JPS6326501B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は偏向ヨーク、特に垂直巻線がトロイダ
ル状に巻設された偏向ヨークの水平巻線と垂直巻
線間の磁気的結合と垂直巻線に生ずる共振点とが
原因となつて発生する水平帰線期間直後の画面左
側に生ずる縦縞状のリンギングを防止した偏向ヨ
ークに関するものである。

従来、垂直巻線がトロイダル状に巻設された偏
向ヨークとして、例えば偏向ヨークの水平巻線に
サドル形巻線、垂直巻線にトロイダル形巻線を使
用したセミトロイダル形偏向ヨークを用いたテレ
ビジヨン受像機においては、第１図に要部平面構
成図で示したように画面１の左側端に５〜６本の
縦縞模様２が現われることがあつた。この現象
は、リンギング現象と称され、垂直巻線がトロイ
ダル状に巻設された偏向ヨークの使用のみに発生
する特有の欠点であつた。

第２図は垂直巻線がトロイダル状に巻設された
偏向ヨークとして例えばセミトロイダル形偏向ヨ
ークの一例を説明するための要部平面構成図であ
る。同図において、３は環状に形成された磁心で
あり、この磁心３にはそれぞれ対向部分にトロイ
ダル状に垂直巻線４，５およびサドル状に水平巻
線６，７が各一対ずつ巻設して構成されている。

このような構成によると、サドル状に巻設され
た水平巻線６，７の発生する水平偏向磁界８とト
ロイダル状に巻設された垂直巻線４，５とが磁心
１の内部で鎖交するため、水平巻線６，７と垂直
巻線４，５間には強力な磁気的結合を有してい
る。また、垂直巻線４，５はトロイダル状に巻線
されているため、各巻線間の分布容量が大きく、
水平巻線６，７側から見た場合には、垂直巻線
４，５は各々垂直巻線の微少巻線部分のインダク
タンスとで形成する共振回路の集まりと見なすこ
とができる。したがつて、水平巻線６，７に水平
偏向電流が供給されると、帰線期間のように電流
の変化の激しい所では共振現象を起し、磁心３の
内部には電子ビームを水平に偏向する磁界として
水平偏向磁界８と垂直巻線４，５から発生する振
動磁界が発生する。そして、この振動磁界は帰線
期間の始めから走査期間の最初の部分まで振動が
持続するため、走査の始めに対応する画面左側端
での電子ビームは上記振動磁界で速度変調を受
け、この結果、第１図に示したように画面１の左
側端には縦縞模様２のリンギング現象が発生する
ことになる。

このようなリンギング現象を改善したものとし
ては、第３図に示したように垂直巻線４，５の巻
線ピツチを大きく巻設して構成したセミトロイダ
ル形偏向ヨークが提案されている。

このような構成によると、垂直巻線４，５の各
巻線間の分布容量が小さくなるので、共振周波数
が高くなり、したがつて第４図に示したように縦
縞模様２の間隔が縮少されて観察者には見えにく
くさせているのみで、実質的にはリンギング現象
の確実な防止手段とは言えなかつた。

したがつて本発明は、垂直巻線の少なくとも一
方の巻線の少なくとも一層の巻線の微少巻線部分
に、水平巻線との相互電磁誘導で誘起される水平
パルス電圧の極性が反転する電気的中点端子を設
け、該端子と該一層の巻線の巻始めと巻終り端子
間もしくは該電気的中点端子と垂直巻線の巻始め
と巻終り端子間に垂直巻線の共振回路のＱを低下
させる素子を接続することによつて、リンギング
現象を確実に防止できるようにした偏向ヨークを
提供することを目的としている。

