JPS6329863Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は側弁式内燃機関用のシリンダヘツドに
関するものである。

火花点火式の内燃機関ではシリンダヘツドに点
火栓を取付ける必要があるが、従来の内燃機関の
シリンダヘツドでは点火栓取付台座は１ケ所しか
形成されていないため、その内燃機関本体又は内
燃機関を塔載すべき内燃機関塔載機に燃料タンク
等の各種機器を装着する場合、該燃料タンク等の
機器は点火栓着脱方向から外れた位置に配置しな
ければならず、その燃料タンク等の取付位置が制
限され、内燃機関本体又は内燃機関塔載機の構造
上、点火栓取付台座を単一の位置にのみ形成した
内燃機関では燃料タンク等の機器を装着できない
場合があつた。即ち、例えば燃料タンクをシリン
ダヘツドの直上方に配置しなければならないよう
な構造の内燃機関塔載機では、点火栓の着脱方向
がシリンダヘツドの垂直上下方向になるようにし
た内燃機関は使用できないという問題があつた。
また、燃料タンクをシリンダヘツドの横側方へ配
置する形式の内燃機関塔載機でも、点火栓着脱方
向が特定されると、設計上制約を受け、使用者に
不便を与えるという問題があつた。

また、側弁式内燃機関にあつては、シリンダ側
方に配置される吸・排気弁の作動を坦保する必要
から該吸・排気弁近傍の燃焼室容積が頭上弁式内
燃機関に比して大きいという構造上の理由から、
元々圧縮比は比較的低くなつている。このため、
シリンダヘツドの点火栓の配置に際しても、燃焼
室容積の拡大、即ち、圧縮比の低下を招くことが
ないようにその構造が制約される。

本考案は上記の如き従来の火花着火式の側弁式
内燃機関の問題点に鑑み、点火栓取付台座を、内
燃機関本体又は内燃機関塔載機に取付けられる燃
料タンク等の各種機器の取付位置から外して適宜
方向に選択して形成することができるようにし、
さらに、どの方向から点火栓を取付けても圧縮比
の低下及び燃焼作用の変化を招かず、しかも強度
性能及び冷却性能の良好な側弁式内燃機関用のシ
リンダヘツドを提供することを目的としてなされ
たものである。

以下、図示の実施例に基づいて本考案の側弁式
内燃機関用シリンダヘツドを説明すると、第１図
ないし第３図に示す本考案実施例のシリンダヘツ
ドは、該内面２に沿つてピストン頂面上からその
径方向外方の吸・排気弁側にかけて延在する燃焼
室９の一部を構成する如く副室状の球面状凹室４
をしかもその中心Ｐを該内面２上に位置せしめた
状態で形成するとともに該シリンダヘツド基体１
の外面３に前記球面状凹室４の中心Ｐに正対する
ようにしてしかも該中心Ｐから等距離にあるよう
にして相互に傾斜方向の異なる４つの平坦面５
ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄを形成して構成されてい
る。この４つの平坦面５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄは
点火栓取付台となるもので、４つの平坦面５ａな
いし５ｄのうちの１つの点火栓取付穴６を形成し
て、該点火栓取付穴６に点火栓８を取付けるよう
にしている。

シリンダヘツド基体１の球面状凹室４形成部分
の外面は山形に膨出させており、その膨出部分の
外面に、水平方向の一つの平坦面（以下、便宜上
水平平坦面という）５ａと該水平平坦面５ａの周
りにそれぞれ該水平平坦面５ａに連接状態で下降
傾斜させた３つの平坦面（以下、便宜上傾斜平坦
面という）５ｂ，５ｃ，５ｄを形成している。尚
２つの傾斜平坦面５ｂと５ｄは水平平坦面５ａを
挟んでその対向位置に形成され、又他の傾斜平坦
面５ｃはその２つの傾斜平坦面５ｂ，５ｄの中間
部に相互に連接状態で形成されていて、この３つ
の傾斜平坦面５ｂ，５ｃ，５ｄは水平方向に角度
90゜づつ間隔をもたせている。

又、水平平坦面５ａ及び各傾斜平坦面５ｂ，５
ｃ，５ｄはそれぞれ前記球面状凹室４の中心Ｐに
正対するように形成されているため、各平坦面５
ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄに対する垂直線（各平坦面
の中心部を通る）Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄはそれぞれ球面
状凹室４の中心Ｐに集中するようになつている。
なお各垂直線Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの方向が各平坦面５
ａないし５ｄに対する点火栓取付穴６の形成方向
となるものである。又、この実施例では、各傾斜
平坦面５ｂ，５ｃ，５ｄに対する各垂直線Ｂ，
Ｃ，Ｄは水平平坦面５ａに対する垂直線Ａに対し
て角度約40゜づつ傾斜するようになつている。な
お、このシリンダヘツドは空冷式内燃機関用に形
成されており、ヘツド基体１の外面には多数の冷
却フイン７が形成されている。

次にこのシリンダヘツドの使用方法並びに作用
について第４図を併用して説明すると、このシリ
ンダヘツドには、内燃機関塔載機の構造、即ち燃
料タンク１０等の各種機器の取付位置に応じてそ
の邪魔にならない方向の点火栓取付台座用平坦面
（例えば５ｃ）に予じめ点火栓取付穴６を形成し
ておき、その後に該シリンダヘツドをシリンダ１
１に組付ける。なお第４図に示す内燃機関塔載機
では燃料タンク１０がシリンダヘツドの上方に配
置されて水平平坦面５ａ及び２つの傾斜平坦面５
ｂ，５ｄの上方は塞がれるようになつているた
め、点火栓取付穴６は残りの傾斜平坦面５ｃに形
成される。

