JPS6319604B2 - - Google Patents

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JPS6319604B2
JPS6319604B2 JP15862180A JP15862180A JPS6319604B2 JP S6319604 B2 JPS6319604 B2 JP S6319604B2 JP 15862180 A JP15862180 A JP 15862180A JP 15862180 A JP15862180 A JP 15862180A JP S6319604 B2 JPS6319604 B2 JP S6319604B2
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fiber
fibers
polyester
tension
diameter
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JP15862180A
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Takeshi Inoe
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Kuraray Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は表面に多数の陥没溝を有するポリエス
テル繊維に関する。 本発明は表面に長軸を繊維軸とほぼ直交する方
向に向けた鋸歯状の縁辺を有する陥没溝を繊維1
mm当り25個所以上有する陥没溝を有するポリエス
テル繊維である。本発明の繊維は表面に有する鋸
歯状の縁辺を有する陥没溝により独特な摩擦挙動
を示すとともに特有の手ざわり、風合、抗ピル
性、抗スナギング性、縮絨性を有する。本発明の
繊維は非捲縮糸にあつては強烈な絹鳴りを有し、
強いきしみ感とやや硬めの風合を示す。捲縮糸に
あつてはかさ高く、軽く、しかもぬめり感のない
乾いたタツチを与える。また布組織から繊維が抜
けにくく、しかも繊維の耐疲労性がやや低いため
抗ピル性、および抗スナギング性の両方にすぐれ
ている。このような性質は編地にあつては一般に
ランを生じやすいものと考えられているが、本発
明の繊維は特にランを生じやすくはない。ポリエ
ステル羊毛混紡糸はポリエステルの混率が40%以
上の場合全く縮絨性を欠くようになるといわれて
おり縮絨によるソフトな仕上げができないため硬
くかさの低い織物になり易いといわれているが、
本発明のポリエステル繊維は羊毛と混紡した場
合、その縮絨性を紡げないため従来の羊毛織物の
仕上げ工程で十分なふくらみを生じる。 ポリエステル、ナイロンなど溶融紡糸できる合
成繊維は、溶融紡糸過程の簡便性、低廉性と種々
のすぐれた繊維物性により、合成繊維の主流を占
めるに至つた。たしかにポリエステル・ナイロン
などの繊維物性は天然繊維には求め難いユニーク
なものであり、高く評価すべきものであるが、繊
維表面があまりにも平滑であり、表情に乏しいこ
とは否定できない。 繊維表面の平滑さは、とくにその手ざわりに対
して大きな効果を持つている。ポリエステルに
は、特有の、ぬめりを含んだワクシー感があり、
ナイロンにはすべりの大きいワクシー感があつて
肌へのなじみ難さを感じるのである。 このような肌に対する違和感は、天然繊維にな
れ親しんで来たことによる習慣的なものであると
説明されることが多い。しかし他の人造繊維で溶
融紡糸でない紡糸法で作られたもの、たとえばレ
ーヨン、アクリル、ビニロンではこのような肌ざ
わりを感じられないことから推定すると、ワクシ
ー感は表面の過度の平滑さに一つの要因があると
して良いようである。 すべての有機天然繊維は生物の体内で水溶液か
ら形成される。繊維形成の過程で脱水が起り、表
面積は縮少してひだを生じようとする傾向が現わ
れる。一方では表面張力によりひだは消滅しよう
とする傾向がある。両方の作用と繊維を形成しつ
つある空洞の形状とによつて微細かつ複雑な凹凸
を表面に有する繊維が形成される。 湿式紡糸あるいは乾式紡糸によつて製造される
人造繊維も同様である。内部構造は天然繊維より
単純であるが、紡糸のごく初期に生成した繊維表
層部は脱溶媒による縮少と紡糸ドラフトによる拡
大という両方の作用により複雑なひだを形成し、
