JPS6332818Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は壁下部の構造に関するものである。

従来、住宅の外壁となる耐力壁には第１図のも
のが使用されている。すなわち、１は耐力壁パネ
ルであり、基礎２のアンカーボルト３に固定され
た土台４に、耐力壁パネル１の下端の接合片５を
ボルトナツト６で接合している。耐力壁パネル１
の上端は梁７に固定されている。８はモルタルで
あり、耐力壁パネル１の下端と基礎２の上面との
間にはラス（図示せず）が設けられる。しかし、
耐力壁パネル１に作用する荷重により、耐力壁パ
ネル１と土台４とを接合するボルトナツト６に剪
断力が作用し、ボルトナツト６が破断し易いとい
う問題がある。

そのため、新耐震設計により、第２図および第
３図に示す耐力壁構造が提案された。すなわち、
耐力壁パネル１′の下端に、底板９ａと２枚の立
片９ｂとからなる脚部９を設け、脚部９の底板９
ａを基礎２のアンカーボルト３にナツト固定した
ものである。この構成であると、引張接合となる
ため、優れた強度が得られる。しかし、土台を介
さずに直接に耐力壁パネル１′の脚部９を基礎２
のアンカーボルト３に固定するため、モルタル用
のラスを取付けることができないという問題があ
つた。ラスを耐力壁パネル１の脚部９に予め取付
けておくと、アンカーボルト３と脚部９との締付
ができなくなり、また耐力壁パネル１′の製造や
運搬に邪魔になるという問題がある。

したがつて、この考案の目的は、壁パネルの脚
部を直接に基礎に固定する構造でありながら、ラ
スを容易に取付けることのできる壁下部の構造を
提供することである。

この考案の一実施例を第４図に示す。図におい
て、１０は耐力壁パネルであり、下枠１０ａの下
面に脚部９が突設されている。脚部９は第２図お
よび第３図の例と同様であり、底板９ａと２枚の
立片９ｂとからなる。脚部９は耐力壁パネル１０
の幅方向に複数個設けられている。また、下枠１
０ａの下面には外側縁の近傍に沿つてラス取付溝
１１が設けられている。脚部９の底板９ａは、基
礎２の上面に板状のスペーサ１２を介して載せら
れ、基礎２に植設されたアンカーボルト３にナツ
ト１３によりワツシヤ１４およびラス取付板１５
とともに締付固定される。ラス取付板１５はアン
カーボルト３の挿通孔（図示せず）を有し、かつ
外側縁部分が脚部９の底板９ａから浮上がるよう
に屈曲されて底板９ａとの間に係合用隙間１６を
形成している。１７は鉄板をＬ字形に折曲してな
るラスであり、底片部分の先端および立片部分の
先端に折返し部１７ａ，１７ｂが設けられてい
る。ラス１７の両先端はそれぞれ耐力壁パネル１
０のラス取付溝１１と、ラス取付板１５の先端の
係合用隙間１６とに嵌入される。ラス１７の折返
し部１７ａ，１７ｂは、取付前においては広く開
いており、ラス取付溝１１および係合用隙間１６
に圧入することにより狭められて弾性的に嵌合す
る。１８は基礎２の外側面に塗られた仕上用のモ
ルタルであり、その上部１８ａはラス１７の外側
面を覆うように盛り上げられている。なお、ラス
１７にはモルタル１８との付着性を良くするた
め、多数の打抜孔または切起片等が設けられてい
る。また、ラス１７はワイヤラスであつてもよ
い。

このように構成したため、耐力壁パネル１０の
脚部９を基礎２のアンカーボルト３にラス取付板
１５とともに固定した後、ラス１７の両端を耐力
壁パネル１０のラス取付溝１１とラス取付板１５
の先端の取付用隙間１６とに差込むことによつて
ラス１７の取付けが行なえる。このように、ビス
締めや釘打ち等を行なわずに簡単にラス１７の取
付けを行なうことができる。また、そのため予め
耐力壁パネル１０にラス１７を取付けておく必要
がなく、耐力壁パネル１０の基礎２への固定が困
難になつたり、運搬の邪魔になつたりすることが
ない。

以上のように、この考案の壁下部の構造は、壁
パネルの下端面にラス取付溝を形成するととも
に、壁パネルの脚部の底板をアンカーボルトに固
定したナツトの下にラス取付板を挾み込み、この
ラス取付板と脚部底板との間に形成された係合用
隙間と前記ラス取付溝とにＬ形のラスの両端を差
込むようにしたものであるから、壁パネルの脚部
を基礎に直接に固定する構造でありながら、ラス
を容易に取付けることができるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は外壁の従来例の断面図、第２図は外壁
の提案例の断面図、第３図はその斜視図、第４図
はこの考案の一実施例の断面図である。 ２……基礎、３……アンカーボルト、９……脚
部、９ａ……底板、９ｂ……立片、１０……耐力
壁パネル、１１……ラス取付溝、１３……ナツ
ト、１５……ラス取付板、１６……係合用隙間、
１７……ラス、１８……モルタル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アンカーボルトが上面に植設された基礎と、下
   端面の外側縁近傍に沿つて下地板取付溝を有しか
   つ下端面に底板と立片とからなる脚部を有し前記
   底板が前記基礎の上面に載せられて前記アンカー
   ボルトにナツトで固定された壁パネルと、前記ナ
   ツトと前記脚部の前記底板との間に締付固定され
   外側縁が前記底板から浮上がつてこの底板との間
   に係合用隙間を形成したラス取付板と、Ｌ形に折
   曲されて底片部分の先端が前記係合用隙間に挿入
   されかつ立片部分の上端が前記ラス取付溝に挿入
   されたラスとを備えた壁下部の構造。