無機
絶縁層またはガラス層をさらに設けることができる。
【0026】
【発明の作用効果】この発明では、無機絶縁層として、
ゾルゲル法により調製される金属酸化物前駆体のゾルに
金属無機塩を添加した液中に基材を浸漬し、基材を陰極
として通電して金属酸化物前駆体を付着させている。こ
のように、金属酸化物の前駆体の微粒子を電気泳動によ
って強制的に移動させて付着させているので、金属酸化
物前駆体の付着量は、基材の形状および場所に依存しな
い。また、電気泳動を利用しているため、比較的付着量
の少ない箇所に印加電圧が集中し、結果として全体に均
一な厚みの金属酸化物前駆体を付着させることができ
る。このため、この発明の無機材料被覆部材では、均一
な厚みの無機絶縁層を形成させることができる。
【0027】この点が、従来のゾルゲル法を用いたコー
ティング方法と大きく異なっている。つまり、従来のゾ
ルゲル法では、金属酸化物前駆体を基材上に塗布するだ
けであり、エッジ部分の付着厚さが薄くなる傾向にあっ
たが、本発明では、電気泳動を利用するため、比較的付
着量の少ない箇所にも印加電圧が集中し、結果として全
体に均一な付着量を与えている。
【0028】また、この発明におけるゾル調製では、J
ournal of Non−Crystalline
Solids.100(1988)526−530に
開示されている通常のゾルゲル法とは下記の点で決定的
に異なる。
【0029】通常のゾルゲル法により所望の皮膜を与え
る場合、皮膜は、ゾルの塗布および焼成により形成され
る。一方、本発明では、基材を陰極としてゾル粒子を陰
極表面に電気泳動せしめると同時に、ゾル粒子の水酸基
部分のプロトンを水素ガスとして還元し、陰極金属と結
合させる。この調製は、いわゆる電気泳動とめっきを兼
ね備えている。
【0030】
【0031】また、この発明においては、ゾルの電気泳
動効率を増加させるために、ゾルの液中に金属の無機塩
を添加している。これにより電気泳動効率が上昇し、よ
り低い印加電圧および/またはより短い通電時間で、金
属酸化物前駆体微粒子を酸化皮膜の上に付着させること
ができる。この結果、より厚い無機絶縁層を形成させる
ことができる。
【0032】この金属の無機塩としては,アルミニウ
ム、マグネシウム、カリウム、およびジルコニウムの硝
酸塩、硫酸塩、塩化物、および水酸化物からなる群より
選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0033】また、さらに大きな膜厚を得るために、金
属酸化物の前駆体ゾル中にセラミックスの微粉末を混合
してもよい。セラミックス微粉末としては、マイカ粉
末、酸化けい素、窒化けい素、炭化けい素、酸化アルミ
ニウム、および窒化アルミニウムからなる群から選ばれ
る化合物の少なくとも1種の微粒子を用いることができ
る。
【0034】この発明において、酸化皮膜は、その表面
上に形成される無機絶縁層との付着性に優れており、無
機絶縁層をより強固に基材に付着させることができる。
このような酸化皮膜は、基材の表面を酸化して形成する
ことができるほか、めっき等により新たに形成すること
もできる。
【0035】この発明の無機材料被覆部材において、ヒ
ートサイクル等の耐熱性を向上させるためには、金属酸
化物前駆体による無機絶縁層と導電性基材との付着力を
より大きなものとする必要がある。このような場合、酸
化皮膜として酸化クロムを主成分とする層が効果的であ
る。
【0036】酸化クロムを主成分とする層は、たとえば
電気化学的手法により形成される。この層を電気めっき
を用いて形成する場合は、クロム酸の水溶液に少量の有
機酸を添加したものが用いられる。このようなめっき浴
は、クロム酸および硫酸を主体とするサージェント浴と
以下の点で異なっている。
【0037】サージェント浴では、電気めっきの際に生
成する酸化クロムを鉱酸が溶解するため、光沢状の金属
クロム層がめっきされる。一方、本発明において好まし
く用いられるめっき浴では、鉱酸を含まないため、酸化
クロムが優先的にめっきされる。
