JPS633713B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPS633713B2 JPS633713B2 JP10863480A JP10863480A JPS633713B2 JP S633713 B2 JPS633713 B2 JP S633713B2 JP 10863480 A JP10863480 A JP 10863480A JP 10863480 A JP10863480 A JP 10863480A JP S633713 B2 JPS633713 B2 JP S633713B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- temperature
- heat treatment
- vacuum
- heat exchanger
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
- 239000000463 material Substances 0.000 claims description 85
- 229910000838 Al alloy Inorganic materials 0.000 claims description 79
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 claims description 52
- 238000005219 brazing Methods 0.000 claims description 47
- 238000009792 diffusion process Methods 0.000 claims description 29
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 claims description 22
- 238000000034 method Methods 0.000 claims description 17
- 229910052782 aluminium Inorganic materials 0.000 claims description 16
- 239000000956 alloy Substances 0.000 claims description 12
- 239000011162 core material Substances 0.000 claims description 12
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 claims description 9
- 229910021364 Al-Si alloy Inorganic materials 0.000 claims description 7
- 239000011261 inert gas Substances 0.000 claims description 7
- 239000002131 composite material Substances 0.000 claims description 6
- 229910052725 zinc Inorganic materials 0.000 claims description 5
- 238000005260 corrosion Methods 0.000 description 35
- 230000007797 corrosion Effects 0.000 description 34
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 25
- 238000009826 distribution Methods 0.000 description 15
- 238000011282 treatment Methods 0.000 description 15
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 12
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 12
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 7
- 238000001704 evaporation Methods 0.000 description 7
- 230000008020 evaporation Effects 0.000 description 7
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 6
- 238000005253 cladding Methods 0.000 description 5
- 239000012535 impurity Substances 0.000 description 5
- 229910000914 Mn alloy Inorganic materials 0.000 description 4
- FAPWRFPIFSIZLT-UHFFFAOYSA-M Sodium chloride Chemical compound [Na+].[Cl-] FAPWRFPIFSIZLT-UHFFFAOYSA-M 0.000 description 3
- 239000000945 filler Substances 0.000 description 3
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 description 3
- 239000002184 metal Substances 0.000 description 3
- 229910018134 Al-Mg Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910018131 Al-Mn Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910018467 Al—Mg Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910018461 Al—Mn Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910000861 Mg alloy Inorganic materials 0.000 description 2
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 2
