JPS6334123Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、磁気ヘツドを設けて固定ドラム上を
回転する回転ドラムの周面で磁気テープを案内す
るヘリカルスキヤン方式の磁気記録再生装置に設
けられたガイドドラムに係り、特に磁気テープの
走行を円滑にして良好な再生画像を得るようにし
たガイドドラムに関する。

（従来の技術） 一般に、この種ヘリカルスキヤン方式の磁気記
録再生装置においては、磁気テープはガイドドラ
ムの周面に所定の角度範囲に亘つて螺旋状に巻付
けられて走行するものである。そのため、通常ガ
イドドラムの下側の固定ドラムには、磁気テープ
を螺旋状に所定走行経路に沿つて走行するよう
に、テープ走行ガイドが設けられている。

上記ガイドドラムと磁気テープとの関係は第３
図Ａ，Ｂに示す如くになつている。

即ち、ガイドドラム１は上側の円筒状の回転ド
ラム２と、これと所定の間隔を保つて回転支持す
る下側の円筒状の固定ドラム３とよりなり、磁気
テープＴはガイドドラム１の両側に移動配置され
る一対のガイドポール４，５に案内されて、ガイ
ドドラム１の外周面を所定の角度（約0゜〜185゜）
範囲に亘つて添接しながら矢印Ｘ方向に走行す
る。これにより、回転ドラム２の下面側の窓部２
ａに設けられた磁気ヘツド６ａ，６ｂが矢印Ｙ方
向に高速（例えば1800rpm）で回転して、ガイド
ドラム１の周面の磁気テープＴ上を長手方向に対
して斜めに走査して映像信号を記録または再生す
る。

また、ガイドドラム１は磁気テープＴが磁気ヘ
ツド６ａ，６ｂに良好に接触するように、下側の
固定ドラム３のテープ摺接面３ｂの外径は上側の
回転ドラム２の外径より若干小（例えば数μm）
とされると共に、磁気テープＴの下端部をガイド
するよう略直角状に突出したテープガイド部３ａ
が形成されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、この回転ドラム２の高速回転によつ
て、ガイドドラム１の外周面には流体力学的な空
気流が生じ、これがガイドドラム１と磁気テープ
Ｔとの間に第４図に示す如くの空気層（エアフイ
ルム）７を形成する。この空気層７の厚さはガイ
ドドラム１に対する磁気テープＴの巻付け部全体
に亘つて均一に形成されるものではなく、磁気テ
ープＴの走行方向の上流であるガイドドラム１に
対する入口部分Ａでは最も厚く、中央部分Ｂ、出
口部分Ｃに移るにつれて徐々に薄くなる傾向にあ
る。空気流による回転ドラム２に対する磁気テー
プＴの浮上量ｈは第５図中曲線で示す如く、ガ
イドドラム１の入口部分Ａから中央部分Ｂ、さら
に出口部分Ｃに移るにつれて徐々に小となつて変
化する。特に磁気テープＴが中央部分Ｂを通過し
て出口部分Ｃに至ることろでは、回転ドラム２側
に比べて径の小さい固定ドラム３側により多く対
向するようになるので、マイナス側に転じる状態
となる。

即ち、上記磁気テープＴは、ガイドドラム１の
入口部分Ａにおいては第４図中二点鎖線で示す如
く最も回転ドラム２の周面側より浮上しているも
のの、この出口部分Ｃにおいては同図中実線で示
すように回転ドラム２の周面側に最も接近する。
よつて、ガイドドラム１のテープ巻回面における
磁気テープＴのヘツド接触圧（ヘツド面圧）は巻
付角度の増加とともに増加している。従つて、磁
気ヘツド６ａ，６ｂと磁気テープＴとの均一な接
触が保てなく、スキユー調整が行なえなくなり、
その結果、互換性が取れないという問題点があ
る。

