JPS6328501Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は真空しや断器に係り、特にアークに対
し平行な軸方向磁界を発生させる磁界発生体等を
電極の背面に備えてなる真空しや断器に関する。

近年、アークにこれと平行な軸方向磁界を印加
することにより、アークを電極面上に分散させ
て、その局部的な集中を防止することによつて電
極の過度の溶媒を防止し、もつてしや断能力の向
上を図つた、いわゆるアーク分散方式（縦磁界方
式）の真空しや断器が提案されている。

かかる縦磁界方式の真空しや断器は、真空容器
内にその軸線上に一対の電極を接触離反（接離）
すべく操作装置を介し駆動される対をなす電極棒
を相対的に接離自在に導入するとともに、各電極
とそれぞれの電極棒の内端部とを、電極棒に流れ
る軸方向の電流を電極棒を中心とするループ電流
に変更して、軸方向磁界を発生させる磁界発生体
（コイル体）で接続して構成されている。

従来、縦磁界方式の真空しや断器におけるコイ
ル体等は、第１図、第２図に示すように設けられ
ていた。

すなわち、１方の電極棒１が、操作装置を介し
他方の電極棒（共に図示省略）に対し相対的に接
離自在に設けられる。この電極棒１の内端部に
は、第２図に示すように、円板状の取付部２ａ
と、この取付部２ａの外周の対向する位置から半
径方向（第１図において左右方向）へ延設した複
数（第２図において４本）の腕部２ｂと、各腕部
２ｂの端部から相隣る腕部２ｂの端部へ同一の方
向性を有して円弧状にわん曲した磁界発生部２ｃ
とからなるコイル体２が、取付部２ａの上下面に
設けた凹部３，４の一方の凹部３を介して嵌着さ
れている。

また、他方の凹部４には截頭円錐体状の高抵抗
支持体５の下部を嵌着し、この支持体５の上部
は、真空容器（図示省略）内で接離される一方の
電極６の背部（第１図において下面）中央部に設
けた凹部７に嵌着される。

そして、コイル体２と電極６とは、コイル体２
の各磁界発生部２ｃの端部に設けた孔８に、一端
を嵌着し他端を電極６の背部周辺に接合した軸方
向（第１図において上下方向）の通電ピン９を介
して接続されている。

なお、高抵抗支持体５は、電極６と電極棒１が
電気的に直接，接続されるのを防止すべく、ステ
ンレス鋼の如き高抵抗の金属または絶縁物からな
るものである。

しかるに、上記のコイル体２を備えた真空しや
断器では、コイル体２の磁界発生部２ｃ等の分割
数を多くすると、各コイル体２に流れる電流が少
なくなり、分割数に反比例して発生する軸方向磁
界が弱くなる。この軸方向磁界が弱くなるとしや
断能力の極端な低下を招来する問題が生じた。一
方、分割数を少なくすると、電流が増加し、磁界
の発生は強くなるが、その反面、各磁界発生部２
ｃや通電ピン９の電流密度が増し、電流容量が不
足する。この電流容量を大きくするには磁界発生
部２ｃや通電ピン９の断面積を大きくする必要が
あり、このためコイル体２が大型となる等の欠点
がある。また、通電ピン９は電極棒１の中心部か
ら離れた外周部に設けてあるので、この通電ピン
９には、投入、しや断時に大きな機械的応力がか
かり破損しやすく、機械的強度を増加させると大
型化する等の問題があつた。

本考案は上述の問題に鑑みなされたもので、以
下、本考案の実施例を第３図、第４図及び第５図
に基いて詳細に説明する。

第３図は本考案による真空しや断器の断面図
で、図において１１は真空容器である。

この真空容器１１は内筒状に形成したガラスま
たはアルミナ質のセラミツクス等からなる複数
（本実施例において２個）の絶縁筒１６を、それ
ぞれの両端に植設した例えばコバールの如き金属
材料よりなる薄肉筒状の封着金具１７，１７…の
一方を介して１本の絶縁筒として、その両開口端
を他方の封着金具１７，１７を介して円板状の金
属端板１８，１８により気密に封止し、かつ内部
を高真空に排気して構成されている。この真空容
器１１内には、前記１対の電極棒１２が各金属端
板１８の中央に設けた孔１８ａから真空容器１１
の気密性を保持して相対的に接離自在に導入され
ている。また、一方（第３図の上方）の電極棒１
２は、一方の金属端板１８に気密に接合されてい
るが、他方の電極棒１２は、金属ベローズ１９に
より真空容器１１の気密性を保持しつつ他方の金
属端板１８の孔１８ａを軸方向へ移動自在に挿通
され、かつ真空容器１１の外部に配設される図示
を省略した操作装置を介し上下方向に往復駆動さ
れる。

