JPS6334232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の技術分野） 本考案は、たとえば電磁調理器である誘導加熱
装置に係り、特に加熱コイルの温度制御構造の改
良に関する。

（考案の技術的背景とその問題点） 近時、一般家庭において、誘導加熱装置である
電磁調理器が多用される傾向にある。この種調理
器は、口火を使わないため不燃性ガスで室内の空
気を汚すことなく清潔であること、ガスこんろや
電熱器と比較して熱効率が格段によく経済的であ
ること、および炎を使わないため引火の危険性が
なく、不完全燃焼、生ガス放出、ガス中毒などの
心配がなく、安全性に優れていることなど、種種
の利点を有する。

なかでも最大の特徴は、熱出力の制御，食品の
収容容器である鍋類の温度制御が正確にできる点
である。食品の調理には、それぞれ適切な熱出力
と、温度および時間が定まつているが、この調理
器はそれらを正確に調節することができる。

従来の電磁調理器は、第１図に示すような電気
回路を構成する。すなわち、ａは電源、ｂはメー
ンスイツチ，ｃはサーマルスイツチ，ｄは高周波
制御回路，ｅは加熱コイルである。上記サーマル
スイツチｃは、鍋ｆを載置する図示しないトツプ
プレートの裏面側あるいは上記加熱コイルｅを支
持する図示しない取付板の裏面側に取着され、こ
れらの温度を検知する。

いずれの場合も鍋ｆと相関関係をもつている
が、その設定温度はいずれも過熱保護を目的とし
ている。空焼きが生じそうな場合、鍋ｆからの伝
熱あるいは輻射熱を受けてサーマルスイツチｃは
温度上昇し、設定温度に到達したときオフとなり
高周波制御回路ｄへの電源供給を停止する空焼き
防止装置として用いられることとなる。

ところで、このサーマルスイツチｃの設定温度
は、たとえば鉄板焼き，天ぷら揚げなどの高温調
理を考慮し、これより高い温度となつている。そ
のため、食品を収容したまま過熱状態となりサー
マルスイツチｃが動作する時には、上記食品は焼
け焦げたり鍋ｆに焼け付く虞れがあり危険であ
る。しかもトツププレートはかなりの高温状態に
なり、手など触れれば火傷の危険がある。

（考案の目的） 本考案は、上記事情に着目してなされたもので
あり、その目的とするところは、被加熱物収容容
器に対する空焼き防止と、この防止温度より低温
度に設定し被加熱物に対する焦げ付きによる危険
防止とを被加熱物に応じて選択して切換可能とし
た誘導加熱装置を提供しようとするものである。

（考案の概要） 本考案は、電源と加熱コイルとの間に、高温加
熱動作時の温度以上の温度に設定され被加熱物収
容容器に対する空焼き防止用の第１の制御体と、
高温加熱動作時の温度と略同程度の温度に設定さ
れ被加熱物に対する焦げ防止用の第２の制御体と
を直列に接続し、これら第１，第２の制御体の作
用を切換るスイツチとを設けて、被加熱物に応じ
て制御体の作用を選択可能としたものである。

（考案の実施例） 以下、本考案の一実施例を電磁調理器に適用し
て説明する。第２図は電磁調理器の外観を示し、
薄函状の調理器本体１の上面側には、たとえば耐
熱ガラスで形成されるトツププレート２が設けら
れる。前面側にはメーンスイツチ摘み３，パイロ
ツトランプ４，低温加熱である一般調理から高温
加熱である鉄板焼きまで設定温度を無段階に選択
可能な温度調節摘み５，切換スイツチ摘み６など
が設けられる。

第３図は、調理器本体１内に設けられる電気回
路を示す。７は電源８に接続されるメーンスイツ
チであり、上記メーンスイツチ摘み３によつて開
閉される。９は第１の制御体であるところの第１
のサーマルスイツチである。この第１のサーマル
スイツチ９は後述する高温加熱動作時の温度より
高い温度を検知したとき開となり、それ以下の温
度は閉となるものである。１０は、この第１のサ
ーマルスイツチ９と直列に接続される第２の制御
体であるところの第２のサーマルスイツチであ
る。この第２のサーマルスイツチ１０は後述する
高温加熱動作時の温度より低い温度を検知したと
き開となり、それ以下の温度では閉となるもので
ある。なお、第１，第２のサーマルスイツチ９，
１０とも、たとえばトツププレート２の裏面側に
感熱部を密着し、被加熱物温度を検知できるとよ
い。１１は、第２のサーマルスイツチ１０と並列
に接続される切換スイツチであり、上記切換スイ
ツチ摘み６により開閉される。１２は、第２のサ
ーマルスイツチ１０に直列に接続される高周波制
御回路であり、整流回路、インバータ回路および
制御回路などからなる。交流電源を整流回路で整
流し、インバータ回路は制御回路と連動して高周
波を発生させるようになつていて、制御回路は上
記温度調節摘み５の指示に応じて高周波出力を制
御できるものである。１３は、上記高周波制御回
路１２と直列に接続される加熱コイルである。こ
の加熱コイル１３は、上記トツププレート２の下
方部位に、狭小の間隙を存して対向位置するもの
である。このように、上記第１，第２のサーマル
スイツチ９，１０は、電源８から高周波制御回路
１２および加熱コイル１３を接続する電源ライン
に直列に設けられることになる。

