JPH0967737A - ソフトな高密度防水織物の製造方法 - Google Patents

ソフトな高密度防水織物の製造方法

Info

Publication number
JPH0967737A
JPH0967737A JP7221509A JP22150995A JPH0967737A JP H0967737 A JPH0967737 A JP H0967737A JP 7221509 A JP7221509 A JP 7221509A JP 22150995 A JP22150995 A JP 22150995A JP H0967737 A JPH0967737 A JP H0967737A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
modulus
elongation
young
curve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7221509A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Akasaki
久仁夫 赤崎
Tsumaki Takahashi
妻木 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP7221509A priority Critical patent/JPH0967737A/ja
Publication of JPH0967737A publication Critical patent/JPH0967737A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水性を向上するために高密度化しても織物
が粗硬にならず、しかも、天然繊維様の外観と風合を有
するソフトな高密度防水織物の製造方法を提供する。 【解決手段】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が
15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い
延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条で
あって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実
質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング
率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニー
ル以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上である糸条
Aと、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4
g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複
合混繊糸を使いて製織し、通常の仕上げ加工を行い経緯
のカバーファクターの和が2500以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然繊維様の外観
と風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特にスポーツ用の雨衣用素材とし
ては、布帛上にポリウレタンのミクロポーラス構造の被
膜を形成して、汗の水蒸気は通すが雨の水滴は通さない
高性能の防水・透湿性素材が使われている。
【0003】しかし、ミクロポーラス構造では通気性が
乏しいという欠点がある。この点を解決する方法とし
て、コーティングやラミネートによらずに、織物自体で
防水・透湿性能を有する高収縮糸を使用したノンコーテ
ィングの高密度織物が知られている。
【0004】しかし、高収縮糸を使用して織物を高密度
化し、防水性を向上させる方法は、織物が粗硬になり商
品価値がなくなる欠点があり、高密度化による防水性向
上には限界がある。したがって、従来方法で製造したノ
ンコーティングの防水・透湿性を有する高密度織物は、
通気性に優れていても防水性に劣り満足な物が得られて
いないのが現状である。
【0005】例えば、特公昭63−36381号公報
に、1.2デニール以下のマルチフィラメントを含む布
帛の表面に緻密な長さが数μ〜数百μの微細繊維ループ
を有し、経緯のカバーファクターの合計が1400〜3
400の範囲である高密度撥水布帛が開示されている。
すなわち、布帛の表面の緻密な微細繊維ループによって
撥水効果を得るものであるが、より防水性を上げるため
には布帛を高密度にする必要がある。しかし、この方法
では高密度にすると布帛表面がペーパーライクになり、
風合いが粗硬になる欠点がある。また、微細繊維ループ
の発生も不良となり高性能防水が得られ難く不満足であ
る。
【0006】特公平3−1417号公報には、高収縮ポ
リエステルAと単糸デニールが1.5デニール以下のポ
リエステル捲縮糸Bとを混繊した糸を使用して、撥水性
を有する通気性防水布が開示されている。
【0007】この方法は、高収縮ポリエステルAの収縮
を利用して高密度化を図り、単糸デニールが1.5デニ
ール以下のポリエステル捲縮糸Bの効果で布帛のソフト
化を狙ったものであるが、高収縮ポリエステルAの収縮
率が10〜20%と少ないために高密度の布帛をが得る
のが難しく、また、高収縮ポリエステルAの収縮率を大
きくすると、ポリエステル捲縮糸Bの捲縮効果が減少し
て布帛の風合いが粗硬になる欠点が有り満足な物が得ら
れない。さらに、混繊糸の一方に使用する捲縮糸の捲縮
加工も必要となり工程の煩雑さとコストアップは否めな
い。
【0008】特公平4−2696号公報には糸長差を有
する2種以上のポリアミド繊維からなり、鞘部に単糸繊
度が1.5デニール以下の糸を使用した芯鞘タイプの二
層構造捲縮加工糸を用いて、経緯のカバーファクターの
和が1800〜3200の範囲にあるソフトな撥水性高
密度織物が開示されている。
【0009】しかし、この方法では捲縮繊維による微細
凹凸で撥水性は得られても、捲縮繊維による捲縮のふく
らみで織物に空間が生じて高密度化が難しく、防水性に
劣る欠点がある。無理に高密度化を図ると糸のバルキー
性と嵩高性が低下して、織物が硬くなり柔軟性に欠ける
点で不満足である。さらに、二層構造捲縮加工糸を製造
する工程も必要で煩雑さとコスト面からも不満である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するもので、防水性を向上するために高密度化し
ても織物が粗硬にならず、しかも、天然繊維様の外観と
風合を有するソフトな高密度防水織物の製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するものであり、主たる繰り返し単位がエチレンテ
レフタレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.
