JPS6322282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、光伝送用フアイバにおける融着接続
部の補強部材に関するものである。

光フアイバの接続方法としては、従来より接続
する光フアイバを突き合わせ、アーク放電などに
より熱溶融接着する方法が行なわれている。た
だ、この場合、光フアイバの機械的強度保持の役
割を有する光フアイバのプラスチツク被覆層を除
去しなくてはならないため、接続後、被覆層の除
去部分を補強する必要が生ずる。この接続部の補
強方法として、従来から幾つかの方法が提案され
ている。すなわち(1)熱収縮チユーブと熱溶融接着
剤を用いる補強方法、(2)保護スリーブあるいは補
強部材と瞬間接着剤あるいは経時硬化型の接着剤
を用いる補強方法、(3)樹脂モールドによる補強方
法、等である。

しかしながら、これらの方法には、以下に示す
ような欠点がある。すなわち(1)の方法は、作業現
場、例えばマンホールや柱上に電熱器、バーナな
どの加熱器具を持込む必要があること、熱収縮チ
ユーブの加熱収縮時あるいは温度変化が起つた時
に発生する軸方向の膨張あるいは収縮により、光
フアイバの局部的曲げや断線の危険があること、
また、プラスチツク材料からなる熱収縮チユーブ
は弾性率が低いため、比較的小さな引張応力によ
つて伸び、光フアイバの断線がおこること、等の
欠点がある。

また、(2)の方法は、瞬間接着剤を用いると耐久
性が悪く、経時硬化型の接着剤を用いると硬化に
時間がかかるため作業性が悪い。

さらに(3)の方法は、成形金型あるいは射出成形
機などが必要であり、作業現場、例えばマンホー
ル内や柱上にこれらの器機を持込まなければなら
ず煩雑である。

本発明は、これらの欠点を除去するため、光フ
アイバ接続部の補強を電気抵抗発熱体に通電し発
熱させることによつて簡便かつ短時間に行うこと
ができ、さらに光フアイバの伝送損失の増加やそ
の断線の危険が少ない良好な補強を行うことがで
きる補強部材を提供することを目的とするもの
で、その要旨とするところは、光フアイバの接続
部が収納される溝形の本体と、前記光フアイバの
接続部を覆うようにこの本体に装着される蓋板
と、この蓋板及び前記本体と前記光フアイバの接
続部との隙間に緊密に充填される接着剤とを具え
た光フアイバ接続部の補強部材において、前記本
体を加熱変形せず且つ電気絶縁性を有する物質で
構成すると共にこの本体の長手方向両端部に前記
接着剤の流出を阻止する堰を形成し、前記本体に
設けられた端子と接続する電気抵抗発熱体をこの
本体に組み込み、前記接着剤は前記本体及び前記
蓋板の内側に塗布されて前記電気抵抗発熱体の発
熱に伴い前記本体及び前記蓋板と前記光フアイバ
の接続部との隙間を埋める熱溶融接着剤であるこ
とを特徴とする。

以下、図面に示した実施例にもとずいて本発明
に係る光フアイバ接続部の補強部材を説明する。

本発明において用いられる電気抵抗発熱体は、
ニクロム線、タングステン線、炭素繊維ヤーンな
どであり、それをテープ状、板状、網状にしたも
のを用いることができる。

また、本発明に用いられる熱溶融接着剤は、ポ
リエチレン、エチレンまたはナイロンを主体とし
た共重合体もしくはその変性物、またはこれらの
混合物を用いることができる。

本発明に係る補強部材は、たとえば第１図に示
すように、光フアイバのプラスチツク被覆部を収
納する一対の深溝１と融着接続されたフアイバ心
線を収納する浅溝２とが形成された本体３と、前
記深溝１と浅溝２を覆うように前記本体３に回転
自在に取り付けられる蓋板４とからなる構造のも
のを用いることができるが、特にこの構造に限定
されるものでなく、光フアイバのプラスチツク被
覆部と融着接続されたフアイバ心線を収納するこ
とができる構造を有する補強部材であればよい。

そして、本発明に係る補強部材は、かかる基本
構造から成るとともに、加熱変形せず、かつ、電
気絶縁性を有する物質、たとえば樹脂、セラミツ
クまたはガラスから成る本体３の内面に、第２図
に示されるように、たとえばニクロム合金製の電
気抵抗発熱体５を貼り、その上に、たとえばエチ
レン−エチルアクリレート共重合体のアクリル酸
グラフト変性物の熱溶融接着剤６を塗布した構造
となつており、この熱溶融接着剤６の塗膜の厚さ
は、本体３及び蓋板４と光フアイバ接続部との隙
間が完全に熱溶融接着剤６で充填されるように設
定する必要がある。また、本体３の深溝部１に熱
溶融接着剤６の補強部材外への流出を防止する堰
７を設けるとともに、蓋板４の内側かつ浅溝部２
に対向する場所に光フアイバ接続部を固定する突
起８を設ける一方、本体３の長手方向の両端に、
電気抵抗発熱体５に電圧を印加するための端子９
を設けた構造になつている。

