JPH0799196B2 - ベルト式無段変速装置を備えた変速機の油圧制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速装置を備えた変速機の油圧制御装置

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JPH0799196B2
JPH0799196B2 JP59252534A JP25253484A JPH0799196B2 JP H0799196 B2 JPH0799196 B2 JP H0799196B2 JP 59252534 A JP59252534 A JP 59252534A JP 25253484 A JP25253484 A JP 25253484A JP H0799196 B2 JPH0799196 B2 JP H0799196B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車等車両におけるベルト式無段変速装置
を備えた変速機の油圧制御装置に関する。
〔従来の技術〕
自動車等車両の変速機として、最近、ベルト式無段変速
装置を備えた変速機が提案されている。
ベルト式無段変速装置は、一方の回転軸と他方の回転軸
にそれぞれV字形断面の周溝を有する入力プーリと出力
プーリが配設されており、伝動ベルトが入力プーリと出
力プーリの周溝に巻き掛けられて掛け渡されている。そ
して、入力プーリと出力プーリのV字形断面の周溝の幅
が相対的に変えられることにより、一方の回転軸から他
方の回転軸に回転動力が無段階に変速されて、伝達され
るようになっている。
自動車等車両の変速機として使用するためには、この種
のベルト式無段変速装置には、補助変速装置が一般に備
えられている。補助変速装置は、普通には、前後進の切
換え変速と、前進について2速程度の変速切換えを行う
ようになっている。
補助変速装置はベルト式無段変速装置の入力側または出
力側のいずれかの動力伝達経路に設けられる。この場
合、ベルト式無段変速装置の伝達トルク容量を小さくで
き、小型に構成できる観点から、補助変速装置はベルト
式無段変速装置の出力側に設けられる配置構成が望まし
い。
補助変速装置は、一般には、遊星歯車装置、クラッチ装
置、ブレーキ装置等から成っている。クラッチ装置およ
びブレーキ装置は周知の油圧サーボ装置として構成され
ており、これらクラッチ装置やブレーキ装置を選択的に
作動させることによって、変速の切換えが行われるよう
になっている。
油圧サーボ装置を選択的に作動させて、変速の切換えを
行うとき、変速ショックを生じることがある。この変速
ショックを緩和するため、油圧サーボ装置への油圧回路
にアキュームレータ装置が備えられることがある。アキ
ュームレータ装置はケース部材の下部のオイルパン取付
面側に位置させて設けるのを普通としている。補助変速
装置がベルト式無段変速装置の出力側に配設される場
合、補助変速装置の位置は差動歯車装置等の上部位置と
なっており、このため、補助変速装置の油圧サーボ装置
とアキュームレータ装置とは比較的離れた位置に配置さ
れている配置関係にある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上述したように、変速ショック緩和のために設けるアキ
ュームレータ装置が、補助変速装置の油圧サーボ装置と
比較離れた位置にあると、必然的にアキュームレータ装
置と油圧サーボ装置とを連結する油路が長くなり、油圧
サーボ装置での油圧の応答性が低下し、適切な変速ショ
ック制御が行えないという問題を生じることがある。
また、アキュームレータ装置を設けるには比較的大きな
スペースを必要とするため、アキュームレータ装置を設
けるにあたっては、余剰空間を有効に活用することが望
まれる。すなわち、単に通常の方法にてアキュームレー
タ装置を付加して設けるときには、それだけ変速機全体
が大型化するという問題がある。
本発明は、ベルト式無段変速装置の出力プーリが配設さ
れる軸上で、かつ、エンジンとの継手装置(例えば、フ
ルードカップリング装置)側に補助変速装置を設け、入
力プーリが配設される軸上に形成される余剰空間を利用
してアキュームレータ装置を設けることにより、変速機
の小型化を図るとともに、アキュームレータ装置の設置
位置を補助変速装置の油圧サーボ装置位置に近づけてア
キュームレータ装置の応答性の向上を図ることを目的と
する。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明のベルト式無段変速装置を備えた変速機の油圧制
御装置は、上記の目的を達成するために、ベルト式無段
変速装置を構成するため平行に配列される二軸上に各々
配設された入力プーリ及び出力プーリと、この入力プー
リと出力プーリとをその軸方向の軸方向の両端側で支承
するケース部材と、入力プーリが配設される軸上に配設
されたエンジンとの継手装置と、出力プーリが配設され
る軸上に配設されるとともに油圧サーボ装置の作動によ
り複数の前進段と後進段とへの切換えが行われる補助変
速装置と、それらの前進段への切換えショックを緩和す
るため前記油圧サーボ装置への油圧回路に設けられたア
キュームレータ装置とを備え、前記出力プーリ及び前記
補助変速装置を配設する軸が変速機の上部に配置され、
また前記入力プーリと継手装置との間に軸方向に所定の
間隔があけられるとともに、前記補助変速装置が前記ベ
ルト式無段変速装置に対して前記継手装置と軸方向で同
一側かつ前記入力プーリと継手装置との間に対応する箇
所に配置され、さらに前記アキュームレータ装置が前記
ケース部材のうち前記入力プーリと継手装置との間に対
応する箇所でかつ前記補助変速装置に干渉しない箇所に
設けられていることを特徴としている。
〔作用〕
本発明では、補助変速装置はベルト式無段変速装置の出
力プーリが配設される軸上でベルト式無段変速装置に対
して継手装置(例えば、フルードカップリング装置)と
同一側であって、入力プーリと継手装置の間に対応する
箇所に設けられるので、外径を増大させることなく変速
機の軸方向の全長を短縮できる。また、ケース部材のう
ちアキュームレータ装置が配置される位置は、入力プー
