JPS6323429Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はブーム先端に継ぎ足されたサスペンシ
ヨンロツド支持圧縮柱式ジブを、得んとする揚
程、吊り半径等に応じた傾斜角度に調節するため
のジブの傾斜調節装置に関するもので、上記ジブ
の傾斜調節作業を簡単かつ迅速に、そしてスムー
スに行なうことができるとともに、操作ミス等に
よる危険事態の発生を防止できるジブの傾斜調節
装置を提供せんとするものである。

本考案は、一端がブーム先端部に連結されたサ
スペンシヨンロツドの他端部とジブとの間に伸縮
継手が設けられ、この伸縮継手は、鞘部材と、こ
の鞘部材に長さ方向にスライド自在に挿入された
リンクとによつて構成され、上記鞘部材には長さ
方向に長孔、上記リンクには鞘部材の内方からこ
の長孔に臨む数個のピン孔がそれぞれ設けられ、
このピン孔の一つと長孔とに跨つてピンが挿入さ
れることによつてジブが大小数通りの傾斜位置に
支持されるように構成され、かつ、上記鞘部材と
リンクに、この両者の分離を阻止する抜け止め用
ストツパが設けられてなるものである。

以下、本考案の実施例を図によつて説明する。

１はクレーンの上部旋回体（図示せず）に俯仰
調節自在に支持された伸縮ブーム、２は該ブーム
１の先端に設けられたブームポイントシーブブロ
ツク、３は先細り梯子状の圧縮柱式ジブである。
このジブ３は、二股状に形成された基端部４をポ
イントシーブブロツク２のシーブ支軸５に回動可
能に係合させることによつてブーム先端に傾斜調
節（起伏）自在に取付けている。６は上記ジブ基
端部４とシーブ支軸５の係合状態を保持するため
のピンである。

７はジブ３を支持する左右一対（図では片方の
みを示す）のサスペンシヨンロツドで、該ロツド
７の基端部をポイントシーブブロツク２にピン８
にて回動可能に取付け、先端部を伸縮継手９を介
して、ジブ３の上部に固着されたブラケツト１０
に同じくピン１１にて回動可能に取付けている。

伸縮継手９は、第２図以下に示すように大略、
鞘部材１２と、該鞘部材１２に長さ方向にスライ
ド自在に挿入したリンク１３と、この両者１２，
１３を所望の長さ状態（ジブ傾斜状態）で結合す
るためのピン１４、それにジブ３の煽り防止のた
めのロツクピン１５とによつて構成される。鞘部
材１２は、一対の平行な帯板材１６，１６の一端
部をサスペンシヨンロツド７の先端部に溶接等に
て固着し、他端部を、リンク１３に対する抜け止
め用ストツパを兼ねる上下一対の連結板１７，１
７にて結合して成つている。この鞘部材１２に
は、長さ方向所定範囲に亘つて長孔１８を設ける
とともに、リンク１３側の端部にロツクピン１５
が挿入されるロツクピン孔１９を設けている。一
方、リンク１３には、鞘部材１２に挿入される端
部側から順に第１、第２、第３の各ピン孔２０，
２１，２２を、長孔１８の長さ範囲内において所
定間隔置きに設けるとともに、第３ピン孔２２の
近くにロツクピン孔２３を設けている。こゝで、
第１ピン孔２０が、ジブ２を最大傾斜位置（たと
えば45゜）に支持するための大傾斜位置用となり、
以下、第２ピン孔２１が中傾斜位置（たとえば
25゜）用、第３ピン孔２２が最小傾斜位置（たと
えば5゜）用となる。この点は後に詳述する。ま
た、同リンク１３の第１ピン孔２０側の端部に、
リンク１３の鞘部材１２に対する移動ガイド部材
を兼ねるストツパ板２４，２４を設け、このスト
ツパ板２４，２４と、鞘部材１２の連結板１７，
１７とによつて、鞘部材１２とリンク１３の分離
を防止するようにしている。

