JPS6323514B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電子時計の時刻合せの構成に関する。
さらには近年実用化されだしたローターの回転検
出手段を有する電子時計における時刻合せの機構
の改良に関する。

本発明の目的は電子時計の小型化、薄型化、ロ
ーターコストを目的としている。

さらには、小型化、薄型化の最大のネツクとな
つている規正レバーの廃止を目的としている。

従来針合せをする時には一般に巻真を針合せ可
能な状態まで引き出す。この時この巻真に連動し
て規正レバー、リセツトレバーが作動し、衆知の
機械的な規正作用と回路的なリセツト機能が働
く。この規正レバーによる規正作用によつて巻真
による針廻しの力によりローターが回転する事を
さまたげている。又従来はリセツト解除後の駆動
パルスの方向はリセツトが働く直前の駆動パルス
と反対の方向に出力される。この様に規正、リセ
ツト機能は一対で構成されている。

これにより針合せを完了した時点で、時報等に
合せて巻真を押し込むと正確に予定された通りに
運針が再開されていた。

しかしこの規正レバーは時計構成部品中最も複
雑な部品の１つであり、又輪列に直接機械的に作
用せざるを得ず、その摩耗、破損、等の問題の他
に規正入不足による時間の遅れ等常にクレームの
主原因の１つであつた。

又この規正レバーは輪列の間に配置する為に輪
列部の厚みや平面スペースも大きくならざるを得
ず時計の小型、薄型化にも大きなさまたげとなつ
ていた。又従来の規正レバーに関する設計には切
換とのタイミング及びリセツト機能とのタイミン
グを正しく設定する必要があつた。巻真を針合せ
可能な状態に引き出した時、例えばツヅミ車と小
鉄車が噛合う前に規正が働き、この規正より早く
リセツトが働く事が望ましい。これが成されてい
ない場合、巻真引き出しによる秒飛びの問題、巻
真押し込みによる１秒遅れ等の問題があつた。

本発明はこの様に従来の電子時計の１つの大き
な問題点となつている規正レバーを廃止し、しか
も正確な時刻合せを可能とする新しいシステムを
提供しようとするものである。

ここで一般的なステツプモーターの駆動原理を
説明する。

第１図、第２図は従来の一般的なステツプモー
タと駆動回路の一例である。

駆動回路は４つのトランジスター４，５，６，
７で構成され通常時４，５がON、６，７がOFF
となつている。コイル３に駆動パルス電圧を印加
する時には例えば、トランジスターを前記の状態
から４をOFF、６をONに切換えると矢印８の方
向の電流がコイルに電源より供給される。

この電流によりステーター１に磁極が形成さ
れ、ローター２が１ステツプ（この例では２極ロ
ーターであるので180゜）回転する。この電源より
の電流をコイルに流す時間を一般にパルス巾と呼
んでいる。次にローターをもう１ステツプ回転さ
せるにはトランジスタ４，７をON、５，８を
OFFとし、二点鎖線で示した方向の電流９をコ
イルに流す事により成される。

パルス電圧をコイルに印加した後は元の状態、
すなわちトランジスタ４，５がON、６，７が
OFFとなるのである。この様な駆動回路とステ
ツプモーターを有する時計において規正レバーを
廃止すると針合せの時の回転トルクがロータに作
用しロータは駆動パルスによつてではなくこの外
力により強制的に回転させられる。したがつて針
合せ終了後のローターの磁石の方向は不定であ
り、リセツト解除後のパルスによつて駆動される
か、吸引によつて非回転となるかは確率的に５分
５分となつてしまう。したがつて運が良ければ正
時に合うが運がわるければ１秒運針であれば１
秒、20秒運針であれば20秒の遅れとなつてしま
う。

本発明はこの不具合を回転検出を用いて解決し
ようとするものである。

第３図は従来からの駆動パルスとリセツト機能
との関係を説明する図である。

第２図における電流８，９を反転パルスとし
て、第３図では１０，１１，１２，１３で表わし
ている。１４がリセツト期間であり、この時間内
に針合せが可能となつている。t₁秒運針の時計で
あれば駆動パルス１０によつてローターが１ステ
ツプ回転した後t₁秒後に駆動パルス１１が出力さ
れ前記したごとく再びローターが１ステツプ回転
する。リセツト１４がHiの間は駆動パルスの出
力は停止され、リセツト解除後再びちようどt₁秒
後に、リセツト直前のパルス１１と反対方向に駆
動パルスが出力される。従来はこのリセツト期間
中は同時に規正も働いている為、ローターの極性
は変らず、したがつて間にリセツト期間がはさま
れても駆動パルス１１と１２の関係とローター磁
石の極性との関係はそこなわれない。

