JPS6332457Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は、自動車等車両に使用される変速機の
ギヤがた打ち音防止装置に関する。

〔従来技術〕

自動車等車両に使用される変速機は、最近では
常時噛合ギヤによる変速方式が普通に採用されて
おり、変速ギヤは変速位置のニユートラル時でも
常時噛み合つている。すなわち、カウンタシヤフ
ト上のギヤとこれと噛み合うギヤとは常に噛み合
つた状態にある。

変速ギヤの噛み合いには、バツクラツシが存在
するため、変速位置のニユートラル状態のように
無負荷の回転状態では、エンジンの回転変動等を
受けてこの噛み合い部分でがた打ちすることがあ
る。このがた打ちはギヤ打ち音として車両の運転
者等に不快感を与えることがある。

〔考案の目的〕

而して、本考案は上述した従来の点に鑑みてな
されたものであつて、その目的とするところは、
変速ギヤ対の一方のギヤを取付けたカウンタシヤ
フトに抵抗を付与することにより、ギヤがた打ち
音の発生を防止することにある。

〔考案の構成〕

この目的を達成するために、本考案の車両用変
速機のギヤがた打ち音防止装置の構成は、ポンプ
により強制潤滑供給油圧が発生され、この供給油
圧が、変速位置に応じて移動するフオークシヤフ
トに設けられた供給油路を通じて所定の潤滑部位
個所に送られて、潤滑部位が強制潤滑するように
なされた車両用変速機であつて、前記ポンプが変
速機のカウンタシヤフトに設けられると共に、フ
オークシヤフトに設けられる供給油路とポンプか
らの供給油路とが直接に連結する連結部の位置関
係が、フオークシヤフトが走行変速位置に移動し
たときには連通位置にあるがニユートラル変速位
置に移動したときには遮断位置となるようになつ
ている。

上述の構成により、強制潤滑供給油圧を発生さ
せるポンプは、その供給油圧が、フオークシヤフ
トがニユートラル位置に移動した時には、フオー
クシヤフトに設けられる供給油路とポンプからの
供給油路とが遮断状態となり、供給されないこと
から、供給油圧の供給に抵抗が生じ、ポンプに大
きな駆動負荷を与える。ポンプはカウンタシヤフ
トにより駆動されるようになつていることから、
ポンプの駆動負荷はカウンタシヤフトの回転のひ
きずりトルクとなり、カウンタシヤフトに回転抵
抗を与えることとなつている。

なお、フオークシヤフトが走行変速位置に移動
した時には、フオークシヤフトに設けられる供給
油路とポンプからの供給油路とが直接に連通する
状態となり、ポンプにより発生される供給油圧は
フオークシヤフトの供給油路を通つて所定の潤滑
部位個所に送られることから、供給油圧の供給抵
抗は少なく、そのため、ポンプの駆動負荷は小さ
くて済み、ポンプ損失は少なくなつている。

〔考案の効果〕

本考案は上述のようにして、フオークシヤフト
がニユートラル位置に移動した時においては、ポ
ンプの駆動負荷が大きくされてカウンタシヤフト
の回転にひきずりトルクが与えられるため、この
ひきずりトルクによりカウンタシヤフトに一方の
ギヤが取付けられる変速ギヤのがた打ちを防止す
ることができる。その結果、がた打ち音の発生を
防止することができ、車両の運転者に不快感を与
えることをなくすることができる。

また、フオークシヤフトが走行変速位置に移動
しているときには、ポンプにより発生された強制
潤滑供給油圧は、ポンプからの供給油路とフオー
クシヤフトの供給油路を通じて変速機内の所定の
潤滑部位個所におくられて、この個所を潤滑する
ようになつている。このため、変速機内の潤滑性
の向上を図ることができ、変速機の耐久性を大幅
に向上することができる。

さらに、一つの油圧源を変速機内の強制潤滑用
にと変速機のがた打ち音防止用に共用しているこ
と、その切り換えに変速機のフオークシヤフトの
作動を利用できるようにその供給油路をフオーク
シヤフト内に形成していることより、個々に油圧
源を設けたり、電磁弁を用いて油路の切り換えを
する場合にくらべて極めて低コストで製作するこ
とができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図ないし第３図は本考案にかかる車両用変
速機のギヤがた打ち音防止装置の一実施例を示
す。

第１図は全体構成図、第２図は強制潤滑におけ
るニユートラル変速位置状態の位置関係を示す状
態図、第３図は同走行変速状態の位置関係を示す
状態図を示す。

第１図において、１はクラツチ装置を、２は変
速機を示しており、変速機２は、周知の如く、イ
ンプツトシヤフト３とアウトプツトシヤフト４に
設けられた各ギヤ１０ａ，１０ｂ，１０ｃ……
と、カウンタシヤフト５に設けられた各ギヤ１１
ａ，１１ｂ，１１ｃ……とが常時噛合わされて配
置されており、それぞれ変速ギヤ対を構成してい
る。そして、この各変速ギヤ対１０ａと１１ａ、
１０ｂと１１ｂ、１０ｃと１１ｃ……は、インプ
ツトシヤフト３の回転により常時回転させられて
いる。

