JP2605829Y2 - 卓上切断機の傾斜ストッパ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、左右傾斜自在な卓上切
断機における切断刃物部の傾斜量を直角位置（０度）で
規制するストッパ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の左右傾斜式卓上切断機は実開昭６
３−４９９０１号公報に示されている。従来の技術を図
６により説明する。左右傾斜式卓上切断機の傾斜切断方
法は、ベース上面に加工材を載置し、まず、クランプレ
バー５を緩め、切断工具部を支持するホルダ６とベース
との固定状態を解除し、ホルダシャフト３を中心にホル
ダ６を左右方向へ回動させ、切断工具部を所望の位置ま
で傾斜させる。所望の位置に達したところで、クランプ
レバー５を締め付けてホルダ６とベースを固定し、切断
工具部の傾斜位置を設定する。次に、切断工具部を下方
に揺動させてベース上の加工材に切込みを与え、切断完
了後、切断工具部を上限に戻し切断作業が完了する。

【０００３】直角切断する場合は、前記ベース側に設け
たインジケータ４と、ホルダ６に設けた傾斜スケール１
４の直角位置となる「０」とを合わせ、ホルダ６の位置
を設定し、クランプレバー５で固定して加工材に切込み
を与え切断していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従来の構造で切断工具
部の傾斜角をベース上面に対し直角位置（０度）に設定
する場合、上記したようにホルダ６の傾斜スケール１４
とインジケータ４で合わせるため、視差による誤差が生
じるとともに、重量のある切断工具部を保持しながらク
ランプレバー５を締め付けなければならないため、正確
な切断工具部の直角位置設定が困難であった。

【０００５】本考案の目的は、上記した従来技術の欠点
をなくし、切断工具部の直角位置調整を容易にし、直角
切断時の加工材の切断精度を良好にすることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的は、傾斜部材に
前後摺動自在なストッパピンを設け、ベース部上面に係
止部を設け、ストッパピンは切断工具部がベース部上面
に対し直角位置のとき係止部に当接するとともに、係止
部に当接しない当接解除位置へ退避自在にすることによ
り達成される。

【０００７】

【作用】切断工具部を傾斜位置から直角切断位置（０度
切断）に戻す場合、ストッパピンを係止部上に突出さ
せ、切断工具部を直角切断位置に回動すれば、ストッパ
ピンが対向する係止部に当接し、切断工具部は直角位置
に設定される。切断工具部を左右傾斜させるときは、係
止部に当接しない位置までストッパピンを退避させる。

【０００８】

【実施例】本考案の実施例を図１〜図５により説明す
る。図１は本考案の一実施例を示す卓上切断機の左側面
図、図２は図１の部分背面図、図３は図１の正面図、図
４，図５は図１のＡ部拡大図である。

【０００９】図において、ベース１のほぼ中央にターン
テーブル２を水平方向へ回動自在に埋設し、ベース１の
み、ターンテーブル２のみ又はベース１とターンテーブ
ル２で加工材を載置するベース部を構成している。ター
ンテーブル２後部にホルダシャフト３を水平方向に突設
し、ホルダシャフト３の軸心はターンテーブル２上面と
ほぼ一致するように位置させている。傾斜部材となるホ
ルダ６は、ホルダシャフト３を支点としてターンテーブ
ル２に左右傾斜自在に軸支されている。

