JPS6322241Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば柱をPC製としてこのPC材に
耐震壁の上部大梁材を連結したり、あるいは、耐
震壁をPC製としてこのPC材に小梁材を連結する
等のために、梁材連結用のガセツトプレートを
PC材本体の左右両側面に備えさせたPC材に関す
る。

ガセツトプレートをPC材本体に備えさせるに、
従来は、ガセツトプレートのアンカープレート裏
面側にアンカー筋を溶接し、そしてPC材成型用
の型枠にアンカープレートを位置させるための開
口を形成して、該型枠にガセツトプレートをセツ
トし、前記アンカー筋を埋設する状態で型枠にコ
ンクリートを打設している。

この手段によれば、アンカープレートの大き
さ、位置に応じてその都度、型枠に開口を形成し
なければならず、型枠自体の製作コストが高くつ
くと共に製作工数がアツプする欠点があつた。殊
に、多数の小梁のうち、一部の小梁相互の間隔が
他のものと異なつているような平面計画の建物の
場合、ガセツトプレートの位置が異なる少数の
PC材のために専用の型枠を製作していたのでは、
コスト的に不利であるため、型枠の一部に手を加
えて、前記開口の位置を変更するといつた煩しい
型枠のセツト替えが必要とされた。更に、ガセツ
トプレートが部分的に突出しているために、PC
材の輸送や保管に広いスペースを要し、しかも、
アンカー筋の埋設深さを大きくとり難いことから
強度面でも問題があつた。

本考案は、かかる実情に鑑みて、簡単かつ合理
的な改造によつて上記欠点を一挙に解消すること
を目的とし、前記PC材本体の作製に際してそれ
の左右両側面で開口する複数個の貫通孔を形成す
ると共に、該貫通孔に挿通させたボルトとそれに
螺合するナツトとによつて、前記ガセツトプレー
トのアンカープレートを前記PC材本体の左右両
側面に緊締固着してあることを特徴とする。

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

図面は、PC（プレキヤスト）製のコンクリート
耐震壁１をPC材とし、かつ、PC製の床スラブ支
持用の小梁２を梁材として、前記耐震壁１に小梁
２を連結すると共に、それらの上部に床配筋３…
を施こし、そして、前記床配筋３…を埋設する状
態でかつ耐震壁１と小梁２との連結部空間にコン
クリートを現場打ちして、床スラブ４を形成した
状態を示す。

前記PC製耐震壁１は、長手方向に沿う複数本
の主筋５…とそれらにわたるスターラツプ筋６…
を主体にする上部大梁７と、格子状の壁主筋８
を、コンクリート壁１０に埋設して壁本体１１を
作製すると共に、前記大梁７に相当する部分の壁
本体１１の左右両側には、長手方向に間隔を置い
て前記小梁２を連結するためのガセツトプレート
１２，１２が設けられ、例えば戸境を形成すべく
所定間隔を置いて立設される。

前記ガセツトプレート１２は、アンカープレー
ト１３とそれに対して平面視でＴ字状になるよう
に連結されたガセツトプレート本体１４とから成
り、前記PC製耐震壁本体１１の作製に際して、
前記プレート本体１４の下端縁を支持する壁部分
１１ａ，１１ａを壁本体１１に一体的に成型する
ように、かつ、その壁本体成型用の型枠に対して
所定箇所に複数本の合成樹脂パイプ１５をセツト
しておいて、壁１０用のコンクリートが硬化した
後の脱型状態で、前記パイプ１５により前記上部
大梁相当部の左右両側面に開口する複数個の貫通
孔を形成しておき、かつ、該貫通孔とほぼ同位相
の孔を前記アンカープレート１３にも形成してお
き、そして、耐震壁１と小梁２との連結現場にお
いて、前記貫通孔とアンカープレート孔にわたつ
てPC鋼棒よりなるボルト１６を挿通させると共
に、そのボルト１６に螺合するナツト１７の締付
け操作により、前記壁本体１１に対してガセツト
プレート１２，１２を、それのアンカープレート
１３を壁本体１１の左右両側面に面当接状態で取
付けられるようにしてある。

上記構成によれば、アンカープレート１３の大
きさ如何にかかわらず、耐震壁成型用の型枠にア
ンカープレート１３を取付けるための開口が必要
でなくなり、型枠の製作工数を低減でき、型枠の
セツト替えが不要となると共にコストダウンを図
れ、しかもボルト１６の埋設深さを壁巾全体にわ
たらせることができて強度面で有利であると共
に、そのボルト１６にかかる引つ張り応力がアン
カープレート１３によつて分散される結果、コン
クリート壁１０の局部破損を抑制することがで
き、更には、ガセツトプレート１２，１２を現場
で取付け得るものであるから、そのように現場取
付けの形態をとることによつて、壁本体１１とガ
セツトプレート１２を別個にして狭いスペースで
保管あるいは輸送を行なうことができるのであ
る。

尚、前記壁部分１１ａは省略してもよい。保管
や輸送面での有利さを問わないならば、前記ガセ
ツトプレート１２を壁成型現場において壁本体１
１に取付けておくも良く、また、ガセツトプレー
ト支持用の壁部分１１ａを省略するも良い。

