JPH08100347A - 新規なソフト風合い織編物の製造方法 - Google Patents

新規なソフト風合い織編物の製造方法

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Publication number
JPH08100347A
JPH08100347A JP6234935A JP23493594A JPH08100347A JP H08100347 A JPH08100347 A JP H08100347A JP 6234935 A JP6234935 A JP 6234935A JP 23493594 A JP23493594 A JP 23493594A JP H08100347 A JPH08100347 A JP H08100347A
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JP
Japan
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yarn
modulus
young
elongation
denier
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JP6234935A
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English (en)
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Toshihide Hibino
利秀 日比野
Tsumaki Takahashi
妻木 高橋
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレー
トからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15
〜45%の高配向未延伸糸を、自然延伸倍率より低い延
伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施し、荷重−伸長曲
線において初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切
断伸度70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y
1のヤング率が70g/デニール以下、熱水収縮率のバ
ラツキが2.0以上の糸条Aと繰り返し単位がエチレン
テレフタレートからなり、単フィラメントの繊度が1.
5デニール以上、切断伸度50%以下、微分ヤング率曲
線の第一次変曲点Y1のヤング率が75g/デニール以
上、のマルチフィラメント糸条Bとを混繊した複合混繊
糸を用いて製織する。 【効果】 糸条Aによって、天然繊維のようなナチュラ
ルな外観と嵩高性のある新規なソフト風合いが付与さ
れ、糸条Bを1種または2種以上組み合わせて、ハリ・
コシも任意に得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然繊維のようなラン
ダムな太細斑のある、ナチュラルな外観と新規なソフト
風合い、良好なハリ・コシを有する織編物の製造方法に
関するものである。
【従来の技術】
【0002】
【従来の技術】天然繊維を用いた織編物は適度なソフト
感と嵩高性、適度なハリ・コシ、ドレープ性、天然繊維
独自の収縮斑、太細斑から生まれるナチュラルな外観と
光沢を兼ね備えている。熱可塑性マルチフィラメント糸
を使用してこれらの天然繊維の持つ特性を得るために数
多くの方法が提案され衣料用として使用されている。代
表的なものとして、異型断面糸を使用したもの、芯に高
収縮糸を鞘に低収縮糸を混繊した芯鞘構造の異収縮複合
混繊糸、太繊度糸と細繊度糸を混繊した異繊度複合混繊
糸、繊維の長さ方向に太細斑や収縮斑を有するいわゆる
シックアンドシンヤーン等を用いた織編物がある。
【0003】例えば、特開昭50−12370号公報に
は、熱可塑性合成繊維の糸軸方向に沸水収縮率の低い部
分と高い部分を交互、かつランダム長に有する糸条を用
いて絹様外観織物を製造する方法が開示されている。し
かし、収縮率から生じる凹凸を緊張熱固定により消滅さ
せるため布帛に嵩高性がなくなる欠点がある。また、未
延伸糸を3倍以上の延伸倍率で延伸するため高配向とな
りソフトな布帛が得られ難い。
【0004】特開平2−68328号公報および特開昭
63−182412号公報には、ポリエステル未延伸糸
を自然延伸倍率以下の延伸倍率で延伸することによっ
て、繊維の長さ方向に太細を持たせた、シックアンドシ
ンヤーンの製造方法が開示されている。しかしながら、
これらの方法で得られるシックアンドシンヤーンは、太
細斑や染色斑が規則的に現れ、天然繊維とは大きく異な
るものとなる。さらに残された未延伸部が低配向、低結
晶であるため、後工程の染色処理や熱処理によって収縮
し弱くなったり、脆くなったりする欠点があり、また、
未延伸部のみが染色され易く染色斑が過大となる欠点が
ある。
【0005】特開昭59−192722号公報には、多
葉形状断面の先端を溶解してくさび状形状にし、かつ、
マルチフィラメント糸の長さ方向に太さ斑のある糸を使
用したシルキー織物の製造方法が開示されている。しか
し、異収縮混繊糸タイプのような熱収縮差を利用してい
ないため、嵩高性が不足するという欠点がある。また布
帛としてから易溶解性ポリマーを溶解除去する工程が必
要であり、工程の煩雑化とコストアップは否めない。
【0006】特公平3−35413号公報には、0.7
