JPS6320483Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はスローアウエイチツプ支持装置に係
り、特に多角形のスローアウエイチツプを支持す
るための支持装置に関する。

第１図および第２図に示すように、従来の代表
的なスローアウエイチツプ支持装置１は、前後方
向揺動可能なピン２に四角形のスローアウエイチ
ツプ３を嵌装し、ピン２の下部から水平に突設さ
れたレバー４を操作ボルト５によつて下方に揺動
させて、ピン２によつてスローアウエイチツプ３
の側面をバイトホルダ６の基準面７，８に当接さ
せるものであつた。スローアウエイチツプ３はそ
の各ノーズ９，１０，１１，１２において切削を
行うものであり、例えばノーズ９が摩耗した場合
には、スローアウエイチツプ３を回転させて、他
のノーズ１０，１１または１２を切削位置に設定
する必要がある。このスローアウエイチツプ３の
回転に際しては、操作ボルト５を回転させて上方
に移動し、レバー４を上方に揺動させ、ピン２に
よるスローアウエイチツプ３の押圧を解除し、さ
らに作業者が指先でスローアウエイチツプ３を回
転しなければならなかつた。従つてスローアウエ
イチツプの回転操作は煩雑であり、使用済のノー
ズを切削位置に設定するおそれもあり、またピン
２を緩めたときには、スローアウエイチツプは脱
落、紛失する可能性があつた。

このような欠点を改善した公知例の一つとし
て、長手方向に摺動する進退ロツドをバイトホル
ダ内に挿入し、この進退ロツドの先端部にスロー
アエイチツプを固定するピンを設け、前記進退ロ
ツドの前進時にスローアウエイチツプのノーズに
係合し、スローアウエイチツプを所定角度回転さ
せるカムをバイトホルダの側面に回動自在に枢着
させた切削工具が提案されている（例えば特開昭
53−36788号公報）。

しかしながら、上記公知例では、ピンとバイト
ホルダ壁面とでスローアウエイチツプを挾持し、
その挾持力だけでスローアウエイチツプを固定す
る方法をとつている。ところが、切削加工時にス
ローアウエイチツプには大きな力が作用するた
め、上記のような固定方法では、スローアウエイ
チツプを強固に固定することは難しい。特に切込
み量を大きくしたり、あるいは硬い材料に切削し
たりする場合、スローアウエイチツプにガタが生
じ易く、高精度の切削加工を行なうことが不可能
となるばかりでなく、切削中にスローアウエイチ
ツプが脱落することも考えられる。

本考案は上記従来の問題点を解消するためにな
されたもので、その目的は、スローアウエイチツ
プの回転操作を極めて容易に行なえるとともに、
切削時のスローアウエイチツプのガタ発生を防止
することができるスローアウエイチツプ支持装置
を提供することである。

上記目的を達成するために、本考案のスローア
ウエイチツプ支持装置は、先端部にスローアウエ
イチツプが回転自在に取付けられ、該スローアウ
エイチツプの取付面と同一な面に凹溝が形成され
た進退ロツドと、この進退ロツドを長手方向摺動
自在に支持するとともに進退ロツドの後退状態で
は前記スロアウエイチツプの回転を阻止するバイ
トホルダと、このバイトホルダに固着され前記進
退ロツドの前進時に前記スローアウエイチツプに
係合してスローアウエイチツプを回転させるカム
と、前記バイトホルダに揺動自在に支持されると
ともに、前記進退ロツドの後退時に、前記凹溝の
スローアウエイチツプ側内壁面に係合する基部と
前記スローアウエイチツプの上面を押圧する先端
部が形成された略Ｌ字形状のクランプと、を具備
するものである。

上記構成によれば、進退ロツドを前進させたと
き、凹溝のスローアウエイチツプ側内壁面がクラ
ンプの基部から離れ、クランプが揺動自在の状態
となる。このために、クランプの先端部によるス
ローアウエイチツプの固定が解除される。同時に
スローアウエイチツプはバイトホルダ壁面から分
離し、ピン回りに回転可能な状態となる。進退ロ
ツドをさらに前進させると、スローアウエイチツ
プのノーズの１つがカムの先端に係合し、スロー
アウエイチツプは所定角度回転する。

次に進退ロツドを後退させたとき、スローアウ
エイチツプはバイトホルダ壁面に当接し、位置決
めされるとともに、凹溝のスローアウエイチツプ
側内壁面がクランプの基部に係合し、クランプの
先端部をスローアウエイチツプ上面に押付ける。
このようにクランプの先端部とバイトホルダ壁面
とにより、スローアウエイチツプは強固に固定さ
れる。

次にこの考案に係るスローアウエイチツプ支持
装置の一実施例を図面に基づいて説明する。

第３図〜第５図において、スローアウエイチツ
プ支持装置１は、筒状のバイトホルダ６に断面円
形の進退ロツド１３を長手方向摺動自在に挿入し
てなり、進退ロツド１３の先端部には、ピン２に
よつて四角形のスローアウエイチツプ３が回転自
在に取付けられている。スローアウエイチツプ３
と進退ロツド１３との間には座板１４が介在さ
れ、スローアウエイチツプ３の円滑な回転が保証
されている。バイトホルダ６の側面にはＬ形のカ
ム１５が固着され、カム１５の先端１６は、進退
ロツド１３の前進に際して、スローアウエイチツ
プ３の一側方のノーズ（第４図ではノーズ１０）
に係合し得る位置まで突出している。従つてスロ
ーアウエイチツプ３は進退ロツド１３の前進時に
カム１５に係合しつつ回転する。この回転の状態
は第６図に基づいて後述する。

