JPH11244957A - 孔抜き加工装置のダイ刃支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はダイ刃を安定して支持し、クリアラ
ンス精度の確保しやすいパイプの孔抜き加工を行うこと
ができる孔抜き加工装置のダイ刃支持構造を実現するこ
とを課題とする。また抜きカス取出し手段を別に設ける
必要のない孔抜き加工装置のダイ刃支持構造を実現する
ことを課題とする。 【解決手段】下型に基端を固設され、パイプの内面に接
してパイプ内に挿入可能なダイ刃と、下型に上下回動可
能に基端を軸支され、前記ダイ刃の下方に配されて前記
ダイ刃とともにパイプ内に挿入される回動スペーサとを
設ける。そして、前記ダイ刃の下面と前記回動スペーサ
の上面とに摺接して、長手方向に進退動可能な直動スペ
ーサを設ける。該直動スペーサと前記回動スペーサとが
互いに接する面にカム面を形成し、前記直動スペーサの
進退動によって前記回動スペーサを上下方向に回動させ
て該回動スペーサをパイプの内面に接離可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、角パイプ、丸パイ
プ、形鋼等の閉断面形状のパイプの側面にプレスにより
孔をあける孔抜き加工装置のダイ刃支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４に示すような閉断面形状のパイプｗ
の側面にプレス加工によって孔をあける場合には図５に
示すようにパイプｗの内面側にポンチ１１と対向してダ
イ刃１５１を設ける必要があるが、図５のようにパイプ
ｗの内面とダイ刃１５１との間に隙間があるとパイプｗ
やダイ刃１５１にたわみが発生して、加工部の精度を確
保することが難しい。特にパイプｗの端面から離れた位
置の加工はたわみが大きいため不可能であった。また、
このたわみをなくすためにダイ刃１５１とパイプｗの内
面との間に隙間のないものとした場合は、該ダイ刃１５
１をパイプｗ内に挿入することが困難である。

【０００３】このような問題を解決するパイプの孔抜き
加工装置として特開平５−１１１７２４号公報に示すも
のがある。すなわちロッドの先端部に取付けられた雌型
と、該雌型と斜面をもって摺接して同雌型をパイプの長
手方向と垂直な方向に押し上げる雌型支持具を有して雌
型の上面および雌型支持具の下面とパイプ内面とを当接
させるように構成し、雌型のパイプへの挿入を容易にし
たものがある。

【０００４】このような構成を用いれば雌型のパイプへ
の挿入は容易となるが、ロッドの先端に支持された雌型
が雌型支持具に駆動されて上下に移動するために、雄型
と雌型のクリアランス精度を確保するのが難しい。ま
た、抜きカス取出し用の手段を別に設ける必要がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明はダイ刃を安定
して支持し、クリアランス精度の確保しやすいパイプの
孔抜き加工を行うことができる孔抜き加工装置のダイ刃
支持構造を実現することを課題とする。また抜きカス取
出し手段を別に設ける必要のない孔抜き加工装置のダイ
刃支持構造を実現することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は請求項１に示す
ようにパイプの側面に孔抜き加工を行う孔抜き加工装置
のダイ刃支持構造であって、下型に基端を固設され、パ
イプの内面に接してパイプ内に挿入可能なダイ刃と、下
型に上下回動可能に基端を軸支され、前記ダイ刃の下方
に配されて前記ダイ刃とともにパイプ内に挿入される回
動スペーサと、前記ダイ刃の下面と前記回動スペーサの
上面とに摺接して、長手方向に進退動可能に設けられる
直動スペーサとからなり、該直動スペーサと前記回動ス
ペーサとの互いに接する面にカム面が形成され、前記直
動スペーサの進退動によって前記回動スペーサを上下方
向に回動させて該回動スペーサをパイプの内面に接離可
能に構成したことを特徴とするものである。