デニール以下のマルチフィラメントの低収縮糸と高結晶
化度の高収縮糸を混繊し、ソフトタッチの布帛を作る方
法が開示されている。しかし、表面に単糸デニールの細
い糸が現出するので、濃色で染色すると色が白けたりし
て深色が出難い等で不満足である。
【0007】このように、従来方法で製造した熱可塑性
マルチフィラメント糸を、1種または2種以上混繊する
方法では、天然繊維のもつ適度なソフト感と嵩高性、適
度なハリ・コシ、ドレープ性、天然繊維独自の太細斑、
収縮斑から生まれるナチュラルな外観と光沢等の要素を
すべて満足するものは得られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するもので、天然繊維のようなランダムな太細斑
を発現させることができ、ナチュラルな外観と嵩高性の
ある新規なソフト風合い、良好なハリ・コシを有する織
編物の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、次の構成をゆうするものである。すな
わち、本発明は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフ
タレートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )
が15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低
い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条
であって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を
実質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤン
グ率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニ
ール以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上である糸
条Aと、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート
からなり、単フィラメントの繊度が1.5デニール以
上、切断伸度が50%以下、微分ヤング率曲線の第一次
変曲点Y1のヤング率が75g/デニール以上である糸
条Bとを混繊した複合混繊糸を少なくとも一部に用いて
製織編することを特徴とする新規なソフト風合い織編物
の製造方法を要旨とするものである。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。一
般的に荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質
的に示す糸条は、例えば、従来方法のシックアンドシン
ヤーンがある。定伸長領域が生じるのは、繊維内部に完
全に延伸されていない未延伸領域があり、結晶部を結ぶ
非晶鎖の配向が十分でなく結晶部に対する非晶鎖の応答
領域を持たないからである。このような糸条は張力によ
って伸び易く、加工工程でヒケが生じたり、染斑の原因
になるなど取扱いが難しく従来から敬遠されていた。
【0011】しかし、本発明者等は定伸長領域を示す繊
維構造を持つ糸条を織編物に使用した場合に、外観品
位、風合い等に良好な影響を及ぼす重要な因子があり、
このような糸条をうまく利用すれば、ランダムな太細斑
と収縮斑が発現でき、従来法では得られない天然繊維様
の外観とソフトな新規風合の織編物が得られることを見
いだした。
【0012】すなわち、本発明の織編物は天然繊維のよ
うなランダムな太細斑のある、ナチュラルな外観と嵩高
性のある新規なソフト風合い、良好なハリ・コシを兼ね
備えるものであるが、本発明を満足するには複合混繊糸
を構成する糸条Aは、構造一体性パラメーター(ε0.2
)が15〜45%の主たる繰り返し単位がエチレンテ
レフタレートからなる高配向未延伸糸を、自然延伸倍率
より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得
た糸条であって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長
領域を実質的に示し、かつ、切断伸度70%以上、微分
ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/
デニール以下、熱水収縮率の標準偏差が2%以上のマル
チフィラメント糸であることが必要である。
【0013】本発明においては、ランダムな太細斑と収
縮斑を発現させる未延伸領域は、染色などの後加工で熱
処理を受けた時に熱硬化が生じ難い繊維構造であるこ
と、未延伸領域以外の延伸領域も、熱処理による熱硬化
が少なく柔らかい繊維構造の糸条であることが必要であ
る。そのためには、高配向未延伸糸の構造一体性パラメ
ーターが重要であり、構造一体性パラメーターは繊維の
結晶化度と配向度を総合的に示す指標となる。構造一体
性パラメーター(ε0.2 )は、糸条を沸水中で処理した
場合の伸長率を表すものであり、以下の方法で測定する
ものである。試料長20cmの糸条を東洋紡エンジニアリ
ング社製εメーターを用い、測定温度99℃、処理時間
2分で処理し、0.2g/デニールの荷重をかけて測定
する。 構造一体性パラメーター=(M−L)×100/L ただし L:処理前の長さ,M:処理後の長さ
【0014】この構造一体性パラメーターが15%未満
であると、高配向度、高結晶化度の糸条となり、自然延
