JPS6336790B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は自動車の内装あるいは家具等に用い
られるパツド材入り内装部品の端末処理方法に関
する。

本発明者らは先に芯材上にパツド材を介して表
皮材を積層し、その縁部巻き込みしろを芯材裏面
に巻き込んで貼着し、内装材を製作するにおい
て、予め表皮材と熱可塑性発泡樹脂からなるパツ
ド材をラミネートしておき、このラミネートシー
トを製品外周よりひと廻り大きくトリムし、加熱
して可塑化するとともに、これを型面にセツトさ
れた芯材上に載置後上型を係合して芯材面に貼着
すると同時にその外周を型圧により潰し、薄肉偏
平化する方法を開発し、これによつて従来その処
理が極めて面倒であつた巻き込みしろの裏面巻込
みを簡単に行えるとともに、外形精度の向上及び
製品の相手部品に対する嵌合精度の向上を図つ
た。

しかしながら本方法によつては製品の外観上以
下に述べる欠点が掲げられる。

すなわち第１図ａに示すように、上記方法によ
つて得られた製品のラミネートシート１に形成さ
れた縁部薄肉部１ａと厚肉部分１ｂとの境界線上
においては、極端な段差１ｃが形成されているた
め、これを同図ｂに示すように芯材２の裏面側に
巻き込んだ場合に、反つてその段差１ｃの部分が
膨らんで見栄えが悪くなることであり、かつこの
ことはその段差１ｃ部分を折り曲げたときに余肉
が生ずるためである。またこのように単に薄肉化
した場合には芯材２自体が内側に屈曲したものに
巻き込む時に薄肉部１ａにも弾性が相当あるた
め、その跳ね返りにより巻き込みにくくなるなど
の欠点もある。

この発明は以上の点に鑑みなされたものであつ
て、上型の型面外周に凸部を形成するとともに、
下型に凹部を形成し、型係合時においてラミネー
トシートの薄肉部と厚肉部との境界線上に最薄肉
化した凹状部を形成することにより、上記境界部
の膨出を防止するとともに、上記凹状部をヒンジ
として更に巻き込みしろを裏面側に巻き込み易く
するようにしたパツド材入り内装部品の端末処理
方法を提供するものである。

以下この発明の一実施例を図面を参照して詳細
に説明する。

第２図はこの発明に用いられる成形型を示すも
ので、このものは予め製品形状にプレス加工など
された芯材１０をその形状に沿つて載置する下型
１１、およびこの下型１１に所要厚みのクリアラ
ンスｄを設けて係合される上型１２とからなり、
かつこれら上型１２，１１の型面１２ａ，１１ａ
と連接する周縁部１２ｂ，１１ｂは平担状に形成
され、更に上型１２の型面１２ａと周縁部１２ｂ
との境界部分には突起１２ｃが形成されていると
ともに、これと対向して下型１１の型面１ａの周
囲には凹部１１ｃが形成されている。

また上型１２の型面１２ａの適宜位置には真空
吸引孔１３，１３……が穿設されているととも
に、これら各真空吸引孔１３は図示しない真空吸
引装置に連絡している。

次に上記成形型を用いて上記芯材１０上にラミ
ネートシートを貼着する場合を説明すると、先ず
第３図に示す如くラミネートシート１４は塩化ビ
ニールシート等の熱可塑性樹脂シートからなる表
皮材１５と、この表皮材１５の裏面に裏打ちされ
た発泡ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニ
ル、ブタジエン等の熱可塑性の独立または連続気
泡性発泡樹脂からなるパツド材１６を備えてい
る。そしてこのラミネートシート１４を上記芯材
１０の形状よりやや大きめに、その縁部に巻き込
みしろを含む面積分トリムしておく。

次にこのラミネートシート１４を予熱して可塑
化させる一方、予め別工程で製品形状にプレス加
工された芯材１０上に接着剤を塗布し、同第２図
から型開きした状態の下型１１の型面１１ａ上に
設置しておく。

この時迄に上記ラミネートシート１４は２次転
移点以上、流動点以下に加熱され軟化するが、こ
の状態でラミネートシート１４を芯材１０上に位
置決め載置すれば、ラミネートシート１４は軟化
に状態で芯材１０の曲面形状に沿つて仮止めされ
る。