また、上記出口部分Ｃでは回転ドラム２の周面
側に最も接近してヘツド接触圧が高くなつている
磁気テープＴを、回転ドラム２の周面から空気層
７の厚みより若干大なる寸法に突出して設けられ
た磁気ヘツド６ａ，６ｂがたたいて通過し急激に
離反することになるので、ヘツドたたき現象や磁
気テープＴの振動が発生していた。これによつ
て、磁気テープＴや磁気ヘツド６ａ，６ｂの損傷
および磁気ヘツド６ａ，６ｂへの磁気テープＴの
磁粉の付着なども生じ良好な画像の記録・再生を
困難とするばかりか、磁気ヘツドの回転に対する
抗力が60Hzでパルス的（周期的）に作用すること
になつて、モータなどの回転力を磁気ヘツド６
ａ，６ｂに伝達する回転ドラム２の回転が乱れ、
モータの負荷トルクを増大させると共に、これの
消費電力が大となる問題点が生じる。

さらに、回転ドラム２の回転の乱れによる回転
ムラおよび離反時に生じる磁気テープＴの振動な
どにより、再生された信号には時間軸変動が起
り、その結果として再生画面には、ジツターが目
だつて現われ、良好な画像を再生する上で障害と
なつていた。

そこで、仮に磁気ヘツド６ａ，６ｂの回転ドラ
ム２からの突出量を小さくした場合には、出口部
分Ｃにおける磁気ヘツド６ａ，６ｂの磁気テープ
Ｔに対するヘツドたたき現象および離反時の磁気
テープＴの振動の発生は減るものの、完全に防止
できるものではなく、しかも入口部分Ａにおける
磁気テープＴと磁気ヘツド６ａ，６ｂとの接触が
保てなくなるなどの不具合が生じる。

また、近年、メタルテープおよび合金薄膜テー
プなどの蒸着テープなどが次々と開発されている
が、これらのテープは曲げこわさが大であるた
め、上記従来構成のガイドドラム１では均一なヘ
ツドタツチを望むことは益々困難となつて、上記
の要因によつて良好な記録・再生を望むことはさ
らに難しくなつている。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記した従来の各種の欠点を除去すべ
くなされたものであり、磁気ヘツドが設けられ固
定ドラムに回転自在に支持されて回転する回転ド
ラムを備え、外周面で磁気テープを案内するガイ
ドドラムにおいて、前記固定ドラムの磁気テープ
摺接面の中央部分から出口部分近傍に亘る少なく
とも一部分に、磁気テープが進入する入口部分か
ら中央部分に亘る部分の外形より径小なる円弧状
凹部をテープガイド部より連設すると共に、その
上端部に上記回転ドラムの径より張り出した大径
部を一体形成し、この大径部により前記磁気テー
プを強制的に浮上させるようにしたことを特徴と
するガイドドラムを提供することを目的とするも
のである。

（作用） 固定ドラム３のテープ摺接面３ｂの中央部分Ｂ
より出口部分近傍に亘る少なくとも一部分に、磁
気テープが進入する入口部分から中央部分に亘る
部分の外形より径小なる円弧状凹部をテープガイ
ド部より連設すると共に、その上端部に回転ドラ
ムの径より張り出した大径部を一体形成したた
め、磁気テープＴは安定して走行し、特に出口部
分で強制的に浮上され、回転ドラム２周面側への
接近およびヘツド接触圧を軽減して、ジツターな
どのない良好な画像の再生を可能とし、モータ負
荷などを軽減し得る。

（実施例） 第１図は本考案になるガイドドラムの好適な一
実施例を示す一部縦断側面図、第２図は本考案の
要部の一部を構成する固定ドラムの平面図、同図
中、第３図、第４図に示す従来のガイドドラム１
と同一の部分には同一の符号を付してその具体的
な説明は省略する。