第４図は本発明による駆動パルスとリセツト機
能との関係の説明図である。

リセツト１４とそれ以前の駆動パルスの関係は
従来と変わりはない。リセツト解除後の駆動パル
ス１５の出力のタイミングも従来と変わりはな
い。しかしその直後にこの駆動パルス１５によつ
てローターが回転したのか非回転だつたのかを後
述する方法により検出し、非回転と判定した時に
はただちにt₂秒後に逆方向の駆動パルス１６を出
力する。その後は駆動パルス１５からt₁秒後に駆
動パルス１６と反対方向に駆動パルス１７を出力
する。t₂秒はt₁秒にくらべ十分に小さな値であ
る。その後はt₁秒ごとに反転をくり返してパルス
を出力する事になる。又第４図において駆動パル
ス１５によつてローターが回転されたと判定した
時にはその後は第３図に示したごとく従来と同じ
様に駆動パルスを出力すればよい。

又リセツト解除後の最初のパルスの方向は第４
図ではリセツト直前の駆動パルス１１と反対方向
となつているがその方向はどちらでもよい。又リ
セツト解除後少なくとも最初のパルス１５の出力
のタイミングは非回転時のパルス１６の事もある
ので約t₁秒後でよい。しかし２回目の駆動になる
パルス１７の出力のタイミングはリセツト１４の
解除後正確に2t₁秒である事が望ましい。

又ここでt₁秒はその時の運針間隔であり１秒運
針なら１秒、20秒運針なら20秒である。

第５図は本発明を実現する回路構成の一例を示
す回路図であり、第６図はそのタイミングチヤー
トである。この実施例はリセツト後最初のパルス
のみについて回転検出を行う例である。

これは衆知の回路構成であり多くの説明は要さ
ないが回転検出回路２０はcontrol端子に入力す
る信号が“Ｈ”の時のみ回転検出を行ない、非回
転の時は“Ｌ”回転の時には“Ｈ”の信号をφ₆
に出力する。又Ｒ端子に“Ｈ”の信号が入力した
時には必ずφ₆が“Ｌ”になるように構成されて
いる。又２１，２２が出力信号であり第２図にお
いてトランジスター４，６が２１により、５，７
が２２によりコントロールされている。２３，２
４，２５はCp端子に入力するクロツクパルスが
“Ｈ”の時にデータを通し、“Ｌ”の時に保持する
ラツチであり、２６，２７，２８はCp端子に入
力するクロツクパルスの立下りでＱ及びの状態
が変化し、Ｒ端子が“Ｈ”になるとＱが“Ｌ”に
なるリセツト端子付のフリツプフロツプである。

φ₁は第３図、第４図で示した周期T₁の信号で
ある。S₁は第４図における周期T₂の信号である。
又S₂は出力パルス巾を決めるための信号である。
さてここで駆動パルス１５に対して行なわれた一
般的な回転検出について述べる。この手段は近年
いわゆる補正駆動方式として低電力化の為に考案
された手段と同一でよい。ただ補正駆動方式の場
合ローターが非回転であると判定するとそれと同
相により広いパルス巾又はより大きな入力エネル
ギーをコイルに供給しローターを再駆動するもの
である。尚、第５図中、枠５０で囲つた回路を補
助駆動パルス出力回路とする。また枠５０ａで囲
つた回路はリセツト解除後最初の駆動パルスに対
してのみ補助用の逆方向駆動パルスを出力させる
ようにする禁止回路を構成する。即ち記憶回路と
して働くフリツプフロツプ２８はリセツト信号
Reによりセツトされたとき、出力がＨとなり
ゲートゲート２５を通過状態に保つ。ここで逆方
向駆動パルスのために信号φ₂'が出力されると、
その補助駆動パルスに同期した信号φ₂'の立下が
りでフリツプフロツプ２８の出力をセツトし、
はＬになりゲート２５を非通過状態として、それ
以降の信号φ₂'の通過を禁止している。

本発明はこの回転検出手段をそのままリセツト
解除後最初のパルスに用いて、回転と判定すれば
そのまま、又非回転と判定した時には駆動パルス
の方向が逆であつたとして逆相のパルスを出力す
るのである。したがつてこのリセツト解除後最初
のパルスはローターを１ステツプ回転するのにエ
ネルギー的に十分余裕のあるパルスである事が必
要である。もちろんセツト解除後以外の通常運針
時にこの補正駆動方式を用いている時計において
は本発明がより効果的である。