なお、第３図に示す２０は、主シールドでこの
主シールド２０は円筒状に形成されていて、電極
１３，１３等を同心状に囲繞するとともに、その
中間部付近を前記一方の封着金具１７，１７に挾
持されたリング円板状の支持金具２１により支持
されている。

また、２２，２２は各金属端板１８の内面に固
着した補助シールドである。

第４図は前記電極１３とコイル体１４の部分の
要部断面図、第５図はコイル体１４の平面図を示
し、他方（可動側）の電極棒１２の内端部には、
第４図に示すように、その中央部と外周に近接す
る位置に底部２３ａを有する孔２３と環状溝２４
がそれぞれ設けられている。

上記電極棒１２に固着される電極１３は、第４
図に示すように、その背面の中央部に、前記電極
棒１２に設けた孔２３と略同径の内筒を有する円
筒部２５が孔２３と同心状にかつ電極棒１２側に
突出するが如くして設けられている。

この円筒部２５は一端（図中の下方）が開口さ
れていて、他端（図中の上方）は、底部２５ａを
設けて閉鎖されている。

前記コイル体１４は、第５図に示すように前記
円筒部２５の外側に嵌装される中空円筒状のコイ
ル取付部２６と、該取付部２６外周から半径方向
（第４図の左右方向）へ延設した複数（第５図に
おいて２本）の腕部２７と、各腕部２７の端部を
起点として相隣る腕部２７の端部に近接する位置
を終点として同一の方向性を有し、かつ円弧状に
わん曲した磁界発生部２８と、各磁界発生部２８
の終点から前記腕部２７と平行し延設された接続
部３０とから構成されている。２９は導電部で前
記取付部２６の外周に近接して、かつ同心状に配
設される複数（第５図において２個）からなり、
前記電極棒１２の環状溝２４に埋設され、コイル
体１４に電流を導入する。

前記導電部２９は前記取付部２６とほぼ同一の
厚みを有して円弧状に形成されるとともに、その
下部は第４図に示すように前記電極棒１２の環状
溝２４に埋設すべく、取付部２６よりも下方へ突
出して形成されている。

前記補強金具１５は中空円板状で、電極棒１２
の内端部付近に嵌着されていて、その上面には前
記コイル体１４の機械的強度を補強すべく前記コ
イル体１４の磁界発生部２８が固着されている。

また、第４図に示す３１は、電極１３を支持す
る高抵抗支持体である。この支持体３１はオース
テナイト系ステンレス鋼の如く高抵抗の金属また
は絶縁物からなり、円筒状に形成されその両端に
はフランジ部３２が設けられている。この高抵抗
支持体３１は電極１３を電極棒１２に対して電気
的に絶縁してかつ直列的に支持するもので、一端
のフランジ部３２は電極棒１２の孔２３に嵌合さ
れてその底部２３ａにろう付けにより固着されて
いる。そして、他端のフランジ部３２は電極１３
の円筒部２５に嵌合されてその底部２５ａにろう
付けにより固着されている。なお、３３はろう付
け時のガス抜き孔である。また、一方（固定側）
の電極棒１２の内端部に固着される電極１３及び
コイル体１４等は、上述の他方のものと、ほぼ同
様なのでその説明を省略する。

以上のように構成されているので、負荷電流
は、電極棒１２から２つの導電部２９，２９に分
流してそれぞれ接続部３０−磁界発生部２８−腕
部２７−コイル取付部２６−円筒部２５−電極１
３を通し、他方の電極棒１２の電極１３側に流れ
る。磁界発生部２８を流れるとき１ターンのコイ
ルが形成されて縦方向の磁界が生ずる。この磁界
はアークを電極１３面上に分散させて、その局部
的な集中を排除する。このために、電極１３の過
度の溶融が防止され、しや断能力の向上が図られ
る。