【0038】酸化クロムを主成分とする層は、孔と表面
のエッジ部分にも均一に形成され、かつこの層はその上
に形成される金属酸化物前駆体による無機絶縁層とよく
付着する。また、無機絶縁層との付着性をより大きくす
るためには、酸化クロムを主成分とする層の表面が粗面
でビロード状であることが好ましい。このため、一般に
行なわれる光沢めっきとは、たとえば処理電流密度等を
異なるものとすることができる。すなわち、光沢めっき
では、処理温度にもよるが10〜60A/dm 2 の電流
が使用される一方、粗面でビロード状の酸化クロム層を
形成するため、100〜20 0A/dm2 の電流密度が
使用される。
【0039】この発明において、無機絶縁層の表面は、
軽微な凹凸を生じるおそれがある。このような凹凸が問
題となる用途では、この無機絶縁層の外表面に、さらに
第2の無機絶縁層を形成させてもよい。このような第2
の無機絶縁層としては、有機金属化合物、たとえば、有
機金属ポリマー、有機金属オリゴマーまたは有機金属モ
ノマーを加熱分解することによって形成させることがで
きる。具体的には、有機金属化合物として金属アルコキ
シド、金属有機酸塩、ポリシラザン、ポリカルボシラ
ン、ポリボロシロキサンなどを挙げることができる。
【0040】金属アルコキシドまたは金属有機酸塩を用
いる場合には、加水分解反応および重縮合反応を行な
い、ゾルを調製し塗布液として用いてもよい。この際に
生成する絶縁層は金属酸化物である。
【0041】ポリシラザンを使用する場合には、加熱処
理を行なう雰囲気にもよるが、不活性雰囲気の場合は、
主として窒化けい素が得られ、酸化雰囲気の場合には酸
化けい素が主成分となる。
【0042】ポリカルボシランおよびポリボロシロキサ
ンを使用する場合は、加熱処理を行なう雰囲気による
が、不活性雰囲気の場合は、主として炭化けい素が得ら
れ、酸化雰囲気の場合には酸化けい素が主成分となる。
【0043】基材との組合せによって、金属アルコキシ
ド、金属有機酸塩、ポリシラザン、ポリカルボシラン、
およびポリボロシロキサンのいずれかの混合物を用いて
もよい。
【0044】特に第2の無機絶縁層の厚みを大きくした
い場合には、第2の無機絶縁層中に、セラミックスの微
粒子を混合させることができる。このようなセラミック
ス微粒子としては、無機絶縁層中に混合することのでき
る微粒子を用いることができる。
【0045】また、第2の無機絶縁層において厚いもの
が必要な場合、有機金属ポリマー、有機金属オリゴマー
もしくは有機金属モノマー中に、シリカ、アルミナ、ジ
ルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウ
ム、もしくはこれらの混合体または部分安定化ジルコニ
アの微粒子を混合させることもできる。
【0046】加熱処理により生成する無機絶縁層は、バ
インダの消失に伴い気泡が残る傾向にある。この気泡
が、導体基材表面から絶縁皮膜表面に貫通する可能性も
ある。そこで、このような空隙を埋めて完全な皮膜を形
成するため、ガラス転移点もしくは融点等の所定の温度
で流動可能な状態に変化する材料を、無機絶縁層上にコ
ーティングし、ガラス転移点もしくは融点等において加
熱処理を行なうことによりガラスまたは無機材料の層を
さらに設けることがより好ましい。
【0047】このような層を設けるための材料として、
酸化ホウ素、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化バリウムおよび酸
化カルシウムの少なくとも1種の酸化物を主成分とする
ガラスまたは水ガラス等を用いることができる。
【0048】この発明の無機材料被覆部材は、エッジ部
分においても均一な無機絶縁層を有しているので、平角
線材およびテープ状電線などのような絶縁電線、ならび
に金属芯プリント配線基板のような貫通孔を有した絶縁
基板として用いることができる。
【0049】
【実施例】
実施例1 (a) 基材の準備 厚さ10.0mm、幅20.0mm、厚さ0.5mm、
材質18%Cr−8%Ni−Fe残量のSUS304製
