JPS6334802Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、多角形状のスローアウエイチツプ
に関する。

従来、超硬合金製スローアウエイチツプにおい
ては、切刃を強化するために、切刃にホーニング
（面取り）を施すことが一般に行われている。こ
のホーニングは、例えば弾性を有し、かつスロー
アウエイチツプの端面より広い面を有する砥石を
用い、この砥石をスローアウエイチツプの切刃が
形成された端面に押圧密着させるとともに、スロ
ーアウエイチツプを接合面の方向へ相対移動させ
て行うものである。このようなホーニング方法に
よれば、切刃における砥石の圧力および移動に対
する抵抗が大きいので、切刃が砥石によつて削り
取られ、これによつて容易にホーニングを施すこ
とができる。

ところで、このようなホーニング方法によつて
第１図ないし第５図に示すような多角形状のスロ
ーアウエイチツプにホーニングを施した場合に
は、望ましいホーニング量を得ることが難しいと
いう問題がある。

この点について詳細に説明すると、第１図およ
び第２図、あるいは第３図に示すスローアウエイ
チツプは、切刃１の直線部２およびノーズ部３の
チツプ上面４からの距離を一定にしたものであ
る。これらのスローアウエイチツプに対して前述
したホーニング方法を行つた場合には、砥石の直
線部２に対する圧力および抵抗がノーズ部３に対
するそれらよりも小さくなり、砥石によつて削り
取られる量が直線部２の中央付近で小さくなり、
ノーズ部３で大きくなる。このため、このような
形状のスローアウエイチツプにあつては、直線部
２の中央付近のホーニング量が不足し易く、ノー
ズ部３のホーニング量が過大となり易いのであ
る。この結果、ノーズ部３の切れ味が悪くなり、
切削抵抗が増大してスローアウエイチツプが破損
するおそれがあり、他方、直線部２の中央付近の
強度が低下し、ノーズ部３から生じた切屑がたた
きつけられた場合、その部分が破損するおそれが
ある。

また、第４図および第５図に示すスローアウエ
イチツプにおいては、チツプ上面４から切刃１に
至る段差の寸法を、ノーズ部３で最小にし、直線
部２の中央２ａで次に小さくし、ノーズ部３と直
線部２の中央２ａとの間で最大にしているから、
直線部２の中央２ａのホーニング量が大きくな
り、従つて中央２ａ部分における切屑のたたきつ
けによる破損を防止することができる。しかし、
ノーズ部３のホーニング量は前述したものと同様
に過大になり易いという問題がある。

この考案は、前記従来の問題を解消するために
なされたもので、切刃のホーニング量を、ノーズ
部で小さくし、直線部の中央付近に向かうに従い
大きくすることができるスローアウエイチツプを
提供することを目的とする。

この考案の特徴は、切刃とチツプ座面との間
に、切刃をチツプ座面から他端面側へ向かつて離
間させる段差を、直線部の中央側からノーズ部に
向かうに従い漸次離間寸法が増大するように形成
した点にある。

以下、この考案の一実施例について第６図ない
し第９図を参照して説明する。第６図および第７
図は、それぞれこの考案のスローアウエイチツプ
の平面図および側面図である。このスローアウエ
イチツプは、超硬合金製で三角形状に形成されて
おり、その上端面には、周縁から内側へ向けて、
直線部１２とノーズ部１３とからなる切刃１１、
この切刃１１に沿うチツプブレーカ溝（チツプブ
レーカ）１５およびチツプ上面（チツプ座面）１
４が順次形成されている。

チツプ上面１４は、切刃１１から上方へ突出
し、切刃１１とチツプ上面１４との間には段差ｌ
が形成されている。この段差ｌは、直線部１２の
中央１２ａで最小で、そこからノーズ部１３に向
かうに従い、一定の割合で増大するように形成さ
れている。この増大する割合は、直線部１２に施
すべきホーニング量およびノーズ部１３に施すべ
きホーニング量の差によつて決められる。

