JPS6128358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は縦磁界形電極構造の真空バルブに係
り、特に電極部構成を改良した真空バルブに関す
る。

縦磁界形真空バルブは出願人によつてこれまで
種々提案されている。代表例として第１図に同一
形状をした１対の電極の片側の構造例を示す。１
が主電極で電流しや断時にこの表面でアークが発
生する。２はコイル電極で中央から放射状に延び
腕部２ａと、円周方向に回る外周部２ｂと、主電
極１との接続部２ｃとから成る。導電棒４からコ
イル電極２に流入した電流は、コイル電極２の前
記各部を２ａ，２ｂ，２ｃの順に流れ、その電流
径路によりアーク柱に対して軸方向の磁界、即ち
縦磁界が発生する。縦磁界中でのアークは接点間
に一様に分散し、アーク電圧が低く安定してお
り、接点の極部的な溶融が起こりにくいため、電
流しや断性能が著るしく向上するという特徴を持
つている。３はスペーサーでコイル電極２よりも
充分抵坑が大きく機械的強度の高い材料、例えば
ステンレススチール等でできており、大部分の電
流が前記コイル電極の各部２ａ，２ｂ，２ｃを通
つて主電極に流れ、かつ機械的にコイル電極２が
変形して、主電極に中心部で接触するのを防いで
いる。

ところで、このような電極構造の場合、次のよ
うな改良すべき点がある。即ち、コイル電極２
は、主電極１の背部に配置されているため、電流
しや断時に１対の主電極１の間に発生するアーク
から離れて位置している。コイル電極２で発生す
る磁界は、当然のことながらコイル電極２を含む
平面部で最も強く、その面から軸方向に離れるに
従つて磁界は弱くなる。このことから第１図の例
では、コイル電極２が発生する最も強い磁界を利
用できず従つてこの強い磁界を利用したいことで
ある。

また、コイル平面がアークの位置から軸方向に
離れているため、１対の電極の一方のみにコイル
電極を配置すると、磁力線がアーク発生部で広が
つてしまい、軸方向の磁界成分が少なくなつてし
まうので、軸方向の磁界を有効に発生させるため
には、１対の電極の両側にコイル電極を設ける必
要がある。

このような構造のコイル電極を１対の電極の両
側に設ける必要があるため、価格が高くなる。ま
たコイル部に流れる電流による発熱が増加し、電
極部の機械的強度にも改良すべき点がある。

本考案は上記問題点を解消するためになされた
もので、１対の電極の片側にのみ設けたコイル電
極により、充分な軸方向の磁界を得ることができ
る真空バルブを得ることを目的とするものであ
る。

以下本考案を第２図及び第３図を参照しながら
説明する。第２図は本考案の一実施例を示すもの
で、第１図ａ，ｂと同一部品には同一記号を付し
て示す。本案にあつては一方の電極は導電棒４の
先端に主電極１のみを接続した単純な構成で、も
う一方の電極は導電棒４の先端にコイル電極５を
接続し、コイル電極５の突起部５ｄに主電極１を
接続し、主電極１とコイル電極５との間の中心部
にスペーサー３を設けた構成である。ここで、コ
イル電極５は第３図に示すように導電棒４に取付
けられる円板状の取付基部５ａを中心に半径方向
に電極端部に伸び、さらに軸方向主電極側に伸び
るＬ字形の腕部５ｂと、この腕部５ｂの突出端と
一側が連結され、導電軸４を中心として描いた円
弧の軌跡上に配置された外周部５ｃ、及び外周部
５ｃの他側で、中心に向かつて突出する突起部５
ｄを電気的に一体に形成したものである。ここで
外周部５ｃは主電極１よりも直径が大きく、且つ
Ｌ字形の腕部５ｂの軸方向に伸びる部分により導
かれて、主電極１よりも突出し、主電極１間のア
ークが発生する空間を包囲するように配置され
る。

