JPS6336209Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シール用の長円形Ｏリングに関し、
特に押圧により偏平化する際の直線部の内方への
変形を防止するものに関する。

〔従来の技術と課題〕

２つの部材を締結する際の接合部に長円形Ｏリ
ングがシールすべく設けられることがあり、この
場合のＯリングは押つぶされて偏平化するとき、
体積一定の原理により内方、外方及び長手方向に
膨出する。長円形のものは両端の半円部で内方へ
膨出し難いことから特に長手方向に多く膨出する
傾向になり、これと直線部の長手方向の膨出によ
り、長円形Ｏリングの周方向に大きい圧縮力が生
じる。このため、この２つの圧縮力が直線部の座
屈荷重より大きくなつて、直線部が座屈し変形す
る。

このような場合、長円形Ｏリングを外周部で支
持した装着状態では、上記座屈は内方にまゆ形に
変形し、シール効果が低減し、更に内部の部材に
触れる等の問題を生じて好ましくない。そこで、
従来このような長円形Ｏリングの内方への変形を
防ぐため、実公昭38−21818号公報に示されるよ
うに、Ｏリング内外周面にバツクアツプリング、
あるいは金属板等を取付けたり、Ｏリング内部中
心に硬質ゴムを充填してＯリングの変形を規制し
ている。しかるに、このような変形規制用の各種
部材を付加すると、そのための加工が必要である
と共に部品点数も多くなり、更にＯリング押圧の
際に部材との接着部から割れが生じ易い等の欠点
がある。

なお先行技術として実開昭54−52554号公報、
実開昭50−153348号公報、実公昭18−2226号公報
および実開昭51−42363号公報がある。

本考案は、このような事情に鑑み、変形規制用
の部材を付設することなく、内方への変形を防止
するようにした長円形Ｏリングを提供することを
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕 この目的のため本考案によるＯリングは、Ｏリ
ング本体の少なくとも内方へ変形し易い直線部の
外側に、上記Ｏリング本体から離し、接続部を介
して抵抗体を上記Ｏリング本体によつて形成され
る環体中心線に平行して一体的に形成し、上記抵
抗体の上記Ｏリング本体押圧方向の高さを、上記
Ｏリング本体外周から押圧方向の上下に等しい長
さだけ突出した所定の高さとし、上記Ｏリング本
体を部材間に挾んで押圧する際に、上記Ｏリング
本体に先立ち上記抵抗体を弓なりに弯曲すべく変
形して、上記Ｏリング本体の内方への変形に対
し、上記抵抗体へ摩擦抵抗を付与するように上記
抵抗体の上記Ｏリング本体と反対側の上下端部に
テーパ面を形成して構成するものである。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体
的に説明すると、第１図と第２図において、符号
１は円形断面を成す長円形のＯリング本体であ
り、このＯリング本体１の外周にその中心から突
出する接続部２を介して、Ｏリング本体１の環体
中心線に平行な抵抗体３がＯリング本体１と同じ
可撓性材料で一体的に設けてある。抵抗体３は比
較的容易に弯曲し得る所定の幅ｄと、Ｏリング本
体１に先立つて変形するようにＯリング１の上下
に等しい長さｌだけ突出した所定の高さｈを有
し、更に上下端部３ａ，３ｂに外側へのテーパ面
４が施されて広い接触面を確保すると共に内方向
へ大きい摩擦抵抗力を付与するようになつてい
る。

このように構成された本考案のＯリングの作用
を第３図を用いて説明すると、まずａのように締
結される２つの部材５，６の接合部に設置された
Ｏリング本体１とその外側の抵抗体３において、
背の高い抵抗体３の上下端部３ａ，３ｂに部材
５，６が接して押圧が開始する。そしてｂのよう
に抵抗体３の上下端部が押されて、抵抗体３は内
側に屈曲し全体として押圧方向に垂直な状態から
弓なりに弯曲してゆき、このとき抵抗体３の端部
３ａ，３ｂは接触摩擦によりその位置が固定され
ているため、その中心部及び接続部２を介してＯ
リング本体１を外方へ引張るようになる。次いで
更に押圧が進むにつれｃのようにＯリング本体１
が押しつぶされるが、この場合にＯリング本体１
の周方向に生じる圧縮力で直線部において内方に
変形しようとする力Ｆが生じると、抵抗体３の上
下端部３ａ，３ｂにこれに対する反力F′、が生じ
る。そのため、抵抗体端部３ａ，３ｂの部材５，
６に圧接するテーパ面では、摩擦係数をμ、押圧
力をＰとすると、μ（Ｐ＋F′）の摩擦力ｆが生じ、
かかる摩擦抵抗によりＯリング本体１の内方への
変形が阻止されるのである。

尚、上記実施例において、抵抗体３はＯリング
本体１の全周でなく内方へ変形し易い直線部のみ
に付設しても良い。ただしこの場合は半円部から
直線部への形状変化を滑かに行う必要がある。ま
た、抵抗体３の上下端部３ａ，３ｂの先端を薄く
すると、初期の密着性が向上して、平面度の不良
な部材に対し初期押圧時に生じる、いまだ接して
いない部分の内方への飛出しを防ぐことができ
る。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように本考案による
と、 長円形Ｏリングの装着状態における内方への変
形を防止することができて、確実なシール効果等
を得ることが可能になる。

さらに、変形防止にＯリング本体１と同じ材料
の抵抗体３の撓みを利用しており、バツクアツプ
リング等の剛性の大きい異物を付加するものに比
べて、製造が容易であり、接続部からの割れ等を
生じない。

さらにまた、抵抗体３はＯリング本体１の外側
に配置され、そのＯリング本体１以上に押つぶさ
れてシール効果も発揮するので、全体のシール性
が向上する。

また、抵抗体３は押圧される際に弓なりに変形
してＯリング本体１を外方へ引張る力を生じるの
で、Ｏリング本体１の組付け性も向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による長円形Ｏリングの一実施
例を示す斜視図、第２図は同断面図、第３図ａな
いしｃは押圧による変形状態を示す断面図であ
る。 １……Ｏリング本体、２……接続部、３……抵
抗体、３ａ，３ｂ……端部、４……テーパ面、
５，６……部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 Ｏリング本体の少なくとも内方へ変形し易い直
   線部の外側に、上記Ｏリング本体から離し、接続
   部を介して抵抗体を上記Ｏリング本体によつて形
   成される環体中心線に平行して一体的に形成し、 上記抵抗体の上記Ｏリング本体押圧方向の高さ
   を、上記Ｏリング本体外周から押圧方向の上下に
   等しい長さだけ突出した所定の高さとし、 上記Ｏリング本体を部材間に挾んで押圧する際
   に、上記Ｏリング本体に先立ち上記抵抗体を弓な
   りに弯曲すべく変形して、上記Ｏリング本体の内
   方への変形に対し、上記抵抗体へ摩擦抵抗を付与
   するように上記抵抗体の上記Ｏリング本体と反対
   側の上下端部にテーパ面を形成して構成したこと
   を特徴とする長円形Ｏリング。