以上、説明したように本考案は、真空容器と、
この真空容器の内部から外部に導入される一対の
電極棒と、これら一対の電極棒の先端部にそれぞ
れ設けられ前記真空容器内で接離自在に設けられ
た一対の電極を備えたものにおいて、前記電極１
３の少なくとも一方の電極１３を、前記電極棒１
２と一定間隙をもつて高抵抗支持体３１で支持
し、かつ前記間隙部にコイル体１４を配設すると
ともに、該コイル体４をコイル取付部２６と、こ
のコイル取付部２６に放射状に設けられた複数の
腕部２７と、これら腕部２７に同一円周方向に延
設され、全体としてコイル１ターンを形成する磁
界発生部２８と、この磁界発生部２８と連り相隣
る他の磁界発生部２８の腕部２７に近接して軸方
向に向けて設けられた接続部３０とで構成し、前
記コイル取付部２６の外周に複数の導電部２９を
設け、この導電部２９に前記コイル体４の接続部
３０を接続し、かつ前記コイル体１４のコイル取
付部２６を前記電極１３の背面に設けた円筒部２
５に嵌着ろう付けして構成されるものであるか
ら、電極１３への通電は、従来の通電ピンを介す
るものに比較して、接合面積の広いコイル取付部
２６と円筒部２５によるので、通電時における電
極１３への通電容量の低下を防止することができ
る。

また、これらの通電部は電極１３の背面周辺に
設けず、中心近くに設けてあるので、特別な補強
部材で補強しなくとも投入、しや断時の衝撃によ
り機械的な欠損が生ずることはない。

更に、コイル体１４の磁界発生部２８の分割数
を少くするとともに、電極棒１２の軸方向に深く
孔２３を設け、この孔２３に高抵抗支持体３１を
設けることにより渦電流の発生を抑止するととも
に、コイル体１４に有効に電流を分流させて、磁
界強度を強め、かつ磁界の位相遅れを防止して、
電流しや断能力を向上する効果等を奏する。

また更に、電極における円筒部の内部と電極棒
の孔とに高抵抗支持体を嵌合して円筒部の外側に
コイル取付部を嵌着する一方、電極棒の環状溝に
導電部を嵌合するので、電極棒を基準としてコイ
ル取付部と導電部との位置決めが正確に行われ、
コイル取付部と導電部との小さな隙間を適正な値
に確実に設定できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の要部を示す正断面図、第２図
は従来例の要部の平面図、第３図は本考案の一実
施例を示す正断面図、第４図は本考案の要部の正
断面図、第５図は本考案の要部の平面図である。 １１……真空容器、１２……電極棒、１３……
…電極、１４……コイル体、２５……円筒部、２
６……コイル取付部、２７……腕部、２８……磁
界発生部、２９……導電部、３０……接続部、３
１……高抵抗支持体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 真空容器と、該真空容器の内部から外部に導出
   される一対の電極棒と、これら一対の電極棒の先
   端側にそれぞれ設けられ前記真空容器内で接離自
   在の一対の電極を備えた真空しや断器において、 前記電極１３の背面中央部に設けた円筒部２５
   の内部と前記電極棒１２の先端中央部に設けた孔
   ２３とに高抵抗支持体３１を嵌合させることで、
   前記電極１３の少なくとも一方の電極１３を前記
   電極棒１２との間に一定間隙をもつて支持すると
   ともに前記間隙部にコイル体１４を配設し、 該コイル体１４を、コイル取付部２６と、該コ
   イル取付部２６に放射状に設けられた複数の腕部
   ２７と、これら各腕部２７に同一円周方向に延設
   され全体としてコイル１ターンを形成する磁界発
   生部２８と、該磁界発生部２８と連なるとともに
   相隣る他の磁界発生部２８の腕部２７に近接して
   軸心方向に向けて設けられた接続部３０と、前記
   コイル取付部２６の外側に位置するとともに夫々
   の接続部３０と接続された複数の円弧状の導電部
   ２９とで構成し、該導電部２９を電極棒１２の先
   端に形成した環状溝２４に嵌合する一方、コイル
   取付部２６を円筒部２５の外側に嵌着したことを
   特徴とする真空しや断器。