第１図、第２図に示す如く、ガイドドラム９
は、その固定ドラム３の磁気テープＴが摺接する
テープ摺接面３ｂの中央部分Ｂより出口部分Ｃ
（第３図に示す）に亘る部分（約120゜〜190゜の範
囲）には、磁気テープが進入する入口部分Ａから
中央部分Ｂに亘る部分（領域）の外径より小なる
径を備えた円弧状の凹部３ｃがテープガイド部３
ａより連設形成されると共に、この円弧状の凹部
３ｃの回転ドラム２の近接した上端部には、特に
出口部分Ｃの外径が回転ドラム２の外径寸法よ
り、例えば200μm程度張り出すように滑らかに突
出した円弧状の大径部３ｄが突出形成してある。

即ち、テープガイド部３ａより円弧状の凹部３
ｃの上端部までは外側に傾斜した傾斜面を構成す
ることになる。

なお、固定ドラム３のテープガイド部３ａの高
さｐと円弧状の凹部３ｃの内壁p₁との高さの関係
は、ｐ〈p₁としてある。

従つて、このように構成した本考案になるガイ
ドドラム９において、第３図に示すように、テー
プガイド部３ａに沿つて摺接しながら走行する磁
気テープＴは、中央部分Ｂより出口部分Ｃにかけ
て回転ドラム２の周面に対して固定ドラム３のテ
ープ摺接面３ｂ側より多く対向するようになるた
め、磁気テープＴの浮上量ｈは第５図中曲線に
示す如くマイナス側に転じて回転ドラム２の周面
側に接近しようとするが、テープ摺接面３ｂ上の
上記中央部分Ｂから出口部分Ｃにかけて突出形成
した円弧状の大径部３ｄの作用によつて強制的に
浮上させられ、その結果、回転ドラム２に対する
磁気テープＴのテープ浮上量ｈは第５図中曲線
で示す如く、ドラムの中央部分Ｂより出口部分Ｃ
にかけて、つまり、テープ添接角の約120゜〜185゜
の範囲に亘つてマイナス側からプラス側に転じる
ので、中央部分Ｂより出口部分Ｃにおける磁気テ
ープＴの回転ドラム２周面側への接近を防止する
と同時に、磁気ヘツド６ａ，６ｂに対するヘツド
接触圧を軽減して略均一とすることができる。こ
れによつて、磁気テープＴの巻付部全体に亘つて
磁気ヘツド６ａ，６ｂと磁気テープＴとの安定し
た接触が維持でき、スキユー調整などに際し互換
性が取り易くなると共に、特に出口部分Ｃでは磁
気ヘツド６ａ，６ｂが磁気テープＴにスムーズに
接触して通過し、スムーズに規範するようになつ
ているので、磁気ヘツド６ａ，６ｂにの磁気テー
プＴに対するヘツドたたき現象および離反時の磁
気テープＴの振動を回避でき、画像へのジツター
（歪み）などを防止できる。

さらに、磁気ヘツド６ａ，６ｂが磁気テープＴ
を一定の周期で繰返えしてたたくことに起因する
回転ドラム２の目立ち易いジツターを生じさせる
周波数帯域における回転速度の変動の抑制、およ
び磁気ヘツド６ａ，６ｂ、磁気テープＴの損傷を
防止し、その結果、信号再生時の時間軸変動が軽
減されて、ジツターが現われることなく、高品位
な画像の記録または再生が行ない得る。

また、本考案は、動力のアンバランスを強く抑
制してモータの安定した回転が望めると共に、モ
ータの負荷トルクの増大やこれの消費電力が大と
なるような上記従来の問題点が解消される。

また、固定ドラム３のテープ摺接面３ａの出口
部分Ｃに形成された大径部３ｄとテープガイド部
３ａとの間の傾斜面によつて走行する磁気テープ
Ｔには下向きの力ｆが作用するため、磁気テープ
Ｔはテープガイド部３ａ上に安定した状態で走行
することが可能となる。