- 208000014451 palmoplantar keratoderma and congenital alopecia 2 Diseases 0.000 description 2
- 229910021365 Al-Mg-Si alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910019064 Mg-Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910019406 Mg—Si Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000010405 anode material Substances 0.000 description 1
- 239000007864 aqueous solution Substances 0.000 description 1
- 239000011248 coating agent Substances 0.000 description 1
- 238000000576 coating method Methods 0.000 description 1
- 238000005097 cold rolling Methods 0.000 description 1
- 238000001816 cooling Methods 0.000 description 1
- 230000005611 electricity Effects 0.000 description 1
- 239000007789 gas Substances 0.000 description 1
- 238000005098 hot rolling Methods 0.000 description 1
- 238000007654 immersion Methods 0.000 description 1
- 230000014759 maintenance of location Effects 0.000 description 1
- 238000005192 partition Methods 0.000 description 1
- 238000011084 recovery Methods 0.000 description 1
- 239000011780 sodium chloride Substances 0.000 description 1
Description
この発明は、管材にフイン材を真空ろう付けす
ることによるAl合金製熱交換器の製造法に関す
るものである。 従来、AlやAl合金は耐食性にすぐれた材料と
して知られているが、一旦腐食が生じると孔食と
なり易く、これが実用上重大な問題となつてい
た。そこで、これらAlおよびAl合金の孔食を防
止するたに、これらにZnを含有せしめて、Alお
よびAl合金の表面に形成されていた耐食性にす
ぐれた自然酸化皮膜の強さを低下させて、その腐
食形態を全面腐食型とし、これによつて局部的腐
食および孔食発生を抑制するようにしたAl合金
が提案され、このZn含有のAl合金は、例えば熱
交換器における熱媒体流動管として使用されてい
る。すなわち、前記の熱交換器は、管材として、
Al,Al―Mn合金、Al―Mg合金、およびAl―
Mg―Si合金などのAlおよびAl合金に、耐孔食性
を付与する目的で、Zn:0.2〜2.0%(重量%、以
下%はすべて重量%を意味する)を含有させた
Al合金を使用し、一方フイン材として、Alまた
はAl―Mn合金などの芯材と、Al―Si系合金のろ
う材とのクラツド材を使用し、これら両部材を、
10-3〜10-6torrの真空中、温度:580〜650℃に加
熱して真空ろう付けすることによつて製造されて
いる。 一方、AlおよびAl合金にZnを含有させると、
Znを含有しないAlおよびAl合金に比して電気化
学的に卑になり、このような両材料を接触させる
と、Znを含有したAl合金が犠牲陽極材となつて
優先的に溶出するため、Znを含有しないAlおよ
びAl合金をよく防食することが知られている。
これらの防食現象を利用したAl合金製品は多数
あるが、ここでも熱交換器をその代表例として挙
げることができる。すなわち、前記の熱交換器
は、管材として、Al,Al―Mn合金、Al―Mg合
金、およびAl―Mg―Si合金などのAlおよびAl合
金を使用し、一方フイン材として、AlまたはAl
―Mn合金に、犠牲陽極効果を付与する目的で、
Zn:0.5〜3.0%を含有させたものからなるAl合金
の芯材と、Al―Si系合金のろう材とのクラツド
材を使用し、これら両部材を同様に上記の条件で
真空ろう付けすることによつて製造されている。 また、これらAl合金製熱交換器の製造に際し
て、管材には耐孔食性を付与し、フイン材には犠
牲陽極効果を同時に付与する場合には、管材とし
て、少なくともZn:0.2〜2.0%を含有するAl合金
が、一方フイン材の芯材には、少なくともZn:
0.5〜3.0%を含有するAl合金が使用されることは
勿論である。 本発明者等は、このようなAl合金製熱交換器
において、Znを含有するAl合金の管材または/
およびフイン材に関し、その耐孔食特性や犠牲陽
極効果特性、並びにこれらの実用に際して、種々
の面から検討を加えている過程で、以下に示す事
実を見出したのである。すなわち、Znは蒸気圧
が著しく高いために、上記Al合金製熱交換器の
製造に際して、上記のZn含有のAl合金の管材ま
たは/およびフイン材の芯材が、真空ろう付け条
件である10-3〜10-6torrの真空雰囲気および580
〜650℃の高温にさらされると、これら部材中の
Znが優先的に炉中へ蒸発し、しかもこのような
Znの蒸発は、部材表面で起るので、真空ろう付
け後には部材中のZn含有量が減少するばかりで
なく、特に部材表面のZn含有量はほとんど零に
等しくなるまで低下し、したがつて、このように
Zn含有量の減少した部材においては、所望の耐
孔食性または/および犠牲陽極効果を期待するこ
とはできない。このようにAl合金製熱交換器の
管材または/およびフイン材に、耐孔食性また
は/および犠牲陽極効果を付与する目的でZnを
含有させても、真空ろう付け工程を経ることによ
つて、所望の特性を十分に発揮させることができ
なくなるのである。 そこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、真空ろう付けによつて製造されたAl合金製
熱交換器に、所望の耐孔食性または/および犠牲
陽極効果を回復すべく、特にZn含有のAl合金の