なお、サスペンシヨンロツド７のブームポイン
トシーブブロツク２に対する取付孔２５を長孔と
し、この取付孔２５の長さ範囲内で該ロツド７が
軸方向遊動しうるようにしている。また、第１図
において２６は補巻ワイヤで、該ワイヤ２６はブ
ームポイントシーブブロツク２に設けられたシー
ブ２７およびジブポイントシーブ２８に通され、
その先端に吊りフツク２９が装着される。

しかして、第１図実線は、ジブ３がたとえば5゜
の最小傾斜位置にセツトされた状態を示してい
る。この場合、伸縮継手９において、第２図に示
すように鞘部材１２の長孔１８を通してリンク１
３の第３ピン孔２２にピン１４（斜線を付して示
す）が挿入され、該継手９が最も縮小した状態と
なつている。

ジブ３をこの実線位置から仮想線イで示す、た
とえば25゜の中傾斜位置に変更せんとするときは、
伸縮ブーム１をほゞ水平に倒し、かつ補巻ワイヤ
２６を巻上げて吊りフツク２９をジブ先端部に係
止させ、ジブ３を該ワイヤ２６で支持した状態
で、第３図に示すようにピン１４を第３ピン孔２
２から第２ピン孔２１に挿しかえる。この後、該
ピン１４が長孔１８のリンク１３側端部に係当す
るまで、ワイヤ２６をゆるめてジブ３を自重によ
り倒伏回動させればよい。また、ジブ３を実線位
置または上記仮想線イ位置から仮想線ロのたとえ
ば45゜の最大傾斜位置に変更せんとするときも、
ピン１４を第１ピン孔２０に移しかえた後、上記
同様にしてジブ３を倒伏回動させればよい。そし
て、ジブ３を大傾斜位置から小傾斜位置に向けて
セツトし直すときは、上記と逆の手順、操作をと
ればよい。

このように本装置によるときは、鞘部材１２の
長孔１８と、この長孔１８に臨んだリンク１３の
第１乃至第３ピン孔２０〜２３の一つとに選択的
にピン１４をさし込むことによつて、ジブ３の傾
斜を調節しうるものであるから、面倒なピン孔合
わせが不要となり、傾斜調節作業を簡単かつ迅速
に行なうことができる。また、一対の帯板材１
６，１６からなる鞘部材１２に長孔１８を設けて
あるため、上記傾斜調節の際、ピン１４が該長孔
１８内を両側支持状態で安定良く滑動する。この
ため、傾斜調節作業をスムースに行なうことがで
きる。さらに、鞘部材１２に長孔１８、リンク１
３にピン孔２０，２１，２２を設けているため、
実公昭58−23838号公報に示されているように、
本装置とは逆に、鞘部材側にピン孔、リンク側に
長孔を設けた場合のような操作ミスによる危険事
態の発生を防止することができる。

すなわち、上記公報記載の従来技術によると、
長孔が鞘部材内に隠れ、外部からはピン孔を通し
て部分的にしか見えないため、鞘部材に対するリ
ンクの入り込み状況を外部から把握しにくい。こ
のため、作業者が、ピンを鞘部材のピン孔とリン
クの長孔とに跨つて挿入したつもりで、誤つてピ
ン孔だけにさし込んでしまい、鞘部材とリンク部
材とが結合されない事態が生じるおそれがある。
こうなると、鞘部材とリンクとが分離し、ジブが
自重により降下してブームに衝突するという危険
事態が発生する。

これに対し、本装置によると、外側の鞘部材１
２に長孔１８、内側のリンク１３にピン孔２０，
２１，２２を設けているため、長孔１８とピン孔
の符合状況を外部から明確に視認し把握すること
ができる。したがつて、上記従来の場合のような
ピンの挿入ミスが生じるおそれが全くないため、
鞘部材とリンクの分離、ジブの脱落といつた危険
事態の発生を確実に防止することができる。