以下図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明
する。

第５図、第６図は本発明による垂直巻線がトロ
イダル状に巻設された偏向ヨーク、例えばセミト
ロイダル形偏向ヨークの一実施例を説明するため
の要部平面構成図であり、前述の図と同記号は同
一要素となるのでその説明は省略する。第５図に
おいて、環状磁心３の外面対向部分に多層に巻設
された一対の垂直巻線４，５の中央層のある一層
には、水平巻線６，７との相互電磁誘導で誘起さ
れる水平パルスの極性が反転する電気的中点を引
き出した中点端子１２，１３がそれぞれ設けられ
ている。第６図はその全体接続図を示したもので
ある。そして、上方側垂直巻線４の上記電気的中
点端子１２とその巻線層巻始め、巻終り端子４
ａ，４ｂ間には、この垂直巻線４に形成される共
振回路のＱの値を低下させる抵抗成分を有する素
子として例えば互いに抵抗値の等しいダンピング
抵抗１４，１５がそれぞれ接続されている。ま
た、同様に上記上方側垂直巻線４と対向する下方
側垂直巻線５の上記電気的中点端子１３とその巻
始め、巻終り端子５ａ，５ｂ間には、この垂直巻
線５に形成される共振回路のＱの値を低下させる
抵抗成分を有する素子として例えば互いに抵抗値
の等しいダンピング抵抗１６，１７が接続されて
いる。

このように構成されたセミトロイダル形偏向ヨ
ークは、第７図に示したような簡易化等価回路と
なるので、その等価回路を用いてその動作を説明
する。同図において、１８，１９は第４図に示す
垂直巻線４の端子４ａと１２間、端子１２と４ｂ
間にそれぞれ誘起される水平パルス電圧、２０，
２１は垂直巻線４の端子４ａと１２間、端子１２
と４ｂ間の垂直巻線インダクタンス、２２，２３
は垂直巻線４の端子４ａと１２間、端子１２と４
ｂ間のそれぞれの巻線の分布容量である。

このような構成において、垂直巻線４の端子４
ａと１２間および端子１２と４ｂ間には、インダ
クタンス２０と分布容量２２とからなる共振回路
Ａおよびインダクタンス２１と分布容量２３とか
らなる共振回路Ｂによる振動成分を含んだ逆極性
の水平パルス電圧の波形２４および２５がそれぞ
れ出力される。しかしながら、従来の偏向ヨーク
においては、垂直巻線４の巻始め端子４ａと巻終
り端子４ｂ間には相殺されて電圧は生じないた
め、この端子４ａと４ｂ間に抵抗を接続してもリ
ンギング現象を抑止できないことは明らかであ
る。したがつて、本願実施例では、垂直巻線４の
微少巻線部分に誘起される水平パルス電圧の波形
２４，２５の極性が反転する電気的中点端子１２
を設けてこの中点端子１２と両側端子４ａ，４ｂ
間に抵抗１４，１５を接続することによつて、共
振回路Ａ，ＢのＱがダンピングされるので、端子
４ａと１２間および端子１２と４ｂ間には共振回
路Ａ，Ｂによつて生じる振動成分を含んだ逆極性
の水平パルス電圧（波形２４，２５）が発生しな
くなり、したがつてリンギング現象を抑止するこ
とができる。

この場合、磁心３の上方側垂直巻線４のみにつ
いて説明したが、下方側の垂直巻線５についても
第７図の説明と全く同様である。そして、上方側
垂直巻線４と下方側垂直巻線５とを両者同時に上
述した処置を施すことによつて、画面左側端に現
われるリンギング現象が確実にかつ完全に除去す
ることができる。また、上方側の垂直巻線４のみ
の処置では、画面左側端上部のリンギング現象が
除去でき、下部側にはリンギング現象が現われ
る。さらに下方側の垂直巻線５のみの処置では、
画面左側端下部のリンギング現象が除去でき、上
部側には現われることになる。よつて上方側、下
方側の垂直巻線４，５の両者に同時に上記処置を
施した方が効果的である。

また、実際の偏向ヨークにおいては、垂直巻線
４，５は磁心３上に多層に巻設され、各層は互い
に強い相互誘導で結合されているので、これら各
層のうちのいずれか一層を上記ダンピング処理を
施すのみでリンギング現象を抑止することができ
る。