伸倍率以下で延伸した場合に太細が発生し難い。さら
に、繊維内部の構造が強固なものとなっているため、延
伸後に15%以上の弛緩熱処理を施すことが出来なくな
る。構造一体性パラメーター(ε0.2 )が45%を超え
て大きくなると、低結晶化度、低配向度の糸条となり、
延伸すると延伸部と未延伸部との差が大きくなり、得ら
れた糸条に染色加工や熱処理を行うと染色斑が過大とな
ったり、残された未延伸部が脆くなって、切断するので
好ましくない。以上のごとく、本発明を達成するには、
上記の主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートか
らなり構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45
%の高配向未延伸糸を使用する必要がある。
【0015】続いて上記の高配向未延伸糸を、その高配
向未延伸糸のガラス転移温度以下の温度で、かつ、自然
延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を
施して、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実
質的に示し、かつ、伸度70%以上、微分ヤング率曲線
の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニール以
下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上のマルチフィラ
メント糸条を得る。
【0016】高配向未延伸糸の延伸と弛緩熱処理は、例
えば図1に示す装置で行うことができる。図1におい
て、高配向未延伸糸1は、供給ロール2によりボビンか
ら引き出され、第1ロール3との間でプレテンションが
掛けられ、第1ロール3と第2ロール4との間で延伸さ
れ、第2ロール4と第3ロール5との間でオーバーフィ
ードされると共にヒータ5で熱処理され、捲取部に供給
されてリング撚糸方式で捲取られる。
【0017】高配向未延伸糸の延伸における延伸倍率
は、供給するポリエステル高配向未延伸糸の自然倍率以
下にする必要がある。自然延伸倍率を超えると均一な延
伸糸となり、繊維の長さ方向の太細斑や収縮斑がなくな
る。なお、自然延伸倍率は、定速伸長形引張試験機を用
い図2に示す荷重−伸長曲線を描いた時に実質的に発現
する定伸長領域Aの伸度(%)を100で除して1を足
した値を自然延伸倍率とするものである。定伸長領域と
は市販の定速伸長形引張試験機を用い図2に示す荷重−
伸長曲線を描いた時に実質的に発現する領域Aを定伸長
領域とするものである。
【0018】次に、延伸した糸条に施す弛緩熱処理は、
高配向未延伸糸のガラス転移温度より10℃以上高い温
度で行うのが好ましい。弛緩熱処理温度が前記温度より
低いと、得られた糸条の熱収縮率が高くなりすぎて、染
色加工などの熱処理を受けた時に縮み過ぎて、風合いの
硬い織編物となってしまう可能性がある。
【0019】また、弛緩熱処理時の弛緩率は15%以上
にするのが好ましく、弛緩熱処理時の糸切れなどのトラ
ブル発生を防止し操業性を考慮すれば、弛緩熱処理時の
弛緩率は50%以下とするのが好ましい。弛緩率が15
%未満であると、単糸間の収縮率のバラツキが小さく、
後工程で熱処理をしても嵩高性を発現させることができ
なくなってしまう恐れがある。
【0020】なお、弛緩熱処理後の荷重−伸長曲線にお
いて初期に定伸長領域を実質的に示さない糸条は、ラン
ダムな太細斑と収縮斑を発現させる未延伸領域が、高配
向で高結晶化した繊維構造となりランダムな太細斑と収
縮斑が発現しない。また、高配向で高結晶化した繊維構
造になると糸条全体のヤング率が高くなり、風合が硬く
なって本発明のようなソフトな織編物が得られない。
【0021】弛緩熱処理後の切断伸度が70%以下の糸
条になると未延伸領域および延伸領域の配向度が高くな
り、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実質的
に示さない糸条となり、太細斑と収縮斑が減少して本発
明の目的とする外観のものが得られない。また、配向度
が高くなると糸条全体のヤング率が大きくなり、糸条が
硬くなってソフトな風合いが得られ難い。本発明の目的
とするソフトな風合いの織編物を得るには、弛緩熱処理
後の切断伸度は90〜120%のものがより好ましい。
【0022】弛緩熱処理後の糸条の微分ヤング率曲線の
第一次変曲点Y1のヤング率は、荷重−伸長曲線におけ
る初期のヤング率を示すものであり、第一次変曲点Y1
のヤング率が70g/デニールを越えると風合いが硬く
成り満足なものは得られ難い。微分ヤング率曲線の第一
次変曲点Y1のヤング率は40〜60g/デニールであ
るのがより好ましい。
【0023】微分ヤング率とは、定速伸長形引張試験機
を用いて、試料長30cm、引張りスピード30cm/min
で測定した、図2に示すがごとき荷重−伸長曲線の各点
の応力を伸度で微分して得たもので、この微分ヤング率
(g/デニール)を経軸に、引張り時の応力(g/デニ
ール)を横軸にしてプロットしたものが図3に示すごと
き微分ヤング率曲線であって、第一次変曲点Y1のヤン
グ率は初期ヤング率を示すものである。
【0024】熱水収縮率の標準偏差が2.0以下である
と天然繊維のようなランダムな収縮斑が減少して、本発
明の目的とするナチュラルな外観が得られない。熱水収
縮率の標準偏差は2.0〜6.0がより好ましい。
【0025】熱水収縮率の標準偏差は、東洋紡エンジニ
アリング社製εメーターを用い、測定温度99℃試料長