の平角材を、800℃において300分間大気中で加熱
処理を施した。この結果、平角線の表面に均一に1μm
の酸化皮膜が形成された。
【0050】(b) 金属酸化物層の形成 テトラエチルオルトシリケイト4モル%、水40モル
%、エチルアルコール56モル%の混合溶液に、硝酸を
テトラエチルオルトシリケイトのモル数に対して100
分の1の量だけ滴下し、温度80℃において2時間反応
させたゾルを調製した。この溶液100mlに対し、硝
酸アルミ6水和物を3g、硝酸マグネシウム9水和物を
2.5g、硝酸カリウムを1g室温で混合し、さらに公
称粒径14μmのマイカ粉末を5g混合して電解液を調
製した。
【0051】次に、以上のようにして調製した電解液中
で、上述の(a)の基材を陰極として、40Vの直流電
圧を30秒印加した。その後電解液から取り出したとこ
ろ、25μm程度の白色の膜が生成していた。
【0052】次に、大気中850℃で10分間加熱し、
さらに570℃で10分間加熱処理して、厚さ20μm
のシリコン−アルミナ−ポタジア−マイカ複合膜を形成
した。
【0053】図1は、このようにして得られた無機材料
被覆部材を示す断面図である。図1を参照して、ステン
レス基材1の上には酸化皮膜2が形成されており、この
酸化皮膜2の上に無機絶縁層3が形成されている。
【0054】この状態では、マイカ粒子に起因すると判
断される凹凸が無機材料被覆部材の表面に観測された。
【0055】この実施例では、さらにこの無機絶縁層3
の上に第2の無機絶縁層を形成した。ポリボロジフェニ
ルシロキサン(SiPh2 −O−BO2 n トルエンに
溶解し、40重量%溶液とした。この溶液中に、上記の
無機材料被覆部材を浸漬し、1mm/分の引上げ速度で
無機材料被覆部材を引き上げた。このようにして、無機
材料被覆部材の表面に溶液をコーティングし、窒素雰囲
気下、温度500℃で10分間加熱した。
【0056】得られた無機材料被覆部材の断面を観察し
たところ、炭化けい素を主成分とする第2の無機絶縁層
が約2μmの厚みで形成されていた。
【0057】この無機材料被覆部材の両面に銀ペースト
を塗布し、導体と銀ペースト間の絶縁破壊電圧を測定し
たところ、600Vであった。また表面の凹凸も消失し
ていた。
【0058】実施例2 (a) 基材の準備 厚さ0.5mm、100×100mmの18%Cr−8
%Ni−Fe残量のSUS304製の板に、孔径0.5
mm、孔ピッチ1mmの加工を行なった。
【0059】次に、800℃300分間大気中で加熱処
理を施した。この結果、SUS304の板の表面に均一
に1μmの厚みの酸化皮膜が形成された。
【0060】(b) 金属酸化物層の形成 テトラエチルオルトシリケイト4モル%、水40モル
%、エチルアルコール56モル%の混合溶液に、硝酸を
テトラエチルオルトシリケイトのモル数に対して100
分の1の量だけ滴下し、温度80℃において2時間反応
させたゾルを調製した。この溶液100mlに対し、硝
酸アルミニウム6水和物を10mg、室温で混合し、電
解液を調製した。
【0061】次に、以上のようにして調製した電解液中
で、上記の基材を陰極として60Vの直流電圧を60秒
印加した。その後電解液から取り出したところ、基材の
表面に、ゲルとして25μm程度の白色の膜が生成して
いた。これを大気中150℃で10分間加熱し、さらに
570℃で10分間加熱した。
【0062】得られた絶縁部材の断面を観察したとこ
ろ、図1に示すのと同様に、酸化皮膜の外表面にシリコ
ン−アルミナ複合膜が形成されていた。このシリコン−
アルミナ複合膜は、エッジ部においても、均一に形成さ
れており、その膜厚は約15μmであった。
【0063】この絶縁部材の絶縁破壊電圧を実施例1と
同様にして測定したところ、500Vであり、大気中6
00℃で1時間加熱処理を行なっても、導体および皮膜
には損傷は認められず、良好な耐酸化性を確認した。
【0064】実施例3 (a) 基材の準備 厚さ1.0mm、幅5.0mmの平角銅線に電気めっき
によりクロムを1μmの厚みで被覆した。
