JP3146158B2 - 真空バルブ - Google Patents

真空バルブ

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JP3146158B2
JP3146158B2 JP14153196A JP14153196A JP3146158B2 JP 3146158 B2 JP3146158 B2 JP 3146158B2 JP 14153196 A JP14153196 A JP 14153196A JP 14153196 A JP14153196 A JP 14153196A JP 3146158 B2 JP3146158 B2 JP 3146158B2
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宜賢 影長
憲治 渡辺
工美 内山
純一 佐藤
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三孝 本間
宏通 染井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空バルブに関す
る。
【0002】
【従来の技術】遮断性能を上げるために、接点間に発生
するアークに対して平行に磁界を発生させる、いわゆる
縦磁界形の電極を組み込んだ真空バルブが真空遮断器な
どに採用されている。
【0003】この真空バルブは、電極の接点の背面に組
み込まれたコイル電極を流れる電流によって、固定側電
極と可動側電極の間に対して、アークと平行(すなわ
ち、真空バルブの軸方向)の磁界を発生させて、接点表
面におけるアークの局部的膠着を防ぎ、遮断性能の向上
を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、大容量の真
空バルブでコイル電極の直径が大きく、縦磁界を発生さ
せる弧状のコイル部が長い電極では、所望の縦磁界強度
を得ることができるが、遮断電流が小さい小容量の真空
バルブでは、電極の直径も小さくなるので、コイル電極
のコイル部が短くなり、充分な強度の縦磁界が得られな
い。
【0005】そのため、小容量の真空バルブでは、従来
から直径がやや大きい平板電極構造の電極を組み込んで
いるが、この電極では、真空バルブの小形化と遮断性能
の向上を図るうえでの障害となる。
【0006】したがって、容量が小さいにもかかわら
ず、アーク時間が長くなり、接点の寿命が短くなり、真
空バルブの特長を損う。そこで、本発明の目的は、外形
を増やすことなく、遮断特性を上げ寿命を延ばすことの
できる真空バルブを得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
真空バルブは、絶縁円筒の両端から絶縁円筒の内部に貫
挿された通電軸の先端に対して通電板を設け、この通電
板の前面に対して、隣接側に溝が形成された複数の磁性
体を環状に配置し、基端が通電板に接合される通電棒を
磁性体の溝に挿入し、通電棒の先端に接触子を接合した
ことを特徴とする。
【0008】また、請求項2に記載の発明の真空バルブ
は、接触子を、筒部で磁性体を覆うカップ状としたこと
を特徴する。また、請求項3に記載の発明の真空バルブ
は、磁性体の溝の少なくとも通電棒との接触面に対し
て、絶縁被膜を形成したことを特徴とする。
【0009】また、請求項4に記載の発明の真空バルブ
は、磁性体の外周側の側面に対して、セラミックスの被
膜を形成し、請求項5に記載の発明の真空バルブは、銅
・クロム合金材の被膜を形成したことを特徴とする。
【0010】また、請求項6に記載の発明の真空バルブ
は、接触子の材料を、中心部のアーク電圧の高い材料と
この外周のアーク電圧の低い材料で構成したことを特徴
とする。
【0011】さらに、請求項7に記載の発明の真空バル
ブは、絶縁筒の内部の接触子の対向部に対して、環状の
磁性体を設けたことを特徴とする。
【0012】このような手段によって、請求項1に記載
の発明においては、通電棒を流れる電流で発生した磁束
を磁性体に導き、さらに、両電極の磁性体の間を軸方向
に通過させる。
【0013】また、請求項2に記載の発明においては、
アークの放電面積を広げて、発弧点を分散させる。ま
た、請求項3に記載の発明においては、磁性体に分流す
る電流を抑えて、縦磁界の強度を上げる。
【0014】また、請求項4に記載の発明においては、
磁性体の外周面にアークが移行した場合の磁性体の蒸発
を防ぎ、請求項5に記載の発明においては、磁性体の外
周面へのアークの移行を防ぐ。
【0015】また、請求項6に記載の発明においては、