なお、本考案の実施例においては、固定ドラム
３の中央部分Ｂより出口部分Ｃの少なくとも一部
分に、上部の回転ドラム２の径より大なる円弧状
の大径部３ｄを突出形成するようにしたので、磁
気テープＴの浮上量ｈを中央部分Ｂより徐々にプ
ラス側に補正することができ、磁気ヘツド６ａ，
６ｂと磁気テープＴとの接触をよりスムーズにす
ることができ望ましいが、この円弧状の大径部３
ｄを固定ドラム３のテープの出口部分Ｃの近傍の
みに突出形成しても良い。この場合でもこの出口
部分Ｃに生じる磁気テープＴの回転ドラム２への
接近およびヘツド接触圧の増加を回避できるの
で、磁気ヘツド６ａ，６ｂ磁気テープＴに対する
ヘツドたたき現象や離反時のテープ振動の発生な
どをなくして、ジツターなどの軽減に大きく寄与
するものであるから、本考案はこの実施例に限定
されるものではない。また、本考案はガイドドラ
ム９に対する磁気テープＴの添接角が180゜の例で
説明したが、例えば添接角が270゜の場合など、磁
気テープＴの添接角が大きくなると、上記ヘツド
たたき現象や離反時のテープ振動による画像への
悪影響などが表われ易く、これらの抑制効果を顕
著に奏し得ることができ得るので、これに限定さ
れるものではない。

（考案の効果） 以上の如く、本考案になるガイドドラムは、固
定ドラムのテープ摺接面の中央部分から出口部分
近傍に亘る少なくとも一部分に、磁気テープが進
入する入口部分から中央部分に亘る部分の外形よ
り径小なる円弧状凹部をテープガイド部より連設
すると共に、その上端部に回転ドラムの径より張
り出した大径部を一体形成しているため、磁気ヘ
ツドがガイドドラム周面上に添接している磁気テ
ープを走査する時に、磁気テープとガイドドラム
との間隔が適切に維持でき、特に、ガイドドラム
の出口部分に生じる磁気テープの回転ドラム側へ
の接近およびヘツド接触圧の増加による磁気ヘツ
ドの磁気テープに対するヘツドたたき現象や離反
時の磁気テープの振動を抑制して、ジツター、色
むらなどが軽減され、また磁気ヘツドおよび磁気
テープが損傷することなく高品位な画像の記録ま
たは再生ができ、かつ上記円弧状凹部の作用によ
つて磁気テープにはテープガイド部への下向きの
力が作用して安定した走行を行ない得るなどの特
長がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になるガイドドラムの好適な一
実施例を示す一部縦断側面図、第２図は第１図に
示す固定ドラムの平面図、第３図は一般的なガイ
ドドラムとこれに巻装された磁気テープの走行状
態を示す説明図、第４図はガイドドラムの周面を
浮上している磁気テープの状態を示す一部拡大断
面図、第５図は回転ドラム上の磁気テープのテー
プ浮上量を示す図である。 ２……回転ドラム、３……固定ドラム、３ａ…
…テープガイド部、３ｂ……テープ摺接面、３ｃ
……凹部、３ｄ……大径部、９……ガイドドラ
ム、Ｔ……磁気テープ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 磁気ヘツドが設けられ固定ドラムに回転自在
   に支持されて回転する回転ドラムを備え、外周
   面で磁気テープを案内するガイドドラムにおい
   て、前記固定ドラムの磁気テープ摺接面の中央
   部分から出口部分近傍に亘る少なくとも一部分
   に、磁気テープが進入する入口部分から中央部
   分に亘る部分の外形より径小なる円弧状凹部を
   テープガイド部より連設すると共に、その上端
   部に回転ドラムの径より張り出した大径部を一
   体形成し、この大径部により前記磁気テープを
   強制的に浮上させたことを特徴とするガイドド
   ラム。 (2) 固定ドラムの磁気テープ摺接面の上端部に一
   体形成した大径部は、磁気テープ摺接面の中央
   部分から出口部分近傍の全体に亘つて略円弧状
   に形成したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のガイドドラム。 (3) 固定ドラムの磁気テープ摺接面の上端部に一
   体形成した大径部は、磁気テープ摺接面の出口
   部分近傍のみに略円弧状に形成したことを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載のガ
   イドドラム。