管材または/およびフイン材中にZnの挙動に着
目し、さらに詳細な研究を行なつた結果、 (a) Zn含有のAl合金部材におけるZnの蒸発は、
10-3〜10-6torrの真空ろう付け雰囲気では著し
いが、その雰囲気圧が増加するにしたがつて
Znの蒸発量は低下し、760torr(1気圧)程度の
雰囲気中ではZnの蒸発はほとんど起らないこ
と。 (b) したがつて、Zn含有のAl合金部材を、1気
圧程度の不活性ガス雰囲気中あるいは大気中で
加熱してもZnの蒸発は実質的に起らず、該部
材内でのZnの拡散のみが促進されることにな
るから、真空ろう付けにて表面部のZn残留量
がほとんどなくなつたAl合金部材に対して、
大気中あるいは大気圧と同程度の圧力、すなわ
ち10-1〜1気圧の不活性ガス雰囲気中での加熱
処理を所定時間施すと、該部材表面にZnが拡
散し、所望の耐孔食性または/および犠牲陽極
効果を確保するに足るZn濃度分布となること。 (c) 上記の大気中あるいは不活性ガス雰囲気中で
のZn拡散熱処理後におけるAl合金部材のZn濃
度分布は、該部材のZn含有量、真空ろう付け
条件、およびZn拡散熱処理条件などによるが、
例えば該部材中に含有するZn含有量が比較的
多く、かつZn蒸発の観点から真空ろう付け条
件を緩慢とした場合には、Zn拡散熱処理温度
を低く、かつその時間を短かくしても、部材表
面部へのZn拡散が十分に行なわれ、該表面部
のZn減少が解消されるようになつて十分満足
する耐孔食性または/およ犠牲陽極効果を回復
するようになり、一方真空ろう付け条件が厳し
い場合には、該部材の表面部のZn量はほとん
ど零に等しくなつているから、Zn拡散熱処理
をそれに応じて十分に行なわないと、該部材表
面部へのZn拡散が不十分となつて所望の耐孔
食性または/および犠牲陽極効果の回復は困難
となること。 (d) このように真空ろう付け処理で失なわれた部
材表面部のZnの補充は、基本的にZnの拡散現
象に依存するものであり、真空ろう付け処理温
度およびZn拡散熱処理温度のそれぞれにおけ
るZnの拡散係数Dと保持時間tの積の平方根
(√)の値が拡散距離を示すことから、この
値を大体の目安とすることができること。すな
わち√の値が真空ろう付け処理温度とZn拡
散熱処理の両処理でほぼ等しくなるような条件
を選定するのが最も望ましいが、両者の値に極
端な差(特に前者の条件における値が後者のそ
れに比べて著しく大きい場合)が見られない限
り、部材表面部に所定のZn濃度を確保するこ
とができ、この結果Al合金製熱交換器の各部
材の耐孔食性または/および犠牲陽極効果は保
証されるようになること。 以上(a)〜(d)に示される知見を得たのである。 したがつて、この発明は上記知見にもとづいて
なされたものであつて、管材として、Al,Al―
Mn合金、Al―Mg合金、およびAl―Si系合金な
どのAlおよびAl合金(合金成分としてZnを含有
しないAl合金)、あるいはこれらに耐孔食性を付
与する目的で、Zn:0.2〜2.0%を含有させたAl合
金を使用し、一方フイン材として、AlおよびAl
―Mn合金、あるいはこれらに犠牲陽極効果を付
与する目的で、Zn:0.5〜3.0%を含有させたAl合
金の芯材と、Al―Si系合金のろう材とのクラツ
ド材を使用し、前記管材および前記フイン材のい
ずれか、または両方にZn含有のAl合金を選定し
て組み合せ、前記両部材を、10-3〜10-6torrの真
空中、温度:580〜650℃に加熱して真空ろう付け
することによつて製造されたAl合金製熱交換器
に対して、大気中または大気圧と同程度の気圧、
すなわち10-1〜1気圧の不活性ガス雰囲気中、温
度:300〜570℃に加熱保持することからなるZn
拡散熱処理を施すことによつて、前記Al合金製
熱交換器を構成する管材または/およびフイン材
の内部に残留するZnを表面部を拡散させて、該
部材の表面部におけるZn濃度を増加させ、もつ
て前記真空ろう付け処理に際してZnの蒸発によ
つて失なわれた耐孔食性または/および犠牲陽極
効果の回復をはかつたことに特徴を有するもので
ある。 つぎに、この発明の方法において、Zn拡散熱
処理温度を上記の通りに限定した理由を説明す
る。 すなわち、その温度が300℃未満では、Zn拡散
係数Dの値が1.7×10-12cm2/sec以下となり、例え
ば1時間の熱処理を施してもZnの拡散距離はわ
ずか0.8μm以下にしかならず、このようなZn拡散
距離で部材表面部に十分なZn濃度を確保するた
めには、部材中にはじめから非常に高い濃度の
Znを含有させておく必要があり、一方実用濃度
のZnを含有する部材に所望のZn拡散を行なわし
めるためには、300℃未満の温度では著しく長い
熱処理時間を必要とし、一方570℃を越えたZn拡
散熱処理温度にすると、ろう材に溶融および流動
が起り、これに付随する問題が生じたり、さらに
部材の強度低下に起因して、塑性変形が発生する
などの問題点が生ずるようになることから、その
温度を300〜570℃と定めた。 つぎに、この発明の方法を実施例により比較例
と対比しながら説明する。 実施例 1 管材の耐孔食性改善効果を確認する目的で、そ
れぞれ第1表に示される成分組成をもつたAlお
よびAl合金を溶製し、鋳造してインゴツトとし
た後、通常の条件にて幅19mm×厚さ4.5mmの外寸
を有し、内部が厚さ1mmの仕切り部によつて4個
の並列穴に仕切られ、かつ1個の穴の寸法が2.5
mm×3.5mm□である継目無しの管材1〜16を製
造した。なお、管材1はJIS1070に相当する純Al
製で、管材2,3,4は前記純Alにそれぞれ0.5
%、0.8%、1.5%のZnを添加含有させたAl合金製
であり、また管材5はJIS3003に相当する組成を
もつAl合金製で、管材6,7,8は、前記
JIS3003に同じくZnを添加含有させた組成を有す
るAl合金
ることによるAl合金製熱交換器の製造法に関す
るものである。 従来、AlやAl合金は耐食性にすぐれた材料と
して知られているが、一旦腐食が生じると孔食と
なり易く、これが実用上重大な問題となつてい
た。そこで、これらAlおよびAl合金の孔食を防
止するたに、これらにZnを含有せしめて、Alお
よびAl合金の表面に形成されていた耐食性にす
ぐれた自然酸化皮膜の強さを低下させて、その腐
食形態を全面腐食型とし、これによつて局部的腐
食および孔食発生を抑制するようにしたAl合金
が提案され、このZn含有のAl合金は、例えば熱
交換器における熱媒体流動管として使用されてい
る。すなわち、前記の熱交換器は、管材として、
Al,Al―Mn合金、Al―Mg合金、およびAl―
Mg―Si合金などのAlおよびAl合金に、耐孔食性