接触子の中央部分における消弧特性を上げる。さらに、
請求項7に記載の発明においては、アークの接点外周方
向への移行を促進する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の真空バルブの一実
施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の真
空バルブの第1の実施形態を示す部分分解斜視図で、請
求項1に対応し、電極部分と通電軸の一部のみを示す。
【0017】図1において、図示しない真空バルブの固
定側端板に貫設された固定側通電軸1Aの下端には、銅
材から円板状に形成された通電板5がろう付されてい
る。この通電板5の下面には、軟鋼材から略コ字状に形
成された6個の磁性片3が放射状に且つ対称的に配置さ
れている。
【0018】これらの各磁性片3の隣接側の片側に開口
して形成された弧状の溝には、銅材の丸棒から製作され
た通電棒2がそれぞれ遊嵌され、上端が通電板5にろう
付されている。
【0019】これらの磁性片3と通電棒2の下端面に
は、銅・クロム合金で製作された接触子4がろう付さ
れ、この接触子4の外周の下端は、弧状に面取りされて
いる。このうち、通電板5,磁性片3,通電棒2及び接
触子4で、固定側電極を構成している。
【0020】同じく、図示しない真空バルブの可動側端
板に貫設された可動側通電軸1Bの上端にも、通電板5
がろう付されている。この通電板5の上面にも、軟鋼材
から略コ字状に形成された6個の磁性片3が放射状に且
つ対称的に配置されている。これらの磁性片3は、固定
側と可動側では、後述する図2で示すように逆向きとな
っている。
【0021】これらの各磁性片3の隣接側の片側に形成
された弧状の溝には、銅材の丸棒から製作された通電棒
2が固定側電極と同様にそれぞれ遊嵌され、片側が通電
板5にろう付されている。
【0022】これらの磁性片3と通電棒2の他側には、
銅・クロム合金で製作された接触子4がろう付され、こ
の接触子4の外周の接触面側は、弧状に面取りされてい
る。このうち、通電板5,磁性片3,通電棒2及び接触
子4で、可動側電極を構成している。
【0023】このように電極が構成された真空バルブに
おいて、例えば、可動側通電軸1Bから可動側電極を経
て固定側電極に流れる電流は、可動側の通電板5から各
通電棒2と接触子4を経て固定側の接触子4に流れ、さ
らに、固定側の各通電棒2から通電板5を経て固定側通
電軸1Bに流れる。
【0024】この電流が通電棒2を流れることで発生す
る磁束は、図1の部分拡大説明図の図2の矢印Φで示す
ように、各磁性片3を通過する磁路と、これらの磁性片
3の開口端において、電極間に上下方向に対向して配置
された各磁性片3の間を軸方向に破線で示すように通過
する。すなわち、破線で示す磁束によって電極間には、
いわゆる縦磁界が発生する。
【0025】図3は、図1で示した電極間の縦磁界の強
度の分布の電極の径方向の変化を示した図で、環状に配
置された通電棒2の配置径を境界として、方向の異なる
曲線Aで示す磁界が形成されている(注;このグラフ
は、電極が開極した状態で測定した)。
【0026】したがって、このように構成された真空バ
ルブにおいては、たとえ、電極の直径が小さい場合で
も、通電棒2と磁性片3によって、縦磁界を発生させる
ことにより、電極間に発生したアークの局部的集中を防
ぎ、遮断特性を上げることができる。
【0027】なお、上記実施例において、磁性片3の溝
の内面の少なくとも通電棒2と接する面に対して、セラ
ミックスの被膜を形成して、遮断電流のすべてを通電棒
2に流し、縦磁界の強度を上げて、請求項3に記載の発
明としてもよい。また、通電棒2は、角棒又は磁性片3
の溝の形状に合わせた弧状とすることで、通電容量の大
きい真空バルブに対応可能としてもよい。
【0028】この場合には、溝の幅を狭くし、環状に配
置された磁性片3の内周間隔を増やすことで、図3で示
したグラフの中央部に凹部を形成して、アークの中央部
への集中を防ぐこともできる。
【0029】また、上記実施形態では、磁性片3は6個
の場合で説明したが、半円形で二分割形の2個としても
よく、扇状の三分割,四分割又は五分割形としてもよ
い。
【0030】次に、図4は、本発明の真空バルブの第2
の実施の形態を示す部分斜視図で、接触子のみを示し、
請求項6に対応し、他の部分は図示しないが、第1の実
施形態で示した図1と同一である。
【0031】すなわち、図4に示した接触子4Aは、図
3で示した磁性片3の溝に挿入された通電棒2と接触子
の中心間の半径rと同一の半径の範囲において、アーク