【0065】(b) 金属酸化物層の形成 クロムめっきを施した基材に金属酸化物層を下記のよう
な処理で形成した。テトラエチルオルトシリケイト4モ
ルパーセント、水40モルパーセント、エチルアルコー
ル56モルパーセントの混合溶液に硝酸をテトラエチル
オルトシリケイトのモル数に対して100分の1量だけ
滴下し、温度80℃において2時間反応させたゾルを調
製した。この溶液100mlに対し、硫酸アルミニウム
6水和物10mgを室温で混合し、電解液を調製した。
【0066】次に、以上のようにして調製した電解液中
で、上述した基材を陰極として60Vの直流電圧を60
秒間印加した。その後、電解液から基材を取出したとこ
ろ、基材の表面にゲルとして20μm程度の白色の膜が
生成していた。このようにしてゲルコーティングを行な
った基材を大気中150℃で10分間加熱し、さらに5
70℃で10分間加熱した。
【0067】得られた平角電線の断面を観察したとこ
ろ、シリコン−アルミナ複合膜がエッジにも均一に約1
5μmの厚みで形成されていた。
【0068】次に、この複合膜の上にシリコーン樹脂3
0%溶液10ccにSiAlPbO粉末20gを添加し
たものをスプレーした。その後、800℃1時間の加熱
処理を行なった。
【0069】このようにして得られた無機材料被覆部材
を図2に示す。平角銅線11上には、クロムめっき層1
2が形成されている。クロムめっき層12の上にはシリ
コンとアルミナが複合した無機絶縁層13が形成され、
さらにその上にはシリコーン樹脂が加熱分解され、Si
AlPbOを含む絶縁層14が形成されている。
【0070】以上のようにして絶縁被覆が施された平角
電線の絶縁破壊電圧を測定したところ900Vであっ
た。また、この電線を大気中、600℃で1時間加熱処
理しても導体および皮膜には損傷が見られず、良好な耐
酸化性を示した。さらに、この電線は、JIS C 3
003に従うピンホール試験にも合格した。
【0071】実施例4 (a) 基材の準備 厚さ0.5mm、100×100mmのFe−Ni35
重量%の合金板に、孔径0.5mm、孔ピッチ1mmの
加工を行なった。次に、電気めっきによりこの合金板に
ニッケルを3μmの厚みで被覆した。
【0072】さらに、ニッケルめっき層の外表面に酸化
クロム含有層を下記のような処理で形成した。まず、電
気めっき液として、無水クロム酸200g/l、氷酢酸
6.5g/l、塩化ニッケル80g/l、硝酸ナトリウ
ム5g/lのものが調製された。次に、上記合金板を陰
極として用い、40℃の浴温において、電流密度100
A/dm2 で5分間めっき処理が行なわれた。このよう
にして、外表面に酸化クロム含有層が約1μmの厚みで
形成された。
【0073】(b) 金属酸化物層の形成 テトラエチルオルトシリケイト4モル%、水40モル
%、エチルアルコール56モル%の混合溶液に、硝酸を
テトラエチルオルトシリケイトのモル数に対して100
分の1の量だけ滴下し、温度80℃において2時間反応
させてゾルを調製した。この溶液100mlに対し、硝
酸マグネシウム9水和物1.3gを室温で混合し、さら
に公称粒径14μmのマイカ粉末を2g混合して電解液
を調製した。
【0074】次に、以上のようにして調製した電解液中
で、上述した(a)の基材を陰極として50Vの直流電
圧を30秒間印加した。その後、基材を電解液中から取
出したところ、25μm程度の白色の膜が生成してい
た。
【0075】このようにしてゲルコーティングを行なっ
た基材を大気中150℃で10分間加熱し、さらに30
0℃で10分間加熱した。これにより、厚さ20μmの
シリコン−マグネシア−マイカ複合膜が形成された。た
だし、この状態では、マイカ粒子に起因すると判断され
る凹凸が複合膜の表面に観察された。
【0076】次に、水ガラス1号を脱イオン水で50%
に希釈した溶液に、複合膜を形成させた基材を浸漬し
た。次に、1mm/分の速度で基材を引き上げた後、温
度500℃で10分間加熱した。得られた基材の断面を
観察したところ、ガラス状の無機絶縁層が複合膜の空隙