リと継手装置との間であって補助変速装置を配設するこ
とにより生じる余剰空間であるから、アキュームレータ
装置の装着によって変速機の全長が長くなることはな
い。換言すれば、余剰空間を有効に利用して全長の増大
を防止することができる。そして、補助変速装置は変速
機の上部に配置されるので、差動歯車装置等を設ける場
合でも、差動歯車装置等を変速機の下部に配置すること
ができる。
さらに、補助変速装置が変速機の上部に配置されても、
アキュームレータ装置は、ケース部材のうち入力プーリ
と継手装置との間に対応する位置であって補助変速装置
に干渉しない位置に配設されるので、アキュームレータ
装置の設置位置が補助変速装置の油圧サーボ装置の位置
に近づき、アキュームレータ装置の応答性が向上する。
また余剰空間を有効に利用して全長および外径の増大を
防止することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図ないし第3図は本発明にかかるベルト式無段変速
装置を備えた変速機の機構部分の一実施例を示す。
第1図は変速機全体の詳細断面構造を示し、第1図
(a)は上部部分の断面図、第1図(b)は下部部分の
断面図を示す。第2図は第1図のスケルトン図を示す。
第3図は変速機の側面図を示す。
この実施例は、第2図に示すように、大別して、フルー
ドカップリング装置50、ベルト式無段変速装置100、補
助変速装置200、減速用歯車装置300、差動歯車装置350
から成っている。
これらの各装置は、変速機のケース部材内に装備されて
いる。ケース部材はフルードカップリングケース部材1
0、主ケース部材12、カバー部材14から成っている。
そして、これらの各ケース部材により各装置を収容する
室が形成されている。フルードカップリングケース部材
10によりフルードカップリング装置室52が形成され、フ
ルードカップリング装置50が配置されている。主ケース
部材12とカバー部材14によりベルト式無段変速装置室10
2が形成され、ベルト式無段変速装置100が配置されてい
る。また、第2図で見て、主ケース部材12の下方位置に
は主ケース部材12により補助変速装置室202が形成さ
れ、補助変速装置200が配置されている。更に、第2図
で見て、フルードカップリングケース部材10の下方位置
には、フルードカップリングケース部材10によりデフ室
302が形成され、減速用歯車装置300、差動歯車装置350
が配置されている。
すなわち、ベルト式無段変速装置100の入力プーリ110の
軸上にはフルードカップリング装置50が配置されてお
り、出力プーリ150の軸上には補助変速装置200が配置さ
れている。そして、フルードカップリング装置50と補助
変速装置200は、同一側に配置されており、フルードカ
ップリング装置50と補助変速装置200を対向した位置に
配置する場合に比較して、変速機の全長を短縮できる。
また、第3図に示すように、補助変速装置200はAの位
置、すなわち変速機の上部に配置されており、Cの位
置、すなわち変速機の下部に差動変速装置350が配置さ
れる。なお、フルードカップリング装置50はBの位置に
配置される。
次に、各装置について説明する。
フルードカップリング装置50 フルードカップリング装置50は、エンジンとの継手装置
であり、フルードカップリング54と直結クラッチ60とか
ら成っている。フルードカップリング54はポンプ羽根車
56とタービン羽根車58から成っており、ポンプ羽根車56
は不図示のエンジンクランクシャフトに連結され、ター
ビン羽根車58はベルト式無段変速装置100の入力軸とな
る入力プーリ110の回転軸104に連結されている。フルー
ドカップリング54は、周知の如く、流体(油)を介して
動力伝達を行うものであり、エンジンの回転動力をベル
ト式無段変速装置100に伝達する。
直結クラッチ60は、その作動によりエンジンの回転動力
を入力プーリ110の回転軸104にそのまま伝達する。動力
伝達がフルードカップリング54を介して行われるときに
は、流体伝達であるため、すべりを生じ減速して伝達さ
れるが、直結クラッチ60によるときには、すべりがなく
そのまま伝達される。この直結クラッチ60は、いわゆる
燃料消費率を向上させるために備えられるものであり、
普通には、高速走行時に作動されるようになっている。
なお、第1図(a)に示すように、オイルポンプ70が、
フルードカップリング54の後方位置(第1図(a)で見
て左方位置)に設けられている。オイルポンプ70はポン
プ羽根車56と一体の回転伝達部材72により駆動され、油
圧を発生させる。油圧はフルードカップリング装置50、
後述のベルト式無段変速装置100、補助変速装置200の制
御に用いられる。
以上説明したように、この実施例ではエンジンとの継手
装置がフルードカップリング装置である場合について説
明したが、エンジンとの継手装置としては、その他、電
磁クラッチ、トルクコンバータ、通常のクラッチ装置等
がある。
ベルト式無段変速装置100 ベルト式無段変速装置100は、入力プーリ110と出力プー
リ150から成っている。入力プーリ110と出力プーリ150
は平行に配列された回転軸104、180の軸上に設けられて
いる。
入力プーリ110は固定プーリ112と可動プーリ114とから
成っている。固定プーリ112は回転軸104と一体に形成さ
れており、更に、この回転軸104に可動プーリ114が嵌合
して取付けられている。第1図(a)に良く示されるよ
うに、回転軸104と可動プーリ114とは、双方に形成され
た軸方向溝117および118にボール120が係合して取付け
られており、これにより、可動プーリ114は回転軸104に
対し軸方向には移動可能であるが、回転方向には一体的
となっている。
入力プーリ110の回転軸104は、両側の、主ケース部材12
の隔壁部材12aと、カバー部材14に、ベアリング122、12
4を介して回転可能に支承されている。
固定プーリ112と可動プーリ114との対向プーリ面112a、
114aは、断面V字形の周溝116に形成されている。この
周溝116に伝動ベルト190が巻き掛けられる。なお、周溝
116の幅は可動プーリ114の軸方向移動により変えられ、