上記補強部材の内側に電気抵抗発熱体５を設け
るには、耐熱性と絶縁性を有する接着剤で接着す
るか、または使用する熱溶融接着剤で接着する方
法がある。また、プラスチツクから成る補強部材
の場合には、射出成形時に電気抵抗発熱体５を一
体化する方法もある。

次に、電気抵抗発熱体５上に熱溶融接着剤６を
塗布するには、ホツトガンなどの加熱器を用いて
補強部材の内面に塗布するか、あるいは金型を用
いて熱溶融接着剤６を射出成形し内面に塗布する
方法がある。

この補強部材を用いて光フアイバ接続部を補強
するには、第３図および第４図に示すように、ま
ず、光フアイバ心線の融着接続部１０を補強部材
の浅溝部２に入れた後、第３図に示すように蓋板
４を閉じ適当な押え治具、例えばバネ材からなる
コの字状クリツプ１１を用いて蓋板４を押える。
その後、電気抵抗発熱体５に端子９を介して電圧
を印加することにより熱溶融接着剤６を溶融さ
せ、一体化する。第４図には補強部材と一体化し
た光フアイバ接続部の断面図が示される。このよ
うな補強部材を用いた補強方法によると、特別な
加熱器を用いることなく容易に短時間で光フアイ
バ接続部の補強をすることができるし、光フアイ
バ心線の周囲には熱溶融接着剤６が完全に充填さ
れ、補強部材と強固に一体化することにより、フ
アイバ接続部に対して、引張り、圧縮、曲げ、ね
じりなどの外力の伝ぱんを防止するとともに光フ
アイバの破断、伝送損失の増加を少なくする一
方、温度変化による光フアイバ心線の突き出しや
光フアイバの破断をなくすることができる。

以上、図面に示した実施例にもとずいて説明し
たように、本発明に係る補強部材によると、補強
部材の内側に電気抵抗発熱体と加熱によつて溶融
する熱溶融接着剤を設けることにより、電気抵抗
発熱体に通電するという簡便な方法で光フアイバ
接続部と補強部材を強固に一体化できる。したが
つて、加熱器具の必要がなく、容易かつ短時間に
光フアイバ接続部を補強できる。

また、光フアイバ接続部と補強部材をこれらの
間に隙間なく充填された熱溶融接着剤を介して強
固に一体化することにより、補強部に対する引張
り、圧縮、曲げ、ねじりなどの外力や温度変化に
よる光フアイバの伝送損失の増加やフアイバ心線
の破断を防止することができ、信頼性の高い補強
部を形成できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る補強部材の一実施例を示
す斜視図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第
３図は補強部材と一体化した光フアイバ融着接続
部の中央部縦断面図、第４図は第３図のＢ−Ｂ線
断面図である。 図面中、１は深溝部、２は浅溝部、３は本体、
４は蓋板、５は電気抵抗発熱体、６は熱溶融接着
剤、７は堰、８は突起部、９は端子、１０は光フ
アイバ心線の融着接続部、１１はクリツプであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 光フアイバの接続部が収納される溝形の本体
   と、前記光フアイバの接続部を覆うようにこの本
   体に装着される蓋板と、この蓋板及び前記本体と
   前記光フアイバの接続部との隙間に緊密に充填さ
   れる接着剤とを具えた光フアイバ接続部の補強部
   材において、前記本体を加熱変形せず且つ電気絶
   縁性を有する物質で構成すると共にこの本体の長
   手方向両端部に前記接着剤の流出を阻止する堰を
   形成し、前記本体に設けられた端子と接続する電
   気抵抗発熱体をこの本体に組み込み、前記接着剤
   は前記本体及び前記蓋板の内側に塗布されて前記
   電気抵抗発熱体の発熱に伴い前記本体及び前記蓋
   板と前記光フアイバの接続部との隙間を埋める熱
   溶融接着剤であることを特徴とする光フアイバ接
   続部の補強部材。 ２ 電気抵抗発熱体としてニクロム線、タングス
   テン線、炭素繊維ヤーンまたはそれらをテープ
   状、板状、網状にしたものを用いたことを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の光フアイバ接続
   部の補強部材。 ３ 熱溶融接着剤としてポリエチレン、エチレン
   またはナイロンを主体とした共重合体もしくはそ
   の変性物、またはこれらの混合物を用いたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の光フアイ
   バ接続部の補強部材。