2 )が15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率よ
り低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た
糸条であって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領
域を実質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分
ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/
デニール以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上であ
る糸条Aと熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が
0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊
した複合混繊糸を使用して製織し、仕上加工を施して経
緯のカバーファクターの和が2500以上の織物とする
ことを特徴とするソフトな高密度防水織物の製造方法を
要旨とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。一般的に荷重−伸長曲線において初期に定伸長領
域を実質的に示す合成繊維よりなる糸条としては、例え
ば、未延伸糸を部分延伸したシックアンドシンヤーンが
ある。定伸長領域が生じるのは、繊維内部に完全に延伸
されていない未延伸領域があり、結晶部を結ぶ非晶鎖の
配向が十分でなく結晶部に対する非晶鎖の応答領域を持
たないからである。このような糸条は張力によって伸び
易く、加工工程でヒケが生じたり、染斑の原因になるな
ど取扱いが難しく従来から敬遠されていた。
【0013】しかし、本発明者等は定伸長領域を示す繊
維構造を持つ糸条を高密度防水織物に使用した場合に、
外観品位、風合い等に良好な影響を及ぼす重要な因子が
あり、このような糸条をうまく利用すれば、ランダムな
太細斑が発現でき、従来法では得られない天然繊維様の
外観とソフトな新規風合の高密度防水織物が得られるこ
とを見いだした。
【0014】すなわち、本発明の高密度防水織物は、天
然繊維のようなランダムな太細斑のある、ナチュラルな
外観と新規なソフト風合いを兼ね備えるものであるが、
本発明を満足するには複合混繊糸を構成する糸条Aは、
構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の主
たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなる高
配向未延伸糸を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸
した後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重−
伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、か
つ、切断伸度70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変
曲点Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮
率の標準偏差が2%以上のマルチフィラメント糸である
ことが必要である。
【0015】本発明においては、ランダムな太細斑を発
現させる未延伸領域は、染色などの後加工で熱処理を受
けた時に熱硬化が生じ難い繊維構造であること、未延伸
領域以外の延伸領域も、熱処理による熱硬化が少なく柔
らかい繊維構造の糸条であることが必要である。
【0016】そのためには、高配向未延伸糸の構造一体
性パラメーターが重要であり、構造一体性パラメーター
は繊維の結晶化度と配向度を総合的に示す指標となる。
構造一体性パラメーター(ε0.2 )は、糸条を沸水中で
処理した場合の伸長率を表すものであり、以下の方法で
測定するものである。
【0017】試料長20cmの糸条を東洋紡エンジニアリ
ング社製εメーターを用い、測定温度99℃、処理時間
2分で処理し、0.2g/デニールの荷重をかけて測定
する。
【0018】 構造一体性パラメーター=(M−L)×100/L ただし、L:処理前の長さ,M:処理後の長さである。
【0019】この構造一体性パラメーター(ε0.2 )が
15%未満であると、高配向度、高結晶化度の糸条とな
り、自然延伸倍率以下で延伸した場合に太細が発生し難
い。さらに、繊維内部の構造が強固なものとなっている
ため、延伸後に15%以上の弛緩熱処理を施すことが出
来なくなる。
【0020】構造一体性パラメーター(ε0.2 )が45
%を超えて大きくなると、低結晶化度、低配向度の糸条
となり、延伸すると延伸部と未延伸部との差が大きくな
り、得られた糸条に染色加工や熱処理を行うと染色斑が
過大となったり、残された未延伸部が脆くなって、切断
するので好ましくない。
【0021】以上のごとく、本発明を達成するには、上
