JPS6322051Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はナツトやボルトなどの自動締付けに
用いるネジ締め装置の改良に関し、更に詳述すれ
ば、ボルトなどの着座までの締付けと、着座後の
増し締めとを別個のネジ締め機で行うようにした
ネジ締め装置に係る。

従来からナツトランナーなどのネジ締め装置に
於いて、回転出力を２段階に切替えるようにした
ものは既に提案されている。ところが、この従来
の装置は１個のネジ締め装置内にクラツチ機構を
組み込んで、減速段数を２段階に切替えるもので
ある。即ち、従来装置では、駆動源であるエアモ
ーターから遊星歯車式の減速機を１段又は複数段
介して出力軸に動力伝達すると共に、この減速機
部にバネ式のクラツチを組込んで、小荷重時には
減速機を通さず、或いは減速段数を減らして出力
軸に動力伝達し、小出力ではあるが高速回転でネ
ジ締めを行い、ボルトの着座によつて荷重が増
え、バネ圧によつて規制された所定の荷重を越え
た時にはクラツチの作用により、全ての減速機を
通して動力伝達し、低速ではあるが高出力で締付
作業を行うようになつている。ところが、この従
来の装置では、バネ圧式のクラツチによる自動切
替である為、切替の出力がバネの強度による抑制
を受け、切替時の出力が極めて小さく設定されて
しまう。この結果、例えば、ボルトが着座するま
でに作動が切替わつてしまつて低速回転となり、
締付作業に時間的なロスが発生する。更にこのよ
うな自動切替式のクラツチを用いた時には、構造
が複雑となり、設計や製作が難しく、故障の原因
となるなどの欠点がある。

本考案はこのような欠点を解消したネジ締め装
置を提供せんとするものであつて、その特徴は、
高速・低出力の第１ネジ締め機と、低速・高出力
の第２ネジ締め機とを並列状に連装し、各ネジ締
め機には一方向クラツチを組み込むと共に、各ネ
ジ締め機の出力軸から歯車伝動などによつて１本
の作業出力軸に回転動力を伝達するようにし、ボ
ルトの着座までは第１ネジ締め機によつて高速で
ネジ締めを行い、着座完了後は第２ネジ締め機に
よつて高出力で増締めするようにしたことにあ
る。

以下に本考案のネジ締め装置を図面の実施例に
ついて説明する。１は第１ネジ締め機、２は第２
ネジ締め機であつて、両ネジ締め機は並列状に配
されている。第１ネジ締め機に於いて、３は給気
口、４はエアモーター、５は減速機、６は一方向
クラツチである。エアモーター４は比較的小型の
ものが使用され、減速機５は遊星歯車式の１段又
は２段減速のものが用いられている。一方向クラ
ツチ６は互に鋸歯面７′，８′で対面接合する２部
材７，８からなり、一方の部材７は遊星歯車に接
続されて定位置で回転し、他方の部材８は出力軸
９に軸方向摺動自在に設けられ、且つ、背面には
バネ１０による押圧力が作用させられている。こ
の為、両部材７，８はバネ１０圧によつて咬合係
合せんとする力を受けており、正方向への回転の
際には鋸歯面７′，８′が互に咬み合つて力の伝達
が行われ、逆方向の回転の際には、バネ１０圧に
抗して部材８が離れ、鋸歯面７′，８′が滑つて、
力の伝達は行われない。第２ネジ締め機２に於い
て、１１は給気口、１２はエアモーター、１３は
減速機、１４は一方向クラツチ、１５は出力軸で
ある。エアモーター１２は比較的大型のものが使
用され、減速機１３は遊星歯車式の４段又は５段
減速のものが用いられている。一方向クラツチ１
４は前記一方向クラツチ６と同一構造であり、鋸
歯面１６′，１７′を有する２部材１６，１７と、
バネ１８とから成り、正方向には回転力を伝え、
逆方向には回転力を伝えない。前記の両ネジ締め
機１，２の給気口３，１１にはコンプレツサーな
どの高圧空気供給装置１９からバルブ２０を介し
て高圧空気が送られる。２１は出力取出部であつ
て、互に咬合する２個の歯車２２，２３が内装さ
れており、一方の歯車２２には第１ネジ締め機１
の出力軸９が接続され、他方の歯車２３には第２
ネジ締め機２の出力軸１５が接続されている。ま
た歯車２３は作業出力軸２４と一体になつてい
る。従つて、第１、第２のいずれのネジ締め機
１，２からの回転出力も共に作業出力軸２４に伝
達される。

