JPS632248Y2

JPS632248Y2 -

Info

Publication number: JPS632248Y2
Application number: JP13535886U
Authority: JP
Priority date: 1986-09-03
Filing date: 1986-09-03
Publication date: 1988-01-20
Also published as: JPS6258110U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、１枚刃のスローアウエイ式ボールエ
ンドミルに関する。

（従来の技術）従来、この種のスローアウエイ式ボールエンド
ミルとしては、例えば特開昭53−49390号公報、
実開昭53−51686号公報等にみられるものが開示
されている。

前者は、三円弧側面を有するスローアウエイチ
ツプを複数個組込んだもので形式上３切刃または
６切刃の使用が可能である。しかしながら、金型
加工における曲面加工では、切刃構成、取付け剛
性が適切でないと切刃稜に欠けが生じることが多
く、この場合には隣の切刃稜にも影響を与えるた
め使用可能切刃数が減少してしまうという不具合
があつた。

また後者は、円板状のスローアウエイチツプを
軸中心線に対し例えば0.2mm偏位させたものであ
る。しかしながら、一つの面で３ケ所使用するた
めには切込みに制限があり、また切込みを増やす
と有効切刃数が減少してしまうという不具合があ
つた。

（考案が解決しようとする問題点）したがつて、有効切刃数の確保および取付け剛
性の確保が問題点となり、この問題点を解決でき
るスローアウエイ式のボールエンドミルの開発が
要望されている。

（問題点を解決するための手段）本考案は、上述の点に鑑みなされたもので円柱
状をなす本体の先丸頭部には、切屑ポケツトおよ
びチツプ座が形成され、このチツプ座内で三つの
弧状側面を有する切刃チツプがねじ止めされるよ
うに改善された１枚刃のスローアウエイ式ボール
エンドミルを提供するものである。

すなわち、前記チツプ座は、切刃チツプの弧状
側面に適合する２つの側壁を有するとともに、座
面における切刃チツプの軸方向の取付け角θが−
10゜〜−20゜の範囲内で設定するものである。

また、前記切刃チツプは、３つの頂角部分には
帯状側面によるチヤンフアーがそれぞれ形成され
るとともに、すくい面における半径方向に向かう
すくい角δを0゜〜15゜の範囲内に設定し、かつチ
ツプ座内に組込まれたときに、軸中心線上にある
切刃始点Ｃが、略1/3円状の切刃稜を形成する側
にあるチヤンフアーの一端によつて形成され、こ
れに伴つてチヤンフアーが非削稜になるようにし
たものである。

さらに、前記切屑ポケツトは、切刃チツプを受
入れたチツプ座に対し、チツプ座を構成する２側
壁の周囲に隣接して設けられることにより切屑排
出性を良好にしたものである。

（実施例）以下本考案ボールエンドミルの一実施例につい
て図を参照しながら説明する。

第１図乃至第２図において、１は円柱状をなす
本体であり、その先丸頭部に設けられたチツプ座
２内には、切刃チツプ３が中央取付け穴４ａおよ
び止めねじ４により固定されている。

この切刃チツプ３は、第４図乃至第６図で拡大
して示されているように三つの円弧側面３ａ，３
ｂ，３ｃを有するものであり、また３つの頂角部
分には、帯状側面５ａによるチヤンフアー５が形
成されている。そして、この切刃チツプ３がチツ
プ座２内に組込まれたときには、第７図で明示さ
れているように軸中心線１ａ上に切刃始点Ｃが位
置する。そして、略1/3円状の切刃稜６ａ，６ｂ，
６ｃのうち１つが切削に関与するものであり、図
示の場合では切刃稜６ａを形成する側にあるチヤ
ンフアー５の一端が切刃始点Ｃとして軸中心線１
ａ上に位置して非削稜を形成する。この場合、チ
ヤンフアー５は、巾Ｗで表示され、直線または円
弧線が適用される。そして、巾Ｗは、一般に刃先
刃先ｒの約５〜10％で設定される。

また、切刃稜６ａ，６ｂ，６ｃは、回転中心点
７ａ，７ｂ，７ｃを基準にして形成され、図示の
場合における切刃稜６ａについては、Ａ点からＢ
点で形成される。

また、前記チツプ座２は、切刃チツプ３の弧状
側面に適合する２つの側壁を有するとともに、ね
じ穴２ａを形成した底面における切刃チツプ３の
軸方向の取付け角θが負角を構成する。これは、
チツプ座２の形成に伴う本体１の剛性が低くなら
ないようにした配慮である。

そして、チツプ座２内に配置された切刃チツプ
３に対しては、切屑の排出性を良好とするため切
屑ポケツト８が設けられる。すなわち、切屑ポケ
ツト８は、チツプ座２を構成する２つの側壁の周
囲に隣接して設けられるものである。

なお、前述した取付け角θは、一般に−10゜〜
−20゜の範囲で設定され、切刃チツプ３のすくい
面には、切刃稜６ａ，６ｂ，６ｃに沿つて斜面９
がそれぞれ形成され、特に鋼切削用における切削
性能を改善している。

