JPS6324638Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、サイリスタ装置を用いた放電灯調光
装置に関する。

［従来の技術］ 従来、放電灯調光装置として、第１図に示すよ
うに、交流電源１と放電灯およびこの放電灯の点
灯措置からなる負荷２との間に挿入されたSCR、
トライアツクなどのサイリスタ装置３と、可変抵
抗器の操作等により予め設定された位相でトリガ
パルスを発生してこのサイリスタ装置３を点弧す
る制御回路４とで構成され、負荷２に位相制御し
た電圧を供給するものが知られている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、このような放電灯調光装置において
は、電源を投入して放電灯を始動する際にも前記
の位相制御した電圧を供給するので、制御可能な
範囲すべての電圧における放電灯の始動を補償す
るためには、放電灯点灯装置はその２次電圧を例
えば一般型の1.5倍程度と非常に高く設定しなけ
ればならず、装置が大型化し、電力損失も大きく
なるという欠点があつた。

また、この欠点を解消するため、第１図のよう
な調光装置において、始動時の一定時間、制御回
路４のトリガパルス発生位相を出来るだけ進めて
サイリスタ装置３を全導通（全光）状態にして放
電灯を始動する試みもなされている（実開昭50−
106084号公報）。

ところが、点灯装置として例えば特開昭56−
50093号公報、特開昭56−49682号公報等に示され
て周知である交流電圧を全波整流した後平滑する
ことなしにインバータで高周波交流に変換して放
電灯を点灯する形式のものを用いた場合、点灯装
置の入力電圧と入力電流との関係は第２図のよう
になる。すなわち、電源の各半サイクルごとに点
灯装置の負荷である放電灯が再点弧して放電電流
が流れる位相φの付近まで殆ど点灯装置に入力電
流が流れず、したがつてサイリスタ装置３に負荷
電流の流れない期間がある。このため、前記トリ
ガパルス発生位相が進み過ぎ、第２図の位相φよ
りも小さい位相でパルスを発生すると、そのパル
ス幅との関係によつては入力電流が流れ始める位
相φよりも先にトリガパルスが消滅してしまい、
サイリスタ装置３は導通状態を保持できずにオフ
してしまう。したがつて、このように各半サイク
ルにおいて放電灯が再点弧するまでの消灯期間の
入力電流がサイリスタ装置の保持電流より小さい
点灯装置に、第１図のようなサイリスタ装置およ
び制御回路を用いて単にトリガパルス発生位相を
進めただけで必ずしも全光始動を行なうことは出
来なかつた。

なお、サイリスタ装置を点弧する信号として、
幅の広い例えば連続的な信号や疑似的に連続信号
と見なせるように高速に繰返すパルス信号を供給
することも考えられるが、このような場合は制御
回路の容量が大きくなつたり構成が複雑になつた
りして、高価になる欠点があつた。

本考案の目的は前述の欠点を解消し、サイリス
タ装置が不所望にオフしてしまうことを防止で
き、しかも、構成も比較的簡単で、始動補償でき
る放電灯調光装置を提供することである。

［問題点を解決するための手段および作用］ 以下実施例に基づいて本考案を詳細に説明す
る。

なお、従来例と共通または対応する部分につい
ては同一符号を用いて表わす。

第３図は、本考案に係る放電灯調光装置の回路
図を示す。同図の放電灯調光装置は、交流電源１
と上述したような点灯装置および放電灯からなる
負荷２との間に挿入されたSCR、トライアツク
等のサイリスタ装置３と、このサイリスタ装置３
の点弧角を制御する制御回路４とを具備する。５
は雑音防止用コイルである。制御回路４は、出力
電圧検知回路６、タイマ回路７、差動増幅器８、
リミツタ回路９およびトリガパルス発生回路１０
を具備する。

出力電圧検知回路６は、絶縁トランス６１、全
波整流器６２および波形整形回路６３からなり、
サイリスタ装置３の出力電圧すなわち負荷２の入
力電圧を直流に変換して差動増幅器８へ送出す
る。

タイマ回路７は、トランジスタ７１，７２、定
電圧ダイオード７３、抵抗７４およびコンデンサ
７５を具備する。電源が投入されると、コンデン
サ７５は抵抗７４により充電されその正端子の電
圧は上昇するが、この電圧が定電圧ダイオード７
３のツエナー電圧に達するまでの一定時間はトラ
ンジスタ７１のベース電流が流れず、したがつて
トランジスタ７１はオフ、トランジスタ７２はオ
ンしてタイマ動作を行なう。

トリガパルス発生回路１０は、トランジスタ１
０１、コンデンサ１０２、抵抗１０３，１０６，
１０７，１０８、プログラマブルユニジヤンクシ
ヨントランジスタ（PUT）１０４、パルストラ
ンス１０５および定電圧ダイオード１０９とから
なる。コンデンサ１０２は、トランジスタ１０１
によりそのベース電圧で定まるエミツタ電圧V_E
まで非常に短い時間で充電され、次いでこの電圧
V_Eからは抵抗１０３とコンデンサ１０２とで定
まる時定数Ｔで充電される。PUT１０４はその
アノード電圧がゲート電圧を越えるとパルスを発
生するので、このパルス発生の周期は前記電圧
V_Eにより可変される。また、定電圧ダイオード
１０９および抵抗１０８により台形波がゲートに
印加されるのでこのゲート電圧は半周期毎に０と
なり、この電圧０近辺ではPUT１０４は非常に
短周期でパルスを発生してコンデンサ１０２を放
電する。結局、このトリガパルス発生回路１０
は、交流電源電圧が０の点すなわち０位相から、
コンデンサ１０２がトランジスタ１０１により前
記電圧V_Eまで充電される時間と電圧V_EからPUT
１０４のゲート電圧まで前記時定数Ｔで上昇する
時間との和だけ遅れた位相でトリガパルスを発生
することになる。