それが複雑な表面形態に転化する。 ところが溶融紡糸される繊維は凝固過程での体
積減少が顕著ではない。一方紡糸ドラフトによつ
て繊維は引き伸ばされるので、表面は常に拡大す
る方向に加工される。そのために繊維表面は極め
て平滑なものになつてしまう。 溶融紡糸された繊維の過度に平滑な表面に由来
する欠点を解決するために、従来から多くの試み
がなされて来た。酸化チタンのようなつや消し剤
は表面に若干の凹凸を与えることが知られてい
る。つや消し剤はかなり強力な淡色化効果を持つ
ているので、それを避けるため、光の屈折率が繊
維に近い粉体、たとえばカオリナイト、シリカ、
硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを混入する方
法が提案された。これらの粉体は単一粒子または
会合粒子として0.5μないし5μ程度の大きさのもの
であり、効果はたしかに存在するが多量に混入す
ることが困難である点に難点があり、顕著な効果
は得られていない。また微粉よりも大量に混合で
きる異物として種々の熱可塑性樹脂、たとえばポ
リスチレン、ポリエチレンを3〜15%程度混入す
る方法が提案されたがアイロンにより硬化するた
め実用化されなかつた。 異物の混入よりも若干大きな凹凸を得る方法と
して、自然延伸比よりもかなり高い延伸倍率で延
伸し、自由収縮させると繊維軸にほぼ直交する方
向に多数のひだを生じるという方法が提案された
が、収縮力が残るような条件で高倍率の延伸を安
定に行なうことが難かしく、実用化されていな
い。 繊維軸に直交する方向に多数のひだを生じる方
法として特公昭36―21817号および特公昭39―
22035号に開示されている方法がある。この方法
は未延伸フイラメントにひび割れ生成剤を付着さ
せつつ緊張処理して、繊維軸に直交するひび割れ
を生成させた後、ひび割れ生成剤を除去し延伸す
る方法である。この方法により第2図Bに示すよ
うな側面形状を有する繊維が得られる。この方法
の欠点は緊張処理の時間が非常に長くかかること
である。そのためひび割れ生成剤の除去および延
伸の工程にくらべて緊張処理工程の装置が巨大に
なり、コストおよび操業性の点で実用性がなかつ
た。 これと類似の方法に特公昭42―8731号に開示さ
れた方法がある。この方法は未延伸フイラメント
にひび割れ生成剤を付着させた後、若干の時間老
成した後緊張処理して繊維軸に直交するひび割れ
を形成させた後ひび割れ形成剤を除去し延伸する
ことによつて繊維軸にほぼ直交する隆起状のひだ
を生成させる方法である。この方法によれば緊張
処理に要する時間は著しく短縮されるが、生成す
る隆起状ひだの形状が第2図Aに示すような形に
なり、光学顕微鏡ではほとんど見えない程に、あ
まりにも微細化されてしまうために、ひだの効果
が顕著でない欠点がある。またひだがほとんど繊
維軸に直交しているため、表面の不規則性がめだ
たない欠点がある。このような欠点から現在まで
のところ実用化に至つていない。 本発明は第1図に例示するような陥没溝を有す
るポリエステル繊維である。陥没溝の長さは、そ
の長軸長を繊維の表面に沿つて測つた距離であら
わして繊維直径の5%位から繊維直径の300%で
ある。溝の平均巾は繊維直径の1%から100%の
間にある。溝の深さはアルカリ処理条件で変える
ことができ、その深さにはかなりのバラツキがあ
るが、その平均が繊維直径の10%以下、最高が繊
維直径の30%以下であることが好ましい。最も好
ましくは平均が繊維直径の5%以下、最高が繊維
直径の10%以下である。溝が深すぎる繊維は強度
が低く、とくに耐疲労性、耐摩耗性が劣るので好
ましくない。溝の密度は繊維長1mm当り25個所以
上であることが好ましい。溝の密度は50000個
所/mm以下であることが好ましく、最も好ましく
は150個所/mmないし7500個所/mmである。 陥没溝の縁辺は鋸歯状を示し、その各々の切れ
込みには、さらに微細な陥没溝を持つている。本
発明は光学顕微鏡によつて観察可能な大きさの新
規な形状の陥没溝を有する繊維に関するものであ
る。繊維、プラスチツク程度の硬さのものの摩擦
的性質は10μ前後、あるいはそれより若干小さい
程度の凹凸によつて大きな影響を受けるようであ
り、光波長オーダー以下あるいは100μ以上のオ
ーダーの凹凸よりはるかに重要であるように思わ