前記スラブ支持用の小梁２は、所定間隔を置い
て立設されたPC製耐震壁１の隣る大梁７どうし
にわたつて当板２８を介して連結されるものであ
り、梁長手方向に沿うと共に巾方向で間隔をへだ
てた下端主筋１８と、梁端面に位置させるガセツ
トプレート１９、アンカープレート２０に溶接さ
れた補強鉄筋２１と、上部側を梁上面よりも突出
させる状態で長手方向に間隔をへだてるループ状
のスターラツプ２２…と、前記アンカープレート
２０を貫通させる状態で設けたPC鋼２３を、コ
ンクリート梁本体２４に埋設して成り、かつ、前
記PC鋼２３の端部側にはネジ部が形成されてい
ると共に、そのPC鋼２３を前記梁本体２４に埋
設するに際してそれに合成樹脂チユーブが外嵌さ
れ、更に必要に応じて該チユーブとPC鋼２３と
の間にグリースを充填し、前記コンクリート梁主
体２４の硬化後において前記PC鋼２３のネジ部
に螺合するナツト２５の締付けにより、小梁２に
ポストテンシヨンによるプレストレスが導入され
ている。図示しないが、小梁２は、プレストレス
を導入しないRC造であつてもよい。

第４図は、PC製耐震壁１と小梁２との連結構
造における別実施例を示し、前記小梁２の作製に
際して、その小梁２の下端主筋１８を前記ガセツ
トプレート１９の下部において該小梁２の端面よ
りも突出させておき、一方、前記PC製耐震壁１
の作製に際して、小梁２との連結状態において下
端主筋１８の延長軸線近くに相当する位置に、壁
本体１１の脱型状態において大梁７の左右両側に
開口する貫通孔を合成樹脂パイプ２６によつて予
め形成しておき、このパイプ２６に、前記大梁７
の側面よりも突出させる状態で連結鉄筋２７を挿
通させると共に、この連結鉄筋２７と前記小梁２
の下端主筋１８とを溶接や圧着スリーブ２９等に
よつて剛連結したもので、前記ガセツトプレート
１２，１９と当板２８を縦部材とし、床配筋３を
上部横部材とし、そして下端主筋１８と連結鉄筋
２７を下部横部材とする、断面２次モーメントの
大なるＩ字状の連結形態をとらせるようにしたも
ので、その連結部の下部側における圧縮耐力を大
ならしめたものである。尚、この第４図におい
て、実施例構造と同じ構成部材には同符号を付
し、その説明を省略している。

この連結形態においても、連結鉄筋２７を現場
施工し得るもので、前述した壁本体１１に対する
ガセツトプレート１２の取付けと同様の利点を備
えるものである。

尚、前記ガセツトプレート１２並びに連結鉄筋
２７を、前記壁本体１１の成型後において取付け
得るように、その取付け用の貫通孔を合成樹脂パ
イプ１５，２６によつて形成してあるが、例えば
発泡スチロール棒を所定箇所に埋設しておいて、
それを壁本体１１の脱型後に溶解によつて排除し
て貫通孔を形成する等、各種の変更が可能である
こと勿論である。

また、実施例においては、PC製耐震壁１をPC
材の一例とし、かつ、小梁２をPC材に対する連
結対象の梁材としたが、冒頭にも記載したよう
に、PC製の柱をPC材とし、かつ、そのPC材に
連結されるPC製耐震壁の大梁を梁材とする等、
PC材と梁材の対象を各種選択できることは言う
までもない。

以上説明したように本考案は、PC材本体の作
製後において、それに梁材連結用のガセツトプレ
ートを取付け得るように構成するものであるか
ら、これによつて実施例で詳述したように、PC
材本体を成型するための型枠を、製作工数を少な
くして安価に得られるようになり、しかも、ガセ
ツトプレートのアンカープレート取付け用ボルト
をPC材本体の全巾にわたらせることができて強
度的に有利であると共に、ボルトにかかる応力を
分散し得てPC材の耐力を強化でき、殊にガセツ
トプレートを現場においてPC材本体に取付ける
場合は、PC材の輸送や保管が狭いスペースでこ
と足りる利点があり、全体として、簡単な改造で
ありながら種々の効果を湊させ得るに至つた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は梁連結
部の縦断側面図、第２図は横断平面図、第３図は
第１図の−線断面図、第４図は別実施例の縦
断側面図である。 １……PC材、２……梁材、１１……PC材本
体、１２，１９……ガセツトプレート、１３……
アンカープレート、１６……ボルト、１７……ナ
ツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. PC材本体の左右両側面に梁材連結用のガセツ
   トプレートを備えさせたPC材であつて、前記PC
   材本体の作製に際してそれの左右両側面で開口す
   る複数個の貫通孔を形成すると共に、該貫通孔に
   挿通させたボルトとそれに螺合するナツトとによ
   つて、前記ガセツトプレートのアンカープレート
   を前記PC材本体の左右両側面に緊締固着して成
   るPC材。