を付与する目的で、Zn:0.2〜2.0%(重量%、以
下%はすべて重量%を意味する)を含有させた
Al合金を使用し、一方フイン材として、Alまた
はAl―Mn合金などの芯材と、Al―Si系合金のろ
う材とのクラツド材を使用し、これら両部材を、
10-3〜10-6torrの真空中、温度:580〜650℃に加
熱して真空ろう付けすることによつて製造されて
いる。 一方、AlおよびAl合金にZnを含有させると、
Znを含有しないAlおよびAl合金に比して電気化
学的に卑になり、このような両材料を接触させる
と、Znを含有したAl合金が犠牲陽極材となつて
優先的に溶出するため、Znを含有しないAlおよ
びAl合金をよく防食することが知られている。
これらの防食現象を利用したAl合金製品は多数
あるが、ここでも熱交換器をその代表例として挙
げることができる。すなわち、前記の熱交換器
は、管材として、Al,Al―Mn合金、Al―Mg合
金、およびAl―Mg―Si合金などのAlおよびAl合
金を使用し、一方フイン材として、AlまたはAl
―Mn合金に、犠牲陽極効果を付与する目的で、
Zn:0.5〜3.0%を含有させたものからなるAl合金
の芯材と、Al―Si系合金のろう材とのクラツド
材を使用し、これら両部材を同様に上記の条件で
真空ろう付けすることによつて製造されている。 また、これらAl合金製熱交換器の製造に際し
て、管材には耐孔食性を付与し、フイン材には犠
牲陽極効果を同時に付与する場合には、管材とし
て、少なくともZn:0.2〜2.0%を含有するAl合金
が、一方フイン材の芯材には、少なくともZn:
0.5〜3.0%を含有するAl合金が使用されることは
勿論である。 本発明者等は、このようなAl合金製熱交換器
において、Znを含有するAl合金の管材または/
およびフイン材に関し、その耐孔食特性や犠牲陽
極効果特性、並びにこれらの実用に際して、種々
の面から検討を加えている過程で、以下に示す事
実を見出したのである。すなわち、Znは蒸気圧
が著しく高いために、上記Al合金製熱交換器の
製造に際して、上記のZn含有のAl合金の管材ま
たは/およびフイン材の芯材が、真空ろう付け条
件である10-3〜10-6torrの真空雰囲気および580
〜650℃の高温にさらされると、これら部材中の
Znが優先的に炉中へ蒸発し、しかもこのような
Znの蒸発は、部材表面で起るので、真空ろう付
け後には部材中のZn含有量が減少するばかりで
なく、特に部材表面のZn含有量はほとんど零に
等しくなるまで低下し、したがつて、このように
Zn含有量の減少した部材においては、所望の耐
孔食性または/および犠牲陽極効果を期待するこ
とはできない。このようにAl合金製熱交換器の
管材または/およびフイン材に、耐孔食性また
は/および犠牲陽極効果を付与する目的でZnを
含有させても、真空ろう付け工程を経ることによ
つて、所望の特性を十分に発揮させることができ
なくなるのである。 そこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、真空ろう付けによつて製造されたAl合金製
熱交換器に、所望の耐孔食性または/および犠牲
陽極効果を回復すべく、特にZn含有のAl合金の
管材または/およびフイン材中にZnの挙動に着
目し、さらに詳細な研究を行なつた結果、 (a) Zn含有のAl合金部材におけるZnの蒸発は、
10-3〜10-6torrの真空ろう付け雰囲気では著し
いが、その雰囲気圧が増加するにしたがつて
Znの蒸発量は低下し、760torr(1気圧)程度の
雰囲気中ではZnの蒸発はほとんど起らないこ
と。 (b) したがつて、Zn含有のAl合金部材を、1気
圧程度の不活性ガス雰囲気中あるいは大気中で
加熱してもZnの蒸発は実質的に起らず、該部
材内でのZnの拡散のみが促進されることにな
るから、真空ろう付けにて表面部のZn残留量
がほとんどなくなつたAl合金部材に対して、
大気中あるいは大気圧と同程度の圧力、すなわ
ち10-1〜1気圧の不活性ガス雰囲気中での加熱
処理を所定時間施すと、該部材表面にZnが拡
散し、所望の耐孔食性または/および犠牲陽極
効果を確保するに足るZn濃度分布となること。 (c) 上記の大気中あるいは不活性ガス雰囲気中で
のZn拡散熱処理後におけるAl合金部材のZn濃
度分布は、該部材のZn含有量、真空ろう付け
条件、およびZn拡散熱処理条件などによるが、
例えば該部材中に含有するZn含有量が比較的
多く、かつZn蒸発の観点から真空ろう付け条
件を緩慢とした場合には、Zn拡散熱処理温度
を低く、かつその時間を短かくしても、部材表
面部へのZn拡散が十分に行なわれ、該表面部
のZn減少が解消されるようになつて十分満足
する耐孔食性または/およ犠牲陽極効果を回復
するようになり、一方真空ろう付け条件が厳し
い場合には、該部材の表面部のZn量はほとん
ど零に等しくなつているから、Zn拡散熱処理
をそれに応じて十分に行なわないと、該部材表
面部へのZn拡散が不十分となつて所望の耐孔
食性または/および犠牲陽極効果の回復は困難
となること。 (d) このように真空ろう付け処理で失なわれた部
材表面部のZnの補充は、基本的にZnの拡散現
象に依存するものであり、真空ろう付け処理温
度およびZn拡散熱処理温度のそれぞれにおけ
るZnの拡散係数Dと保持時間tの積の平方根
(√)の値が拡散距離を示すことから、この
値を大体の目安とすることができること。すな
わち√の値が真空ろう付け処理温度とZn拡
散熱処理の両処理でほぼ等しくなるような条件
を選定するのが最も望ましいが、両者の値に極
端な差(特に前者の条件における値が後者のそ
れに比べて著しく大きい場合)が見られない限
り、部材表面部に所定のZn濃度を確保するこ
とができ、この結果Al合金製熱交換器の各部
材の耐孔食性または/および犠牲陽極効果は保
証されるようになること。 以上(a)〜(d)に示される知見を得たのである。 したがつて、この発明は上記知見にもとづいて
なされたものであつて、管材として、Al,Al―
Mn合金、Al―Mg合金、およびAl―Si系合金な
どのAlおよびAl合金(合金成分としてZnを含有
しないAl合金)、あるいはこれらに耐孔食性を付
与する目的で、Zn:0.2〜2.0%を含有させたAl合
金を使用し、一方フイン材として、AlおよびAl
―Mn合金、あるいはこれらに犠牲陽極効果を付
与する目的で、Zn:0.5〜3.0%を含有させたAl合
金の芯材と、Al―Si系合金のろう材とのクラツ
ド材を使用し、前記管材および前記フイン材のい
ずれか、または両方にZn含有のAl合金を選定し
て組み合せ、前記両部材を、10-3〜10-6torrの真
空中、温度:580〜650℃に加熱して真空ろう付け