内およびその表面に約2μmの厚みで均一に形成されて
いた。
【0077】さらに、得られた基材の表面に、イソプロ
ピルアルコール500ccにSiAlPbO粉末20g
を添加したものをスプレーした後、600℃で1時間の
加熱処理を行なった。
【0078】図3は、このようにして得られた無機材料
被覆部材を示す断面図である。図3に示すように、合金
板21上にはニッケルめっき層22が形成され、ニッケ
ルめっき層22の上には酸化クロム含有層23が形成さ
れている。さらに、酸化クロム含有層23上にはシリコ
ン−マグネシア−マイカ複合体である無機絶縁層24が
形成されている。さらに、無機絶縁層24上には、水ガ
ラスの加熱分解によって得られる絶縁層25およびSi
AlPbOを主成分とする絶縁層26が順次形成されて
いる。
【0079】この絶縁部材の絶縁破壊電圧を測定したと
ころ、1400Vであった。また、この絶縁部材を、大
気中、600℃で1時間加熱しても、導体および皮膜に
は損傷が見られず、良好な耐酸化性を示した。さらに、
この絶縁部材は、JIS C3003に従うピンホール
試験にも合格した。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明のもう1つの実施例を示す断面図であ
る。
【図3】この発明の他の実施例を示す断面図である。
【図4】従来の無機絶縁テープ状線材を示す断面図であ
る。
【図5】従来の金属芯プリント配線基板を示す断面図で
ある。
【図6】従来の金属芯プリント配線基板を示す平面図で
ある。
【符号の説明】
1 ステンレス基材 2 酸化皮膜 3、13、24 無機絶縁層 11 平角銅線 21 合金板 23 酸化クロム含有層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エッジ部を有する導電性の基材と、 ゾルゲル法により調製される金属酸化物前駆体のゾルに
    金属の無機塩を添加した液中に、前記基材を浸漬し、前
    記基材を陰極として通電して、前記基材に前記金属酸化
    物前駆体を付着させ、この付着物を加熱処理することに
    よって形成される無機絶縁層とを備える、無機材料被覆
    部材。
  2. 【請求項2】 前記無機絶縁層が、前記基材を被う酸化
    皮膜上に形成されている、請求項1に記載の無機材料被
    覆部材。
  3. 【請求項3】 前記基材が、不銹鋼またはニッケルクロ
    ム合金より形成され、かつ前記酸化皮膜が、前記基材を
    酸化雰囲気下で加熱処理することにより前記基材の該表
    面に形成されたものである、請求項2に記載の無機材料
    被覆部材。
  4. 【請求項4】 前記酸化皮膜が、電気めっきによる酸化
    クロムを主成分とする、請求項2に記載の無機材料被覆
    部材。
  5. 【請求項5】 前記無機絶縁層が、有機金属化合物の加
    熱分解によって形成される第2の無機絶縁層で覆われ
    る、請求項1に記載の無機材料被覆部材。
  6. 【請求項6】 前記第2の無機絶縁層が、シリカ、アル
    ミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アル
    ミニウム、または部分安定化ジルコニアを含む、請求項
    5に記載の無機材料被覆部材。
  7. 【請求項7】 前記第2の無機絶縁層が、セラミックス
    微粒子を含む、請求項5に記載の無機材料被覆部材。
  8. 【請求項8】 前記無機絶縁層が、アルカリ珪酸塩の水
    溶液の加熱処理によって得られる無機材料から形成され
    た第3の無機絶縁層で覆われる、請求項1に記載の無機
    材料被覆部材。
  9. 【請求項9】 前記無機絶縁層が、酸化ホウ素、酸化
    鉛、酸化亜鉛、酸化バリウムおよび酸化カルシウムの少
    なくとも1つの酸化物を主成分とするガラスで覆われ
    る、請求項1に記載の無機材料被覆部材。
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