しかして、加熱調理する前に温度調節摘み５を
操作して調理方法に合つた温度を設定するととも
に切換スイツチ摘み６を操作して切換スイツチ１
１を開または閉とする。たとえば、煮物料理など
比較的低温の一般料理をする場合は、切換スイツ
チ１１を開，天ぷら揚げや鉄板焼きなど高温を必
要とする調理の場合は切換スイツチ１１を閉とす
る。ついで電源スイツチ７を閉とすると、加熱コ
イル１３は誘導加熱され、トツププレート２上の
被調理物収容容器である鍋１４との間にうず電流
が生じて鍋１４は加熱される。

切換スイツチ１１を開にした一般調理の場合、
鍋１４の温度が一般調理温度を越えると、第２の
サーマルスイツチ１０はこれを検知して開とな
り、高周波制御回路１２への電源供給を停止す
る。すなわち、高温加熱時温度よりも低い温度で
第２のサーマルスイツチ１０が開となり、電源８
が切れて鍋１４の中の被調理物が焦げ付く以前に
加熱が停止する。切換スイツチ１１の開は、焦げ
付き防止スイツチとなる。鍋１４の温度が第２の
サーマルスイツチ１０の設定温度より低下した
ら、再びこのスイツチ１０は閉となり、加熱が再
開される。

切換スイツチ１１を閉にした高温調理の場合、
鍋１４の温度が高温調理温度を越えると、第１の
サーマルスイツチ９はこれを検知して開となり、
電源８が切れて高周波制御回路１２への電源供給
を停止する。すなわち、鍋１４の空焼きが生じる
以前に加熱が停止するので、切換スイツチ１１の
閉は空焼き防止スイツチとなる。また、第１のサ
ーマルスイツチ９の開以前に、これより設定温度
の低い第２のサーマルスイツチ１０が開となる
が、切換スイツチ１１が並列に接続され、閉であ
るので加熱動作は継続中２０鍋１４の温度が第１
のサーマルスイツチ９の設定温度より低下した
ら、再びこのスイツチ９は閉となり、加熱が再開
される。

なお上記実施例においては、第２のサーマルス
イツチ１０と並列に切換スイツチ１１を接続する
回路を形成したが、これに限定されるものではな
く、たとえば第４図に示すようにしてもよい。す
なわち、第１のサーマルスイツチ９と第２のサー
マルスイツチ１０とを切換スイツチ１１ａの接点
１１ｂを介して直列に接続し、第２のサーマルス
イツチ１０と切換スイツチ１１ａの接点１１ｃを
並列に接続してなる。切換スイツチ１１ａを接点
１１ｂ側にすれば、第２のサーマルスイツチ１０
が作動する焦げ付き防止を得、接点１１ｃ側に切
換えれば第１のサーマルスイツチ９が作動する空
焼き防止を得る。（なお、第３図と同一個所は同
番号を付して説明を省略する。） （考案の効果） 本考案は以上説明した通りであり、被加熱物収
容容器に対する空焼き防止と、被加熱物に対する
焦げ付き防止とを被加熱物に応じて選択して切換
できることとなり、安全性の向上化と使い勝手の
向上化を得るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の従来例を示す誘導加熱装置で
ある電磁調理器の電気回路図、第２図は本考案の
一実施例を示す電磁調理器の斜視図、第３図はそ
の電気回路図、第４図は本考案の他の実施例を示
す電気回路図である。 ２……トツププレート、１……装置本体、１３
……加熱コイル、１２……高周波制御回路、１４
……被加熱物収容容器（鍋）、９……第１の制御
体（第１のサーマルスイツチ）、１０……第２の
制御体（第２のサーマルスイツチ）、１１……切
換スイツチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面にトツププレートを備えた装置本体と、こ
   の装置本体内の上記トツププレート下方部位に設
   けられた加熱コイルと、この加熱コイルと電源と
   の間に設けられた高周波制御回路とを具備し、加
   熱コイルを電磁誘導することによりトツププレー
   ト上の被加熱物収容容器にうず電流を発生させて
   加熱するものにおいて、上記電源と加熱コイルと
   の間に、高温加熱動作時の温度以上の高温度に設
   定され被加熱物収容容器に対する空焼き防止用の
   第１の制御体および高温加熱動作時と略同程度の
   温度に設定され被加熱物に対する焦げ付き防止用
   の第２の制御体とを直列に接続し、これら第１の
   制御体と第２の制御体の作用を切換えるスイツチ
   を設け、上記被加熱物収容容器に対する空焼き防
   止と被加熱物に対する焦げ付き防止とを被加熱物
   に応じて選択切換可能としたことを特徴とする誘
   導加熱装置。