また、長孔１８とピン孔２１〜２２の符合状況
を長孔１８側から明確に視認できることにより、
これらの孔合わせ、ピン挿入操作がやり易いもの
となる。

ところで、ピン１４は上記三段階の傾斜位置を
通して常に長孔１８のリンク１３側端部に位置す
る。従つて、該ピン１４が長孔１８内を反対側に
移動、すなわち伸縮継手９全体として短縮しうる
状態となるが、このうち最大傾斜および中傾斜の
二位置では、ジブ３の自重によつて充分な下降回
転モーメントが作用するため、ジブ３の煽りは生
じない。一方、ジブ３が第１図実線で示す最小傾
斜位置にある場合は、ジブ自重による下降回転モ
ーメントが小さくなるため、負荷急減時にジブ３
が煽り回転するおそれが生じるが、この装置によ
るときは、この最小傾斜位置で第２図に示すよう
に鞘部材１２およびリンク１３双方のロツクピン
孔１９，２３にロツクピン１５（斜線を付して示
す）をさし込むことによつてジブ３の煽りを防止
することができる。但し、サスペンシヨンロツド
７を完全に拘束してしまうと、煽り力によつて該
ロツド７に大きな圧縮応力が作用するおそれがあ
る。そこでこの実施例では、前記の如くロツド基
端部のブームポイントシーブブロツク２に対する
取付孔２５を長孔とし、この長孔状取付孔２５と
いう限られた小範囲でロツド７の軸方向移動を許
容する構成とすることにより、上記ロツド７に作
用する圧縮力を緩和しうるようにしたものであ
る。

なお、上記実施例ではジブ３を大、中、小三段
階に傾斜調節しうる構成としたが、二段階（たと
えば25゜と5゜）または四段階以上に傾斜調節しう
る構成とすることも勿論可能である。

以上述べたように本考案によるときは、ジブ３
の傾斜調節作業を簡単かつ迅速に、そしてスムー
スに行なうことができる。また、長孔とピン孔の
符合状況を外部から明確に視認できるように、鞘
部材に長孔、リンクにピン孔を設けているため、
これと逆に鞘部材にピン孔、リンクに長孔を設け
た場合のようなピンの挿入ミスによる危険事態の
発生を確実に防止することができる。さらに、万
が一、ピンの挿入ミスが発生したり、ピンが破損
または脱落したりしても、鞘部材１２とリンク１
３のストツパ（実施例では連結板とストツパ板）
１７，２４によつて両者１２，１３の分離を防止
することができる等、実用上の種々の効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す側面図、第２図
はサスペンシヨンロツドおよび伸縮継手部分の拡
大図、第３図は傾斜調節作用を説明するための第
２図相当図、第４図は伸縮継手の分解斜視図であ
る。 １……ブーム、３……ジブ、７……サスペンシ
ヨンロツド、９……伸縮継手、１２……鞘部材、
１３……リンク、１４……結合用ピン、１６，１
６……鞘部材を構成する一対の帯板材、１７……
鞘部材の抜け止め用ストツパ、１８……同長孔、
２０，２１，２２……リンクのピン孔、２４……
同抜け止め用ストツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端がブーム先端部に連結されたサスペンシヨ
   ンロツドの他端部とジブとの間に伸縮継手が設け
   られ、この伸縮継手は、鞘部材と、この鞘部材に
   長さ方向にスライド自在に挿入されたリンクとに
   よつて構成され、上記鞘部材には長さ方向に長
   孔、上記リンクには鞘部材の内方からこの長孔に
   臨む数個のピン孔がそれぞれ設けられ、このピン
   孔の一つと長孔とに跨つてピンが挿入されること
   によつてジブが大小数通りの傾斜位置に支持され
   るように構成され、かつ、上記鞘部材とリンク
   に、この両者の分離を阻止する抜け止め用ストツ
   パが設けられてなることを特徴とするジブの傾斜
   調節装置。