することによつて製造されたAl合金製熱交換器
に対して、大気中または大気圧と同程度の気圧、
すなわち10-1〜1気圧の不活性ガス雰囲気中、温
度:300〜570℃に加熱保持することからなるZn
拡散熱処理を施すことによつて、前記Al合金製
熱交換器を構成する管材または/およびフイン材
の内部に残留するZnを表面部を拡散させて、該
部材の表面部におけるZn濃度を増加させ、もつ
て前記真空ろう付け処理に際してZnの蒸発によ
つて失なわれた耐孔食性または/および犠牲陽極
効果の回復をはかつたことに特徴を有するもので
ある。 つぎに、この発明の方法において、Zn拡散熱
処理温度を上記の通りに限定した理由を説明す
る。 すなわち、その温度が300℃未満では、Zn拡散
係数Dの値が1.7×10-12cm2/sec以下となり、例え
ば1時間の熱処理を施してもZnの拡散距離はわ
ずか0.8μm以下にしかならず、このようなZn拡散
距離で部材表面部に十分なZn濃度を確保するた
めには、部材中にはじめから非常に高い濃度の
Znを含有させておく必要があり、一方実用濃度
のZnを含有する部材に所望のZn拡散を行なわし
めるためには、300℃未満の温度では著しく長い
熱処理時間を必要とし、一方570℃を越えたZn拡
散熱処理温度にすると、ろう材に溶融および流動
が起り、これに付随する問題が生じたり、さらに
部材の強度低下に起因して、塑性変形が発生する
などの問題点が生ずるようになることから、その
温度を300〜570℃と定めた。 つぎに、この発明の方法を実施例により比較例
と対比しながら説明する。 実施例 1 管材の耐孔食性改善効果を確認する目的で、そ
れぞれ第1表に示される成分組成をもつたAlお
よびAl合金を溶製し、鋳造してインゴツトとし
た後、通常の条件にて幅19mm×厚さ4.5mmの外寸
を有し、内部が厚さ1mmの仕切り部によつて4個
の並列穴に仕切られ、かつ1個の穴の寸法が2.5
mm×3.5mm□である継目無しの管材1〜16を製
造した。なお、管材1はJIS1070に相当する純Al
製で、管材2,3,4は前記純Alにそれぞれ0.5
%、0.8%、1.5%のZnを添加含有させたAl合金製
であり、また管材5はJIS3003に相当する組成を
もつAl合金製で、管材6,7,8は、前記
JIS3003に同じくZnを添加含有させた組成を有す
るAl合金
【表】
製、さらに管材9はJIS5005に相当する組成をも
つAl合金製、管材10.11,12は同じく
JIS5007にZnを添加含有させた組成を有するAl合
金製、管材13はJIS6063に相当する組成を有す
るAl合金製、管材14,15,16は前記
JFS6063に同じくZnをそれぞれ0.5%、0.8%、1.5
%添加含有させた組成を有するAl合金でそれぞ
れ構成されるものである。 ついで、このように調製した管材1〜16のそ
れぞれに、Mn:1.02%、Alおよび不可避不純
物:残りからなる組成を有するAl合金の芯材と、
Si:9.50%、Mg:1.51%、Alおよび不可避不純
物:残りからなる組成を有するAl合金のろう材
とのクラツド材から構成された板厚0.2mmを有す
る複合フイン材を組み合わせ、それぞれ10-4torr
の真空中、温度:600℃に3分間保持の真空ろう
付け処理(以下真空ろう付け処理Aという)、お
よび10-4torrの真空中、温度:620℃に10分間保
持の真空ろう付け処理(以下真空ろう付け処理B
という)を施すことによつて、Al合金製熱交換
器1〜16をそれぞれ製造した。 この結果得られたAl合金製熱交換器1〜16
のうちの同熱交換器3の管材における断面のZn
濃度分布を第1図に示した。 第1図によると、真空ろう付け処理後の管材表
面のZn濃度はほとんど零になるが、真空ろう付
け処理温度や保持時間の増加によつてZn濃度に
影響を受ける領域が広がることがわかる。さら
に、引続いて、上記真空ろう付け処理Bによつて
製造されたAl合金製熱交換器3に対して、大気
中、温度:280℃に1時間保持のZn拡散熱処理
(以下比較熱処理という)、同じく大気中、温度:
500℃に1時間保持のZn拡散熱処理(以下本発明
熱処理1という)、1気圧のN2ガス雰囲気中、温
度:570℃に3分間保持のZn拡散熱処理(以下本
発明熱処理2という)をそれぞれ施した。また、
上記Al合金製熱交換器3の上記真空ろう付け処
理Bによる製造に際して、真空ろう付け完了後の
冷却過程において、真空ろう付け炉に隣接して設
けたほぼ大気圧雰囲気の加熱炉に移し、ここで温
度:560℃に5分間保持のZn拡散熱処理(以下本
発明熱処理3という)を施した。このように4種
のZn拡散熱処理をそれぞれ施した後の上記Al合
金製熱交換器3の管材における断面のZn濃度分
布を第2図に示した。 第1図と第2図に示される結果より、比較熱処
理によつてはZn濃度分布は本質的に変らないが、
本発明熱処理1〜3のそれぞれによつて、Zn濃
度分布は著しく変化し、Znの表面濃度が増加す
ることが明らかである。 つぎに、上記のAl合金製熱交換器1〜16の
それぞれに対して、上記の比較熱処理、および本
発明熱処理1〜3のそれぞれを施した後、CASS
試験と、1p.p.m.のCuイオンを添加含有させた40
℃の3%NaCl水溶液中での浸漬試験とをそれぞ
れ240時間行ない、前記Al合金製熱交換器1〜1
6の管材に発生した100cm2当りの平均孔食数と最
大孔食深さを測定した。これらの測定結果を第2
表に示した。なお、第2表には上記真空ろう付け
処理Bにより製造された状態のままのAl合金製
熱交換器1〜16の同一条件による試験結果
つAl合金製、管材10.11,12は同じく
JIS5007にZnを添加含有させた組成を有するAl合
金製、管材13はJIS6063に相当する組成を有す
るAl合金製、管材14,15,16は前記
JFS6063に同じくZnをそれぞれ0.5%、0.8%、1.5
%添加含有させた組成を有するAl合金でそれぞ
れ構成されるものである。 ついで、このように調製した管材1〜16のそ
れぞれに、Mn:1.02%、Alおよび不可避不純
物:残りからなる組成を有するAl合金の芯材と、
Si:9.50%、Mg:1.51%、Alおよび不可避不純
物:残りからなる組成を有するAl合金のろう材
とのクラツド材から構成された板厚0.2mmを有す
る複合フイン材を組み合わせ、それぞれ10-4torr
の真空中、温度:600℃に3分間保持の真空ろう
付け処理(以下真空ろう付け処理Aという)、お
よび10-4torrの真空中、温度:620℃に10分間保
持の真空ろう付け処理(以下真空ろう付け処理B
という)を施すことによつて、Al合金製熱交換