伝動ベルト140が巻き掛けられる有効径が変えられるよ
うになっている。第1図(a)において、入力プーリ11
0は、その中心線CLの上下で有効径が異なって図示され
ている。上半分の図示状態が伝動ベルト190の最小の有
効径状態を示しており、下半分の図示状態が最大の有効
径状態を示している。
可動プーリ114は、背部の油圧シリンダ装置130によって
軸方向移動されるようになっている。第1図(a)に示
すように、油圧シリンダ装置130は、第1の作動油室132
と第2の作動油室134を有している。第1の作動油室132
は可動プーリ114と第1の作動油室形成部材136により郭
定されて形成されている。第2の作動油室134はピスト
ン138と第2の作動油室形成部材140により郭定されて形
成されている。この第1の作動油室132および第2の作
動油室134に制御油圧を供給、排圧することにより可動
プーリ114が軸方向に移動される。第1図(a)におい
て、油圧シリンダ装置130の上半分の状態が制御油圧が
排圧された状態で、入力プーリ110を最小の有効径状態
としている。下半分の状態が最も制御油圧が供給された
状態で、入力プーリ110を最大の有効径状態としてい
る。
制御油圧は、第1の作動油室132から連通孔142を経て第
2の作動油室134に供給されるようになっている。そし
て、第1の作動油室132と第2の作動油室134は同時に作
動するようになっている。なお、このように、第1の作
動油室132と第2の作動油室134の2つの作動油室を設け
たのは、制御油圧の作動面積を多くとるためである。
なお、油圧シリンダ装置130の第1の作動油室132および
第2の作動油室134への制御油圧の供給は、回転軸104に
形成された油路108から行われる。また、油路108へは主
ケース部材12の隔壁部材12aに形成された油路600から供
給されてくるようになっている。
出力プーリ150も、おおよそ入力プーリ110と同様に構成
されている。すなわち、固定プーリ152と可動プーリ154
から成っており、固定プーリ152と一体の回転軸180に、
可動プーリ154が嵌合されて取付けられている。可動プ
ーリ154は、入力プーリ110の可動プーリ114の場合と同
様に、軸方向溝156、158とボール160により、回転軸180
に回転方向には一体であるが軸方向には移動可能に取付
けられている。なお、出力プーリ150の固定プーリ152と
可動プーリ154の配置は、入力プーリ110の場合と左右逆
になっている。これは、入力プーリ110と出力プーリ150
の各周溝116、160の幅が変えられたときにおける、伝動
ベルト190の位置状態を直線状態とするためである。
出力プーリ150の回転軸180も、入力プーリ110の場合と
同様に、両側の、主ケース部材12の隔壁部材12aと、カ
バー部材14に、ベアリング162、164を介して支承されて
いる。第1図(a)で見て、回転軸180の右端部は、後
述の補助変速装置200および減速用歯車装置300の出力側
310から、抜取り可能にこれらの装置とは分割して形成
されている。
また、固定プーリ152と可動プーリ154との対向プーリ面
152a、154aは、断面V字形の周溝166に形成されてお
り、この出力プーリ150の周溝166と入力プーリ110の周
溝116に伝動ベルト190が巻き掛けられる。
出力プーリ150も、可動プーリ154の軸方向移動により、
伝動ベルト190が巻き掛けられる位置の有効径が変えら
れるようになっている。第1図(a)において、出力プ
ーリ150の上半分の図示状態が最小の有効径状態を示
し、下半分の図示状態は最大の有効径状態を示してい
る。
可動プーリ154の背部には油圧シリンダ装置170が設けら
れている。油圧シリンダ装置170には作動油室172を有し
ている。作動油室172は可動プーリ154と作動油室形成部
材174により郭定されて形成されている。作動油室172に
は制御油圧が供給されているが、入力プーリ110の有効
径の変化により出力プーリ150の有効径が強制的に変え
られ、この出力プーリ150の有効径の変化に応じて、こ
の作動油室172の制御油圧は、供給、排出が行われるよ
うになっている。
作動油室172への制御油圧の供給は、回転軸180の軸心に
設けられた油路182を通じて行われ、油路182には、主ケ
ース部材12の隔壁部材12aに設けられた油路405を通じて
供給されるようになっている。
伝動ベルト190は、第1図(a)に示すように、無端キ
ャリア192と動力伝達ブロック194とから構成されてい
る。無端キャリア192は、薄層の金属フープが複数個積
層されて形成されている。このように形成された一対の
無端キャリア192に、複数個の動力伝達ブロック194が数
珠繋ぎに互いに隣接して配設されて、伝動ベルト190が
構成されている。
上述のように、ベルト式無段変速装置100は構成されて
いることにより、伝動ベルト190を介して入力プーリ110
から出力プーリ150に動力伝達が行われ、このとき、入
力プーリ110の有効径が変えられることにより、出力プ
ーリ150には無段階に変速して伝達される。
ところで、上述したように、入力プーリ110および出力
プーリ150ともに、その回転軸104、180を、両側の、主
ケース部材12の隔壁部材12aと、カバー部材14で直接に
支承しているのは、入力プーリ110と出力プーリ150の支
持精度を高めるためである。すなわち、従来は、一般
に、回転軸104、180の一端は直接に変速機のケース部材
にベアリングを介して支承されているが、他端はケース
部材が設けられることなく補助変速装置等の他の装置が
配設されているため、これらの他の装置の部材を介して
支承されている。このため、入力プーリ110または出力
プーリ150の両端の支持間距離が長くなり剛性が低くな
ると共に、他の部材を介して支承されることから、支持
精度も悪くなっていた。しかし、この実施例の場合に
は、入力プーリ110と出力プーリ150はともに直接両側の
ケース部材で支持されるため、従来のように他の部材を
介して支持される場合に比べ、支持間距離が短くなり、
剛性が高くなる。
したがって、入力プーリ110と出力プーリ150は所定の位