この回転検出手段の具体的な手法は特開昭54−
75520で示されたローターの動きによる誘起電流
を用いるものとか、駆動パルス印加後ある時間を
おいた後ロータが回転しないごく短かい検出用の
パルスを出力しその波形のちがいによりローター
の回転を検出方法とか又針の位置そのものを検出
してその回転を判定するもの又はローターの近く
にホール素子等の磁気センサーを配置してなるも
の等、様々に考えられる。

又リセツト解除後最初のパルスを非回転と判定
し逆方向のパルスを出力するタイミングは通常運
針時に補正駆動方式を採用している時計において
はその補正パルスの出力のタイミングとほぼ同じ
でよい。t₂秒はt₁秒にくらべ十分に小さな値であ
る。少なくともその考え方は同じでよい。

又そのパルス巾はリセツト解除後最初に出力す
るパルスとほぼ同じでよいが、通常時補正駆動方
式を採用している場合等はその補正パルスとほぼ
同じパルスでもよい。又本発明は針合せにおいて
モーターまでも回転せしめる事にその長所がある
ので秒針が直結していると秒針までが回転してし
まう事になる。したがつて多くは時分の二針表示
の時計においてその効果が大きい。

以上の如く本発明によれば、時刻修正等の終了
により、リセツトを解除した後の最初のモーター
駆動信号が、ローターを回転させる方向に働いた
かどうかを検出し、ローターの非回転を検出した
時には、リセツト解除後の最初のモータ駆動信号
とは逆極性の補助駆動パルスを出力し、その後リ
セツト解除後の最初のモーター駆動信号と同極性
の第２駆動信号を出力するものなので、時刻修正
時巻真の回転に連動させてローターを回転させて
も常に正常な始動ができるので、従来用いられて
いた規正レバーを不要にし、コストの低減化を図
つた。又逆極性の補助駆動パルスがリセツト解除
後の最初の駆動パルスに対してのみ出力されるよ
うに制御する禁止回路を設けることにより、指針
の指示ずれがなくしかも無駄な駆動電流を最小限
にした電子時計を提供できる。特に本発明では禁
止回路がリセツト信号に制御されリセツト解除後
最初に出力される補助駆動パルスに同期した信号
を記憶する記憶回路と、その記憶回路の出力にも
とづいて以降補助駆動パルスの出力を禁止するゲ
ートにより構成してあるので、補助駆動パルスが
第１駆動パルスに対してのみ１回出力され、以後
は確実に補助駆動パルスが禁止されるものであ
り、簡単な構成により誤動作のない時刻合せ機構
を提供できる。又これにより規正を廃止する事が
可能であり、コスト的にも安く、又時計の小型薄
型化にも寄与するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図：ステツプモーターの一般的な説明図、
第２図：駆動回路の一般的な説明図、第３図：従
来の駆動パルスとリセツト機能との説明図、第４
図：本発明による駆動パルスとリセツト機能の説
明図、第５図：本発明を実現する回路図の一例、
第６図：第５図のタイミングチヤート。 １……ステーター、２……ローター、３……コ
イル、４，５，６，７……トランジスタ、１０，
１１，１２，１３，１５，１６，１７……出力パ
ルス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ リセツト時巻真の回転に連動して回転するロ
   ーターを備えたステツプモーター、前記ステツプ
   モーターを第１周期t₁で駆動する駆動パルスを出
   力する駆動回路、リセツト解除後に前記駆動回路
   から最初に出力される第１極性の第１駆動パルス
   に基づく前記ローターの回転・非回転を検出し、
   回転・非回転を示す検出信号φ₆を出力する回転
   検出回路２０、t₁周期信号φ₁と、前記第１周期t₁
   にくらべ十分周期の短いt₂周期信号S₁と、前記駆
   動パルス幅を決めるパルス幅信号S₂、前記回転検
   出回路２０からの検出信号φ₆及び前記リセツト
   時に同期して出力されるリセツト信号Reとを入
   力し、前記回転検出回路２０が前記ローターの非
   回転を検出した時に、前記第１駆動パルス出力時
   から第２周期t₂後に第１極性とは逆極性の補助駆
   動パルスを出力するとともに、前記第１駆動パル
   ス出力時から前記第１周期t₁後に第１極性の第２
   駆動パルスを出力する補助駆動パルス出力回路５
   ０を具備し、且つ前記補助駆動パルス出力回路は
   前記リセツト信号に制御され前記リセツト解除後
   最初に出力される前記補助駆動パルスに同期した
   信号を記憶する記憶回路２８と該記憶回路の出力
   にもとづいて以後補助駆動パルスの出力を禁止す
   るゲート回路２３を備えた禁止回路５０ａを有す
   ることを特徴とする電子時計。