JPS6324303Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、ビール等の液体を密閉容器から手
動操作で注出するピンチバルブの改良に関する。

〈従来の技術〉 本件出願人は、実開昭56−81091号公報と実開
昭56−81092号公報の出願に於てピンチバルブに
ついて提案したが、これらのピンチバルブでは大
気の流入路が、液体の流出路より、密閉個所の摩
擦抵抗等のために遅く開く。このため容器内に一
時負圧が生じて、流出が円滑に行なわれない不都
合があつた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 この考案は、上記の欠点を解消して気体の流入
側が液体の流出側より必ず早く開くようして、上
記の不都合が生じないように改良したピンチバル
ブである。

〈問題を解決するための手段〉 この目的を達成するため、この考案は以下のよ
うに構成する。

すなわちケーシングに少くとも２本の通路を形
成し、一方の通路に液体の流出路となる軟質弾性
材製のチユーブを取付けたピンチバルブにおい
て、ケーシングに、チユーブを開放・閉塞する栓
体と、チユーブを閉す方向に該栓体を押圧する第
２の弾性体を栓体の内端面とケーシングの間に設
け、さらに、他方の通路を開閉する弁体と、その
弾路を閉す方向に該弁体を押圧する第１の弾性体
を弁体の内端面とケーシングの間に設け、栓体の
外端面と弁体の内側面との間に、チユーブの閉塞
時に空間を設けてなるピンチバルブである。

〈作用〉 このように構成したので、弁体の移動によりま
ず他方の通路が開閉する。このため、この通路を
気体の流路とすれば、まず気体が流入する。つい
で栓体が弁体と係合して、栓体も移動するため、
これによりチユーブが開いて液体が流下する。こ
のように作用するので、該ピンチバルブでは、液
体の流出に先立つて、まず気体が流入するのであ
る。

〈実施例〉 以下に実施例を図面に基いて説明する。第１〜
３図において、ケーシングＡは筒体１と接続口２
とよりなり、筒体１は水平方向に配置し、その上
部に上端を開放した接続口２を一体的に設け、こ
の接続口２を密閉容器（図示せず）の下端に接続
する。筒体１と接続口２との仕切壁３には、大径
の一方通路４（右側）と小径の他方の通路５（左
側）とを並列に設ける。そして一方の通路４に
は、塩化ビニール等の軟質弾性材製のチユーブ６
を垂設して流体の流出路とし、他方の通路５には
硬質合成樹脂製のパイプ７を起立支持して、大気
の流入路とする。

筒体１の一端は開放し、他端は筒体１にねじ嵌
合する蓋体８により閉塞する。そして筒体１の開
放側には、外端を閉じ内端を開放した断面コ字形
で大径の弁体９を水平方向に摺動自在に装着し、
その内端外周には内側に向つて大径となるテーパ
面１０を形成する。そしてこのテーパ面１０に、
流入路５が位置する筒体１側に形成したテーパ面
１１を気密に合致させる。弁体９の内端側１２と
蓋体８間に、第１の弾性体１３を介在させ、その
弾発力により弁体９を外方へ押圧して、弁体９の
外側部を筒体１の外方へ突出させる。そして、テ
ーパ面１０を筒体１のテーパ面１１に密接させ
て、流入路５の下部開口端１４を閉じる。

弁体９内には、弁体９より小径で、外端を閉じ
内端を開いた断面コ字形の栓体１５を水平方向に
摺動自在に装着する。弁体９と栓体１５の上部壁
と下部壁に、流出路４に対応して縦の通し窓１
６，１６と１７，１７を穿設して、ここにチユー
ブ６を通し、このチユーブ６は更に筒体１の下部
壁にあけた窓孔１８を通して下方へ突出させる。

弁体９と栓体１５の胴部側面には、通し窓１６
と直交する細長い横の通し窓１９を設け、この通
し窓１９にチユーブ６の横外側に位置させた規制
ピン２０を通して、ケーシングＡの側壁間に渡架
固定する。また可動ピン２１を規制ピン２０と対
向して、栓体５の側壁間に渡架固定する。栓体１
５の内端側２２と蓋体８間に第２の弾性体２３を
介在させ、この圧力で栓体１５を外方へ押す。そ
して可動ピン２１を規制ピン２０に押しつけて、
チユーブ６を変形閉塞する。

このとき、栓体１５の外端面２７と弁体９の内
側面２５との間に空間を設ける。

つぎに使い方を説明する。まず接続口２を密閉
容器の下部に装着する。弁体９の外側面２４を第
１の弾性体１３の弾発力に抗して内方へ押せば、
第２図のように弾性体１３は圧縮され、弁体９は
内方へ移動する。そして弁体９のテーパ面１０が
内方へ動くので、流入路５の下端開口部１４が開
き、密閉容器の上部は大気と通ずる。つぎの瞬間
弁体９の内側面２５が、栓体１５と外端面２７に
当る。ここで更に弁体９を強く押せば、弁体９は
第１の弾性体１３を、栓体１５は第２の弾性体２
３を圧縮して、両者ともに内方へ移動して、可動
ピン２１が内方へ動く。このため規制ピン２０と
可動ピン２１との間が広がり、チユーブ６は第３
図に示すように自己弾性により開く。これによ
り、容器内の流体はチユーブ６を通つて外部に流
下し始め、この流下する液体の体積分に相当する
空気が、パイプ７を介して容器内に吸引流入す
る。この状態で所定量の液体を流出させた後、弁
体９の押圧を解除すれば、弁体９と栓体１５は、
第１、第２の弾性体１３、２３の弾発力によつて
外方へ後退する。そしてチユーブ６は可動ピン２
１と規制ピン２０とにより、再び挾圧変形されて
閉塞し、流入路５はテーパ面１０、１１の接触に
より、閉塞されて流体の流出は止まる。

〈考案の効果〉 この考案のピンチバルブは以上説明したように
構成したので、液体を流出する場合、気体の流入
路側が、必ず流体の流出路側より先に開く。この
ため、従来のピンチバルブのように、流出路が気
体の流入路より先に開くため容器内に負圧が生
じ、これにより液体の流出が円滑に行なわれない
という欠点を完全に解消できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は、この考案の実施例を示す縦断面
図である。 Ａ−ケーシング、４−流出路、５−流入路、６
−チユーブ、７−パイプ、９−弁体、１５−栓
体、１３−第１の弾性体、２３−第２の弾性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングに少くとも２本の通路を形成し、一
   方の通路に液体の流出路となる軟質弾性材製のチ
   ユーブを取付けたピンチバルブにおいて、ケーシ
   ングに、チユーブを開放・閉塞する栓体と、チユ
   ーブを閉す方向に該栓体を押圧する第２の弾性体
   を栓体の内端面とケーシングの間に設け、さら
   に、他方の通路を開閉する弁体と、その通路を閉
   す方向に該弁体を押圧する第１の弾性体を弁体の
   内端面とケーシングの間に設け、栓体の外端面と
   弁体の内側面との間に、チユーブの閉塞時に空間
   を設けてなるピンチバルブ。