置に精度良く配設され、動力伝達時においても、伝動ベ
ルト190の荷重により撓むことが防止されるか、軽減さ
れるため、配設位置からずれを生じることが防止される
か、あるいは減少される。その結果、伝動ベルト190は
蛇行することなく直線状態で回転移動が行われ、伝動ベ
ルト190の耐久性を向上させることができる。
すなわち、伝動ベルト190が蛇行して回転移動するとき
には、無端キャリア192を形成するフープが左右に移動
して、フープの端面が動力伝達ブロック194の当接部位
である首部194aに当接して、疲労を生じるため、耐久性
が低下する。しかし、伝動ベルト190が直線状態で回転
移動するときには、無端キャリア192のフープは左右に
移動することがなく、そのため、フープ端面が動力伝達
ブロック194の首部194aに当接することがなく、疲労が
防止され、耐久性が向上する。
補助変速装置200 補助変速装置200は、ベルト式無段変速装置100の出力プ
ーリ150の軸上に設けられており、ラビニオ型複合遊星
歯車装置210と、2個のブレーキ装置230、240と、1個
のクラッチ装置250とから成っている。
ラビニオ型複合遊星歯車装置210は、第1のサンギヤ212
および第2のサンギヤ214と、第1のサンギヤ212に噛み
合う第1のプラネタリギヤ216と、この第1のプラネタ
リギヤ216と第2のサンギヤ214に噛み合う第2のプラネ
タリギヤ218と、第1のプラネタリギヤ216に噛み合うリ
ングギヤ220と、第1のプラネタリギヤ216および第2の
プラネタリギヤ218を回転可能に支持するキャリヤ222の
各要素から成っている。
上述のラビニオ型複合遊星歯車装置210の各要素と、2
個のブレーキ装置230、240、および1個のクラッチ装置
250は、出力プーリ150の回転軸180と減速用歯車装置300
の出力軸310の間で、次のように連結されている。第1
のサンギヤ212はクラッチ装置250を介して回転軸180と
連結され、第2のサンギヤ214は回転軸180とスプライン
嵌合により直接連結されている。また、第1のサンギヤ
212は隔壁部材12aとの間にブレーキ装置230を備えてい
る。同様に、リングギヤ220は隔壁部材12aとの間にブレ
ーキ装置240を備えている。そして、キャリア222が出力
部材として、減速用歯車装置300の出力軸310にスプライ
ン嵌合により連結されている。
上述の連結構成により、補助変速装置200は、2個のブ
レーキ装置230、240と、1個のクラッチ装置250の選択
的作動により、前進2段後進1段の変速段が得られる。
前進第1速 ブレーキ装置230を作動状態、クラッチ装置250およびブ
レーキ装置240を非作動状態とすることにより確立され
る。この状態では、回転動力は第2のサンギヤ214から
入力され、この第2のサンギヤ214により第1のプラネ
タリギヤ216および第2のプラネタリギヤ218が回転させ
られ、ブレーキ装置230により固定された第1のサンギ
ヤ212上を遊星回転する公転回転が、キャリヤ222から減
速して出力軸310に取り出される。
前進第2速 クラッチ装置250を作動状態、ブレーキ装置230および24
0を非作動状態とすることにより確立される。この状態
では、回転動力は第1のサンギヤ212および第2のサン
ギヤ214から同時に入力され、ラビニオ型複合遊星歯車
装置210は一体的回転状態となる。そのため、キャリヤ2
22には入力回転がそのまま取り出される。
後進 ブレーキ装置240を作動状態、クラッチ装置250およびブ
レーキ装置230を非作動状態とすることにより確立され
る。この状態では、回転動力は第2のサンギヤ214から
入力され、この第2のサンギヤにより第1のプラネタリ
ギヤ216および第2のプラネタリギヤ218は回転させら
れ、ブレーキ装置240により固定されたリングギヤ220の
内歯上を遊星回転する公転回転が、キャリヤ222から逆
回転状態で、かつ減速して取り出される。
ところで、この実施例の補助変速装置200は、ベルト式
無段変速装置100から後の動力伝達経路位置に設けられ
ているため、ベルト式無段変速装置100を小型とするこ
とができる。すなわち、補助変速装置200が、ベルト式
無段変速装置100より前の動力伝達経路位置に設けられ
る場合には、補助変速装置200でトルク増大が行われる
ことから、ベルト式無段変速装置100を大容量の大型に
構成する必要が生じる。しかし、本発明のように、ベル
ト式無段変速装置100の後に設ける場合には、トルク増
大はベルト式無段変速装置100の後で行われるため、ベ
ルト式無段変速装置100の容量は少なくて済み、小型と
することができる。
また、ベルト式無段変速装置100の前に補助変速装置200
が配設される場合には、ベルト式無段変速装置100の伝
動ベルト190は正逆両回転するため、伝動ベルト190の使
用が過酷となり、耐久性が低下するが、本発明のように
前後進の切換えを補助変速装置200でベルト式無段変速
装置100の後で行うときには、伝動ベルト190の回転は常
に同一回転方向となり、伝動ベルト190の耐久性を向上
させることができる。
ところで、上述した補助変速装置200のクラッチ装置250
とブレーキ装置240は摩擦多板形式で構成されており、
ブレーキ装置230はブレーキバンド形式で構成されてい
るが、いずれも周知の油圧サーボ装置として構成されて
いる。したがって、これらクラッチ装置250およびブレ
ーキ装置230、240の各油圧サーボ装置に作動油圧が選択
的に供給されることにより、所定の変速段が達成され
る。
各油圧サーボ装置へ作動油圧を供給する油圧回路構成は
後に詳細に説明するが、この油圧回路には、前進第1速
と第2速の変速ショックを緩和するための、アキューム
レータ装置500が設けられている。このアキュームレー
タ装置500は、第1図(a)に良く示されるように、ベ
ルト式無段変速装置100の入力プーリ110とフルードカッ
プリング装置50との間の、主ケース部材12の隔壁部材12
a部分に設けられており、補助変速装置200と軸方向の位
置が略同一に配置されている。
アキュームレータ装置500は、シリンダ502にピストン50
4が摺動可能に嵌合し、第1図(a)で見て、ピストン5