次に前記ネジ締め装置の作動を説明する。先
ず、作業出力軸２４にソケツトなどを取付けて、
ネジ締めせんとするボルトの頭などに嵌合させて
装置をセツトする。次にバルブ２０を開いて、第
１ネジ締め機１に送気し、回転作動させる。第１
ネジ締め機１は出力は小さいが、減速段数が少な
いので、高速で回転する。この第１ネジ締め機１
によつて被締付体のボルトなどが着座するまでネ
ジ締めを行う。着座までは荷重が小さいので、第
１ネジ締め機１でも充分にネジ締め可能であり、
高速で能率よく作業できる。被締付体が着座する
と、荷重が増加して第１ネジ締め機１での締付け
が不可能になるので、バルブ２０を切替えて第２
ネジ締め機２に送気する。第２ネジ締め機２は大
型であり、且つ、減速段数が多いので、低速では
あるが高出力である。従つて、この第２ネジ締め
機２によれば、着座後の所定の締付力に達するま
での増し締め作業が可能である。また、各ネジ締
め機１，２にはそれぞれ一方向クラツチ６，１４
が組込まれているので、第１ネジ締め機１が回転
作動している時、歯車２３から出力軸１５に伝わ
つた回転は一方向クラツチ１４によつて減速機１
３へは伝わらない。これと同様に第２ネジ締め機
２が回転作動している時にも第１ネジ締め機１に
は回転力が伝達しない。

なお、第１ネジ締め機１から第２ネジ締め機２
への切替えを、トルク制御装置或いはタイマーな
どを用いて自動的に行うようにすることも可能で
ある。また第２ネジ締め機２の所定締付力での自
動停止をトルク制御装置などを用いて行うことが
できる。更に。減速機５，１３は遊星歯車式に限
らず、他の型式のものでも使用可能であり、ま
た、一方向クラツチ６，１４も図示例のものに限
定されない。

以上の如く、本考案のネジ締め装置は低出力・
高速のネジ締め機と、高出力・低速のネジ締め機
とが連装されていて、被締付体が着座するまでは
高速のネジ締め機を用い、また着座後は高出力の
ネジ締め機を用いて締付作業ができるので、ネジ
締め作業を能率よく行うことができる。また、本
考案では２個のネジ締め機が連装されていて、そ
れぞれが高速回転必要時と、高出力必要時とに別
個に作動するので、各ネジ締め機をそれぞれ能力
一杯に利用でき、従来の１個のネジ締め機に自動
切替装置を組込んだものに比べて効率がよく、作
業能率を向上させうる上に、従来のものに比べ
て、構造が簡単で、設計や製作が容易であり、故
障発生率が低いなど実用上極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案のネジ締め装置の実施例の要部を
断面であらわした側面図である。 １……第１ネジ締め機、２……第２ネジ締め
機、３，１１……給気口、４，１２……エアモー
ター、５，１３……減速機、６，１４……一方向
クラツチ、７，８，１６，１７……クラツチの部
材、７′，８′，１６′，１７′……鋸歯面、９，１
５……出力軸、１０，１８……バネ、１９……高
圧空気供給装置、２０……バルブ、２１……出力
取出部、２２，２３……歯車、２４……作業出力
軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 減速率が低くて高速回転する第１ネジ締め機
   １と、減速率が高くて高出力の第２ネジ締め機
   ２とを連装状に設け、各ネジ締め機１，２にそ
   れぞれ一方向クラツチ６，１４を組込み、各ネ
   ジ締め機１，２の出力軸９，１５を出力取出部
   ２１に連結して、いずれのネジ締め機１，２か
   らの回転出力も１本の作業出力軸２４から取り
   出しうるようにしたことを特徴とする２連式ネ
   ジ締め装置。 ２ 出力取出部２１が２個の互に咬合した歯車２
   ２，２３からなり、一方の歯車２２は第１ネジ
   締め機の出力軸９に連結され、他方の歯車２３
   は第２ネジ締め機の出力軸１５に連結され、歯
   車２２，２３の一方と作業出力軸２４とが一体
   となつている前記実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の２連式ネジ締め装置。 ３ 一方向クラツチ６，１４が鋸歯面で対面係合
   する２部材からなり、一方の部材が摺動自在
   で、且つ、背面にバネ圧が作用させられている
   前記実用新案登録請求の範囲第１項記載の２連
   式ネジ締め装置。