また、第４図で示される切刃チツプ３の曲率半
径Ｒ，ｒは、Ｒ＜ｒでなければならず、第６図で
示される斜面９の中心方向のすくい角δは、一般
に0゜〜15゜の範囲内で設定される。これは、例え
ば0゜の場合には、鋳鉄切削用として利用でき、5゜
〜15゜の場合には、鋼切削用として利用できるか
らである。なお、曲率半径Ｒは切刃チツプ３の各
頂点を通る円の半径として与えられたものであ
る。

さらに、第８図に示されるものは、前記切刃チ
ツプ３が止めねじ４により固定されるだけでな
く、取付け強度の点からねじ１０を備えたクラン
プ片１１によつても固定されるようにしたもので
ある。

次に本考案ボールエンドミルにおける切削例に
ついて説明する。

工具仕様は、刃先半径ｒが10mmで、チヤンフア
ー５の巾Ｗを0.8mmとした。被削材１２は、S55C
（H_B＝200）とし、切削条件は、回転数Ｎ＝
1500rpm、テーブル送りＦ＝450mm／min、回転
当りの送りｆ＝0.3mm／revとした。

この結果、第９図ａ，ｂにおけるような刃先損
傷を示した。この場合の刃先損傷は、100分切削
後のものであり、平均逃げ面摩耗がV_B＝0.25mm
（大きいところで0.5mm）程度で、切刃稜６ａの終
点側で微少チツピングを生じた。しかし、非削稜
であるチヤンフアー５の存在から第９図にＣにみ
られるように、コーナーチエンジして切刃稜６ｂ
に代えても、微少チツピングの影響が出なかつ
た。

これに対し、チヤンフアー５を存在しない従来
品では、回転数を同じとしたときにテーブル送り
Ｆ＝300mm／min、回転当りの送りｆ＝0.2mm／
revが限度であつた。そして、80分切削後の損傷
については、第１０図ａ，ｂで示されるように平
均逃げ面摩耗がV_B＝0.3mm（大きいところで0.8
mm）を示し、同様に切刃終点側で微少チツピング
を生じた。したがつて、従来品では、第１０図に
Ｃにみられるように、コーナーチエンジした場合
には、切刃始点付近Ｃで、微少チツピングの影響
が出ており、以後の切削には使用できなかつた。

（考案の効果）このようにして構成されたボールエンドミル
は、切刃チツプ３における軸方向に取付け角θを
負角としたことから、止めねじ４による取付け剛
性も高められ、びびり振動なども生じ難くなる。

また、切屑ポケツト８も切刃チツプ３のすくい
面上に略連続するようになつているため切屑の排
出能力が大きくなる。これは、ボールエンドミル
が曲面切削を伴つた金型加工上に利用されること
が多いため特に重要な意味をもつものである。

さらに切刃チツプ３の頂角部分には、非削稜と
してのチヤンフアー５が形成されているため、切
刃稜の小さな欠けなどが発生しても未使用切刃稜
の損傷が回避でき、全ての３コーナーを使用でき
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案ボールエンドミルの一実施例
を示す正面図、第２図は、その底面図、第３図
は、一部側面図、第４図は、切刃チツプを示す拡
大正面図、第５図は、その側面図、第６図は、第
４図中の−線に沿つて得られる断面図、第７
図は、切削状態を概念的に示す説明図、第８図
は、変形例を示す正面図、第９図ａ〜ｃは、本考
案品における切刃損傷状態を示す図で、ａは正面
図、ｂは側面図、ｃは、切刃チツプをコーナーチ
エンジした場合の正面図、第１０図ａ〜ｃは、従
来品における切刃損傷の状態を示す図で、ａは正
面図、ｂは側面図、ｃは、切刃チツプをコーナー
チエンジした場合の正面図である。１……本体、２……チツプ座、３……切刃チツ
プ、４……止めねじ、５……チヤンフアー、５ａ
……帯状側面、３ａ，３ｂ，３ｃ……円弧側面、
６ａ，６ｂ，６ｃ……切刃稜。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】円柱状をなす本体１の先丸頭部には、切屑ポケ
ツト８およびチツプ座２が形成され、このチツプ
座２内で三つの弧状側面を有する切刃チツプ３が
ねじ止めされるようにした１枚刃のスローアウエ
イ式ボールエンドミルにおいて、前記チツプ座２は、切刃チツプ３の弧状側面に
適合する２つの側壁を有するとともに、座面にお
ける切刃チツプ３の軸方向の取付け角θが−10゜
〜−20゜の範囲内で設定され、前記切刃チツプ３は、３つの頂角部分には、帯
状側面５ａによるチヤンフアー５がそれぞれ形成
されるとともに、すくい面における半径方向に向
かうすくい角δが0゜〜15゜の範囲内で設定され、
しかもチツプ座２内に組込まれたときに、軸中心
線上にある切刃始点Ｃが略1/3円状の切刃稜６ａ，
６ｂ，６ｃを形成する側にあるチヤンフアー５の
一端によつて形成され、これに伴つてチヤンフア
ー５が非削稜を形成するようになつており、前記切屑ポケツト８は、切刃チツプ３を受入れ
たチツプ座２に対し、チツプ座２を構成する２側
壁の周囲に隣接して設けられていることを特徴と
するボールエンドミル。