04の下部に配設されたコイルスプリング506によりピス
トン504が上方に付勢されて構成されている。したがっ
て、ピストン504の上部室がアキュームレータ室となっ
ている。
なお、アキュームレータ装置500が配置される、ベルト
式無段変速装置100の入力プーリ110とフルードカップリ
ング装置50との間の隔壁部材12a部分は、補助変速装置2
00がベルト式無段変速装置100の出力プーリ150の軸上に
設けられることにより生じる余剰空間部であるため、ア
キュームレータ装置500を設けるために変速機自体を大
型化することがない。
また、アキュームレータ装置500が設けられる上記位置
は、補助変速装置200と軸方向の位置が略同一位置であ
るため、アキュームレータ装置500とこのアキュームレ
ータ装置500が働く補助変速装置200のクラッチ装置250
とは近距離位置となっている。したがって、アキューム
レータ装置500と補助変速装置200のクラッチ装置250と
を連結する油路を短く形成することができ、応答性を良
くすることができる。
ところで、クラッチ装置250、およびブレーキ装置230、
240の各油圧サーボ装置には、第1図(a)および第3
図に示される第2のバルブボデー30内に備えられるシフ
トバルブ等により制御された作動油圧が供給されるよう
になっている。第2のバルブボデー30は上部位置に設け
られているが、補助変速装置200も第3図に示す上部の
A位置に配置されているため、第2のバルブボデー30と
補助変速装置200とは近い位置に配置されている。な
お、第1のバルブボデー20は下部位置に配置されてい
る。また、第3図に示すB位置にはフルードカップリン
グ装置50が配置されており、C位置には差動歯車装置35
0が配置されている。
第2のバルブボデー30には、シフトバルブ、シフトタイ
ミングバルブ等の補助変速装置200の作動を制御する各
種バルブが備えられている。一般に、これらのバルブに
より制御されて供給される作動油圧はオリフィスを経て
供給されるようになっている。このため、第2のバルブ
ボデー30と補助変速装置200が離れていると、オリフィ
ス作用のため変速の応答性が悪いという不具合を生じる
ことがある。この実施例の場合には、上述したように、
第2のバルブボデー30と補助変速装置200は近い位置に
配置されていることから、変速の応答性が良いという利
点を有する。
第1のバルブボデー20には、普通、プレッシャレギュレ
ータバルブ、シーブコントロールバルブ、スロットルバ
ルブ、直結クラッチ制御バルブ等が備えられている。プ
レッシャレギュレータバルブはいわゆるラインプレッシ
ャを調圧するバルブである。シーブコントロールバルブ
は入力プーリ110に供給する制御油圧をコントロールす
るバルブである。スロットルバルブはエンジン負荷に応
じた油圧を発生させるバルブである。直結クラッチ制御
バルブは直結クラッチ60の作動を制御するバルブであ
る。
油圧ポンプ70からの油圧は、先ず、第1のバルブボデー
20に送られ、次いで、第2のバルブボデー30に送られ
る。そして、第1のバルブボデー20、または第2のバル
ブボデー30から所定の箇所に作動油圧、各種制御油圧、
または潤滑油圧が供給される。これら各種油圧の供給
は、殆ど隔壁部材12aに形成された油路、および第2の
バルブボデー取付部油路を通じて行われるようになって
いる。主ケース部材12のオイルポンプ取付面には、第1
のバルブボデー20より第2のバルブボデー30へ連通する
油路が設けられている。また、オイルポンプ70の吸込み
吐出油路も設けられている。更に、入力プーリ110と上
記取付面との間にも入力プーリ110へ油圧を供給する油
路、ベアリング潤滑孔および第1のバルブボデー20から
上部へ連通する油孔が設けられている。
減速用歯車装置300 減速用歯車装置300は、出力軸310に設けられたギヤ312
が、中間軸320の第1のギヤ322と噛合っており、中間軸
320の第2のギヤ324が最終減速ギヤ330と噛合って構成
されている。これらの各ギヤの噛合いは減速回転させら
れる構成とされている。これにより、補助変速装置200
からの回転は、この減速用歯車装置300により減速して
差動歯車装置350に伝達される。
出力軸310は、第1図(b)で見て、その左端部はラビ
ニオ型複合遊星歯車装置210のキャリヤ222の内方端とス
プライン嵌合により連結され、回転方向には一体である
が、軸方向には摺動可能とされている。また、出力軸31
0の軸心部には回転軸180の右端が嵌合しているが、シー
ルリング308が設けられ、この嵌合は回転方向にも摺動
可能な嵌合とされている。
なお、出力軸310の軸心部に設けられた油路314は、潤滑
用の油路である。
差動歯車装置350 差動歯車装置350は、最終減速ギヤ330に周知の構成で備
えられている。すなわち、左右一対のサイドギヤ352、3
54に、ピニオンシャフト360に支持されたピニオン356、
358が噛合っており、回転動力はデフケース362から、ピ
ニオンシャフト360、ピニオン356、358を経て、サイド
ギヤ352、354に伝達され、サイドギヤ352、354から駆動
軸370、372を経て不図示の車輪に伝達される。そして、
左右車輪の差動回転は、ピニオン356、358の回転により
許容されるようになっている。
第4図(a)ないし第4図(c)は、フルードカップリ
ング装置50へ供給する制御油圧、ベルト式無段変速装置
100の油圧シリンダ装置130、170へ供給する制御油圧、
および補助変速装置200のクラッチ装置250やブレーキ装
置230、240の油圧サーボ装置に供給する差動油圧の油圧
制御回路を示す。
なお、第4図(a)と第4図(b)は各油圧回路がX−
X線で接続され、第4図(b)と第4図(c)は各油圧
回路がY−Y線で接続される関係にあり、全体として一
つの油圧回路を構成する。
オイルポンプ70はストレーナ1072を介して吸い込んだオ
イルを加圧してライン圧油路1074に供給する。
スロットルバルブ1076は、吸気スロットル開度θに関係
したスロットル圧Pthを出力ポート1078に発生する。ス
ロットルバルブ1076のスプール1077は、スロットルカム
1079からスロットル開度θの増大に連れて増大する作用