このような主電極１とコイル電極５を組合わせ
るには、コイル電極５の外周部５ｃの内側に主電
極１を挿入し、主電極１の背部又は側面部とコイ
ル電極５の突起部５ｄとを接着し、かつ主電極１
とコイル電極５の取付基部５ａとの間に例えばス
テンレススチールのような高抵坑金属からなるス
ペーサ３を介挿して電極を構成成する。この場
合、主電極１とコイル電極５の取付基部５ａ、腕
部５ｂ、外周部５ｃとは接触しないよう適当な空
間を設けて離しておく。

このような構成において、電流をしや断するた
め主電極１を開離すると、導電棒４からコイル電
極５に流入した電流は、コイル電極５の取付基部
５ａ腕部５ｂ，外周部５ｃ、突起部５ｄを経て主
電極１に流れる。本例ではこのような電流径路が
４つあるようなコイル電極の構造になつている。
ここで外周部５ｃは、アーク発生空間を包囲する
ように１ターンコイルを形成しているので、この
外周部５ｃを流れる電流により、１対の主電極１
間にこのコイル電極５が発生し得る最大の軸方向
磁界が印加されることになる。そのため、電流し
や断時に１対の主電極１を開離すると、主電極１
間に発生したアークは、前記の軸方向磁界により
主電極１間の空間に閉じ込められ、安定化され
る。このアークの安定化により、電流しや断性能
が著るしく向上することは、従来例を変わらな
い。しかし本実施例では、コイル電極５の発生す
る最も強い磁界を利用しており、かつアーク発生
空間を包囲するようにコイルを配置しているの
で、コイル電極５を片側の電極にのみ設けるだけ
で、充分な大きさの軸方向磁界を得ることができ
る。

このように本案によればコイル電極５を片側の
電極のみに設けるだけでよいことから次の３つの
利点がある。

(1) コイル電極５及びスペーサー３が１つですむ
ため価格が安くなる。

(2) コイル電極５を有する電極を固定電極にすれ
ば、可動電極は単純な主電極のみになるので、
電極の開閉動作の際の機械的な衝撃に強い。

(3) コイル電極に流れる電流による発熱が少なく
なるので、通電中の温度上昇が少ない。

第４図に本考案の他の実施例を示すが、第２図
及び第３図の実施例と異なるのは、コイル電極５
を覆うコイルカバー６を設けた点である。このコ
イルカバー６は主電極１の外周端部に固着され、
軸方向に伸びる円筒形をしており、これにより、
アークがコイル電極に移るのを防いでいる。な
お、このコイルカバーは円筒形のみに限らず、断
面Ｌ字形あるいはＵ字形等にしてコイル電極を覆
うようにしてもよい。

以上述べたように本考案によれば、コイル電極
を片側のみに設け、かつ、アーク発生空間を包囲
するように配置することができるので、安価で、
機械的強度が強く、通電時の発熱の少ない縦磁界
形真空バルブを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ及びｂは従来の縦磁界電極を示す平面
図及び断面図、第２図ａ及びｂは本考案の一実施
例を示す平面図及び断面図、第３図は本考案のコ
イル電極の斜視図、第４図ａ及びｂは本考案の他
の実施例を示す平面図及び断面図である。 １……主電極、２……コイル電極、３……スペ
ーサー、４……導電棒、５……コイル電極、５ａ
……取付基部、５ｂ……腕部、５ｃ……外周部、
５ｄ……突起部、６……コイルカバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 真空容器内に接離自在に設けられ、且つ導電棒
   にそれぞれ取付けられる１対の主電極により電流
   を投入、しや断するものにおいて、前記主電極の
   一方の主電極の背部に重ね合わせるようにコイル
   電極を配置して成り、このコイル電極は導電棒の
   取付基部から電極端部へ伸び、この電極端部から
   軸方向主電極側に伸びるＬ字形の腕部を有し、こ
   の腕部の突出端と一側が連結され、前記導電棒を
   中心として描いた円弧の軌跡上に配置された円筒
   状の外周部を設けて形成し、このコイル電極の円
   筒状の外周部の他側で前記電極の背部又は側面部
   との電気的接続を行い、前記円筒状の外周部は主
   電極より突出するようにして成り、前記コイル電
   極を設けた導電棒端部は空間又は高抵坑体を介し
   て前記主電極の背部と対向させたことを特徴とす
   る真空バルブ。