JPS6321530Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は洋服の肩パツドに関するものであり、
更に詳しくは弾力性並びに形態安定性を向上せし
めた、表生地に軟質ポリウレタン樹脂発泡層を裏
張りしてなる、洋服の肩パツドに関するものであ
る。

(イ) 従来技術 洋服の肩パツドは、綿布、スフモス、不織布、
或いはフエルト等の繊維集合体から製作された表
生地と裏生地の間に短繊維（ステープルフアイバ
ー）又は長繊維（マルチフイラメント若しくはフ
イラメント・トウ）よりなる中綿を間挿した後、
ミシン掛け、ニードルパンチング、或いは蒸気プ
レスを施こして製造されている。斯かる在来の肩
パツドは、洋服の着用初期に於いてはその形態保
持性能を実用上満足し得る水準に維持することが
できるが、着用時間の経過と共に表生地の弾力性
並びに形態保持性の不足に起因する型崩れ、或い
は静電気の発生による中綿の洋服生地表面への飛
び出し等の不都合を発生する。これらの障害は、
洋服の着用者に不快感を抱かせるだけでなく、洋
服の商品価値そのものを低下させるものであり、
斯かる不都合を解消し得る技術的手段の確立が強
く要望せられていた。

(ロ) 考案の目的 本考案の主要な目的は、長期間着用しても洋服
に型崩れを生起せしめることのない形態保持性の
良好な洋服用肩パツドの構造を提案することにあ
る。

本考案の他の主要な目的は、適度の弾力性を有
し、かつ、静電気による洋服生地表面への中綿の
飛び出し現象を解消し得る新規な積層構造を有す
る洋服の肩パツドを提供することにある。

(ハ) 考案の構成 斯かる目的に鑑みて本考案は、表層をなす繊維
布帛１の裏面に、厚みの薄い軟質ポリウレタン樹
脂の発泡層２を溶着した表生地Ｓと、木綿繊維の
積層体よりなる中綿層３と、ポリエステル短繊維
製の不織布よりなる裏生地Ｂとからなり、上記表
生地Ｓ、中綿層３および裏生地Ｂの積層体を、ニ
ードリングによつて一体構造に接合した洋服の肩
パツドＰを要旨とするものである。

(ニ) 実施例 第１図に例示する本考案に係る洋服の肩パツド
Ｐは、30番手のスフ紡単糸よりなる経糸及び緯糸
を夫々22本／25mmの打込み密度で平織組織に織成
したスフモス織地の繊維布帛１に、非圧縮状態に
於いて約１mmの厚みを有する軟質ポリウレタン樹
脂の発泡層２を溶着してなる表生地Ｓを使用して
いる。而して該表生地Ｓの下面には、平均織維長
さ22mmの木綿繊維の積層体よりなる中綿層３が適
当な積層厚みを維持して重畳配置され、更に該中
綿層３の下面には25mmに定長カツトされた単繊維
デニール3d.のポリエステル短繊維製の不織布か
らなる裏生地Ｂが重畳配置されている。この実施
例に於いては、表生地Ｓ、中綿層３、並びに裏生
地Ｂを前記積層順序に従つて積層した後、公知の
ニードルパンチングマシンに供給し、表生地Ｓ、
木綿繊維の積層体からなる中綿層３及びポリエス
テル短繊維の不繊布からなる裏生地Ｂの積層体を
ニードリングし、上記表生地Ｓ、中綿層３、裏生
地Ｂの相互間に弾力性に富んだ緩やかな、然し乍
ら肩パツドＰの形態保持に好適な絡合強度を有す
る交絡した繊維組織を形成している。

第２図に例示する本考案の第２の実施態様に於
いては、表生地Ｓを40番手のオープンエンド紡績
単糸よりなる経糸及び緯糸を30×22本／25mmの打
込み密度で平織組織に織成したガーゼ織地の繊維
布帛１、軟質ポリウレタン樹脂発泡層２、及び前
記ガーゼ織地に比較して繊維密度の大きなフエル
ト若しくは不織布よりなる裏打ち層４から形成
し、上記表生地Ｓの裏打ち層４の下面に第１の実
施例同様の中綿層３及び裏生地Ｂを重畳配置した
後ニードルパンチングマシンに供給してパツド構
成繊維間に絡合組織を形成している。

上記実施例に於いては、肩パツドＰの製作に際
し表生地Ｓ、中綿層３、及び裏生地Ｂはニードル
パンチングにより一体構造に接合されているが、
肩パツドＰの弾力性並びに形態保持性が実用上満
足し得る水準に維持せられる限りこれらの基材の
接合手段はニードルパンチングのみに限定される
ものではなく、蒸気プレスによる接着、或いはミ
シン掛け等の公知の接合手段を採用することがで
きる。

また表生地Ｓの表層をなす繊維布帛１は、蒸気
プレス工程に於ける蒸気の貫流を容易にし、或い
はニードルパンチング工程に於けるニードルの刺
通抵抗を減少させ乍ら該布帛に接合された軟質ポ
リウレタン樹脂発泡層２の伸縮を抑制し肩パツド
Ｐの寸法安定性並びに型崩れ防止性能を向上せし
める見地から、該布帛それ自体の伸縮量が小さな
編織組織を選択することが望ましい。繊維布帛１
の具体例としては、前記スフモス織地或いはガー
ゼ織地の外、チーズ・クロース（Cheese
Cloth）、マル（Mull）、或いは７斤ものの金巾
（Shirting）等を挙げることができる。

(ホ) 考案の効果 以上の説明に明らかなように、本考案は繊維布
帛に軟質ポリウレタン樹脂発泡層を接合してなる
表生地を使用しているから、蒸気プレス工程に於
ける蒸気の貫流が促進され、且つ、ニードルパン
チング工程に於けるニードルの刺通抵抗が減少す
る。更に軟質ポリウレタン樹脂発泡層の伸縮が前
記低伸縮性の繊維布帛によつて効果的に抑制され
るので、肩パツドの寸法安定性が大幅に向上す
る。一方、軟質ポリウレタン樹脂発泡層は、肩パ
ツドの弾性向上部材として機能する一方で、該発
泡層単独で或いは前記裏打ち層と共働して静電気
による洋服生地表面への中綿の飛び出しを効果的
に阻止する。従つて本考案は、肩パツドの改良手
段を提供するものとして当業者に寄与するところ
極めて大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案に係る洋服の肩パツ
ドを一部分解状態で示す斜視図である。 Ｐ……肩パツド、１……繊維布帛、２……軟質
ポリウレタン樹脂発泡層、３……中綿層、Ｓ……
表生地、Ｂ……裏生地、４……裏打ち層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 表層をなす繊維布帛の裏面に、厚みの薄い軟質
   ポリウレタン樹脂の積層体によりなる中綿層と、
   ポリエステル短繊維製の不織布よりなる裏生地と
   からなり、上記表生地、中綿層および裏生地の積
   層体を、ニードリングによつて一体構造に接合し
   たことを特徴とする洋服の肩パツド。