このような形状のスローアウエイチツプに前述
したホーニング方法を行つた場合について、第６
図および第７図に第８図および第９図を併せて説
明する。第８図および第９図は、それぞれホーニ
ング時の直線部１２の中央１２ａにおける拡大断
面図およびノーズ部１３における拡大断面図であ
る。このスローアウエイチツプにおいては、段差
ｌが直線部１２の中央１２ａで小さく、ノーズ部
１３に向かうに従つて大きくなつているから、砥
石１６の切刃１１に対する圧力および抵抗が直線
部１２の中央で大きく、ノーズ部１３に向かうに
従つて小さくなる。従つて、切刃１１のホーニン
グ量が、直線部１２の中央１２ａで大きく、そこ
からノーズ部１３に向かうに従つて漸次小さくな
り、ノーズ部１３で最小となる。この結果、この
ような形状のスローアウエイチツプにおいては、
ノーズ部１３の切れ味が良好となり、直線部１２
の中央１２ａ付近の強度を向上させることができ
る。

なお、この考案は三角形状のスローアウエイチ
ツプに限られることなく、四角形状あるいはひし
形状等各種の多角形状のスローアウエイチツプに
適用することができる。また、スローアウエイチ
ツプの材質としては、超硬合金のみならず、サー
メツト等であつてもよい。

また、前記実施例においては、スローアウエイ
チツプの上端面にのみ切刃１１を形成している
が、上下両端面に形成してもよい。さらに、直線
部１２の中央１２ａ近傍をチツプ上面１４と面一
にし、そこからノーズ部１３に向かうに従つて寸
法が増大する段差ｌを形成してもよい。また、段
差ｌの変化する割合を一定にすることなく、ノー
ズ部１３に向かうに従い、漸増させたり、逆に漸
減させたりしてもよい。

さらに、前記実施例においては、チツプブレー
カ溝１５を切刃１１の全範囲に沿つて形成してい
るが、ノーズ部１３近傍にのみ形成してもよい。
また、チツプ上面１４を切刃１１よりも上方へ突
出させた場合には、チツプブレーカ溝１５を形成
しなくともよい。

以上説明したように、この考案のスローアウエ
イチツプによれば、切刃とチツプ座面との間に、
切刃をチツプ座面から他端面側へ向かつて離間さ
せる段差を、直線部の中央側からノーズ部に向か
うに従い漸次離間寸法が増大するように形成して
いるから、前述したようなホーニング方法を行つ
た場合、切刃のホーニング量を、ノーズ部で小さ
くし、直線部の中央側へ向かうに従つて大きくす
ることができるという効果を得ることができる。

この結果、波及的に次のような効果を得ること
ができる。

(1) ノーズ部の切れ味が良好となり、切削抵抗が
軽減してスローアウエイチツプの破損を防止す
ることができる。

(2) 切刃のホーニング量がノーズ部から直線部の
中央側に向かうに従つて漸次増大するから、重
切削加工の際の必要な切刃強度が得られ、切刃
の破損を防止することができる。

(3) 直線部の中央部のホーニング量が大きくなつ
てその部分の強度が向上するから、切屑のたた
きつけによる切刃の破損を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は従来のスローアウエイチ
ツプを示し、第１図はその一例を示す平面図、第
２図はその側面図、第３図は他の例を示す側面
図、第４図はさらに他の例を示す平面図、第５図
はその側面図、第６図ないし第９図はこの考案の
一実施例を示し、第６図はその平面図、第７図は
その側面図、第８図はホーニング加工時における
第６図の−線に沿う拡大断面図、第９図はホ
ーニング加工時における−線に沿う拡大断面
図である。 １１……切刃、１２……直線部、１３……ノー
ズ部、１４……チツプ上面（チツプ座面）、１５
……チツプブレーカ溝（チツプブレーカ）、ｌ…
…段差。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも一端面の周縁に直線部とノーズ部と
   からなる切刃が形成されるとともに、同一端面の
   内側にチツプ座面が形成され、かつ同一端面の少
   なくともノーズ部近傍には切刃に沿つてチツプブ
   レーカが形成されてなる多角形状のスローアウエ
   イチツプにおいて、前記切刃と前記チツプ座面と
   の間には、切刃をチツプ座面から他端面側へ向か
   つて離間させる段差が、前記直線部の中央側から
   前記ノーズ部に向かうに従い漸次離間寸法が増大
   するように形成されてなることを特徴とする多角
   形状のスローアウエイチツプ。