次に本実施例の動作を説明する。平常は、交流
電源１から雑音防止用コイル５およびサイリスタ
装置３を介して負荷２に位相制御された交流電圧
が供給されている。この電圧は出力電圧検知回路
６により直流化され、差動増幅器８の反転入力端
子に入力され、この差動増幅器８の非反転入力端
に接続された可変抵抗器１１に予め設定された電
圧と比較される。差動増幅器８は前記２つの入力
端にそれぞれ印加された電圧の差に応じた電圧を
出力し、この電圧に応じてトリガパルス発生回路
１０はトリガパルス発生位相が、例えば前記電圧
が高い場合は進み、低い場合は遅れる。このた
め、例えば負荷２への出力電圧が基準値より上が
ると、出力電圧検知回路６の出力すなわち差動増
幅器８の非反転入力が上がり差動増幅器出力が下
がるのでトリガパルス発生回路１０はサイリスタ
装置３へのトリガパルス発生位相を遅らせ、サイ
リスタ装置３の導通角が狭くなり、前記負荷への
出力電圧は下がる。また、この出力電圧が基準値
より下がると各部は上述と逆に作動し出力電圧が
上がる。したがつて、この放電灯調光装置は可変
抵抗１１に設定された電圧に基づき位相制御され
た定電圧出力を負荷２に供給する。

次に電源投入時の動作を説明する。電源が投入
されるとその後一定時間、タイマ回路７のトラン
ジスタ７２がオンするので、差動増幅器８の負帰
還入力が０となりトランジスタ８１はオフする。
しかし、トランジスタ８１のコレクタはリミツタ
回路９に接続されているため、リミツタ回路９に
より定まる電圧が出力されトリガパルス発生回路
１０のトランジスタ１０１のベースに印加され
る。したがつてトリガパルス発生回路１０は、リ
ミツタ回路９の電圧により制限される位相でトリ
ガパルスを発生するので、この位相をリミツタ回
路９の定電圧ダイオード９１および可変抵抗９２
によつて第２図のφで示される位相（0.15〜
0.25π）にプリセツトしておくことにより放電灯
の放電可能な期間の全体に亘りサイリスタ装置３
を導通させることが可能となり実質的に全光始動
を行なうことができる。

第４図は本考案の他の実施例を示す部分回路図
である。同図において、タイマ回路は第３図のタ
イマ回路７のトランジスタ７２を取り除き、トラ
ンジスタ７１のコレクタに可変抵抗１１の接地端
を接続している。また、リミツタ回路９は差動増
幅器の非反転入力側に接続する。この回路におい
ては、電源投入時、タイマ回路７のトランジスタ
７１がオフするため、差動増幅器の非反転入力が
リミツタ回路９により定まる電圧となる。本実施
例のものは第３図において説明したように差動増
幅器の非反転入力の電圧によつて定まる定電圧を
出力するように動作するので、このリミツタ回路
９の電圧を出力電圧が最大となるようにプリセツ
トしておけば前述のように実質的に全光始動を行
なうことができる。

［効果］ 以上のように本考案によると、トリガパルス発
生位相最小角を放電灯が再点弧する、すなわち放
電灯に電流が流れる位相範囲内に限定し、かつ電
源投入時はタイマ回路により、前記位相を前記最
小角に設定するため、サイリスタ装置の点弧失敗
による放電灯の不始動を防止できるとともに、実
質的に全光始動を行なうことができるので格別に
出力電圧を高くした点灯装置を用いる必要がな
く、装置を小型にかつ電力損失を小さくすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の構成を示す回路図、第２図
は本考案で対象とする一点灯装置の入力電流およ
び電圧の波形図、第３図は本考案の一実施例を示
す回路図、そして第４図は本考案の他の実施例を
示す部分的回路図である。 １：交流電源、２：点灯装置および放電灯であ
る負荷、３：サイリスタ装置、４：制御回路、
５：雑音防止用コイル、６：出力電圧検知回路、
７：タイマ回路、８：差動増幅器、９：リミツタ
回路、１０：トリガパルス発生回路、１１：可変
抵抗。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 交流電源の出力を位相制御するサイリスタ装
   置と； このサイリスタ装置の位相制御出力を供給さ
   れて放電灯を付勢し、かつ上記交流電源の各半
   サイクルにおける放電灯の消灯期間の入力電流
   が上記サイリスタ装置の保持電流より小さい点
   灯装置と； 上記サイリスタ装置の点弧角を制御するため
   に予め設定された位相角のトリガパルスを発生
   する制御回路と； を備えた放電灯調光装置において、 前記制御回路が、前記トリガパルスの発生位
   相の最小角を上記放電灯が上記交流電源電圧の
   各半サイクルごとに再点弧する位相角以上に限
   定するリミツタ回路と、電源投入後一定時間動
   作して上記トリガパルス発生位相角を設定状態
   にかかわらず上記最小角に設定するタイマ回路
   とを具備することを特徴とする放電灯調光装
   置。 ２ 前記制御回路は、位相制御出力を直流電圧に
   変換する出力検知回路と、この出力検知回路の
   出力と前記点弧角に対応して予め設定される直
   流基準電圧とを比較する差動増幅器とを備え、
   この差動増幅器の出力により前記トリガパルス
   発生位相を調節する前記実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の放電灯調光装置。 ３ 前記トリガパルス発生位相の最小角が0.15π
   〜0.25πである実用新案登録請求の範囲第１項
   または第２項記載の放電灯調光装置。