力と制御ポート1081からフイードバック圧としてのスロ
ットル圧Pthとを対向的に受け、ライン圧油路1074を出
力ポート1078との接続を制御する。
マニュアルバルブ1080は、運転室に設けられる不図示の
シフトレバーと連動して設けられており、シフトレバー
の操作位置に関係して軸方向に移動するようになってい
る。シフトレバーの操作位置としては、普通には、L
(ロー)、D(ドライブ)、N(ニュートラル)、R
(リバース)、およびP(パーキング)レンジが設けら
れる。そして、Rレンジ時にはライン圧油路1074の第1
のライン圧PL1がポート1083に導かれ、同様に、Lレン
ジ時にはポート1085に、Dレンジ時にはポート1085、10
87に導かれるようになっている。
リリーフ弁1089は、ライン圧油路1074の第1のライン圧
PL1が所定値以上になるとライン圧油路1074のオイルを
逃がす、いわゆる安全弁として設けられている。
二次油圧油路1082はオリフィス1084とプライマリプレッ
シャレギュレータバルブ1198の余剰オイルが排出される
ポート1085とを介してライン圧油路1074へ接続され、セ
カンダリプレッシャレギュレータバルブ1086は、オリフ
ィス1188を介して二次油圧油路1082へ接続されている制
御室1090を有し、制御室1090の油圧とばね1092の荷重と
に関係して二次油圧油路1082とポート1094との接続を制
御し、二次油圧油路1082の二次油圧Pzを所定値に維持す
る。
潤滑油油路1095は、ポート1094あるいはオリフィス1097
を介して二次油圧油路1082に接続されている。
直結クラッチ60を制御するために設けられる直結クラッ
チ制御バルブ1096は、二次油圧油路1082を直結クラッチ
60の係合側油路107および解放側油路106へ選択的に接続
する。
電磁弁1100は直結クラッチ制御バルブ1096の制御室1102
とドレン1104との接続を制御する。電磁弁1100がオフ
(非励磁)であるときには、直結クラッチ60の解放側油
路106に二次油圧油路1082からの二次油圧Pzが供給さ
れ、直結クラッチ60は解放状態となって、エンジン動力
はフルードカップリング54を介して伝達される。電磁弁
1100がオン(励磁)であるときには、直結クラッチ60の
係合側油路107およびオイルクーラ1106に二次油圧油路1
182からの二次油圧Pzが供給され、エンジン動力は直結
クラッチ60を介して伝達される。なお、クーラバイパス
弁107はクーラ圧を所定圧に制御するようになってい
る。
変速比制御装置1108は、ベルト式無段変速装置100の入
力プーリ110を制御するものであり、第1および第2の
スプール弁1110、1112(シーブコントロールバルブ)
と、第1および第2の電磁弁1114、1116を備えている。
第1の電磁弁1114がオフである期間は第1のスプール弁
1110のスプールは室1117の二次油圧Pzによりばね1118の
方へ押圧されており、ポート1119の第1のライン圧PL1
は第1のスプール弁1110のポート1120を介して第2のス
プール弁1112のポート1122へ送られ、ポート1124とドレ
ン1126との接続は断たれる。第1の電磁弁1114がオンで
ある期間は室1117の油圧が第1の電磁弁1114のドレン11
28を介して排出され、第1のスプール弁1110のスプール
はばね1118により室1117の方に押圧され、ポート1120に
はライン圧PLが生じず、ポート1124はドレン1126に接続
される。また、第2の電磁弁1116がオフである期間は第
2のスプール弁1112のスプールは室1128の二次油圧Pzに
よりばね1130の方へ押圧され、ポート1122とポート1132
との接続は断たれ、ポート1134はポート1136に接続され
る。ポート1132、1134は油路600を介してベルト式無段
変速装置100の入力プーリ110側に設けられる油圧シリン
ダ装置130の第1と第2の作動油室132、134に接続され
る。第2の電磁弁1116がオンである期間は第2のスプー
ル弁1112のスプールはばね1130により室1128の方に押圧
され、ポート1122はポート1132に接続され、ポート1134
とポート1136との接続は断たれる。ポート1136は油路11
42を介してポート1124に接続されている。オリフィス11
40は第2の電磁弁1116のオフ時にポート1122から少量の
オイルをポート1132に導く。したがって、第1の電磁弁
1114がオフで、かつ第2の電磁弁1116がオンである期間
は、ベルト式無段変速装置100の入力プーリ110側の油圧
シリンダ装置の第1と第2の差動油室132、134に制御油
圧が速やかに供給され、ベルト式無段変速装置100の変
速比は下降する。第1の電磁弁1114がオフで、かつ第2
の電磁弁1116がオフである期間は、ベルト式無段変速装
置100の入力プーリ110の油圧シリンダ装置130への制御
油圧の供給はオリフィス140を介して行われ、ベルト式
無段変速装置100の変速比は緩やかに下降する。第1の
電磁弁1114がオンで、かつ第2の電磁弁1116がオンであ
る場合、ベルト式無段変速装置100の入力プーリ110側の
油圧シリンダ装置130への制御油圧の供給、排出は行わ
れず、ベルト式無段変速装置100の変速比は一定に保持
される。第1の電磁弁1114がオンで、かつ第2の電磁弁
1116がオフである期間は、入力プーリ110側の油圧シリ
ンダ装置130の制御油圧はドレン1126から排出されるの
で、ベルト式無段変速装置100の変速比は急激に上昇す
る。
変速比検出弁(変速比センシングバルブ)1146は、第1
図(a)に示す入力プーリ110の可動プーリ114の動きを
検知して、ベルト式無段変速装置100の変速比に応じた
変速比圧Pγを発生させる。変速比検出弁1146により制
御された変速比圧Pγは出力ポート1178に取り出され
る。なお、変速比検出弁1146は、第1図(a)に示すよ
うに、入力プーリ110の回転軸104の軸心部に組み込まれ
ている。尤も、第1図(a)と第4図(a)とでは変速
比検出弁1146の図示状態は左右逆となっている。