【０００７】この発明によれば、パイプの内面、ダイ刃
および各スペーサ間にスキを持たせて、前記ダイ刃がパ
イプの内面に接した状態で前記ダイ刃および各スペーサ
をパイプ内に挿入し、前記直動スペーサの進退動によっ
て該直動スペーサとの間にカム面を形成された回動スペ
ーサが下方へ回動して該回動スペーサの下面がパイプ内
面に当接してダイ刃を下方から支持するので、容易にダ
イ刃をパイプ内に挿入可能であり、さらにダイ刃、直動
スペーサおよび回動スペーサをパイプ内に挿入した後、
直動スペーサと回動スペーサとによるダイ刃の下方から
の支持動作によってダイ刃が大きく移動することがない
ので、ポンチとダイ刃のクリアランス精度を容易に確保
することができる。

【０００８】請求項２に示す発明においては、回動スペ
ーサは直動スペーサと接する向きにばね等により付勢さ
れている。これにより加工前あるいは加工後は、回動ス
ペーサとカム面をもって接する直動スペーサの後退に伴
い、回動スペーサが自動的に直動スペーサ側に回動して
パイプ内面と回動スペーサの下面との間にスキを持た
せ、容易にダイ刃をパイプ内に挿入、および取出しでき
る。

【０００９】請求項３に示す発明では、直動スペーサお
よび回動スペーサにはダイ刃のポンチ受け孔と連通する
抜きカス排出孔が穿設されている。これによって、パイ
プを抜き取ると抜きカスが自動的に下方に落ちていって
除去されるので、抜きカス除去手段を別に設ける必要が
ない。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図１〜図３に、本発明の孔抜き加工
装置のダイ刃支持構造を適用したパイプの孔抜き装置を
示す。上型１にブラケット１３を介してポンチ１１が下
方へ向かって突設され、該ポンチ１１の外周に筒状のパ
ッド１２が嵌合され、該パッド１２の下端はポンチ１１
の下端よりも下方に位置している。パッド１２は例えば
合成ゴムのような弾力性のある材質によってできてい
る。また、上型１には後述の直動スペーサ３２をパイプ
ｗの長手方向に進退動させる駆動カム２１が前記ポンチ
１１と平行して下方へ向けて突設される。該駆動カム２
１は上型１から所定長さ下方へ向けて延びる断面略矩形
の本体の下端部近傍に、加工部中心に近い側と加工部中
心から遠い側の両側の端面に、下方へいくにしたがって
加工部中心から遠ざかる傾斜面が形成されている。

【００１１】ポンチ１１と対向してダイ５１が下型５に
固定される。そして該ダイ５１と前記ポンチ１１との間
には略水平方向に延びてパイプｗ内に挿入されるダイ刃
３１が配されて、該ダイ刃３１の基端は図３に示すよう
に下方へ延びる一対の脚部３１ａを有する断面コ字状に
形成され、該ダイ刃３１の脚部３１ａはダイ５１に固定
される。またパイプｗは位置決めストッパ３６によりパ
イプの幅方向の位置決めが行われる。前記ダイ刃３１の
下面側に、該ダイ刃３１とともにパイプｗ内部に挿入さ
れる直動スペーサ３２および回動スペーサ３３が設けら
れる。図１および図２に示すように、前記直動スペーサ
３２は、前記ダイ刃３１の下側において前記パイプｗの
長手方向に延設されて、該パイプｗの長手方向に進退動
可能に設けられる。また該直動スペーサ３２は、前記ダ
イ刃３１の脚部３１ａよりもさらに基端側へ突出して延
設されている。また該直動スペーサ３２の基端部に、前
記駆動カム２１の傾斜面に摺接して前記駆動カム２１の
下降、上昇動作にともなって該直動スペーサ３２をパイ
プｗの長手方向に進入、後退動作させるカム孔３２ａが
形成されている。該カム孔３２ａには前記駆動カムの斜
面に対応して加工部中心に近い側と加工部中心から遠い
側の両側に下方へいくにしたがって加工部中心から遠ざ
かる斜面が形成されている。