器1〜16をそれぞれ製造した。 この結果得られたAl合金製熱交換器1〜16
のうちの同熱交換器3の管材における断面のZn
濃度分布を第1図に示した。 第1図によると、真空ろう付け処理後の管材表
面のZn濃度はほとんど零になるが、真空ろう付
け処理温度や保持時間の増加によつてZn濃度に
影響を受ける領域が広がることがわかる。さら
に、引続いて、上記真空ろう付け処理Bによつて
製造されたAl合金製熱交換器3に対して、大気
中、温度:280℃に1時間保持のZn拡散熱処理
(以下比較熱処理という)、同じく大気中、温度:
500℃に1時間保持のZn拡散熱処理(以下本発明
熱処理1という)、1気圧のN2ガス雰囲気中、温
度:570℃に3分間保持のZn拡散熱処理(以下本
発明熱処理2という)をそれぞれ施した。また、
上記Al合金製熱交換器3の上記真空ろう付け処
理Bによる製造に際して、真空ろう付け完了後の
冷却過程において、真空ろう付け炉に隣接して設
けたほぼ大気圧雰囲気の加熱炉に移し、ここで温
度:560℃に5分間保持のZn拡散熱処理(以下本
発明熱処理3という)を施した。このように4種
のZn拡散熱処理をそれぞれ施した後の上記Al合
金製熱交換器3の管材における断面のZn濃度分
布を第2図に示した。 第1図と第2図に示される結果より、比較熱処
理によつてはZn濃度分布は本質的に変らないが、
本発明熱処理1〜3のそれぞれによつて、Zn濃
度分布は著しく変化し、Znの表面濃度が増加す
ることが明らかである。 つぎに、上記のAl合金製熱交換器1〜16の
それぞれに対して、上記の比較熱処理、および本
発明熱処理1〜3のそれぞれを施した後、CASS
試験と、1p.p.m.のCuイオンを添加含有させた40
℃の3%NaCl水溶液中での浸漬試験とをそれぞ
れ240時間行ない、前記Al合金製熱交換器1〜1
6の管材に発生した100cm2当りの平均孔食数と最
大孔食深さを測定した。これらの測定結果を第2
表に示した。なお、第2表には上記真空ろう付け
処理Bにより製造された状態のままのAl合金製
熱交換器1〜16の同一条件による試験結果
【表】
も合せて示した。
第2表に示されるように、Znを含有しない純
AlおよびAl合金で構成された管材1,5,9,
および13を有する熱交換器1,5,9,および
13においては、真空ろう付け処理およびZn拡
散熱処理に関係なく、耐孔食性の劣つたものとな
つており、また、Znを含有しても、真空ろう付
け処理ままの状態のものや、Zn拡散の不十分な
比較熱処理を施した状態のものは、管材表面部の
Zn濃度が低いことに原因して耐孔食性の劣つた
ものになつている。 これに対して、本発明熱処理1〜3を施された
熱交換器においては、管材におけるZn濃度分布
が均質化されているので、局部腐食が激減すると
共に、その腐食深さも著しく浅くなつており、孔
食の成長が抑制されていることが明らかである。 実施例 2 フイン材の犠牲陽極効果の回復を確認する目的
で、Mn:1.05%、Zn:1.52%、Alおよび不可避
不純物:残りからなる組成を有するAl合金を溶
製し、鋳造してインゴツトとした後、このAl合
金インゴツトを芯材として用い、別途用意した
Mg:1.51%、Si:9.50%、Alおよび不可避不純
物:残りからなる組成をもつたろう材用Al合金
インゴツトとともに、通常の熱間圧延および冷間
圧延条件にて、前記組成のAl合金の芯材の両面
に厚さ10%づつの前記Al―Si―Mg合金のろう材
をクラツドしたものからなる板厚0.2mmの複合フ
イン材を製造した。 ついで、この複合フイン材を、別途用意した
Mn:1.21%、Alおよび不可避不純物:残りから
なる組成をもち、かつ実施例1におけると同じ形
状および寸法をもつたAl合金の管材に組み入れ、
上記の真空ろう付け処理Aを適用することによつ
てAl合金製熱交換器17を製造した。この結果
得られた熱交換器17のフイン材における断面の
Zn濃度分布を第3図に示した。また、第4図に
は、前記Al合金製熱交換器17に対して、上記
の比較熱処理、および大気中、温度:550℃に10
分間保持のZn拡散熱処理(以下本発明熱処理4
という)を施した後のフイン材における断面の
Zn濃度分布を示した。第3図および第4図に示
されるように、真空ろう付け処理によつて表面の
Zn濃度がほとんど零になつた上記フイン材に対
して、比較熱処理を施してもフイン材表面部の
Zn濃度分布はほとんど変らないのに対して、本
発明熱処理4を施すと、フイン材表面のZn濃度
が約0.3%まで上昇し、前記フイン材に付与され
た犠牲陽極効果が回復されたことが明らかであ
る。 また、上記のAl合金製熱交換器17のフイン
材について、真空ろう付け処理A、比較熱処理、
および本発明熱処理4の直後における自然電極電
位を測定した。 なお、自然電極電位の測定は、上記熱交換器2
のフイン材を温度:30℃の3%食塩水中に30分間
浸漬した時点、並びに一般にAl合金はアノード
電流を付加することによつて腐食が促進し、この
過程での自然電極電位の低下の大きさ(自然電極
電位は腐食の進行とともに低下する)から犠牲陽
極効果の程度を知ることができるので、前記フイ
ン材に100μA/cm2のアノード電流を15分間および
60分間それぞれ通電した時点で行なつた。この測
定結果を第3表に示した。
AlおよびAl合金で構成された管材1,5,9,
および13を有する熱交換器1,5,9,および
13においては、真空ろう付け処理およびZn拡
散熱処理に関係なく、耐孔食性の劣つたものとな
つており、また、Znを含有しても、真空ろう付
け処理ままの状態のものや、Zn拡散の不十分な
比較熱処理を施した状態のものは、管材表面部の
Zn濃度が低いことに原因して耐孔食性の劣つた
ものになつている。 これに対して、本発明熱処理1〜3を施された
熱交換器においては、管材におけるZn濃度分布
が均質化されているので、局部腐食が激減すると
共に、その腐食深さも著しく浅くなつており、孔
食の成長が抑制されていることが明らかである。 実施例 2 フイン材の犠牲陽極効果の回復を確認する目的
で、Mn:1.05%、Zn:1.52%、Alおよび不可避
不純物:残りからなる組成を有するAl合金を溶
製し、鋳造してインゴツトとした後、このAl合
金インゴツトを芯材として用い、別途用意した
Mg:1.51%、Si:9.50%、Alおよび不可避不純
物:残りからなる組成をもつたろう材用Al合金
インゴツトとともに、通常の熱間圧延および冷間
圧延条件にて、前記組成のAl合金の芯材の両面
に厚さ10%づつの前記Al―Si―Mg合金のろう材
をクラツドしたものからなる板厚0.2mmの複合フ
イン材を製造した。 ついで、この複合フイン材を、別途用意した