カットオフバルブ1190は、直結クラッチ制御バルブ1196
の制御室1102に油路1192を介して連通している室1194、
および室1194の油圧とばね1195のばね力とに関係して移
動するスプール1196を有し、電磁弁1100がオフである場
合、すなわち、直結クラッチ60が解放状態にある場合
(補助変速装置200において変速を行うとき、動力伝達
系の衝撃を吸収するために直結クラッチ60は解放状態に
される)、閉状態になって変速比圧Pγがプライマリプ
レッシャレギュレータバルブ1198に伝達されるのを阻止
する。
第1のライン圧発生手段としてのプライマリプレッシャ
レギュレータバルブ1198は、スロットル圧Pthが供給さ
れるポート1200、変速比圧Pγが供給されるポート120
2、ライン圧油路1074に接続されているポート1204、オ
イルポンプ70の吸入側に接続されているポート1206、お
よびオリフィス1208を介して第1のライン圧PL1が供給
されているポート1220、軸方向に移動してポート1204と
ポート1206との接続を制御するスプール1212、スロット
ル圧Pthを受けてスプール1212をポート1202の方に付勢
するスプール1214、およびスプール1212をポート1202の
方に付勢するばね1216により構成されている。
このプライマリプレッシャレギュレータバルブ1198は、
変速比圧Pγとスロットル圧Pthとの対比により制御さ
れ、第1のライン圧PL1をライン圧油路1074に取り出
す。この第1のライン圧PL1は第1図(a)に示すベル
ト式無段変速装置100の入力プーリ110と出力プーリ150
のそれぞれの油圧シリンダ装置130、170の制御油圧とし
て用いられる。
第2のライン圧発生手段としてのサブプライマリプレッ
シャレギュレータバルブ1220は、L、Dレンジ時に第1
のライン圧PL1がマニュアルバルブ1080のポート1085か
ら導かれる入力ポート1222、第2のライン圧PL2が発生
する出力ポート1224、変速比圧Pγが導かれるポート12
26、フイードバック圧としての第2のライン圧PL2をオ
リフィス1228を介して導かれるポート1230、入力ポート
1222と出力ポート1224との接続を制御するスプール123
2、スロットル圧Pthが導かれるポート1234、ポート1234
からのスロットル圧Pthを受けてスプール1232をポート1
226の方に付勢するスプール1236、およびスプール1232
をポート1226の方に付勢するばね1238により構成されて
いる。
このサブプライマリプレッシャレギュレータバルブ1220
も、変速比圧Pγとスロットル圧Pthとの対比により制
御され、出力ポート1224に第2のライン圧PL2を取り出
す。この第2のライン圧PL2は第1図(a)に示す補助
変速装置200の前進速の変速切換えを行う作動油圧とし
て用いられる。
シフトバルブ1250は、マニュアルバルブ1080のD、Lレ
ンジ時に第2のライン圧PL2が導かれる入力ポート125
2、出力ポート1254、1256、オリフィス1258を介してド
レン1260に接続されているポート1263、Dレンジ時にマ
ニュアルバルブ1080のポート1087から第1のライン圧PL
1が供給される制御ポート1264、その他の制御ポート126
6、1268、ドレン1270、スプール1272、およびスプール1
272をポート1268の方に付勢するばね1274により構成さ
れている。制御ポート1266、1268にはオリフィス1276を
介して二次油圧Pzが導かれており、この制御ポート126
6、1268の油圧は電磁弁1278により制御されるようにな
っている。スプール1272の下から2つのランドS1、S2の
面積の関係は、S1<S2となっている。また、電磁弁1278
のオン、オフは車両の運転パラメータに関係して制御さ
れ、オン時にはドレン1280からオイルが排出される。
電磁弁1278の制御により、スプール1272がばね1274側の
位置にある場合には、入力ポート1252は出力ポート1254
に接続され、出力ポート1256はポート1262およびオリフ
ィス1258を介してドレン1260に接続される。したがっ
て、出力ポート1254から第2のライン圧PL2がクラッチ
装置250の油圧サーボ装置に供給され、補助変速装置200
は前進第2速になる。
このとき、シフトバルブ1250からクラッチ装置250への
油路1900には、油路1900から分岐して、本発明が特徴と
するアキュームレータ装置500が設けられており、クラ
ッチ装置250の油圧サーボ装置に供給される作動油圧が
蓄圧され、クラッチ装置250が係合する際の変速ショッ
クの緩和を図っている。本発明によれば、このアキュー
ムレータ装置500とクラッチ装置250との間の油路1900
が、アキュームレータ装置500の配置位置を前述したよ
うな位置とすることにより、短く形成することができ、
この結果、クラッチ装置250の応答性を良くすることが
できて、適切な変速ショック制御を行うことができるも
のである。
次に、電磁弁1278の制御により、逆に、スプール1272が
ポート1268側の位置にある場合には、入力ポート1252は
出力ポート1256に接続され、出力ポート1254はドレン12
70に接続される。したがって、車両ポート1256からの第
2のライン圧PL2がブレーキ装置230の油圧サーボ装置に
供給され、補助変速装置200は前進第1速となる。
Lレンジの場合は、制御ポート1264に第1のライン圧PL
1が導かれていないので、電磁弁1278がオフになると、
スプール1272は最初はランドS2に作用する二次油圧Pzに
より、後はランドS1に作用する二次油圧Pzにより、ばね
1274の方に移動するが、電磁弁1278がオンになると、制
御ポート1266、1268の油圧は低下するので、スプール12
72はばね1274によりポート1268の方に移動する。すなわ
ち、Lレンジでは電磁弁1278のオン、オフに関係して補
助変速装置200の前進速間に変速切換え、すなわち、前
進第1速と第2速の変速切換えを行うことが可能となっ
ている。
Dレンジでは、制御ポート1264に第1のライン圧PL1
導かれるので、スプール1272が、一旦、ばね1274側の位