【００１２】回動スペーサ３３は前記直動スペーサ３２
の下側に設けられ、ダイ５１に固定されたダイ刃３１の
脚部３１ａに上下に回動可能にボルト３４により基端を
軸支されて図略のばね等により上方へ回動する向きに付
勢されている。そして、直動スペーサ３２と回動スペー
サ３３には、それぞれ互いに接する面に、直動スペーサ
３２の進入にともなって回動スペーサ３３を下方へ回動
させて、該回動スペーサ３３の下面をパイプｗの加工部
と反対側の内面に押し付けるカム面３２ｃ，３２ｄ，３
３ｃ，３３ｄが形成されている。

【００１３】また、前記直動スペーサ３２、回動スペー
サ３３、ダイ５１にはそれぞれダイ刃３１のダイ孔３１
ｂから連通する抜きカス排出孔３２ｂ，３３ｂ，５１ｂ
が連通して穿設されている。そしてダイ刃３１にはパイ
プの長手方向の位置決めストッパ３５が設けられる。

【００１４】次に、上記孔抜き加工装置のダイ刃支持構
造を用いててパイプｗに孔抜き加工を行うときには、図
１に示すように前記ダイ刃３１，直動スペーサ３２、回
動スペーサ３３をパイプｗに挿入するようにパイプｗを
セットする。この時パイプｗは位置決めストッパ３５，
３６により位置決めされる。このようにパイプｗをセッ
トした後、上方から上型１を下降させる。上型１の下降
にともなって該上型１に取付けられた駆動カム２１が直
動スペーサ３２のカム孔３２ａに作用し、該直動スペー
サ３２が前記ダイ刃３１ならびに回動スペーサ３３に対
してパイプｗ内に進入動作する。前記直動スペーサ３２
の進入動作により該直動スペーサ３２のカム面３２ｃ，
３２ｄと接するカム面３３ｃ，３３ｄにより回動スペー
サ３３の先端側を下方へ回動し、図２に示すように該回
動スペーサ３３の下面がパイプｗの内面に当接して、前
記直動スペーサ３２と回動スペーサ３３とによりダイ刃
３１の下面とパイプｗ内面間のスキを埋めて加工時に該
ダイ刃３１が下方へたわむのを防止する。

【００１５】上記のようにダイ刃３１を支持した後、前
記駆動カム２１とともに上型１の下降にともなって下降
してきたポンチ１１の周囲に設けられたパッド１２がパ
イプｗに当接し、パイプｗを押さえて、ポンチ１１によ
り孔抜き加工を行う。そして抜きカスは前記抜きカス排
出孔３２ｂ，３３ｂにより、パイプ内に落ちる。

【００１６】孔抜き加工後は前記上型１を上昇させ、該
上型１の上昇にともないポンチ１１、パッド１２および
駆動カム２１が上昇してポンチ１１およびパッド１２が
パイプｗから離れ、また駆動カム２１の上昇により直動
スペーサ３２が後退し、該直動スペーサ３２の後退によ
って前記回動スペーサ３３が前記ばねの付勢力によって
上方へ回動してダイ刃３１および各スペーサ３２，３３
と、パイプｗの内面との間にスキができて、容易にパイ
プｗの取り外しができる。そしてパイプｗを取り外すと
抜きカス排出孔５１ｂにより抜きカスがダイ５１の内部
へ落下する。