Mn:1.21%、Alおよび不可避不純物:残りから
なる組成をもち、かつ実施例1におけると同じ形
状および寸法をもつたAl合金の管材に組み入れ、
上記の真空ろう付け処理Aを適用することによつ
てAl合金製熱交換器17を製造した。この結果
得られた熱交換器17のフイン材における断面の
Zn濃度分布を第3図に示した。また、第4図に
は、前記Al合金製熱交換器17に対して、上記
の比較熱処理、および大気中、温度:550℃に10
分間保持のZn拡散熱処理(以下本発明熱処理4
という)を施した後のフイン材における断面の
Zn濃度分布を示した。第3図および第4図に示
されるように、真空ろう付け処理によつて表面の
Zn濃度がほとんど零になつた上記フイン材に対
して、比較熱処理を施してもフイン材表面部の
Zn濃度分布はほとんど変らないのに対して、本
発明熱処理4を施すと、フイン材表面のZn濃度
が約0.3%まで上昇し、前記フイン材に付与され
た犠牲陽極効果が回復されたことが明らかであ
る。 また、上記のAl合金製熱交換器17のフイン
材について、真空ろう付け処理A、比較熱処理、
および本発明熱処理4の直後における自然電極電
位を測定した。 なお、自然電極電位の測定は、上記熱交換器2
のフイン材を温度:30℃の3%食塩水中に30分間
浸漬した時点、並びに一般にAl合金はアノード
電流を付加することによつて腐食が促進し、この
過程での自然電極電位の低下の大きさ(自然電極
電位は腐食の進行とともに低下する)から犠牲陽
極効果の程度を知ることができるので、前記フイ
ン材に100μA/cm2のアノード電流を15分間および
60分間それぞれ通電した時点で行なつた。この測
定結果を第3表に示した。
【表】
第3表に示される結果から、真空ろう付け処理
および比較熱処理を施した後では、フイン材表面
部のZn濃度が著しく低くなつているので、自然
電極電位が比較的高く、しかもアノード電流の付
加によつて自然電極電位の低下が見られるが、本
発明熱処理4を施した場合には、自然電極電位が
低く、犠牲陽極効果が著しく改善されていること
がわかる。 また、上記の真空ろう付け処理A、比較熱処
理、および本発明熱処理4をそれぞれ施した状態
での上記のAl合金製熱交換器17について、実
施例1におけると同一の条件でCASS試験を行な
い、管材に発生した100cm2当りの平均孔食数およ
び最大孔食深さを測定した。この結果を第4表に
示した。
および比較熱処理を施した後では、フイン材表面
部のZn濃度が著しく低くなつているので、自然
電極電位が比較的高く、しかもアノード電流の付
加によつて自然電極電位の低下が見られるが、本
発明熱処理4を施した場合には、自然電極電位が
低く、犠牲陽極効果が著しく改善されていること
がわかる。 また、上記の真空ろう付け処理A、比較熱処
理、および本発明熱処理4をそれぞれ施した状態
での上記のAl合金製熱交換器17について、実
施例1におけると同一の条件でCASS試験を行な
い、管材に発生した100cm2当りの平均孔食数およ
び最大孔食深さを測定した。この結果を第4表に
示した。
【表】
第4表に示される結果から、本発明熱処理によ
つてフイン材に著しい犠牲陽極効果の回復がなさ
れることから、これの回復がなされない比較熱処
理を行なつた場合に比して、管材はよく防食され
ることが明らかである。 なお、上記実施例1では、耐孔食性を付与する
目的で、管材のみにZnを含有したAl合金を使用
し、また上記実施例2では犠牲陽極効果を付与す
る目的で、フイン材の芯材にのみZnを含有した
Al合金を使用した場合について述べたが、耐孔
食性と犠牲陽極効果とを同時に具備させる場合に
は、これら両部材の製造にZnを含有したAl合金
を使用すればよく、この場合も上記の本発明熱処
理の適用によつて同様な効果が得られることは勿
論である。 上述のように、この発明の方法によれば、耐孔
食性または/および犠牲陽極効果のすぐれたAl
合金製熱交換器を製造することができるので、そ
の使用に際して、管材に貫通孔などが形成される
ことが皆無となるなど工業上有用な効果がもたら
されるのである。
つてフイン材に著しい犠牲陽極効果の回復がなさ
れることから、これの回復がなされない比較熱処
理を行なつた場合に比して、管材はよく防食され
ることが明らかである。 なお、上記実施例1では、耐孔食性を付与する
目的で、管材のみにZnを含有したAl合金を使用
し、また上記実施例2では犠牲陽極効果を付与す
る目的で、フイン材の芯材にのみZnを含有した
Al合金を使用した場合について述べたが、耐孔
食性と犠牲陽極効果とを同時に具備させる場合に
は、これら両部材の製造にZnを含有したAl合金
を使用すればよく、この場合も上記の本発明熱処
理の適用によつて同様な効果が得られることは勿
論である。 上述のように、この発明の方法によれば、耐孔
食性または/および犠牲陽極効果のすぐれたAl
合金製熱交換器を製造することができるので、そ
の使用に際して、管材に貫通孔などが形成される
ことが皆無となるなど工業上有用な効果がもたら
されるのである。
第1図は真空ろう付け処理後の管材における断
面のZn濃度分布を示す図、第2図は真空ろう付
け処理によつて製造されたAl合金製熱交換器に
対して、比較熱処理および本発明熱処理を施した
場合の管材における断面のZn濃度分布を示す図、
第3図は真空ろう付け処理後のフイン材における
断面のZn濃度分布を示す図、第4図は真空ろう
付け処理によつて製造されたAl合金製熱交換器
に対して、比較熱処理および本発明熱処理を施し
た場合のフイン材における断面のZn濃度分布を
示す図である。
面のZn濃度分布を示す図、第2図は真空ろう付
け処理によつて製造されたAl合金製熱交換器に
対して、比較熱処理および本発明熱処理を施した
場合の管材における断面のZn濃度分布を示す図、
第3図は真空ろう付け処理後のフイン材における
断面のZn濃度分布を示す図、第4図は真空ろう
付け処理によつて製造されたAl合金製熱交換器
に対して、比較熱処理および本発明熱処理を施し
た場合のフイン材における断面のZn濃度分布を
示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 少なくともZn:0.2〜2.0重量%を含有するAl
合金の管材に、Alまたは合金成分としてZnを含
有しないAl合金の芯材とAl―Si系合金のろう材
とをクラツドしたものからなる複合フイン材を、
10-3〜10-6torrの真空中、温度:580〜650℃に加
熱して真空ろう付けした後、大気中または10-1〜
1気圧の不活性ガス雰囲気中、温度:300〜570℃
に加熱保持のZn拡散熱処理を施すことを特徴と