電圧の高い接点材料として、Cu75%,Cr25%の合金
の接点片4aが使用され、この外側の環状の接点片4b
には、アーク電圧が接点片4aと比べて低い、Cu50
%,Cr50%の材料が採用されている。
【0032】このように接触子の材料のうち、中央部分
をアーク電圧の高い材料を使用することによって、接触
子4の中央部の間におけるアークの継続を抑えることに
より、図1で示した磁性体3と通電棒2による縦磁界の
平準化と相俟って、アークの中央部への集中を防ぎ、広
い接触子面に分散させて、消弧性能を上げることができ
る。
【0033】なお、上記第1及び第2の実施形態におい
て、磁性片3の外周の長い弧状面と接触子4の取付面の
外周部に対して、銅のめっき又は銅・クロム合金の被膜
を形成することで、接点間のアークが磁性片3の外周に
移行したときの磁性片3の蒸発を防ぎ、消弧性能を上げ
た請求項5に記載の発明としてもよい。
【0034】次に、図5は、請求項2に対応する本発明
の真空バルブの第3の実施形態を示す部分断面図で、可
動側電極のみを示し、固定側電極も同様である。図5に
示した可動側電極では、図1で示した可動側電極と接触
子のみが相違し、断面U字状となっている。図5におい
て、前述した実施形態と異なる接触子4Bは、断面が浅
いU字状となっていて、底部の内外面は弧状の曲面を形
成している。
【0035】このように接触子が形成された真空バルブ
においては、図3の縦磁界強度を示す曲線Aの両端に示
す電極外周部の縦磁界によって、電極の中央部の破線B
から外周部に移行したアークを図5の破線の曲線Cのよ
うに弧状の曲面に導くことで、接触子間で発生したアー
クの発弧部を広い面積に形成し、アークの密度を減らす
ことができるので、遮断特性を更に上げることができ
る。
【0036】なお、この接触子4Bにおいても、図4で
示した接触子4Aと同様に、中央部の接点材料をアーク
電圧の高い、例えばCuCr25とし、この外側をアーク
電圧の低いCuCr50としてもよい。
【0037】また、図6は、請求項7に対応する本発明
の真空バルブの第4の実施形態を示す部分断面図で、真
空バルブの中央部分のみを示す。図6において、図5で
示した実施形態と異なるところは、真空バルブの絶縁円
筒7の内部に対して、固定側電極と可動側電極を囲むよ
うに同軸に設けられたアークシールド6の外周面の中央
部に、短い筒状で軟鋼材の磁性環8を固定したことであ
る。
【0038】このように構成された真空バルブにおいて
は、磁性片3の間で発生した軸方向の磁束のうち、図3
で示すように電極の外周間の頂部を形成する磁界の磁束
の一部を、磁性環8によって破線の曲線Dに示すように
更に外周方向に移動させて、接触子4Bの外周面への移
行を容易にし、アークの発弧面積を更に広げアークの密
度を下げることができる。なお、図6で示した磁性環8
は、図1で示した電極を組み込んだ真空バルブにも採用
することもできる。
【0039】
【発明の効果】以上、請求項1に記載の発明によれば、
絶縁円筒の両端から絶縁円筒の内部に貫挿された通電軸
の先端に対して通電板を設け、この通電板の前面に対し
て、隣接側に溝が形成された複数の磁性体を配置し、基
端が通電板に接合される通電棒を磁性体の溝に挿入し、
通電棒の先端に接触子を接合することで、通電棒を流れ
る電流で発生した磁束を磁性体に導き、さらに、両電極
の磁性体の間を軸方向に通過させたので、外形を増やす
ことなく、遮断特性を上げ寿命を延ばすことのできる真
空バルブを得ることができる。
【0040】また、請求項2に記載の発明によれば、磁
性体を筒部で覆うカップ状とすることで、アークの放電
面積を広げて、発弧点を分散させたので、外形を増やす
ことなく、遮断特性を上げ寿命を延ばすことのできる真
空バルブを得ることができる。
【0041】また、請求項3に記載の発明によれば、磁
性体の溝の少なくとも通電棒との接触面に対して、絶縁
被膜を形成することで、磁性体に分流する電流を抑え
て、縦磁界の強度を上げたので、外形を増やすことな
く、遮断特性を上げ寿命を延ばすことのできる真空バル
ブを得ることができる。
【0042】また、請求項4に記載の発明によれば、磁
性体の外周側の側面に対して、セラミックスの被膜を形
成することで、磁性体の外周面にアークが移行した場合
の磁性体の蒸発を防いだので、また、請求項5に記載の
発明によれば、磁性体の外周側の側面に対して、銅・ク
ロム合金材の被膜を形成することでアークの発生面積を
広げ、分散させたので、外形を増やすことなく、遮断特
性を上げ寿命を延ばすことのできる真空バルブを得るこ
とができる。