又、点火栓取付穴６はいずれも平坦面５ａない
し５ｄに対しても垂直方向に向けて形成されるた
め、その点火栓取付穴６に螺着される点火栓８は
常に燃焼室９を形成する球面状凹室４の中心Ｐに
向いて取付けられるようになつており、点火栓８
をどの方向から取付けた場合でもシリンダ内での
燃焼作用は一定となる。即ち、始動時に圧縮行程
終了時期の燃料と空気の混合気の温度が高温とな
らず点火困難となつて始動性能が悪化するとか、
始動しても運転中の点火後の着火燃料の火炎の伝
播に時間がかかり未燃焼成分の排出及び燃料消費
率の悪化さらにはノツクの発生を招くというよう
なことが未然に防止され、始動時の点火作用、高
速運転時の火炎伝播作用等の燃焼性能が一定に維
持される。

また、例えば球面状凹室４の中心Ｐが基体１の
内面よりも下方に位置している場合には、上述の
ような各点火栓取付台座用平坦面５ａ，５ｂ，…
に取付けられる点火栓８を燃焼室９内において前
記中心Ｐに指向させて点火栓８をどの方向から取
付けた場合でもシリンダ内での燃焼作用が一定に
なるようにしようとすれば該基体１の内面とシリ
ンダブロツクの上面との間に副室としての機能が
さほど期待できない容積部を設けることが必要と
なり、結果的に燃焼室９のデツドボリユームの増
大により圧縮比が低下するということなる。とこ
ろが、この実施例のものにおいては球面状凹室４
の中心Ｐが基体１の内面２上に位置しているた
め、燃焼室９の該内面２とシリンダブロツク１の
上面との間における容積を可及的に小さくするこ
とができ、圧縮比の低下を防ぐことが可能とな
る。

さらに、この実施例のように球面状凹室４の外
周を覆うようにして基体１の外面に設けられる各
平坦面５ａ，５ｂ，…が相互に連接していると、
この連接部分においてはその他の部分よりも球面
状凹室４の壁厚が局部的に厚くなるためのその剛
性が高められ、また各平坦面部分においてはその
壁厚が局部的に薄くなるため熱の放散が良好とな
り冷却性が高められることになる。

尚、第１図ないし第３図の実施例では、点火栓
取付台座用の平坦面５ａ，５ｂ…は４面形成して
いるが、この平坦面は２面以上であれば適宜数だ
け形成することができる。

続いて本考案の効果を説明すると、本考案の内
燃機関用シリンダヘツドは、シリンダヘツド基体
１の内面２に燃焼室形成用の球面状凹室４を形成
するとともに、該シリンダヘツド基体１の外面３
に、該球面状凹室４の中心Ｐに正対する複数の点
火栓取付台座用平坦面５ａ，５ｂ…を形成してい
るので、内燃機関塔載機の構造、即ち燃料タンク
等の各種機器の取付位置に応じて邪魔にならない
方向に向けて点火栓着脱方向を自由に決定するこ
とができ、一種類のシリンダヘツドで多種類の内
燃機関に応用することができる。又、各平坦面５
ａ，５ｂ…のいずれに点火栓取付穴を形成しても
その取付穴に螺着される点火栓は常に燃焼室形成
用の球面状凹室４の中心Ｐに向いているので、ど
の平坦面５ａ，５ｂ…に点火栓を取付けた場合で
あつてもシリンダ内での燃焼作用は一定している
という効果がある。

さらに、本考案では球面状凹室の中心をシリン
ダヘツド基体の内面上に位置せしめるとともに、
該球面状凹室の外側に形成される各点火栓取付台
座用平坦面を前記中心に正対させていることか
ら、これら各平坦面のいずれに点火栓を取付けた
場合でも点火栓は前記基体内面上の前記中心に指
向し、このため例えば球面状凹室の中心が基体内
面とシリンダブロツク上面との間における部分に
大きな容積を設けて該球面状凹室の中心を燃焼室
内に位置せしめるというような必要がなく、それ
だけエンジンの圧縮比の低下を防止することがで
きるという効果がある。

さらに、本考案では球面状凹室の周囲を覆うよ
うにしてその外側に形成される各点火栓取付台座
用平坦面のうち少なくとも２つを連接しているた
め、この連接部においては壁厚が局部的に厚くな
るところからその強度が向上し、また平坦面にお
いてはその壁圧が局部的に薄くなるところから熱
の放散が良好であるなどシリンダヘツドの強度及
び冷却性能が向上するという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例にかかる側弁式内燃機
関用シリンダヘツドの平面図、第２図及び第３図
は第１図の−及び−断面図、第４図は第
１図のシリンダヘツドの組付状態を示す断面図で
ある。 １……シリンダヘツド基体、２……シリンダヘ
ツド基体内面、３……シリンダヘツド基体外面、
４……球面状凹室、５ａ〜５ｄ……平坦面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド基体１の内面２に、該内面に沿
   つてピストン頂面上からその径方向外方の吸・排
   気弁側にかけて延在する燃焼室９の一部を構成す
   る如く副室状に球面状凹室４を形成し且つその中
   心Ｐを前記基体１の内面２上に位置せしめるとと
   もに、前記シリンダヘツド基体１の外面にはそれ
   ぞれ前記球面状凹室４の中心Ｐに正対し且つ相互
   に傾斜方向の異なる複数の点火栓取付台座用の平
   坦面５ａ，５ｂ，…を少なくともそのうちの２つ
   が互いに連接して前記球面状凹室４の外周を覆う
   ように形成したことを特徴とする側弁式内燃機関
   用シリンダヘツド。