JPS6321395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、射出成形機におけるリングバルブ機
構に係り、特に加熱筒内において樹脂材料を流動
化、混練せしめて前方に送り出すスクリユを備え
た射出成形機において、そのスクリユの先端側に
設けられて逆流防止弁としての機能を為すリング
バルブ機構に関するものである。

この種のスクリユ式射出成形機では、スクリユ
が、その回転によつて樹脂材料を流動化（特に可
塑化）、混練しながら加熱筒の前方に送り出す作
用と、その軸方向への進退によつて、流動化され
た樹脂材料を所定の金型へ供給する射出プランジ
ヤとしての作用を兼ねるようになつている。しか
しながら、スクリユをそのまま射出プランジヤと
して使用した場合には、射出時にスクリユの螺旋
溝を伝つて流動化樹脂材料が後方に逆流する現象
が惹起せしめられる。

このため、かかる逆流の防止を図るべく、従来
にあつては、螺旋溝が形成されたスクリユの前部
に設けられるスクリユヘツドの後部外周部にバル
ブリングを配して、該バルブリングのスクリユ本
体側への相対的な移動による当接によつて、射出
時に前方に送り出された流動化樹脂材料が後方に
逆流するのを阻止するようにしたリングバルブ機
構が、設けられているのである。

より具体的には、かかるリングバルブ機構にあ
つては、バルブリングがスクリユ軸方向に移動可
能とされ、樹脂材料の流動化操作中においては、
スクリユの回転による樹脂材料の移送圧にてスク
リユヘツド側に保持され、樹脂材料の前方への移
動を許容するが、スクリユが前進させられる射出
時においては、射出圧によつてスクリユ本体の前
端面に当接するまで後方に相対移動せしめられ、
そしてかかる前端面に当接することによつて、樹
脂通路たるスクリユの螺旋溝を閉鎖して、流動化
樹脂材料の逆流を阻止するようになつているので
ある。

而して、このような逆流防止弁としての作用を
為すリングバルブ機構の従来のものは、一般にス
クリユヘツド、バルブリング及びウエアプレート
（スペーサ）から構成され、複雑な構造を採用す
るものであるために、コストアツプを招来する問
題の他、バルブリングに対する樹脂圧の掛りが悪
く、該リングの閉まりが良くない問題を内在して
いるのである。加えて、かかるリングバルブ機構
の組付けにあつても、スクリユのスクリユ本体先
端部に対して、ウエアプレート、バルブリング、
スクリユヘツドを順次組み付ける作業が必要とな
るのであつて、この組付け作業性において従来の
ものは必ずしも満足し得るものではなかつたので
ある。けだし、ウエアプレートを装着後、バルブ
リングを所定の位置に保持した状態において、重
量の最もあるスクリユヘツドの装着作業を行なう
必要があつたからである。

ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景に
して為されたものであつて、その目的とするとこ
ろは、構造の簡単な、そして組付け作業の容易
な、また逆止弁としての機能を高め、且つ部品点
数を減少せしめ得るリングバルブ機構を提供する
ことにある。

そして、この目的を達成するために、本考案に
あつては、樹脂材料を流動化せしめて前方に送り
出すスクリユのスクリユヘツド後部外周部にバル
ブリングを配して、該バルブリングのスクリユ本
体側への相対的な移動による当接によつて、射出
時に前方に送り出された流動化樹脂材料が後方に
逆流するのを阻止するようにしたリングバルブ機
構において、該スクリユのスクリユヘツド外周面
に高さの異なる複数の係合突起を設ける一方、そ
れら複数の係合突起に外接する外接円の直径を前
記バルブリングの内径よりも僅かに小ならしめる
と共に、該係合突起の少なくとも一つを、該バル
ブリングの前記スクリユヘツドに対する同心的な
配置において該バルブリングの前端面に当接し得
る高さで形成するようにしたのである。

従つて、このようなリングバルブ機構において
は、バルブリングをスクリユヘツドに対して偏心
した状態で、その先端部から挿入して所定位置に
配置せしめた後、該バルブリングと該スクリユヘ
ツドとを同心状態にして所定の加熱筒内に挿入す
ることにより、その組付け操作を終了せしめ得る
ところから、組付け作業が、従来装置に比べて著
しく容易且つ簡単と為し得たのであり、またバル
ブリング自体の構造も簡単と為し得たのである。
そして、このような簡略化された構造によつて、
バルブリングには樹脂圧がよく掛かるようにな
り、そのため該リングの閉まりも良くなり、その
作動が安定化する、換言すれば逆止弁の機能が高
められ得る等、各種の特徴を発揮し得ることとな
つたのである。

以下、本考案を更に具体的に明らかにするため
に、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明
することとする。