第８図は本発明による垂直巻線をトロイダル状
に巻設した、例えばセミトロイダル形偏向ヨーク
の他の実施例を説明するための要部平面構成図で
あり、前述の図と同記号は同一要素となるのでそ
の説明は省略する。第８図において、第７図と異
なる点は、上方側垂直巻線４の全巻線には、水平
巻線６との相互電磁誘導で誘起される水平パルス
の極性が反転する電気的中点端子１２が設けら
れ、この電気的中点端子１２とこの垂直巻線４の
全巻線の巻始め、巻終り端子４ｃ，４ｄ間には、
垂直巻線４に形成される共振回路のＱの値を低下
させる抵抗成分を有する素子として例えば互いに
抵抗値がほぼ等しいダンピング抵抗１４，１５が
それぞれ接続されている。また全く同様にして下
方側垂直巻線５の全巻線に上記同様の電気的中点
端子１３を設け、この電気的中点端子１３とこの
垂直巻線５の全巻線の巻始め、巻終り端子５ｃ，
５ｄ間には垂直巻線５の共振回路のＱの値を低下
させる素子として例えば互いに抵抗値がほぼ等し
いダンピング抵抗１６，１７がそれぞれ接続され
ている。

このような構成においても、前述と同様に上方
側、下方側の垂直巻線４，５には、それぞれ形成
される共振回路によつて生じる振動成分を含んだ
逆極性の水平パルス電圧が発生しなくなり、した
がつてリンギング現象を確実に抑止することがで
きる。

なお、上記実施例において、垂直巻線４，５の
共振回路のＱの値を低下させる抵抗成分を有する
素子として抵抗を用いた場合について説明した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、ボ
リウム、ダイオード及び他の半導体素子等、上記
共振回路のＱの値を低下させる抵抗成分を有する
素子であれば特に限定されるものではない。

また、上記実施例においては、水平巻線にサド
ル形巻線、垂直巻線にトロイダル形巻線を用いた
いわゆるセミトロイダル形偏向ヨークを用いた場
合について説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、水平巻線にトロイダル形巻線、
垂直巻線にもトロイダル形巻線を用いたいわゆる
オールトロイダル形偏向ヨークを用いても前述と
全く同様の効果が得られることは勿論である。

以上説明したように本発明による偏向ヨークに
よれば、画面の左側端に現われるリンギング現象
を確実に抑止することができるので、高品位、高
品質の画像が得られるという極めて優れた効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は従来の偏向ヨークを説明
するための図、第５図ないし第７図は本発明によ
る偏向ヨークの一実施例を説明するための図、第
８図は本発明による偏向ヨークの他の実施例を説
明するための図である。 ３……磁心、４……上方側垂直巻線、４ａ……
巻始め端子、４ｂ……巻終り端子、４ｃ……巻始
め端子、４ｄ……巻終り端子、５……下方側垂直
巻線、５ａ……巻始め端子、５ｂ……巻終り端
子、５ｃ……巻始め端子、５ｄ……巻終り端子、
６，７……水平巻線、８……水平偏向磁界、９…
…磁界、１２，１３……電気的中点端子、１４，
１５，１６，１７……ダンピング抵抗、１８，１
９……誘起水平パルス電圧、２０，２１……垂直
巻線インダクタンス、２２，２３……垂直巻線分
布容量、２４，２５……振動成分を含む水平パル
ス電圧。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁心の外面対向部分に各一対の垂直巻線、水
   平巻線を巻設して構成された特に垂直巻線がトロ
   イダル状に巻設された偏向ヨークにおいて、前記
   垂直巻線の少なくとも一方の巻線の少なくとも一
   層の巻線の微少巻線部分に、前記水平巻線との相
   互電磁誘導で誘起される水平パルス電圧の極性が
   反転する電気的中点端子を設け、該電気的中点端
   子と該一層の巻線の巻始めと巻終り端子間もしく
   は該一方の垂直巻線の全巻線の巻始めと巻終り端
   子間に該垂直巻線の共振回路のＱを低下させる抵
   抗成分を有する素子をそれぞれ接続したことを特
   徴とする偏向ヨーク。