れる。このような傾向から、陥没溝の密度が25個
所/mm程度以下あるいは50000個所/mm以上では
溝のない繊維との摩擦的性質に大差がない。 陥没溝は直線状のものは少なく、曲りくねつた
ものが多いが、その方向は繊維軸に対して60゜か
ら90゜に傾きを持つものがほとんどある。言いか
えると繊維軸にほぼ直交する方向に伸びた溝が多
く認められるということになる。 本発明の繊維は独特の摩擦挙動を持つており、
種々の潤滑剤によつて若干その値を変更できる
が、本質を変えることはできない特性である。そ
れは著しく高い静摩擦係数と、若干高めの動摩擦
係数という数字で表わされる、いわゆるステイツ
クスリツプ型のすべりを顕著に示す。そのため非
捲縮糸にあつては天然絹糸を上廻る強烈な絹鳴り
を有し、強いきしみ感と乾いた硬い風合を示す。
このような風合は従来のポリエステル繊維から全
く得られたことのないものである。捲縮糸にあつ
てはかさ高性に富み、軽く、しかもぬめり感のな
い乾いたタツチを与える。条件によつては乾きす
ぎた粉つぽいようなタツチを示すこともある。本
発明の繊維は布組織から繊維が抜け難く、しかも
繊維の耐疲労性がやや低いため、抗ピル性、およ
び抗スナギング性の両方にすぐれている。このよ
うな性質を有する繊維は編地に局部的な無理が掛
つた時に糸がぬけたり、あるいは糸に掛る力をう
まく分散させて糸を切らないようにする作用に乏
しいため容易に糸切れし、ランを生じやすいもの
と考えられている。しかし本発明の繊維は特にラ
ンを生じやすくはなかつた。本発明の繊維でとく
にらせん状の捲縮を持つたものは縮絨性を示す。
ポリエステルと羊毛の混紡糸はポリエステルの混
率が40%以上になると全く縮絨性を欠くようにな
るといわれており、羊毛加工特有の縮絨によるソ
フトな仕上げができないため、硬く、かさの低い
織物になり易いといわれているが、本発明のポリ
エステル繊維は羊毛と混紡した場合、その縮絨性
を妨げないため、従来の羊毛織物の仕上げ工程を
問題なしに通りかさ高いソフトな仕上りになる。
また本発明の繊維でらせん状の捲縮を持つたもの
は100%の紡績糸あるいは捲縮レーヨンとの混紡
糸でも弱い縮絨性を示し羊毛織物の縮絨工程を通
すことができる。本発明の繊維は布で適当な条件
で熱セツトすることにより縮絨性を消すことがで
き、羊毛の場合のうろこ状凸起を変質させる化学
処理のような加工を必要としない。 本発明の繊維はあまり顕著ではないが、不規則
な捲縮を持つている。この捲縮は計量すると非常
に小さい値しか示さないので、今までの説明では
非捲縮として説明したが、1cm当り1個以下では
あるが捲縮は常に存在する。この捲縮は延伸と同
時に現われ、熱セツトによつて消すことが非常に
難かしい。非対称冷却法などによつて得られる捲
縮のように熱収縮によつて大巾に捲縮数が増大す
ることもない。 本発明のポリエステル繊維は直径500mμ以下、
1mμ以上の粒子でポリエステルの重合成形条件下
で安定な粉体を0.5%ないし10%混合したポリエ
ステルを溶融紡糸して巻取つた後、該未延伸繊維
を二次転移点以下の温度で3時間以上放置し、そ
の後該未延伸繊維の引張り試験における第一降伏
点応力の60%ないし95%の張力で二次転移点以下
の温度で、微少クラツクが生成するに十分な時間
緊張処理した後延伸で得られた繊維をアルカリ性
液体により0.1重量%以上減量することによつて
得られる。なおここで第一降伏点応力とは、緊張
処理する温度で引張り試験を行なつた時、荷重伸
長曲線に最初に現われる小ピークの高さ(応力)
である。小ピークが現われない場合にはネツキン
グ延伸が始まる時に現われるシヨルダーの高さを
第一降伏点応力とする。 本発明のポリエステルに混合する粉体の直径が
500mμ以上の場合には微小なひび割れを生成する
数が少なすぎて、10%添加しても本発明の繊維は
得られない。また10%以上の粉体の添加は紡糸を
困難にするため好ましくない。粉体の粒子のうち
で直径が1mμ以下のものでは微少なひび割れを生
成し難いので好ましくない。粒子の直径は5mμな
いし200mμが好ましく、とくに10mμないし
100mμのものが好ましい。なお粉体の形状は球形
とは限らないので、表面積基準の相当直径を直径
と呼ぶことにし、特に断わらない限り表面積基準
の平均値を示すものとする。 本発明のポリエステルに混合する粉体としては
シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、けい酸カルシウム、炭
酸カルシウム、カーボンブラツク、酸化鉄(ベン
ガラ)などが使用できるが、とくにコロイダルシ
リカの水性ゾルがすぐれた性能を示す。粒子は単
分散が望ましいが、会合していても会合粒子が小
さければ使用できる。会合粒子が網状構造を作る
ことは紡糸性を阻害するので極めて好ましくな
い。同じシリカでもホワイトカーボンのように網
状に会合するものは0.5%以上添加するとほとん
ど紡糸不能となる。粉体の添加量は0.5%以上、
10%以下である。粉体の直径が小さい程少ない添
加量でひび割れ生成が容易になるが、添加量0.5
%ないし1.0%で有効な粉体の直径は10mμ以下で
あり、極めて取扱いが難かしくなる。添加量10%
以上では粉体の増粘作用および曳糸性阻害作用に
よつて一般的に紡糸困難になる。添加量は1%な
いし7%が好ましく、最も好ましくは1.5%ない
し4.5%である。 粉体の混合を行なう工程は紡糸以前の任意の工
程を選ぶことができるが、エステル化もしくはエ
ステル交換の開始から重縮合が完了するまでの間
が望ましく、水、エチレングリコール、低級アル
コールもしくはこれらの混合物に分散して添加す
ることが望ましい。これは粉体の会合をおさえる
のに、電離性が弱く極性の強い溶剤中に分散させ
ることが有効であるためと思われる。重縮合終了
後の添加は溶剤を除去して混合する必要があるた
め巨大な粒子になり易く、好ましくない。 粉体を混合したポリエステルは、本発明のポリ
エステル繊維の全体を構成している必要はない。
複合紡糸法により、表面層のみに粉体を混合した
ポリエステルを、芯部に普通のポリエステルを複
合した繊維でも良い。また粉体を混合したポリエ
ステルと普通のポリエステルをサイドバイサイド
型に複合した繊維でも良い。またこれ以外の種々
の複合様式の複合繊維とすることができる。この
場合、粉体を混合したポリエステルは繊維表面の
30%以上をおおつている必要がある。表面をおお
つている割合が30%以下では本発明のポリエステ
ル繊維に特有の摩擦特性、手ざわり、風合が得ら
れない。 溶融紡糸は、紡出された未延伸糸が、ネツキン
グ延伸を起す紡糸速度で行なわれなければならな
い。これはポリエチレンテレフタレート繊維の
〔η〕=0.60〜0.62の場合約4500m/分以下に相当
する。紡糸速度は好ましくは2500m/分以下であ
る。 紡糸した繊維は直ちに緊張処理を行なつてもよ
いが3時間以上放置した後緊張処理を行なつた方
が良い。好ましくは4日間以上放置した後緊張処
理する。放置温度は二次転移温度以下である必要
がある。好ましくは10℃ないし50℃である。温度
は低い方が好ましい。 緊張処理は二次転移温度以下の温度で行なう。
好ましくは10℃ないし50℃である。処理時間は1
秒ないし1分程度である。 この時間は紡糸後の放置時間が長いほど短かく
なる。従来から知られているひび割れ形成剤を用
いる延伸では数週間放置した原糸を用いてひび割
れ形成までに5分間以上の緊張を要したのにくら
べて顕著に短い。 延伸は緊張処理にひき続いて行なうことが好ま
しい。従来技術では緊張処理とひび割れ形成剤の
除去の二工程が非常に時間の掛る工程であるた
め、延伸と連続して行なうよりは二工程のみを切
り離して処理し、延伸は他と共通の延伸機で実施
する方が有利であるという意見が有力であつた。
本発明ではひび割れ形成剤の除去は不要であり、
緊張処理に要する時間が短かいので、延伸と切り
離す必要はない。緊張処理は固定ガイドでしごい
たりすると毛羽や糸切れを生じやすいので、低率
の延伸を行なうことが望ましい。このような条件
から本発明の緊張処理および延伸は、高強度、低
伸度を要求される銘柄の延伸に従来から広く使わ
れている二段以上の多段延伸機を使つて実施する
ことができる。ただし第一段目は緊張処理である
ので非常に低い延伸倍率にする必要がある。延伸
は常法のいずれの方法でも可能であるが、熱板上
で延伸する場合がアルカリ処理で生じる陥没溝の
形が一番不規則でありしかも数が多い。温水浴お
よび蒸気浴がこれに次ぐ。熱ピン延伸ではアルカ
リ処理で生じる溝の数が少なくなると共に溝の長
軸が繊維軸と直交するものが著しく多くなる。熱
ローラー延伸ではアルカリ処理で生じる溝の数が
さらに少なくなるとともに溝がほとんど繊維を周
回する程長くなる。また溝の長軸はほとんど繊維
