JPS6323316Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は容易開口容器の缶蓋に関するものであ
る。

今日、プルタブ等を付設することにより容易に
容器を開封し得る種々の缶蓋が利用され、開口部
分を形成する開口片を引き上げ、以て蓋体から除
去するプルオープンタイプ、又、開口片を蓋体か
ら除去せずに缶蓋天板との連接部分を残して開口
するもの、更には開口片を容器内に押し込むプツ
シユオープンタイプ等種々の容易開口容器があ
る。

本考案はプルタブを引き起すプルオープンタイ
プに属するも、開口片はプルタブ先端により容器
内に押し下げられ、プツシユオープンタイプの性
格を有する容易開口容器の缶蓋に関するものであ
る。

［従来の技術］ 容易開口容器の缶蓋には一般にプルオープンタ
イプと称されるプルタブを有する形式のものが極
めて多く用いられている。

しかし、プルオープンタイプのものは開口部分
を形成する開口片が一般に缶蓋天板から除去され
るものが多く、開口片が散逸し、該開口片の端部
は比較的鋭利である故、手足等に損傷を与える虞
れが生じ、開口片を缶蓋天板から完全に分離し得
ない様に開口片が天板に対し連接部分を有する形
式の缶蓋も考案されている。

このプルオープンタイプの連接部分を有する形
式では、液体飲料用容器の様に容器から直接に内
容物を飲む場合、鼻先に開口片が位置し、開口片
の破断端部が比較的鋭利である故、該鼻先の開口
片により違和感を免れず、需要者に好まれない欠
点がある。

又、開口片を天板から完全分離をさせない容易
開口容器の缶蓋としてはプツシユオープンタイプ
と称し開口片を容器内に押し込む形式のものがあ
る。

このプツシユオープンタイプでは開口片を容器
に押し込む故、開口片が鼻先に位置する危険性が
無い反面、開口片を指で直接押し込む形式である
故、指先等が汚れている場合等においては不衛生
感を免れない欠点があつた。

この為、プツシユオープンタイプの開口片を成
形すると共にプルタブを付設し、プルオープンタ
イプの缶蓋であつても開口片にプツシユオープン
タイプの性格を与え、開口片を天板から完全に除
去することなく、且つ、前述の様な違和感、不衛
生感を与えない容易開口容器の缶蓋が注目される
様になつた。

この種のプルオープンタイプの缶蓋１０は第４
図及び第５図に示す様に缶蓋１０の略中央部に形
成されるリベツト１２によりプルタブ３０が缶蓋
１０の天板１１に付設され、該リベツト１２の一
側方を始点１６とし、該始点１６からリベツト１
２の側近を通り天板１１周縁近傍を通つた後、前
記始点１６近くを終端１７とするスコアー１５に
より適宜面積を有する開口部分を区劃するもので
ある（例えば特公昭57−42545号）。

この様に区劃された開口部分が開口片２１とさ
れ、該開口片２１はスコアー１５の始点１６と終
端１７との間隙が開口片２１と天板１１との連接
部分１９として形成されていることになる。

更に前記プルタブ３０はその先端３１が開口片
２１上方に位置する様に設けられている故、プル
タブ３０の指掛部３２を引き起せばプルタブの先
端３１が開口片２１を押し下げ、先ずスコアー１
５のリベツト１２近傍位置にて初期破断を生じさ
せる。

このとき、プルタブ３０の先端３１から開口片
２１に加えられる押圧力がリベツト１２近傍のス
コアー１５部分全体に分散することなく、リベツ
ト近傍のスコアー１５部分の内、特定の箇所Ａに
押圧力を集中させる為に、プルタブ先端３１下方
に位置する開口片２１の内、連接部分１９近くに
凹窩部２９を設け、プルタブ３０を引き起した
際、プルタブ３０の先端３１の一側方が該凹窩部
２９に嵌入する様にして、プルタブ３０の先端３
１の他側方が強く開口片２１の上面に当接して押
圧力を加え、スコアー１５の特定箇所Ａに応力を
集中させて、初期破断を容易とする。

その後、更にプルタブ３０の指掛部３２を引き
上げれば、プルタブ先端３１が開口片２１を押し
下げ、開口片２１にはスコアー１５内側に凹凸ビ
ード２５が設けられている故、開口片２１は折れ
曲ることなく一枚板の平板状のまま押し下げられ
てスコアー１５に沿つて破断が進行し、第８図に
示す如く連接部分１９で天板１１に接続された状
態で容器内に押し込まれて容器の開封が行なわれ
る。

