JPS6333287Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動二輪車等に適用される２灯式
ヘツドライトに関するものである。

ヘツドライトは、走行ビームとすれ違いビーム
とを備えることが要件とされ、それぞれのビーム
毎に所定の配光パターンが要求されている。例え
ば、すれ違いビームであれば、対向車線側の運転
者の目の高さとなる範囲の照度が低く、かつ進行
車線側となる範囲の照度が高くなる傾向の配光パ
ターンである。

ところで、ヘツドライトとして、従来より走行
用フイラメントとすれ違い用フイラメントとを備
えたライトユニツトを左右に２個隣接して成る２
灯式ヘツドライトが知られているが、このような
型式のヘツドライトでは、光束が焦束する走行ビ
ームとした時に、第１図に示すようにやや遠方に
各ライトユニツト１ａ，１ｂから出た光束２ａ，
２ｂが互いに重なり合う重合部３ができる。この
重合部３は、各ライトユニツト１ａ，１ｂからの
光束２ａ，２ｂが重なり合う分だけ光束密度が増
大するため、各ライトユニツト１ａ，１ｂから重
合部３に行く光束の密度を予め低減させておかな
いと、重合部３の範囲の照度がその他の部分より
極端に大となり、走行用ビームの配光規格に適合
しなくなる等の不都合が発生する。

したがつて、２灯式ヘツドライトを設計する場
合には、前述のような不都合の発生を防止するた
めに、各ライトユニツト１ａ，１ｂから重合部３
に行く光束の密度を低減させることが要件とさ
れ、この要件を満たすように、従来より、レンズ
の形状等に工夫を施しているが、レンズの形状だ
けで重合部３の照度を低減させることは非常に困
難なことであり、レンズの設計に費やされる労力
が大となる。

この考案は、前記事情を考慮してなされたもの
で、走行ビームとして使用する場合に、レンズ以
外の部分によつて重合部に行く光束の密度を低減
させて重合部の照度を低下させることができ、し
たがつてレンズの設計に要求される条件が緩和さ
れ、レンズ設計に多大な労力を要しない２灯式ヘ
ツドライトを提供することを目的とするものであ
り、その特徴とするところは、左右に隣接させる
ライトユニツトとして、走行用フイラメントが反
射鏡の焦点に位置する形式のものを使用し、かつ
各ライトユニツトには、その反射鏡の内側寄りの
位置にポジシヨンライト用電球を設けたところに
ある。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第２図は本考案を適用した自動二輪車を示した
もので、５は前輪、６は後輪、７はシート、８は
燃料タンク、９はハンドル、１０はフエアリン
グ、１１は本考案に係る２灯式ヘツドライトであ
る。

前記２灯式ヘツドライト１１はフエアリング１
０の前部を収容ケースとして利用して、２個の角
形のライトユニツト１２，１２を左右に隣設させ
たもので、ライトユニツト１２としては、第３図
および第４図に示す如く、走行用フイラメント１
２ａが反射鏡１２ｂの焦点位置Ａに設けられ、か
つすれ違い用フイラメント１２ｃが焦点位置より
前方（第４図で下方）の光軸Ｂ上に設けられる形
式のものが使用されている。そして、これらの各
ライトユニツト１２には、第２図および第３図に
示す如く、反射鏡１２ｂの内側寄り（右側のライ
トユニツトなら左側寄り、左側のライトユニツト
なら右側寄り）で、かつ高さ方向の中央の位置
に、それぞれポジシヨンライト用電球１３が設け
られている。

前述のように、走行用フイラメント１２ａが焦
点に位置していると、走行用フイラメント１２ａ
から出て反射鏡で反射された光Ｃは、第４図に示
す如く、光軸Ｂとほぼ平行に進み、やや遠方
（JIS規格では約10ｍ前方）で拡散する。したがつ
て、第５図に示すように、各ライトユニツト１２
の反射鏡１２ｂの内側寄りで反射した光C₁，C₂
が互いに中央部（両ライトユニツト１２，１２に
よつて照射される全幅の中央部）で交差して、各
ライトユニツト１２，１２から出た光束が互いに
重なり合う重合部１４が形成されることとなる
が、本考案のヘツドライトでは、各反射鏡１２
ｂ，１２ｂの内側寄りの反射面の一部がポジシヨ
ンライト用電球１３によつて専有されるため、そ
の分内側寄りでの反射光が少くなり、重合部１４
へ行く光束の密度が小となつて重合部１４の照度
が低減される。換言すると、本考案のヘツドライ
ト１１においては、ポジシヨンライト用電球１３
の配置によつて重合部１４の照度が低減され、し
たがつて、その分ライトユニツト１２のレンズ１
２ｄに要求される条件が緩和され、レンズ設計に
要する労力が軽減される。

なお、前述の実施例では、ポジシヨンライト用
電球１３の取付位置を、反射鏡１２ｂの内側寄り
で、かつ高さ方向の中央位置としたが、第６図に
示すように、ポジシヨンライト用電球１３を反射
鏡１２ｂの内側寄りで、かつ下方に寄せて配置し
てもよく、このような配置とした場合には、配光
パターンをヨーロツパの配光パターンに適合させ
るライトユニツトにも共通して適用可能となる。

以上説明したように、本考案の２灯式ヘツドラ
イトは、左右に並べられた各ライトユニツトの反
射鏡の内側寄りにそれぞれポジシヨンライト用電
球を設けた構成であり、該ポジシヨンライト用電
球によつて各ライトユニツトから出た光束が重な
り合う重合部の照度が低減されるから、その分、
レンズの要求される条件が緩和され、レンズ設計
に要する労力が軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の２灯式ヘツドライトの説明図、
第２図は本考案の一実施例を適用した自動二輪車
の斜視図、第３図は本考案の一実施例の斜視図、
第４図は第３図の−線に沿う概略断面図、第
５図は一実施例の作用説明図、第６図は本考案の
他の実施例を車体前方から見た場合の要部の説明
図である。 １１……２灯式ヘツドライト、１２……ライト
ユニツト、１２ａ……走行用フイラメント、１２
ｂ……反射鏡、Ａ……焦点位置、Ｂ……光軸、１
３……ポジシヨンライト用電球、１４……重合
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行用フイラメントとすれ違い用フイラメント
   とを備えたライトユニツトを左右に２個隣設させ
   て成る自動二輪車等の２灯式ヘツドライトであつ
   て、前記ライトユニツトとして走行用フイラメン
   トが反射鏡の焦点に位置する形式のものを使用す
   るとともに、各ライトユニツトには反射鏡の内側
   寄りの位置にポジシヨンライト用電球を設けたこ
   とを特徴とする自動二輪車等の２灯式ヘツドライ
   ト。