記の主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから
なり構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%
の高配向未延伸糸を使用する必要がある。
【0022】続いて上記の高配向未延伸糸を、その高配
向未延伸糸のガラス転移温度以下の温度で、かつ、自然
延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を
施して、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実
質的に示し、かつ、伸度70%以上、微分ヤング率曲線
の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以
下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上のマルチフィラ
メント糸条を得る。
【0023】高配向未延伸糸の延伸と弛緩熱処理は、例
えば図1に示す装置で行うことができる。図1におい
て、高配向未延伸糸1は、供給ロール2によりボビンか
ら引き出され、第1ロール3との間でプレテンションが
掛けられ、第1ロール3と第2ロール4との間で延伸さ
れ、第2ロール4と第3ロール5との間でオーバーフィ
ードされると共にヒータ6で熱処理され、捲取部に供給
されてリング撚糸方式で捲取ボビン7に捲取られる。
【0024】高配向未延伸糸の延伸における延伸倍率
は、供給するポリエステル高配向未延伸糸の自然倍率以
下にする必要がある。自然延伸倍率を超えると均一な延
伸糸となり、繊維の長さ方向の太細斑や収縮斑がなくな
る。
【0025】なお、自然延伸倍率は、定速伸長形引張試
験機を用い図2に示す荷重−伸長曲線を描いた時に実質
的に発現する定伸長領域Aの伸度(%)を100で除し
て1を足した値を自然延伸倍率とするものである。定伸
長領域とは市販の定速伸長形引張試験機を用い図2に示
す荷重−伸長曲線を描いた時に実質的に発現する領域A
を定伸長領域とするものである。
【0026】次に、延伸した糸条に施す弛緩熱処理は、
高配向未延伸糸のガラス転移温度より10℃以上高い温
度で行うのが好ましい。弛緩熱処理温度が前記温度より
低いと、得られた糸条の熱収縮率が高くなりすぎて、染
色加工などの熱処理を受けた時に縮み過ぎて、風合いの
硬い高密度防水織物となってしまう可能性がある。
【0027】また、弛緩熱処理時の弛緩率は15%以上
にするのが好ましく、弛緩熱処理時の糸切れなどのトラ
ブル発生を防止し操業性を考慮すれば、弛緩熱処理時の
弛緩率は50%以下とするのが好ましい。弛緩率が15
%未満であると、単糸間の収縮率のバラツキが小さく、
後工程で熱処理をしても嵩高性を発現させることができ
なくなってしまう恐れがある。
【0028】なお、弛緩熱処理後の荷重−伸長曲線にお
いて初期に定伸長領域を実質的に示さない糸条は、ラン
ダムな太細斑と収縮斑を発現させる未延伸領域が、高配
向で高結晶化した繊維構造となりランダムな太細斑と収
縮斑が発現しない。また、高配向で高結晶化した繊維構
造になると糸条全体のヤング率が高くなり、風合が硬く
なって本発明のようなソフトな高密度防水織物が得られ
ない。
【0029】弛緩熱処理後の切断伸度が70%未満の糸
条になると未延伸領域および延伸領域の配向度が高くな
り、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的
に示さない糸条となり、太細斑と収縮斑が減少して本発
明の目的とする外観のものが得られない。また、配向度
が高くなると糸条全体のヤング率が大きくなり、糸条が
硬くなってソフトな風合いが得られ難い。
【0030】本発明の目的とするソフトな風合いの高密
度防水織物を得るには、弛緩熱処理後の切断伸度は90
〜120%のものがより好ましい。
【0031】弛緩熱処理後の糸条の微分ヤング率曲線の
第一次変曲点Y1のヤング率は、荷重−伸長曲線におけ
る初期のヤング率を示すものであり、第一次変曲点Y1
のヤング率が70g/デニールを越えると風合いが硬く
成り満足なものは得られ難い。微分ヤング率曲線の第一
次変曲点Y1のヤング率は40〜60g/デニールであ
るのがより好ましい。
【0032】微分ヤング率とは、定速伸長形引張試験機
を用いて、試料長30cm、引張りスピード30cm/min
で測定した、図2に示すがごとき荷重−伸長曲線の各点
の応力を伸度で微分して得たもので、この微分ヤング率
(g/デニール)を経軸に、引張り時の応力(g/デニ
ール)を横軸にしてプロットしたものが図3に示すごと
き微分ヤング率曲線であって、第一次変曲点Y1のヤン
グ率は初期ヤング率を示すものである。
【0033】熱水収縮率の標準偏差が2.0未満である
と天然繊維のようなランダムな収縮斑が減少して、本発
明の目的とするナチュラルな外観が得られない。熱水収
縮率の標準偏差は2.0〜6.0がより好ましい。
【0034】熱水収縮率の標準偏差は、東洋紡エンジニ
アリング社製εメーターを用い、測定温度99℃試料長
10cm、処理時間30秒、処理時の荷重1/1000g