カウンタシヤフト５の前方位置（第１図で見て
左方位置）には、このカウンタシヤフト５の回転
により駆動されるポンプ６が取付けられている。
このポンプ６は変速機２の下部に溜まつている潤
滑油を汲み上げて、強制潤滑供給油圧を発生させ
る。なお、ポンプ６としては、周知のギヤポンプ
あるいはベーンポンプ等が用いられる。

ポンプ６により発生された強制潤滑供給油圧
は、第２図および第３図に示すように、ポンプか
らの供給油路７、およびフオークシヤフト９に設
けられた供給油路８を通じて、所定の潤滑部位個
所に送られて、この個所を潤滑するようになつて
いる。この潤滑部位個所は、この実施例において
は同期装置個所Ｂとなつている。

フオークシヤフト９は、第１図に示すように、
シフトレバー１５の変速操作により軸方向に移動
するようになつている。このフオークシヤフト９
の軸方向移動により、ポンプ６からの供給油路７
とフオークシヤフト９に設けられた供給油路８の
連結部Ａは、両供給油路７，８が連通位置状態と
なつたり、遮断位置状態となつたりする。そし
て、その位置関係は、フオークシヤフトがニユー
トラル変速位置のときには、第２図に示すよう
に、遮断位置状態にあり、フオークシヤフトが走
行変速位置のときには、第３図に示すように、連
通位置にある関係とされている。なお、ここで、
走行変速位置とは、第１速、第２速等の変速位置
のことをいう。

なお、ポンプからの供給油路７にはリリーフバ
ルブ１６が設けられており、供給油路７の油圧が
過大な一定圧以上となつたとき、その油圧を逃が
すようになつている。

次に、作用を説明する。

ポンプ６は、カウンタシヤフト５により駆動さ
れて、変速機２の下部に溜められた潤滑油を吸い
上げて、強制潤滑供給油圧を発生させる。そし
て、この供給油圧はポンプからの供給油路７に取
り出される。

ポンプからの供給油路７に取り出された供給油
圧は、第２図に示すフオークシヤフト９のニユー
トラル変速位置状態にあつては、ポンプからの供
給油路７とフオークシヤフト９に設けられた供給
油路８とが遮断位置にあり、供給油路８に供給さ
れないことから、ポンプからの供給油路７に取り
出される油圧は、リリーフバルブ１６によつて逃
がされるまで大きな油圧となる。そのため、ポン
プ６の駆動負荷は、第４図に示すニユートラル変
速位置の範囲のように高駆動負荷となり、この駆
動負荷がポンプ６を駆動するカウンタシヤフト５
に大きなひぎずりトルクを生じさせる。

変速ギヤ対を構成するギヤ１０ａと１１ａ、１
０ｂと１１ｂ、１０ｃと１１ｃ……の一方のギヤ
１１ａ，１１ｂ，１１ｃ……はカウンタシヤフト
５に一体的に設けられているため、このようにカ
ウンタシヤフト５に大きななひきずりトルクが生
じることにより、変速ギヤにおけるがた打ちが防
止され、その結果、がた打ち音の発生も防止さ
れ、運転者に不快感を与えることがなくなる。

つぎに、フオークシヤフト９が第３図に示す走
行変速位置になつたときには、ポンプからの供給
油路７とフオークシヤフト９に設けられた供給油
路８とが直接に連通する連通状態になるため、供
給油圧は供給油路７から供給油路８に送られて、
所定の潤滑部位個所を潤滑する。そのため、供給
油圧の大きさは通常の大きさであり、ポンプ６の
駆動負荷も、第４図に示す走行変速位置の範囲の
ように小さく、カウンタシヤフト５に生じるひき
ずりトルクも小さい。

走行変速位置においては、このようにポンプ６
の駆動負荷が小さいことから、ポンプ損失が少な
くなつており、ポンプ駆動の動力損失に伴う燃費
低下を最小限に押さえることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案にかかる車両用変
速機のギヤがた打ち音防止装置の一実施例を示
し、第１図は全体構成図、第２図はニユートラル
変速位置状態の位置関係を示す状態図、第３図は
走行変速位置状態の位置関係を示す状態図、第４
図は各変速位置状態におけるポンプの駆動負荷状
態等を示すグラフである。 符号の説明、２……変速機、５……カウンタシ
ヤフト、６……ポンプ、７……ポンプからの供給
油路、８……フオークシヤフトに設けられた供給
油路、９……フオークシヤフト、Ａ……連結部、
Ｂ……同期装置個所（潤滑部位個所）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ポンプにより強制潤滑供給油圧が発生され、こ
   の供給油圧が、変速位置に応じて移動するフオー
   クシヤフトに設けられた供給油路を通じて所定の
   潤滑部位個所に送られて、潤滑部位が強制潤滑す
   るようになされた車両用変速機であつて、 前記ポンプが変速機のカウンタシヤフトに設け
   られると共に、フオークシヤフトに設けられる供
   給油路とポンプからの供給油路とを直接に連結す
   る連結部の位置関係が、フオークシヤフトが走行
   変速位置に移動したときには連通位置にあるがニ
   ユートラル変速位置に移動したときには遮断位置
   となるようになつていることを特徴とする車両用
   変速機のギヤがた打ち音防止装置。