するAl合金製熱交換器の製造法。 2 Alまたは合金成分としてZnを含有しないAl
合金の管材に、少なくともZn:0.5〜3.0重量%を
含有するAl合金の芯材とAl―Si系合金のろう材
とをクラツドしたものからなる複合フイン材を、
10-3〜10-6torrの真空中、温度:580〜650℃に加
熱して真空ろう付けした後、大気中または10-1〜
1気圧の不活性ガス雰囲気中、温度:300〜570℃
に加熱保持のZn拡散熱処理を施すことを特徴と
するAl合金製熱交換器の製造法。 3 少なくともZn:0.2〜2.0重量%を含有するAl
合金の管材に、少なくともZn:0.5〜3.0重量%を
含有するAl合金の芯材とAl―Si系合金のろう材
とをクラツドしたものからなる複合フイン材を、
10-3〜10-6torrの真空中、温度:580〜650℃に加
熱して真空ろう付けした後、大気中または10-1〜
1気圧の不活性ガス雰囲気中、温度:300〜570℃
に加熱保持のZn拡散熱処理を施すことを特徴と
するAl合金製熱交換器の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10863480A JPS5732872A (en) | 1980-08-07 | 1980-08-07 | Production of heat exchanger made of al alloy |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10863480A JPS5732872A (en) | 1980-08-07 | 1980-08-07 | Production of heat exchanger made of al alloy |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5732872A JPS5732872A (en) | 1982-02-22 |
JPS633713B2 true JPS633713B2 (ja) | 1988-01-25 |
Family
ID=14489763
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10863480A Granted JPS5732872A (en) | 1980-08-07 | 1980-08-07 | Production of heat exchanger made of al alloy |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5732872A (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0677818B2 (ja) * | 1985-12-27 | 1994-10-05 | 三菱アルミニウム株式会社 | 熱交換器 |
JPH0677819B2 (ja) * | 1986-01-13 | 1994-10-05 | 三菱アルミニウム株式会社 | 熱交換器 |
KR0139548B1 (ko) * | 1986-11-17 | 1998-07-15 | 구사까베 에쯔지 | 열교환기의 제조방법 |
JPH01157794A (ja) * | 1987-09-09 | 1989-06-21 | Nippon Denso Co Ltd | ろう付用アルミニウム素材,その製法及びアルミニウム合金製熱交換器の製法 |
JP5614829B2 (ja) * | 2009-06-24 | 2014-10-29 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金製熱交換器 |
JP6031333B2 (ja) * | 2012-11-13 | 2016-11-24 | 昭和電工株式会社 | 熱交換器の製造方法 |
CN104907661B (zh) * | 2015-06-25 | 2017-02-22 | 江苏科技大学 | 一种用于金属表面的钎焊包覆材料的钎焊工艺 |
-
1980
- 1980-08-07 JP JP10863480A patent/JPS5732872A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5732872A (en) | 1982-02-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7781071B2 (en) | Aluminum alloy tube and fin assembly for heat exchangers having improved corrosion resistance after brazing | |
JPS633713B2 (ja) | ||
JPS6245301B2 (ja) | ||
JPS60138037A (ja) | 高温強度および犠牲陽極効果のすぐれた熱交換器用Al合金製複合フイン材 | |
JPH1161306A (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金複合材 | |
JPS6214622B2 (ja) | ||
JPH07179973A (ja) | 耐食性のすぐれた熱交換器の構造部材用真空ろう付けAl合金ブレージングシート | |
JPS6261099B2 (ja) | ||
JPS6261661B2 (ja) | ||
JPS6319583B2 (ja) | ||
JPH029098B2 (ja) | ||
JPH0225120B2 (ja) | ||
JP2627305B2 (ja) | Ai製熱交換器 | |
JPH0352549B2 (ja) | ||
JPS63149B2 (ja) | ||
JPS63186846A (ja) | アルミニウム合金製熱交換器用フイン材 | |
JPH0394993A (ja) | チューブ材用アルミニウム合金複合材シート | |
JP2607245B2 (ja) | 犠牲陽極効果のすぐれた熱交換器用高強度A▲l▼合金製複合薄肉フイン材 | |
JPS6237757B2 (ja) | ||
JPH025569B2 (ja) | ||
JPH0210216B2 (ja) | ||
JPH0463276B2 (ja) | ||
JPH01148489A (ja) | フィレット形成部の耐食性にすぐれた熱交換器Al合金ブレージングシート | |
JPS63262439A (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金材 | |
JPS6311598B2 (ja) |