［考案が解決しようとする問題点］ 前述の様にプルオープンタイプであつて且つ開
口片２１がプツシユオープンタイプの性格を有す
る缶蓋１０では開口片２１の一部に凹窩部２９を
設け、開口片２１による押圧力を一方に集中させ
て初期破断を容易としているも、未だ初期破断に
比較的大きな力を要し、特に指先が指掛部３２に
充分掛らない時にはプルタブ３０の引き起しが困
難となり、容器内が減圧されたバキユーム缶にあ
つては第６図に示す様に天板１１はその中央が容
器内方へ引き下げられている故、天板１１上面と
プルタブ先端３１との間隙が極めて小さくなり、
開封に際してプルタブ先端３１が天板１１（開口
片２１）に接した時の指掛部３２の引き上げ量が
少なく、指掛部３２下面に指先を充分掛けること
ができず、プルタブ３０への開口力を強力に加え
難い場合が生じた。

本考案はこの様な欠点を排し、バキユーム缶で
あつてもプルタブ先端３１と缶蓋天板１１との間
隙を確保し、開封に際しての初期破断を容易に行
ない得る様にプルタブ３０の指掛部３２下面に確
実に指先を掛け得る構造とし、且つ、製造容易に
して、プルタブ３０の強度を低下させないもので
ある。

［問題を解決するための手段］ スコアー１５の始点１６及び終端１７がリベツ
ト１２の一側方に位置し、スコアー１５に囲まれ
た適宜面積の開口片２１がプルタブの先端３１に
より下方へ押し下げられる容易開口容器の缶蓋１
０において、開口片２１のプルタブ先端３１下方
位置にプルタブ先端３１が嵌入し得る凹部２２を
設け、且つ、該凹部２２は開口片２１の連接部分
１９近傍を深くする形状としたことを特徴とする
容易開口容器の缶蓋１０である。

［作用］ 本考案に係る缶蓋１０は、開口片２１のプルタ
ブの先端３１下方位置に凹部２２を設けている
故、該凹部２２位置における開口片２１上面とプ
ルタブ先端３１との間隙が広く、開封に際しプル
タブ３０の指掛部３２を引き起し、プルタブ先端
３１を前記凹部２２へ降下させ、プルタブ先端３
１が開口片２１に接した時、プルタブ３０の指掛
部３２が充分引き上げられて、指掛部３２裏面へ
確実に指先を入れることができ、更に、開口片２
１に設けた凹部２２は連接部分１９近傍が深く形
成されている故、プルタブ先端３１からの押圧力
は凹部２２の浅い部分に強く加えられ、開口片２
１への応力が分散することはない。

［実施例］ 本考案に係る缶蓋１０は第１図及び第２図に示
す様に天板１１の略中央に形成されるリベツト１
２によりプルタブ３０が天板１１に付設され、更
に、天板１１にはリベツト１２の側方を始点１６
とするスコアー１５がリベツト１２の近傍から天
板１１周縁近くを通り適宜巾の面積を有する開口
片２１を形成する様にして始点１６近くへの終端
１７として設けられる。

尚、該スコアー１５の外側及び内側にはスコア
ー１５に沿つてビード１４，２５を設け、スコア
ー破断時に天板１１及び開口片２１が曲がること
なくスコアー１５に沿つて破断が進行する様に
し、必要に応じ開口片２１中央にもビード又は湾
曲部２６を設けて開口片２１の剛性を高める。

更に、開口片２１にはプルタブ先端３１の下方
位置にプルタブ先端３１が嵌入し得る凹部２２を
設け、該凹部２２は、前記スコアー１５の始点１
６と終端１７との間隙により形成される連接部分
１９近傍をより深く形成する。この凹部２２にお
ける浅い部分２３と深い部分２４との深さ差は通
常0.2乃至0.5mm程度の差が適当である。

更に、プルタブ３０は第３図に示す様にその先
端３１を上方に僅かに反らす様にベンデイングす
ることがあり、このベンデイングを与える位置は
プルタブ３０をリベツト止めする固定部３３を形
成する切込みであるランス部３５の端部３６より
も指掛部３２側に施す。このベンデイングはプル
タブ３０を形成した後、上方からの強い押圧によ
りプルタブ３０を僅かに上方へ湾曲する如く反ら
せるものである。

この様に開口片２１に凹部２２を設け、プルタ
ブ３０を上方に反らせることにより、該実施例に
おける缶蓋１０では従来よりも広いプルタブ先端
３１の下方間隙を確保することができ、容器の開
封に際しプルタブ３０の指掛部３２を引き上げた
場合、プルタブの先端３１が開口片２１の凹部２
２に当接された時、指掛部３２が充分に引き上げ
られており、指先を指掛部３２の裏面に確実に押
し当てることができる。