/デニールで長さ方向に連続して50回測定し、その標
準偏差を計算する。
【0035】上記の糸条Aは、染色工程等で熱処理を受
けると繊維の長さ方向に混在する未延伸部と延伸部の収
縮差で細かなクリンプが発現するので嵩高性が得られ、
しかも繊維自身が柔らかいのでソフトな風合いが得られ
るようになる。
【0036】一方、本発明でいう糸条Bは、高密度の織
物を得るために、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力
値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸を、1種
または2種以上混繊して使用することが必要であり、熱
水収縮率が20%未満、最大熱応力値が0.4g/d未
満のマルチフィラメント糸では収縮性能が不足して高密
度の織物を得ることができない。このような糸条Bとし
ては、共重合体連鎖中の85モル%以上の構造単位がポ
リエチレンテレフタレートであり、残りの15モル%未
満の構造単位が他のポリエステル単位である共重合ポリ
エステルからなるフィラメント糸であるのが、熱水収縮
率と最大熱応力の共に大きいものが得られて大きく好適
である。
【0037】本発明では、上記の糸条Aと糸条Bを混繊
した複合混繊糸を織物の経緯糸に使用して製織する。糸
条Aと糸条Bの混繊方式としては、引き揃え状態あるい
は芯糸と鞘糸に糸長差をつけた芯鞘構造にて空気処理で
交絡させる方法を用いることができる。その場合に、糸
条Bを芯に糸条Aを鞘にした芯鞘構造としたものが好ま
しい。混繊した後に追撚や合撚をして使用してもよい。
織物の組織は、特に限定するものではないが、平織、綾
織等のプレーンな組織が一般に用いられる。
【0038】また、本発明では、製織された織物を糸条
Bの高収縮性能を発揮させ、経緯のカバーファクターの
和が2500以上となるように仕上加工する。こうして
高性能の防水性を有する本発明の高密度防水織物を得
る。経緯のカバーファクターの和が3000〜4200
の範囲のものとするのがより好ましい。仕上加工は、通
常の精錬、染色、仕上樹脂処理、仕上セット等の工程で
行えばよいが、糸条Bの高収縮性能を充分に発揮させる
ために、特に経糸方向に大きな張力がかからない条件を
選定するのが好ましい。
【0039】
【作用】本発明の高密度防水織物においては、主たる繰
り返し単位がエチレンテレフタレートからなり、構造一
体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未
延伸糸を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した
後、弛緩熱処理を施して得た糸条であって、荷重−伸長
曲線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、
切断伸度70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点
Y1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率の
標準偏差が2.0以上のマルチフィラメント糸条Aによ
って、天然繊維のようなナチュラルな外観と新規なソフ
ト風合いが付与され、熱水収縮率が20%以上、最大熱
応力値が0.4g/d以上のマルチフィラメント糸条B
を1種または2種以上組み合わせることによって、従来
方法では得られなかった、良好な防水性能を任意に得ら
れるものである。
【0040】
【実地例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。実施例において、織物の性能評価は下記の方法によ
って行った。
【0041】(1)織物のソフト感、ナチュラル感 官能検査により、◎:非常に良好、○:良好、×:劣る
の3段階で評価した。 (2)撥水度 JIS−L−1092(スプレー法)に準拠して測定。
【0042】(3)耐水圧 JIS−L−1092(A法)に準拠して測定。
【0043】(4)通気度 JIS−L−1096(A法)に準拠して測定。
【0044】実施例1〜3、比較例1〜5 極限粘度0.70、ガラス転移温度71℃、融点256
℃のポリエチレンテレフタレートを通常の紡糸装置を用
い、紡糸温度295℃とし、紡糸速度と吐出量を変更し
て紡糸して、5種の75デニール/96フィラメントの
高配向未延伸糸を得た。このときの紡糸速度、吐出量、
高配向未延伸糸の構造一体性パラメーター(ε0.2 )お
よび自然延伸倍率を測定した結果を表1に併せて示す。
【0045】
【表1】
【0046】次に、この未延伸糸を用い図1に示した装
置を用いて表2に示した条件で延伸及び弛緩熱処理を行
ない、実施例用の3種の糸条Aと比較例用の5種の糸条
Aを得た。得られた糸条の糸質物性を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】実施例用の3種の糸条Aと比較例1〜4用
の糸条Aについては、糸条Bとしてのポリエチレンテレ
フタレートマルチフィラメント糸30デニール/12フ
ィラメント(熱水収縮率が28%、最大熱応力値が0.