【００１０】ターンテーブル２にはホルダ６に設けた傾
斜スケール１４の傾斜角度を指示するインジケータ４を
設けている。ホルダ６にはホルダシャフト３を中心とす
る長穴６ａを形成し、この長穴６ａにクランプレバー５
が貫通し、クランプレバー５の先端に形成したねじ部が
ターンテーブル２後部に形成したねじ穴部にねじ嵌合し
ている。クランプレバー５を緩めると、ホルダ６はター
ンテーブル２との固定状態が解除され、ホルダシャフト
３を支点として長穴６ａの範囲内で左右方向の傾斜が可
能となる。クランプレバー５を締め付けると、ホルダ６
はターンテーブル２に固定され、ホルダ６を任意の傾斜
角度に設定できる。ホルダ６の上端にはシャフト７を介
して切断工具部８が垂直方向に沿った回動が可能な如く
装着されている。切断工具部８は、周知の如く、切断工
具１２（本実施例では丸のこ）、切断工具１２を駆動す
る縦型のモートル９及び切断工具１２をガードするカバ
ー等で構成されている。なお、１０はハンドル、１１は
切断工具１２を装着したのこ軸である。

【００１１】ホルダ６の前面にはストッパ２１が形成さ
れ、ターンテーブル２上面後方にはストッパ２１の移動
軌跡上に位置するようにアジャストボルト１８，１９が
垂直方向にねじ嵌合している。ホルダ６を右方向に傾斜
させると、所定の傾斜角度でストッパ２１の面２１ｂが
アジャストボルト１９の頭部に係合し、切断工具部８ の
右傾斜位置を設定する。ホルダ６を左方向へ傾斜させる
と、所定の傾斜角度でストッパ２１の面２１ａがアジャ
ストボルト１８の頭部に係合し、切断工具部８の左傾斜
位置を設定する。本実施例では、ホルダ６が直角位置の
とき、ストッパ２１を左右方向に４５度の角度で広がっ
たＶ字状に形成することで、ホルダ６が左右４５度まで
傾斜したとき、面２１ａ又は面２１ｂが水平となり、ス
トッパ２１はアジャストボルト１８又はアジャストボル
ト１９と面接触する。よって、アジャストボルト１８，
１９は、ホルダ６が左右方向に４５度の位置すなわち左
傾斜位置及び右傾斜位置に傾斜したときにストッパ２１
に係合する如く設けられている。

【００１２】ホルダ６にはストッパピン１３がターンテ
ーブル２側に向けて前後摺動自在に嵌合し、ターンテー
ブル２上にはストッパピン１３の移動軌跡上に位置する
ように係止部となるアジャストボルト２２をねじ嵌合さ
せている。ストッパピン１３はホルダ６に形成した段付
きの保持穴６ｂに取り付けられ、ストッパピン１３の先
端部１３ａはストッパピン１３の外径より太い径となっ
ている。ストッパピン１３を前後摺動させることで、先
端部１３ａがホルダ６の前面から突出する。保持穴６ｂ
に段部６ｃを形成し、ストッパピン１３を反ターンテー
ブル２側へ摺動させたとき、先端部１３ａが段部６ｃに
当接することで、ホルダ６からストッパピン１３が抜け
出すのを防止している。図４に示すように、先端部１３
ａがホルダ６の前面から突出した状態で、先端部１３ａ
がアジャストボルト２２に当接すると、切断刃物部８は
直角位置で規制される。図５に示すように、ストッパピ
ン１３を後退させて先端部１３ａをホルダ６の前面から
退避することで、左右方向への傾斜が可能になる。

【００１３】上記構成において、切断工具部８を直角切
断位置の状態から右へ傾斜させる場合は、先端部１３ａ
がアジャストボルト２２に当接しないようにストッパピ
ン１３を退避させておく。クランプレバー５を緩め、タ
ーンテーブル２とホルダ６との固定状態を解除し、切断
工具部８を右方向に倒すことでホルダ６が傾斜回動す
る。ホルダ６が右４５度の傾斜位置に達したときに、ス
トッパ２１の当接面２１ ｂは水平位置になり、アジャス
トボルト１９の頭部と面接触する。これで、ホルダ６は
右４５度の傾斜位置で支持され、この状態でクランプレ
バー５を締め、ターンテーブル２とホルダ６とを固定す
る。切断工具部８は右４５度の傾斜位置に保たれ、ハン
ドル１０を握り切断工具部８を下方に揺動させること
で、加工材の角度切断ができる。