即ち、第７図Ａに示す様に従来はプルタブ先端
３１が開口片２１上面に当接し、スコアー１５に
初期破断が生ずる際の指掛部３２と缶蓋の天板１
１との間隙が６mmであつて、指先を指掛部３２の
裏面に充分掛けることができず、プルタブ３０へ
の開口力を加え難かつたのに対し、本考案では第
７図Ｂに示す様に初期破断が生ずる際の指掛部３
２と缶蓋天板１１の間隙が12mmと広く、指先を充
分に指掛部３２の裏面に当接し得て、開口力を容
易にプルタブ３０に加え得るものであり、且つ、
指掛部３２の引き起しに際し、従来に比較して初
期破断に至る迄の抵抗力の増加が緩やかである
故、開口が容易となる。

そして、開口片２１に設けた凹部２２には浅い
部分２３と深い部分２４とがあり、プルタブ先端
３１は深い部分２４よりも早く浅い部分２３に接
触し、該凹部２２の浅い部分２３はプルタブ先端
３１により強く押し下げられる故、浅い部分２３
に近いスコアー１５部分Ａにプルタブ３０からの
押圧力が集中し、初期破断を該スコアー１５部分
Ａで容易に生じさせる。

その後、更に指掛部３２を引き上げて、プルタ
ブの先端３１を押し下げると、スコアー１５の破
断は前記初期破断の生じたスコアー１５部分Ａか
ら天板１１周縁近傍方向と、スコアーの始点１６
方向とへ進行し、開口片２１はビード２５等によ
り剛性を有している故更にスコアーの終端１７へ
と破断が順次進行して第８図に示す様に連接部分
１９で天板１１に接続されて開口片２１は容器内
に押し込まれる。

［考案の効果］ 本考案に係る缶蓋１０は前述の如く連接部分１
９により開口片２１が天板１１に接続されている
故、開口片２１を散逸させることなく、又、該開
口片２１は容器内に押し込まれる故、該容器を口
に付け、直接液体内容物を飲む場合にも違和感を
与えない容器の缶蓋１０であつて、開口片２１に
設けた凹部２２によりプルタブ３０の先端３１の
下方に充分な間隙を有している故、又、プルタブ
３０の上方への反りと開口片２１に設けた凹部２
２とによりプルタブ３０の先端３１の下方に充分
な間隙を有している故、バキユーム缶の如く天板
１１の中央が容器内方に湾曲している容器であつ
ても、該缶蓋１０の開封に際し、指掛部３２の裏
面に確実に指先を掛けて初期破断をなし得ること
となり、開口を容易に行ない、又、プルタブ３０
を反らし、開口片２１に凹部２２を設けるのみで
ある故、プルタブの強度を何ら低下させることな
く製造が容易な缶蓋１０である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案に係る缶蓋の平面図
及び裏面図にして、第３図は第１図の−断面
図。第４図及び第５図は従来の缶蓋の平面図及び
裏面図、第６図は従来の缶蓋をバキユーム缶に取
り付けた断面図。第７図はプルタブの引き起しに
要する力を示す図にして、第８図は開封された缶
蓋を示す断面図である。 １０……缶蓋、１１……天板、１２……リベツ
ト、１５……スコアー、１６……スコアー始点、
１７……スコアー終端、１９……連接部分、２１
……開口片、２２……凹部、２５……ビード、２
６……湾曲部、２９……凹窩部、３０……プルタ
ブ、３１……プルタブ先端、３２……指掛部、３
５……ランス部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) スコアーの始点及び終端がリベツトの同一側
   方に位置し、スコアーに囲まれた適宜面積の開
   口片がプルタブ先端により下方へ押し下げられ
   る容易開口容器の蓋体において、開口片のプル
   タブ先端下方位置にプルタブ先端が嵌入し得る
   凹部を設け、且つ、該凹部は開口片の連接部分
   近傍を深くする形状とし、以てスコアーを破断
   させるに際し、プルタブ先端が前記凹部に嵌入
   し、プルタブ後端である指掛部と缶蓋天板上面
   との間に間隙を形成し得る様にしてスコアーの
   初期破断を生じさせることを特徴とする容易開
   口容器の缶蓋。 (2) プルタブはその先端をベンデイング等により
   上方へ反らせたことを特徴とする請求の範囲第
   １項記載の容易開口容器の缶蓋。