45g/d)と、比較例5用の糸条Aについては糸条B
としての30デニール/12フィラメント(熱水収縮率
が15%、最大熱応力値が0.3g/d)と下記の条件
でそれぞれ空気交絡処理し、交絡数60個/mの複合混
繊糸を得た。
【0049】混繊条件は、糸速:800m/分、インタ
ーレーサー:デュポン社製JD−1(直径1.2mm) 、
空気圧: 2.0kg/cm2 、糸条Aのオーバーフィード
率:0.3%、糸条Bのオーバーフィード率:0.6%
とした。
【0050】この複合混繊糸(105d/108f)に
300回/mの追撚を行い、経緯糸に使用して平織物を
製織し、次いで、この生機(経密度153本/吋、緯密
度80本/吋)を120℃×30分で高圧リラックス
し、180℃×30秒でプレセットし、カセイソーダで
減量率18%の減量処理を行った後、Foron Yellow SE-
CTL 2%owf 、Rubine SE-CTL 0.2%owf 、DarkBlue S-CTL
0.3%owfの3種の染料配合で液流染色機を用いて染色
し、170℃×30秒の仕上げセットをした。その後ア
サヒガードLS−317 6%、スミテックスレジン
0.3%、スミテックスアリセレタACX 0.3%の
処方の通常のフッ素樹脂による撥水加工を行った。撥水
加工上りの織物の経密度183本/吋、緯密度111本
/吋で経緯のトータルカバーファクターは3012であ
った。
【0051】得られた実施例1〜3及び比較例1〜5の
織物の性能評価結果を表3に示した。
【0052】
【表3】
【0053】表3の織物の防水性能、ソフト感、ナチュ
ラル感の評価結果から明かなごとく実施例1〜3の本発
明織物においては、良好な防水性能、ソフト感と天然繊
維様外観の織物が得られ、満足する結果を示している。
これに対して、比較例1は、糸条Aとして構造一体性パ
ラメーター(ε0.2 )が45%以上の高配向未延伸糸
を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩
熱処理を施した糸条を用いた織物であり、未延伸部と延
伸部の太細差が大きすぎナチュラル感に劣るものであ
り、比較例2は、糸条Aとして構造一体性パラメーター
(ε0.2 )が15%以下の高配向未延伸糸を、自然延伸
倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施し
た糸条を使用した織物で、ソフト感、ナチュラル感共に
不満足なものであった。また、比較例3は、糸条Aとし
て高延伸倍率で延伸した後弛緩熱処理をして定伸長領域
がなくなった糸条を用いた織物で、熱収縮率のバラツキ
が減少して特にナチュラル感に劣るものであった。比較
例4は、糸条Aとして自然延伸倍率より高い延伸倍率で
延伸した後弛緩熱処理をして、切断伸度が低く、ヤング
率が高く、収縮斑が減少した糸条を使用した織物で、ソ
フト感がなくなりナチュラル感も不満足なものであっ
た。比較例5は、糸条Bとして熱水収縮率が20%以
下、最大熱応力値が0.4g/d以下の糸を使用したも
ので、熱収縮と熱応力が少なく染色時の巾入が悪く高密
度の織物が得られず不満足であった。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明の高密度防水織物
は、従来から合成繊維を使用して製造した方法では具備
し得なかった防水性能と天然繊維のようなランダムな太
細斑のある、ナチュラルな外観と新規なソフト風合いの
高密度防水織物で商品価値の優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における高配向未延伸糸の延伸と弛緩熱
処理を行う装置の例である。
【図2】定伸長領域を示す荷重−伸長曲線の具体例を模
式的に示したものである。
【図3】微分ヤング率曲線の具体例を模式的に示したも
のである。
【符号の説明】
1 高配向未延伸糸 2 供給ロール 3 第1ロール 4 第2ロール 5 第3ロール 6 ヒータ 7 捲取ボビン

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
    レートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が
    15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い
    延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条で
    あって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実
    質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング
    率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニー
    ル以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上である糸条