置となるが、ランドS2に制御ポート1264からの第1のラ
イン圧PL1が作用し、その後の電磁弁1278のオン、オフ
に関係なく、スプール1274はばね1274側の位置に保持さ
れる。したがって、補助変速装置200は、常時、前進第
2速状態に保持されるので、マニュアルバルブ1080がN
レンジからDレンジへシフトされた時、上述のアキュー
ムレータ装置500の作用により好適にシフトショックが
軽減される。
シフトタイミングバルブ1290は、クラッチ装置250の油
圧サーボ装置に連通している制御ポート1292、シフトバ
ルブ1250の出力ポート1256に接続される入力ポート129
4、ブレーキ装置230の油圧サーボ装置に接続される出力
ポート1296、ドレン1298、スプール1300、およびスプー
ル1300をポート1292の方に付勢するばね1302から成って
いる。シフトバルブ1250が前進第1速位置から前進第2
速位置に切換えられる場合、出力ポート1254からクラッ
チ装置250に第2のライン圧PL2が供給されるが、クラッ
チ装置250の作動油圧がまだ低い場合、スプール1300は
ばね1302によりポート1292側の位置にあり、ブレーキ装
置230の作動油圧は、シフトバルブ1250のポート1262お
よびオリフィス1258を介してドレン1260から緩やかに排
出される。クラッチ装置250の作動油圧が高くなると、
スプール1300はポート1292の油圧によりばね1302に抗し
て移動し、ブレーキ装置230の作動油圧はシフトタイミ
ングバルブ1290のドレン1298から速やかに排出される。
この結果、補助変速装置200において前進第1速から第
2速にシフトアップが行われる場合、ブレーキ装置230
の解放が適当に遅らせられ、変速ショックが抑制され
る。
なお、以上の変速機の油圧制御回路については、別に提
案した特願昭59−12017号に、更に詳細に開示されてい
る。
〔発明の効果〕 本発明によれば、ベルト式無段変速装置の入力プーリの
軸上にエンジンとの継手装置を配設し、ベルト式無段変
速装置の出力プーリの軸上に補助変速装置を配設し、出
力プーリ及び補助変速装置を配設する軸を変速機の上部
に配置し、継手装置及び補助変速装置を軸方向で同一側
に配設するとともに、アキュームレータ装置を補助変速
装置と軸方向の位置が略同一位置で且つ入力プーリと継
手装置との間のケース部材の位置に配設したので、補助
変速装置は出力プーリが配設される軸上で継手装置と同
一側に設けられ、変速機の軸方向の全長が短縮できる。
また、アキュームレータ装置が配置される入力プーリと
継手装置との間のケース部材の位置は、補助変速装置を
配設することにより生じる余剰空間であるので、アキュ
ームレータ装置の装着によって変速機の全長が長くなる
ことはない。そして、補助変速装置は変速機の上部に配
置されるので、差動歯車装置等を設ける場合でも、差動
歯車装置等を変速機の下部に配置することができる。以
上から、変速機の小型化を図ることができる。
さらに、補助変速装置が変速機の上部に配置されても、
アキュームレータ装置は入力プーリと継手装置との間の
ケース部材の位置で補助変速装置と軸方向の位置が略同
一位置に配設されるので、アキュームレータ装置の配置
位置が補助変速装置の油圧サーボ装置位置に近づき、ア
キュームレータ装置と油圧サーボ装置との間の油路を短
くすることができるので、アキュームレータ装置の応答
性の向上が図れ、良好な変速ショック制御を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は本発明にかかるベルト式無段変速
装置を備えた変速機の機構部分の一実施例を示し、第1
図は変速機全体の詳細構造を示す断面図、第2図は第1
図のスケルトン図、第3図は変速機の側面図である。 第4図は変速機に用いられる油圧制御回路である。 符号の説明 12……主ケース部材(ケース部材) 12a……主ケース部材の隔壁部材(ケース部材) 14……カバー部材(ケース部材) 50……フルードカップリング装置 100……ベルト式無段変速装置 104、180……回転軸 110……入力プーリ 150……出力プーリ 200……補助変速装置 230、240……ブレーキ装置 250……クラッチ装置 500……アキュームレータ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 信幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−180866(JP,A) 実開 昭61−109953(JP,U) 特公 昭57−2954(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベルト式無段変速装置を構成するため平行
    に配列される二軸上に各々配設された入力プーリ及び出
    力プーリと、この入力プーリと出力プーリとをその軸方
    向の両端側で支承するケース部材と、入力プーリが配設
    される軸上に配設されたエンジンとの継手装置と、出力
    プーリが配設される軸上に配設されるとともに油圧サー
    ボ装置の作動により複数の前進段と後進段とへの切換え
    が行われる補助変速装置と、それらの前進段への切換え
    ショックを緩和するため前記油圧サーボ装置への油圧回
    路に設けられたアキュームレータ装置とを備え、前記出
    力プーリ及び前記補助変速装置を配設する軸が変速機の
    上部に配置され、また前記入力プーリと継手装置との間
    に軸方向に所定の間隔があけられるとともに、前記補助
    変速装置が前記ベルト式無段変速装置に対して前記継手
    装置と軸方向で同一側かつ前記入力プーリと継手装置と
    の間に対応する箇所に配置され、さらに前記アキューム
    レータ装置が前記ケース部材のうち前記入力プーリと継
    手装置との間に対応する箇所でかつ前記補助変速装置に
    干渉しない箇所に設けられていることを特徴するベルト
    式無段変速装置を備えた変速機の油圧制御装置。
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