軸と直交するようになる。なお同じ原糸からスタ
ートしても放置条件、緊張条件、延伸条件により
アルカリ処理後に生じる溝が少なくなる条件では
陥没溝の長軸が繊維軸に直交する方向に向きやす
くなる傾向が認められる。 緊張処理は20%以下の低率の延伸によつて与え
ることが最も好ましい。延伸率は同じでも紡糸速
度、放置時間、放置温度、油剤、緊張処理温度、
緊張処理時間によつてひび割れの発生する密度や
方向の分布が変つて来るので、緊張処理時の張力
が好適であるように延伸率を定める。緊張処理時
の張力は第一降伏点応力の60%ないし95%の大き
さで一定に保たれるように定める。延伸率が過大
な場合にはネツキングが発生し張力は大きく変動
する。この条件ではネツキング部に隣接する未延
伸部にあまりひび割れを生じない。その結果、表
面形状、光沢、摩擦特性にむらのある繊維が得ら
れるので好ましくない。延伸率が過小の場合には
ひび割れを生じるまでの時間が極端に長くなるの
で好ましくない。陥没溝の密度を高くし大きさ、
方向性の不規則さを増すには、緊張処理の張力を
やや低めにおさえ、十分な時間行なうことが有効
である。緊張処理時間はひび割れが生成しはじめ
るまでの時間の2倍以上の時間とすることが好ま
しい。最も好ましくはひび割れが生成しはじめる
までの時間の3倍ないし15倍の時間の緊張処理を
行なう。処理時間を短縮するため、ひび割れが生
成しはじめるまでは高い張力で緊張処理し、その
後張力を下げ、やや低い張力で緊張処理をしても
よい。この場合には一種の多段延伸の形式にな
る。緊張処理を多段延伸式で行なう場合後段の張
力を前段よりかなり下げ気味にしないとひび割れ
は繊維軸に直交する方向のものが優先して発達
し、繊維を周回する傾向を示す。このような繊維
は陥没溝が繊維を周回するようになり、この長軸
が主に繊維軸に直交するようになり著しく強度が
低下するので好ましくない。 延伸を終つた繊維はそれ以降の工程においてア
ルカリ性液体による減量処理により陥没溝を有す
る繊維となる。減量率は0.1%以上、好ましくは
1%ないし20%である。減量に用いるアルカリ性
液体は水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム
など苛性アルカリの水溶液、炭酸ナトリウムなど
加水分解により苛性アルカリを生じる物の水溶
液、これらとアルコール類の混合物、アミン、苛
性アルカリの水溶液にアミンを添加したものなど
である。 減量処理は延伸にひき続いて行なつても良く、
捲縮加工後、紡績後、製編後、製織後、洗色後、
あるいは衣類への縫製後に行なつてもよい。 本発明の繊維に用いるポリエステルはテレフタ
ル酸と炭素数2,4または6のグリコールを主要
な成分とするものであるが、とくにエチレンテレ
フタレート単位を85モル%以上含有するものであ
ることが望ましい。 次に本発明を実施例によつて説明する。 実施例 1 テレフタル酸とエチレングリコールをエステル
化反応率90%まで反応させた液に重縮合触媒およ
び直径30mμのコロイダルシリカの水性分散液を
添加して高真空下で重縮合し、シリカ含有率3.1
%、フエノール・テトラクロルエタン等量混合物
で測定した〔η〕が0.65のポリエステルを得た。 このポリエステルを常法により溶融紡糸し
1000m/分で巻取つて270デニール/36フイラメ
ントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を280℃の
室内に28日間放置した後100gの張力で30℃の室
温中で5秒間緊張処理した後140℃の熱板上で3.2
倍に延伸した。 得られた繊維は強度4.3g/d、伸度27.9%で
あつた。この繊維を40g/の水酸化ナトリウム
を含む水溶液中で80℃20分間処理し4%減量し
た。得られた繊維の強度は2.1g/d、伸度8.7
%、静摩擦係数0.562、動摩擦係数0.285、側面の
形状は第1図に示すような形であつた。この繊維
は糸の形あるいはステープル状で強い絹鳴りを生
じた。 この糸を天竺組織に編成したものも絹鳴りを生
じ、強いきしみ感を有していた。また乾いたタツ
チを有しており、ポリエステル特有のワクシー感
は認められなかつた。布ととして通常のポリエス
テルよりもやや硬かつたがドレープ性は良好であ
つた。抗スナギング性を調べたところ通常のポリ