    Aと、熱水収縮率が20%以上、最大熱応力値が0.4
    g/d以上のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複
    合混繊糸を使用して製織し、仕上加工を施して経緯のカ
    バーファクターの和が2500以上の織物とすることを
    特徴とするソフトな高密度防水織物の製造方法。
JP7221509A 1995-08-30 1995-08-30 ソフトな高密度防水織物の製造方法 Pending JPH0967737A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7221509A JPH0967737A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 ソフトな高密度防水織物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7221509A JPH0967737A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 ソフトな高密度防水織物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0967737A true JPH0967737A (ja) 1997-03-11

Family

ID=16767835

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7221509A Pending JPH0967737A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 ソフトな高密度防水織物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0967737A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006124861A (ja) * 2004-10-28 2006-05-18 Toray Ind Inc 耐滅菌布帛用ポリエステルフィラメントおよび耐滅菌布帛
CN102926081A (zh) * 2011-08-11 2013-02-13 志向(中国)集团有限公司 一种菱形格子花型面料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006124861A (ja) * 2004-10-28 2006-05-18 Toray Ind Inc 耐滅菌布帛用ポリエステルフィラメントおよび耐滅菌布帛
CN102926081A (zh) * 2011-08-11 2013-02-13 志向(中国)集团有限公司 一种菱形格子花型面料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100635857B1 (ko) 멜란지 효과가 우수한 이수축 혼섬사 및 그의 제조방법
JPH0967737A (ja) ソフトな高密度防水織物の製造方法
JPH10292237A (ja) 複合加工糸およびその製造方法
KR100624147B1 (ko) 스웨드 효과가 우수한 극세 혼섬사 및 그의 제조방법
JP3888155B2 (ja) ポリアミド織物
JP2019073807A (ja) 仮撚加工糸および織編物
KR100635858B1 (ko) 스웨드 효과가 우수한 이수축 혼섬사 및 그의 제조방법
KR100635860B1 (ko) 스웨드 효과가 우수한 극세 혼섬사
KR100646649B1 (ko) 소프트니스가 우수한 이수축 복합 가연사 및 그의 제조방법
JP2003119640A (ja) ポリエステル混繊加工糸およびその製造方法
JPH03279428A (ja) ポリエステル混繊糸
JPH07229030A (ja) ポリエステルシック・アンド・シンヤーンおよび該ヤーンからなるカスリ調織編物
KR100216967B1 (ko) 폴리에스테르 이수축 혼섬사의 제조방법
JPH08100347A (ja) 新規なソフト風合い織編物の製造方法
JP4701478B2 (ja) 多色性複合加工糸およびその製造方法
JPH09310248A (ja) 新規なソフト風合いの撚糸織物の製造方法
KR0178126B1 (ko) 발수성 고밀도 직물 및 그의 제조방법
JP2839294B2 (ja) 複合糸の製造方法
JP2001271237A (ja) 特殊捲縮糸
JPH0544137A (ja) スエード調織物の製造方法
JPH0892830A (ja) スラブヤーン
JP2001271239A (ja) 収縮差混繊糸および製造方法
JPH01306642A (ja) 加工糸調の織編物
JPS5842285B2 (ja) ボウセキシヨウマルチフイラメントシ オヨビ ソノセイゾウホウ
JPH04136262A (ja) 高密度布帛の製造方法