【００１７】上記のように構成した本実施形態の孔抜き
加工装置のダイ刃支持構造によれば、回動スペーサ３３
が上方へ回動した状態でダイ刃３１を容易にパイプｗに
挿入、また取り外しできる。また、加工時には直動スペ
ーサ３２を回動スペーサ３３に対して長手方向に進退動
することにより回動スペーサ３３を下方へ回動させて該
回動スペーサ３３の下面をパイプｗの内面に当接させ
て、直動スペーサ３２、回動スペーサ３３により直動ス
ペーサ３２の上面に接するダイ刃３１を下方から支持
し、ダイ刃３１のたわみを防ぐことができる。また、パ
イプｗ内面に接する状態で前記ダイ刃３１をパイプｗ内
に挿入し、該ダイ刃３１の下面とパイプｗ内面とのスキ
を前記直動スペーサ３２および回動スペーサ３３の作用
によって埋めてダイ刃３１を支持することにより、パイ
プｗを位置決め後、ダイ刃３１が大きく移動することが
ないのでポンチ１１とダイ刃３１のクリアランス精度が
確保しやすい。また、直動スペーサ３２、回動スペーサ
３３、ダイ５１にダイ孔３１ｂと連通する抜きカス排出
孔３２ｂ，３３ｂ，５１ｂが穿設されているため、抜き
カスが自動的に下方へ落ちていき、抜きカス取出し用の
手段を別に設ける必要がない。本実施形態では直動スペ
ーサを進退動させる駆動カムを設ける構成としたが該駆
動カムの代わりにシリンダ等によって直動スペーサを進
退動させてもよい。

【００１８】

【発明の効果】本発明の孔抜き加工装置のダイ刃支持構
造によれば、ダイ刃を容易にパイプに挿入でき、かつパ
イプ内面に接する状態で前記ダイ刃をパイプ内に挿入
し、該ダイ刃の下面とパイプ内面とのスキを前記直動ス
ペーサおよび回動スペーサの作用によって埋めてダイ刃
を支持することにより、パイプを位置決め後、ダイ刃が
大きく移動することがないのでポンチとダイ刃のクリア
ランス精度が確保しやすい。また、ダイ刃、直動スペー
サ、回動スペーサに抜きカス排出孔が穿設されているた
め、抜きカスが自動的に落ちていき、抜きカス取出し用
の手段を別に設ける必要がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の孔抜き加工装置のダイ刃支持構造を適
用した、上型が上昇した状態のパイプの孔抜き加工装
置。

【図２】本発明の孔抜き加工装置のダイ刃支持構造を適
用した、上型が下降した状態のパイプの孔抜き加工装
置。

【図３】

【図２】のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図。

【図４】孔抜き加工を施すパイプの斜視図。

【図５】従来のパイプの孔抜き加工装置。

【符号の説明】

３１…ダイ刃，３２…直動スペーサ，３３…回動スペー
サ，ｗ…パイプ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パイプの側面に孔抜き加工を行う孔抜き加
   工装置のダイ刃支持構造であって、 下型に基端を固設され、パイプの内面に接してパイプ内
   に挿入可能なダイ刃と、 下型に上下回動可能に基端を軸支され、前記ダイ刃の下
   方に配されて前記ダイ刃とともにパイプ内に挿入される
   回動スペーサと、 前記ダイ刃の下面と前記回動スペーサの上面とに摺接し
   て、長手方向に進退動可能に設けられる直動スペーサと
   からなり、 該直動スペーサと前記回動スペーサとの互いに接する面
   にカム面が形成され、前記直動スペーサの進退動によっ
   て前記回動スペーサを上下方向に回動させて該回動スペ
   ーサをパイプの内面に接離可能に構成したことを特徴と
   する孔抜き加工装置のダイ刃支持構造。
2. 【請求項２】前記回動スペーサは前記直動スペーサと接
   する向きにばね等により付勢されていることを特徴とす
   る請求項１に記載の孔抜き加工装置のダイ刃支持構造。
3. 【請求項３】直動スペーサおよび回動スペーサにはダイ
   刃のダイ孔と連通する抜きカス排出孔が穿設されている
   ことを特徴とする請求項１または請求項２のいずれかに
   記載の孔抜き加工装置のダイ刃支持構造。