先ず、第１図において、２は、スクリユであ
り、螺旋溝４が形成されたスクリユ本体６とその
先端に一体的に形成されたスクリユヘツド８とを
備え、加熱筒１０内に収容されている。このスク
リユ２は、図示しない油圧モータ等の回転駆動装
置によつて回転させられ、また射出シリンダによ
つて前後方向に往復動せしめられるものであり、
回転後退時には、ホツパから供給される所定の樹
脂材料を、加熱筒１０の外部熱源による加熱を伴
つて流動化（可塑化）、混練しつつ加熱筒１０の
前部に送出する作用を為し、また前進時には、加
熱筒１０の前部に蓄えられた可塑化樹脂を、加熱
筒１０の先端部に設けられたノズルから所定の金
型内に押し入れる作用を為して、射出プランジヤ
としての役目も果たすようになつている。

また、このスクリユ２のスクリユ本体６と一体
的に形成されたスクリユヘツド８の外周面には、
第２図及び第３図に示されるように、高さの高い
係合突起１２と低い係合突起１４とが対称に設け
られている。一方、かかる二つの係合突起１２，
１４とスクリユ本体６前端部との間のスクリユヘ
ツド８の外周部には、バルブリング１６が遊嵌せ
しめられており、スクリユヘツド８の軸方向に所
定距離往復動し得るようになつている。すなわ
ち、バルブリング１６は、第１図に示される如
き、その前端面が係合突起１２の後端面に当接し
た状態から、第４図に示される如き、その後端面
がスクリユ本体６の前端面に当接するまでの間の
距離において、自由に前後方向に移動せしめられ
るようになつているのである。

そして、スクリユヘツド８の外周面に対称に設
けられた二つの高さの異なる係合突起１２，１４
に外接する外接円の直径：ａよりも、前記バルブ
リング１６の内径：ｂが僅かに大となるように
（ａ＜ｂ）、該係合突起１２，１４が形成されてお
り、しかもそれら複数の係合突起の内の少なくと
も一つ（ここでは係合突起１２）が、第３図に示
される如きスクリユヘツド８に対するバルブリン
グ１６の同心的な配置において、該バルブリング
１６の前端面に当接し得るような高さにおいて設
けられているのである。

なお、バルブリング１６の前端面には、かかる
係合突起１２，１４に係止される突部１８，１８
が対称に設けられており、該突部１８，１８の係
合突起１２，１４への係止によつて、バルブリン
グ１６がスクリユヘツド８、ひいてはスクリユ２
と共に回転せしめられ得るようになつている。

従つて、かかる構造のリングバルブ機構にあつ
ては、その組付けは、まずスクリユ２の先端のス
クリユヘツド８に対して、バルブリング１６を第
２図に示される如く偏心した状態で（係合突起１
２，１４に当たらないように）、その先端部から
挿入せしめ、スクリユヘツド８の後部の所定の外
周部位置、すなわち係合突起１２，１４とスクリ
ユ本体６の前端面との間の位置に配置せしめた
後、該バルブリング１６と該スクリユヘツド８と
を同心的に保持した状態において、所定の加熱筒
１０内に挿入せしめることによつて行なわれるこ
ととなるのである。

そして、このバルブリング１６のスクリユヘツ
ド８に対する同心的配置により、第３図の如く、
係合突起のうちの少なくとも一つ、一般に高さの
高い係合突起１２の後端面に、該バルブリング１
６の前端面が当接された状態となるのであり（第
１図参照）、これによつて、スクリユ２の回転に
より前方に送り出される流動化樹脂材料の押圧作
用によつて、該バルブリング１６が前方に移動せ
しめられてスクリユヘツド８から抜け出さないよ
うになつているのである。

また、一方では、第４図に示される如く、流動
化せしめられた樹脂材料の射出操作のために、ス
クリユ２が前進せしめられると、バルブリング１
６の後端面がスクリユ２のスクリユ本体６の前端
面に当接せしめられ、これによつて、加熱筒１０
内壁面との間隙がシールされることにより、流動
化樹脂材料の後方への逆流が効果的に阻止される
こととなるのである。

このように、かかるリングバルブ機構は、それ
を構成するバルブリング１６のスクリユヘツド８
に対する相対的な軸方向への移動によつて、流動
化された樹脂材料の前方への送出しを許容し、ま
た後方への逆流を阻止するようになつているが、
かかるバルブリング１６自体が極めて簡単な構造
となつているところから、従来のバルブリングに
比して著しく簡略化された構造となり、それ故ス
クリユ２にて推進される流動化樹脂材料の前方へ
の流れが効果的に形成され得、また射出操作時に
おいても、該バルブリング１６に対して、樹脂圧
がよく掛かるようになるため、該バルブリング１
６の閉まりが良くなつて安定する等、逆止弁とし
ての機能が効果的に高められ得たのである。