エステルよりかなりすぐれていた。またランの発
生する危険性は通常のポリエステルと同等と判定
された。 またこの繊維を延伸後スタフイングボツクス式
捲縮機にかけて捲縮し、切断して2dr×51mmのス
テープルとした。同デニール、同カツト長のレー
ヨンステープルと等量混紡して得た紡績糸を30番
双糸として斜絞組織に製織した。この織物を40
g/の水酸化ナトリウム水溶液で90℃5分間減
量処理を行なつた。同組織のポリエステルのみの
織物での減量率はこの条件で3.3%であつた。こ
の織物をさらに羊毛織物の縮絨工程と同様の処理
を行なつたところ、アルカリ減量工程と合わせ
て、経方向に14%緯方向に10%収縮した。得られ
た織物はかさ高く、やわらかなタツチを持つてい
た。なおこの紡績糸の沸とう水収縮率は5%であ
つた。この織物の抗ピル性をICI式ピリングテス
ターで、5分後の値として評価したところ4〜5
級であつた。通常のポリエステル・レーヨン混糸
で同組織同密度に織つたものは2〜3級であり、
2級程度すぐれていた。 実施例 2 実施例1の紡糸後の繊維を種々の放置条件、緊
張条件を加えた後延伸した後4%前後のアルカリ
減量を行なつたところ次の表のような結果が得ら
れた。◎印のものは実施例1とほぼ同様の表面形
状性能を示した。
【表】
【表】 比較例 1 実施例1のポリエステルのかわりに、コロイダ
ルシリカを添加せずに作つたポリエステル繊維に
ついて、種々の放置条件、緊張条件を加えた後延
伸し、4%前後のアルカリ減量を行なつたところ
次の表のような結果が得られた。なお紡糸速度、
〔η〕、デニールは実施例1と同一である。 実施例1,2に示すような、側面が第1図のよ
うな形状を持つ繊維は得られなかつた。
【表】 実施例 3 実施例1のコロイダルシリカのかわりに種々の
粉体を添加して紡糸し、実施例1と同様の処理を
行なつて表面の形態を調べた。なお◎印のものは
実施例1とほぼ同様の表面形状ならびに性能を示
したものである。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリエステル繊維の側面を示
す顕微鏡写真(×2400)である。第2図A,Bは
従来技術による表面に凹凸のあるポリエステル繊
維の側面の拡大図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 直径1mμないし500mμの直径を持つ粉体を
    0.5ないし10重量%混合したポリエステルを、単
    独もしくは表面の30%以上をおおうように複合し
    て溶融紡糸して巻取つた後、該未延伸繊維を二次
    転移点以下の温度で3時間以上放置し、その後該
    未延伸繊維の引張り試験における第1降伏点応力
    の60%ないし95%の張力で二次転移点以下の温度
    で微細なひび割れが生成するに十分な時間緊張処
    理し、しかる後延伸し、得られた繊維をそれ以降
    の工程においてアルカリ性液体により0.1重量%
    以上減量して得られた陥没溝を有する繊維であつ
    て、該陥没溝はその長軸を繊維軸にほぼ直交する
    方向に向けた鋸歯状の縁辺を有する陥没溝であ
    り、その長軸長を繊維表面に沿つて測つた距離が
    繊維直径の5%ないし300%であり、該陥没溝を
    繊維1mm当り25個所以上有することを特徴とする
    ポリエステル繊維。 2 繊維表面の少なくとも30%が、直径1mμない
    し500mμの粒子を0.5ないし10重量%混合したテ
    レフタレート系ポリエステルであることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載のポリエステル繊
    維。 3 粉体が酸化ケイ素を主体としたものであるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項または第2
    項記載のポリエステル繊維。
JP15862180A 1980-11-10 1980-11-10 Polyester fiber having a number of depressed grooves on the surface Granted JPS5782520A (en)

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