【００１４】次に、右傾斜位置から直角切断位置（０度
切断）に戻す場合、切断工具部８を左方向に傾斜させて
直角切断位置よりも若干左側へ位置させる。この状態で
先端部１３ａがホルダ６の前面から突出する位置までス
トッパピン１３を摺動させ、切断工具部８を若干右方向
へ傾斜させると、直角位置で先端部１３ａと、アジャス
トボルト２２が面接触し、この状態でクランプレバー５
を締め、ターンテーブル２とホルダ６とを固定する。こ
れで、切断工具部８は直角位置に設定される。なお、イ
ンジケータ４を見て傾斜スケールの傾斜角度が「０」を
指示していない場合、アジャストボルト２２を回転させ
てターンテーブル２へのねじ込み量を調整して、先端部
１３ａとアジャストボルト２２との当接位置を微調整す
る。

【００１５】切断工具部８が直角切断位置の状態から左
へ傾斜させる場合は、ストッパピン１３はホルダ６前面
から突出した状態のままで、クランプレバー５を緩め、
ターンテーブル２とホルダ６との固定状態を解除し、切
断工具部８を左方向に倒すことでホルダ６が傾斜回動
し、ストッパ２１の面２１ａは水平位置になり、アジャ
ストボルト１８の頭部と面接触する。左４５度傾斜位置
から直角切断位置へ切断工具部８を戻すときは、切断工
具部８を右方向に傾斜するだけで、先端部１３ａとアジ
ャストボルト２２が当接し、直角切断位置を設定でき
る。

【００１６】ストッパピン１３を後退させて先端部１３
ａをアジャストボルト２２に係合しない位置に退避させ
た状態では、ホルダ６は左側又は右側いずれの方向の傾
斜も可能となる。即ち、左４５度傾斜位置から右４５度
傾斜位置まで又は右４５度傾斜位置から左４５度傾斜位
置までの左右両傾斜が可能となる。また、先端部１３ａ
がホルダ６の前面から突出する位置までストッパピン１
３を移動させ、先端部 １３ａをアジャストボルト２２に
係合可能にした状態では、直角切断位置の状態から左４
５度傾斜位置までの片傾斜が可能となる。

【００１７】

【考案の効果】本考案によれば、切断工具部の傾斜量を
直角位置で規制するストッパピンを傾斜部材に前後摺動
自在に嵌合することにより、切断工具部の直角位置の位
置決め設定が行えるため、切断工具部の傾斜位置調整時
の操作を簡便にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す卓上切断機の左側面図
である。

【図２】図１の部分背面図である。

【図３】図１の正面図である。

【図４】図１のＡ部拡大図である。

【図５】図１のＡ部拡大図である。

【図６】従来例を示す部分背面図である。

【符号の説明】

２はターンテーブル、６はホルダ、６ｂは保持穴、８は
切断刃物部、１３はストッパピン、１３ａは先端部、２
２はアジャストボルトである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B27B 5/20 B23D 45/14

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 加工材を支持するベース部と、該べース
   部上方に切断工具を有する切断工具部を設け、ベース部
   及び切断工具部間に切断工具部を左右方向に傾斜させる
   傾斜部材を設けた卓上切断機において、傾斜部材に前後
   摺動自在なストッパピンを設け、ベース部上面に係止部
   を設け、ストッパピンは切断工具部がベース部上面に対
   し直角位置のとき係止部に当接するとともに、係止部に
   当接しない当接解除位置へ退避自在としたことを特徴と
   する卓上切断機の傾斜ストッパ装置。
2. 【請求項２】 前記係止部をアジャストボルトとし、ア
   ジャストボルトの回転で、前記ストッパピンとの当接位
   置の微調整を可能としたことを特徴とする請求項１記載
   の卓上切断機の傾斜ストッパ装置。