JPS639968Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は縦磁界形電極構造の真空バルブに係り、
特にコイル部構造を改良した真空バルブに関す
る。

縦磁界形真空バルブは、出頭人によつてこれま
で種々提案されている。代表例として、第１図
ａ，ｂに同一形状をした一対の電極の片側の構造
例を示す。１が接点、２が主電極で、電流しや断
時にこの表面でアークが発生する。３はコイル電
極で中央から放射状に延びる腕部３ａと、円周方
向に回る外周部３ｂと主電極２との接続部３ｃと
から成る。導電棒４からコイル電極３に流入した
電流は、コイル電極３の前記各部を３ａ，３ｂ，
３ｃの順に流れ、その電流径路によりアーク柱に
対して軸方向の磁界、即ち縦磁界が発生する。縦
磁界中でのアークは接点間に一様に分散しアーク
電圧が低く安定しており、接点の局部的な溶融が
起こりにくいため、電流しや断性能が著るしく向
上するという特徴を持つている。５はスペーサー
で、コイル電極３よりも充分抵抗が大きく機械的
強度の高い材料、例えばステンレススチール等で
できており、大部分の電流が前記コイル電極の各
部３ａ，３ｂ，３ｃを通つて主電極２に流れ、か
つ、機械的にコイル電極３が変形して主電極２に
中心部で接触するのを防いでいる。

ところでこのような電極構造の場合でも次のよ
うな現象が起りうる場合がある。即ち電流しや断
時に発生するアークが必ずしも接点１の表面に一
様に広がるとは限らない。図示しない外部電流回
路に流れる電流で発生する磁界の影響や接点の片
当り等種々の要因により、アークが偏つて発生す
ることは充分考えられる。このようにアークが偏
つて発生した場合、アーク柱からコイル電極３の
主電極２との接続部３ｃに至る電流径路の長さが
異なるため、コイル電極３の複数個に分割した電
流径路３ａ，３ｂ，３ｃそれぞれに流れる電流が
不均一になる。そのためこれらの電流径路を流れ
る電流によつて発生する縦磁界も不均一になり、
アークが接点間に一様に広がらず、アーク電圧の
高い不安定なアークが形成され、接点の溶融に起
こり電流しや断性能が低下する。

また接点の片当りが起きるとコイル電極３の外
周部３ｂ、腕部３ａが変形し易く、機械的に弱点
部を持つている。

さらに接点の片当りが起きると主電極２とコイ
ル電極３との接合部３ｃ以外の外周部が凹み変形
し、接点１も凹も変形することになり、接点１の
接触が不均一になり、通電性能が低下する。

本案は上記点を解消するためになされたもの
で、アークの発生場所によつて縦磁果が変化する
ことがなく、かつ、電極部を機械的に強くし、さ
らに接点の接触が不均一にならない、真空バルブ
を得ることを目的とする。

以下本案を第２図及び第３図を参照しながら説
明する。第２図は本案の一実施例であるが、下記
の点が第１図の従来例と異なる。即ち第１図と同
一部品に同符号を記した第２図に於て、接点１と
主電極７の間に抵抗板６が設けられている。この
抵抗板６は接点１とほぼ同一直径の円板で、中心
部に、主電極７の中心に設けた突出部７ａが貫通
し接点１の背面と接合する穴６ａを有しており、
また電気的抵抗の大きい、例えばステンレススチ
ール等でできている。

このような構成によると、導電棒４からコイル
電極３に流入した電流は、コイル電極３の前記各
部を第１図と同様３ａ，３ｂ，３ｃの順に分割し
て流れ、主電極７に流入する。この電流は主電極
７の前記突出部７ａに集まつて接点１に流入す
る。このような電流径路であれば接点１の表面上
のどこにアークが発生しても電流は全て主電極７
の中心に設けた突出部７ａを通つて流れるので、
コイル電極３の複数個の外周部３ｂ、腕部３ａそ
れぞれに流れる電流はアークの発生場所にかかわ
らず一定で均一となる。そのため、コイル電極３
に流れる電流により発生する縦磁界も均一にな
り、常に安定したアークが形成される。また、抵
抗板６は接点１とほぼ同一直径で、ステンレスス
チール等でできているために接点１や主電極７の
補強材としての効果もあり、従来構造の電極に比
較し接点片当り時に発生する凹みや変形がおさえ
られる利点がある。

なお第２図の実施例では主電極７に突出部７ａ
を設けた構成となつているが、接点１側から突出
部を設け平板状の主電極と接続してもよく、ある
いは突出部７ａを主電極７及び接点とは別部品に
してもよい。また、抵抗体６は電流を主電極７か
ら中央突出部７ａに集めて接点１に流入する作用
さえあればよいので、必ずしも接点とほぼ同一直
径にする必要はなく、例えば、第３図に示すよう
に、抵抗体８をコイル電極３と略同一直径にして
もよい。この構成によつてもその効果は第２図の
例と同じであるが、さらに下記の効果もある。即
ち電界の集中する電極外周端部がステンレススチ
ール等でできているため、第１図及び第２図の例
の電極外周端部が銅でできているものに対して、
アークによる溶融が極めて少なく、高耐電圧性能
を有するという特徴もある。

以上述べたように本案によれば、主電極と接点
との間に抵抗板を介在させ主電極と接点との接続
抵抗板中心部を貫通するように設けた突出部であ
る接続導体で行なつているため、主電極中心部に
電流が集められ、アークが接点のどこに発生して
も均一な縦磁界が発生し、常に安定したアークが
維持でき、従つて電流しや断性能の優れた真空バ
ルブを提供することができる。また抵抗体はステ
ンレススチール等機械的強度の強い材料でできて
いるために、接点や主電極の機械的強度になり接
点の片当りによる変形を防ぐことができるため、
変形しにくい電極構造を形成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来の縦磁界形電極の平面図及
びＡ−Ａ断面図、第２図は本案の一実施例の断面
図、第３図は本案の他の実施例を示す断面図であ
る。 １……接点、２……主電極、３……コイル電
極、４……導電棒、５……スペーサ、６……抵抗
板、７……主電極、７ａ……突出部、８……抵抗
板、９……主電極。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 真空容器内に接離自在に設けられ、且つ導電
   棒にそれぞれ取付けられる１対の接点により電
   流を投入、しや断するものにおいて前記接点の
   少なくとも一方の接点の背部に重ね合わせるよ
   うに主電極とコイル電極を配置し、このコイル
   電極は導電棒の取付基部に一端を固着され且つ
   この取付基部から伸びる腕部を有し、この腕部
   の突出端と一側が連結され前記導電棒を中心と
   して描いた円弧の軌跡上に配置された外周部を
   設けて形成し、このコイル電極の外周部の他側
   で前記主電極背部と電気的接続を行なうように
   し、前記コイル電極を設けた導電棒端部は空間
   又は高抵抗材でできたスペーサーを介して前記
   主電極の背部と対向させ、これにより大部分の
   電流が主電極とコイル電極部との電気的接続部
   を介して前記接点と導電棒間を流れるようにし
   た縦磁界電極を有する真空しや断器において、
   中心部に貫通穴を有する抵抗板を前記接点と前
   記主電極間に配置し、この抵抗板の前記貫通穴
   内に配置した接点導体により前記接点背部と主
   電極との電気的接続を行なうようにしたことを
   特徴とする真空バルブ。 (2) 接続導体が主電極から一体に突出する突出部
   である実用新案登録請求の範囲第１項記載の真
   空バルブ。 (3) 接続導体が接点から一体に突出する突出部で
   ある実用新案登録請求の範囲第１項記載の真空
   バルブ。