しかも、かかるバルブリング１６の組付けは、
偏心した状態においてスクリユヘツド８の先端部
から挿入せしめた後、加熱筒１０内に挿入するだ
けで良く、従来の如き重量の重いスクリユヘツド
が最後に組み付けられるようなことがないため
に、その組付け作業は著しく改善され、且つ容易
となつたのである。

また、上例のリングバルブ機構にあつては、ス
クリユ本体６とスクリユヘツド８とが一体化され
てスクリユ２が形成されているところから、従来
の如きスクリユヘツドを別体としたり、ウエアプ
レート（スペーサ）を用意する等の必要がなく、
このため構造はより一層簡略化され、有利にコス
トダウンが図られ得ることとなつた他、組付け性
においても、そのような別体のスクリユヘツドや
ウエアプレートを装着する工程を省略することが
出来、以てその組付け作業性の更に有効な向上が
達成され得るのである。

しかも、上例の構造のリングバルブ機構にあつ
ては、スクリユ２を構成するスクリユ本体６とス
クリユヘツド８の一体化により、部品点数が著し
く削減されることは勿論、部品の継目がなくな
り、このために樹脂材料の滞溜、焼けが効果的に
防止され得るのである。

また、第５図には、本考案の他の一実施例が第
１図に相当する図として示されているが、そこに
おいては、スクリユヘツド８がスクリユ本体６と
は別体とされている点において、上例のものとは
異なつている。すなわち、スクリユ２のスクリユ
本体６の前部には、ウエアプレート（スペーサ）
２０が装着せしめられており、そして該ウエアプ
レート２０に対して、バルブリング１６の後端面
が当接することによりシールを形成して、流動化
樹脂材料の逆流が阻止されるようになつているの
である。而して、このウエアプレート２０は、従
来のものとは異なり、スクリユヘツド８と一体化
されているのである。

このように、本考案にあつては、スクリユヘツ
ド８とウエアプレート２０とを一体化して構成し
ても、何等差支えないものであつて、このような
構造の場合にあつても、上述した如き数々の優れ
た効果、例えば構造の簡略化、部品点数の減少、
逆止弁機能の向上、バルブリング１６の作動特性
の改善、組付け性の向上、部品継目の減少等の各
種の効果を有利に達成し得るのである。

なお、その他、本考案には、その趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、種々なる変更、修正、改良等
を加え得るものであつて、本考案はそのような実
施形態のものをも含むものであること、言うまで
もないところである。

また、本考案において、スクリユヘツドの外周
面に設けられる高さの異なる係合突起としては、
通常上記例示した如き対称位置に配された二つの
係合突起１２，１４の組合せにおいて設けられる
こととなるが、これよりも多い個数であつても何
等差支えなく、更にそれらの配置位置についても
適宜に決定されることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すリングバルブ
機構を含む射出成形機の要部断面図であり、第２
図及び第３図はそれぞれスクリユヘツドに対して
バルブリングを偏心して位置せしめた場合及び同
心的に位置せしめた場合を示すスクリユヘツド先
端部からの視図であり、第４図はバルブリングが
シール位置に移動した状態を示す第１図に対応す
る図であり、第５図は本考案の他の一実施例を示
す第１図に対応する図である。 ２……スクリユ、６……スクリユ本体、８……
スクリユヘツド、１０……加熱筒、１２，１４…
…係合突起、１６……バルブリング、１８……突
部、２０……ウエアプレート（スペーサ）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 樹脂材料を流動化せしめて前方に送り出すス
   クリユのスクリユヘツド後部外周部にバルブリ
   ングを配して、該バルブリングのスクリユ本体
   側への相対的な移動による当接によつて、射出
   時に前方に送り出された流動化樹脂材料が後方
   に逆流するのを阻止するようにしたリングバル
   ブ機構にして、 該スクリユのスクリユヘツド外周面に高さの
   異なる複数の係合突起を設ける一方、それら複
   数の係合突起に外接する外接円の直径を前記バ
   ルブリングの内径よりも僅かに小ならしめると
   共に、該係合突起の少なくとも一つを、該バル
   ブリングの前記スクリユヘツドに対する同心的
   な配置において該バルブリングの前端面に当接
   し得る高さで形成したことを特徴とする射出成
   形機におけるリングバルブ機構。 (2) 前記バルブリングが、前記スクリユヘツド外
   周面に設けられた係合突起に係止される突部を
   有し、該係合突起への該突部の係止によつて該
   バルブリングが前記スクリユヘツドと共に回転
   せしめられる実用新案登録請求の範囲第１項記
   載のリングバルブ機構。 (3) 前記スクリユヘツドと前記スクリユ本体とが
   一体化されている実用新案登録請求の範囲第１
   項または第２項記載のリングバルブ機構。 (4) 前記スクリユ本体の前部を構成し、前記バル
   ブリングが当接せしめられるスペーサ部分が、
   前記スクリユヘツドと一体に構成される実用新
   案登録請求の範囲第１項または第２項記載のリ
   ングバルブ機構。