【0043】また、請求項6に記載の発明によれば、接
触子の材料を中心部のアーク電圧の高い材料とこの外周
のアーク電圧の低い材料で構成することで、接触子の中
央部分における消弧特性を上げたので、外形を増やすこ
となく、遮断特性を上げ寿命を延ばすことのできる真空
バルブを得ることができる。
【0044】さらに、請求項7に記載の発明によれば、
絶縁筒の内部の接触子の対向部に対して、環状の磁性体
を設けることで、アークの接点外周方向への移行を促し
たので、外形を増やすことなく、遮断特性を上げ寿命を
延ばすことのできる真空バルブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空バルブの第1の実施形態を示す部
分分解斜視図。
【図2】本発明の真空バルブの第1の実施形態の作用を
示す部分拡大分解斜視図。
【図3】本発明の真空バルブの第1の実施形態の作用を
示す説明図。
【図4】本発明の真空バルブの第2の実施形態を示す部
分拡大斜視図。
【図5】本発明の真空バルブの第3の実施形態を示す部
分断面図。
【図6】本発明の真空バルブの第4の実施形態を示す部
分断面図。
【符号の説明】
1A…固定側通電軸、1B…可動側通電軸、2…通電
棒、3…磁性片、4,4A,4B…接触子、5…通電
板、6…アークシールド、7…絶縁筒、8…磁性環。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 純一 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 金子 英治 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 本間 三孝 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 染井 宏通 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (56)参考文献 特開 昭51−12676(JP,A) 特開 平8−339743(JP,A) 実公 昭58−47630(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 33/66

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁円筒の両端から前記絶縁円筒の内部
    に貫挿された通電軸と、この通電軸の先端に設けられた
    通電板の前面に環状に配置され基端が前記通電板に接合
    される複数の通電棒と、この通電棒を同一円周方向側か
    ら挟んで配置されるコの字状の磁性体と、前記通電棒の
    先端に接合される接触子とを備えた真空バルブ。
  2. 【請求項2】 前記接触子を筒部で前記磁性体を覆うカ
    ップ状としたことを特徴する請求項1に記載の真空バル
    ブ。
  3. 【請求項3】 前記コの字状の磁性体の少なくとも導電
    部分との接触面に対して、絶縁被膜を形成したことを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の真空バルブ。
  4. 【請求項4】 前記コの字状の磁性体の外周側の側面に
    対して、セラミックスの被膜を形成したことを特徴とす
    る請求項1又は請求項3に記載の真空バルブ。
  5. 【請求項5】 前記コの字状の磁性体の外周側の側面に
    対して、銅又は銅・クロム合金材の被膜を形成したこと
    を特徴とする請求項1又は請求項3に記載の真空バル
    ブ。
  6. 【請求項6】 前記接触子の材料を、中心部のアーク電
    圧の高い材料とこの外周のアーク電圧の低い材料で構成
    したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか
    に記載の真空バルブ。
  7. 【請求項7】 前記絶縁筒の内部の前記接触子の対向部
    に対して、環状の磁性体を設けたことを特徴とする請求
    項1乃至請求項6のいずれかに記載の真空バルブ。
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JP5095591B2 (ja) * 2008-11-27 2012-12-12 株式会社東芝 真空バルブ
JP5404317B2 (ja) * 2009-10-29 2014-01-29 株式会社東芝 真空バルブ
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