バイトホルダ６にはその先端部に向つて延在す
るクランプ１７が固着され、クランプ１７の先端
部１８はピン２の上方においてスローアウエイチ
ツプ３の上面に当接し、これによつてスローアウ
エイチツプ３の脱落が完全に防止されている。バ
イトホルダ６には従来と同様の基準面７，８が形
成され、進退ロツド１３の後退状態においては、
スローアウエイチツプ３はその二側面で基準面
７，８にそれぞれ接して、回転が阻止される。ク
ランプ１７の基部１９は、バイトホルダ６に上方
から挿入され、さらに、バイトホルダ６にボルト
止めされた押え板２０によつて支持、固定されて
いる。基部１９はバイトホルダ６内に突出し、進
退ロツド１３には、基部１９の突出部分を収容し
得るとともに、その進退ストロークに対応した長
さを有する凹溝２１が形成されている。

第６図において、進退ロツド１３の前進に際し
ては、ノーズ１０は先端１６に係合し、これによ
つてスローアウエイチツプ３はその前進にともな
つて回転する。このとき切削位置９Ａにあつたノ
ーズ９は、９Ｂ，９Ｃ，９Ｄと移動し、一方、ノ
ーズ１０は、進退ロツド１３の後退時に先端１６
に係合しない位置１０Ａまで移動する。ここで進
退ロツド１３を後退させれば、スローアウエイチ
ツプ３は基準面７，８によつて案内されてさらに
回転し、新たなノーズ１２が切削位置に設定され
る。

このように進退ロツド１３の進退だけで、新た
なノーズを切削位置に移動し得るので、スローア
ウエイチツプ３の回転操作は極めて容易になり、
誤操作を生じることなく極く短時間で終了する。
従つて切削加工の稼動率は著しく高められる。

また、進退ロツド１３を後退させたとき、凹溝
２１の内壁３０がクランプ１７の側面３１に当接
し、クランプ１７の基部１９を後退させる。とこ
ろが、クランプ１７は押え板２０により図で左右
方向の移動が阻止されているので、クランプ１７
の側面３２が押え板２０の曲面３３に接触しなが
ら回転し、クランプ１７全体が反時計回りに回転
する。このため、クランプ１７の先端部１８がス
ローアウエイチツプ３の上面を押圧し、スローア
ウエイチツプ３の固定は非常に強固なものとな
る。

なおこの考案はこの実施例に限定されることは
なく、四角形以外の多角形のスローアウエイチツ
プにこの考案を適用し、さらには、進退ロツドに
空気孔を設けて、スローアウエイチツプの周辺か
ら吐出する空気流によつて切粉をパージするなど
の変形も可能である。

以上説明したように、本考案によれば、進退ロ
ツドの先端部にスローアウエイチツプを回転自在
に設け、バイトホルダにスローアウエイチツプの
ノーズに係合するカムを設けたので、進退ロツド
を前後に摺動させるだけで、スローアウエイチツ
プの回転操作を極めて容易に行なうことができ
る。また、進退ロツドを後退させたとき、スロー
アウエイチツプの上面をクランプで強固に固定す
るようにしたので、切削加工中にスローアウエイ
チツプにガタが発生したり、あるいは脱落したり
することが完全に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスローアウエイチツプ支持装置
の代表的一例を示す縦断面図、第２図は第１図の
平面図、第３図はこの考案に係るスローアウエイ
チツプ支持装置の一実施例を示す縦断面図、第４
図は第３図の平面図、第５図は第３図の左側面
図、第６図は同実施例におけるスローアウエイチ
ツプの回転状態を示す平面図である。なお図中、
同一あるいは相当部分には同一符号を付して示し
てある。 １……スローアウエイチツプ支持装置、２……
ピン、３……スローアウエイチツプ、４……レバ
ー、５……操作ボルト、６……バイトホルダ、
７，８……基準面、９，１０，１１，１２……ノ
ーズ、１３……進退ロツド、１４……座板、１５
……カム、１６……先端、１７……クランプ、１
８……先端部、１９……基部、２０……押え板、
２１……凹溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端部にスローアウエイチツプが回転自在に取
   付けられ、該スローアウエイチツプの取付面と同
   一な面に凹溝が形成された進退ロツドと、この進
   退ロツドを長手方向摺動自在に支持するとともに
   進退ロツドの後退状態では前記スローアウエイチ
   ツプの回転を阻止するバイトホルダと、このバイ
   トホルダに固着され前記進退ロツドの前進時に前
   記スローアウエイチツプに係合してスローアウエ
   イチツプを回転させるカムと、前記バイトホルダ
   に揺動自在に支持されるとともに、前記進退ロツ
   ドの後退時に、前記凹溝のスローアウエイチツプ
   側内壁面に係合する基部と前記スローアウエイチ
   ツプの上面を押圧する先端部が形成された略Ｌ字
   形状のクランプと、を具備するスローアウエイチ
   ツプ支持装置。