しかる後同第２図のように上型１２を下型１１
に係合するとともに、真空吸引装置を稼動すれ
ば、両型面１２ａ，１１ａ間に位置するラミネー
トシート１４はそのクリアランスｄ分上下方向に
圧縮され、芯材面に密着すると同時に真空吸引に
より、その表面は上型の型面１２ａ上に引かれ、
型揚１２ａ形状に密着した形状に可塑変形し、こ
の状態のまま冷却する。

また周縁部１１ｂ，１２ｂに位置するラミネー
トシートのパツド材１６は型圧によりその気泡が
圧潰して相互融着する。それとともに、境界部分
に位置する突起１２ｃが凹部１１ｃ内に喰い込
み、この部分を周縁部より更に薄肉化する。

上記ラミネートシート１４が冷却した後真空吸
引装置の稼動を停止し、真空吸引孔１３を大気に
連絡するとともに、上型１２を取り外せば、第４
図ａに示すようにラミネートシート１４と芯材１
０とが一体化され、かつその縁部巻き込みしろ１
４ａが偏平化され、更にはこの縁部との境界線上
には更に薄肉化されて凹状に屈曲した凹状部１４
ｂを形成した成形品を得る。

したがつて上記巻き込みしろ１４ａを第４図ｂ
の如く芯材１０の裏面に折返えせば上記凹状部１
４ｂが所謂薄肉ヒンジとなつて良好に折返すこと
ができ、かつこの折返し部分を芯材１０の裏面に
接着すれば製品を完成するのである。

そして、このようにして得た内装部品の表面は
上型１２の型面１２ａの精度に相当して精度よく
成形され、かつ内装材特有の弾力性を保つととも
に、その縁部折返し部分は従来の単に薄肉化した
ものに比して脹むことなく、反つてその境界部１
４ｂが薄肉化されたラインを形成するため、ハイ
ライト線のような効果、すなわち製品外形を縁取
る線となつて、外形が強調され、見栄えが向上す
るのである。

以上説明したようにこの発明に係る端末処理方
法にあつては上述する如く、ラミネートシートに
形成された薄肉部と厚肉部との境界線上に凹状部
を形成するようにしたものであるから、この凹状
部がヒンジとなつて裏面への折返しが従来の単に
薄肉化しただけのものに比して簡単になり、しか
も折返し後の製品の外形が境界線上で脹らむこと
なく更に外形精度が向上するとともに、凹状部が
ハイライト線となつて製品外形を縁取りするため
見栄上も極めて好ましい結果になるなどの利点を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来の端末処理されたラミネー
トシート及びこのラミネートシートを折返した状
態の説明用断面図、第２図はこの発明に用いられ
る成形型の部分断面図、第３図は同ラミネートシ
ートの模式的断面図、第４図ａ，ｂは製品の完成
状態における縁端部及びシートの折返し状態を示
す説明用断面図である。 １０……芯材、１１……下型、１１ａ……型
面、１１ｂ……周縁部、１１ｃ……凹部、１２…
…上型、１２ａ……型面、１２ｂ……周縁部、１
２ｃ……突起、１４……ラミネートシート、１５
……表皮材、１６……パツド材、１４ａ……巻き
込みしろ、１４ｂ……凹状部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 予め表皮材と熱可塑性発泡樹脂からなるパツ
   ド材をラミネートしておき、このラミネートシー
   トを製品外周よりひと廻り大きくトリムし、加熱
   して可塑化するとともに、このラミネートシート
   を下型の型面にセツトされた芯材上に載置後、上
   型を係合して芯材面に貼着すると同時にその外周
   を型圧により潰し、薄肉偏平化する方法におい
   て、上型の型面外周に突起を形成するとともに、
   これと対向する下型の型面外周に凹部を形成し、
   上記係合時においてラミネートシートの薄肉部と
   厚肉部との境界線上に最薄肉化した凹状部を形成
   するようにしたことを特徴とするパツド材入り内
   装部品の端末処理方法。