10cm、処理時間30秒、処理時の荷重1/1000g
/デニールで長さ方向に連続して50回測定し、その標
準偏差を計算する。
【0026】上記の糸条Aは、染色工程等で熱処理を受
けると繊維の長さ方向に混在する未延伸部と延伸部の収
縮差で細かなクリンプが発現するので嵩高性が得られ、
しかも繊維自身が柔らかいのでソフトな風合いが得られ
るようになる。
【0027】本発明において、糸条Bの素材は、主たる
繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなることが
必要であり、例えばポリエチレンテレフタレート、スル
ホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート等の
ポリエステルマルチフィラメント糸からなる糸条であ
る。
【0028】さらに糸条Bは、適度なハリ・コシを得る
ために、単フィラメントの繊度が1.5デニール以上、
切断伸度50%以下、微分ヤング率曲線の第一次変曲点
Y1のヤング率が70g/デニール以上のマルチフィラ
メント糸を、1種または2種以上混繊して使用すること
が必要であり、単フィラメントの繊度が1.5デニール
以下、切断伸度50%以上、微分ヤング率曲線の第一次
変曲点Y1のヤング率が75g/デニール以下のマルチ
フィラメント糸は、ハリ・コシが不足して満足なものが
得られない。
【0029】ここでいう糸条Bは、異型断面、異繊度、
異収縮等のマルチフィラメント原糸、加工糸使いマルチ
フィラメント糸および両者を混繊したいずれのものでも
よい。
【0030】また、本発明において、糸条Aと糸条Bの
熱水収縮率は特に限定するものではなく、糸条Aと糸条
Bの間で熱水収縮率に大きく差のあるもの、ほとんど差
のないもの等いずれであってもよい。染色工程でのリラ
ックス時の幅入れをよくして、より嵩高でソフトな風合
いとするには、糸条Aの熱水収縮率は8%以上であるの
が好ましく、10〜25%であるのがより好ましい。
【0031】糸条Aと糸条Bの混繊方式としては、引き
揃え状態や芯糸と鞘糸に糸長差をつけた芯鞘構造にて空
気処理で交絡させる方法を用いることができる。その場
合に、糸条Bを芯に糸条Aを鞘にした芯鞘構造としたも
のが好ましい。また、混繊した後に追撚や合撚をして使
用してもよい。
【0032】本発明においては,糸条Aと糸条Bを混繊
した糸条を少なくとも使用糸の一部として用いて製織編
し、染色仕上げ加工を施す。製織編及び染色仕上げ加工
は常用の設備を用いて、通常の条件で行えばよいが、糸
条Aの糸質の特徴を十分に発揮するために、製織はノー
サイジングで行うのが好ましく、サイジングを行う場合
には通常より乾燥温度を低く設定するとよく、また染色
加工では、強リラックス等によりリラックス時の幅入れ
を良くするとよい。
【0033】
【作用】本発明の織編物においては、主たる繰り返し単
位がエチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラ
メーター(ε0.2 )が15〜45%の高配向未延伸糸
を、自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩
熱処理を施して得た糸条であって、荷重−伸長曲線にお
いて初期に定伸長領域を実質的に示し、かつ、切断伸度
70%以上、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤ
ング率が70g/デニール以下、熱水収縮率の標準偏差
が2.0以上のマルチフィラメント糸条Aの有する天然
繊維のようなナチュラルな太細斑も収縮斑により、天然
繊維のようなナチュラルな外観と嵩高性のある新規なソ
フト風合いが付与され、また主たる繰り返し単位がエチ
レンテレフタレートからなり、単糸フィラメントの繊度
が1.5デニール以上、切断伸度50%以下、微分ヤン
グ率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が75g/デニ
ール以上のマルチフィラメント糸条Bを1種または2種
以上組み合わせることによって、安定した生地物性を付
与することにより従来方法では得られなかった、良好な
ハリ・コシも任意に得られる。
【0034】
【実地例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1〜3、比較例1〜5 極限粘度0.70、ガラス転移温度71℃、融点256
℃のポリエチレンテレフタレートを通常の紡糸装置を用
い、紡糸温度295℃とし、紡糸速度と吐出量を変更し
て紡糸して、5種の75デニール/36フィラメントの
高配向未延伸糸を得た。このときの紡糸速度、吐出量、
高配向未延伸糸の構造一体性パラメーター(ε0.2 )お
よび自然延伸倍率を測定した結果を表1に併せて示す。
【0035】
【表1】
【0036】次に、この未延伸糸を用い図1に示した装
置を用いて表2に示した条件で延伸及び弛緩熱処理を行
ない、実施例用の3種の糸条Aと比較例用の5種の糸条
Aを得た。得られた糸条の糸質物性を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】実施例用の3種の糸条Aと比較例1〜4用
の糸条Aについては、ポリエチレンテレフタレートマル
チフィラメント糸30デニール/12フィラメント(単
糸2.5デニール、切断伸度28%、微分ヤング率曲線
の第一次変曲点Y1のヤング率98g/デニール、熱水
収縮率の標準偏差0.4)と、比較例5用の糸条Aにつ
いては30デニール/24フィラメント(単糸1.25
デニール、切断伸度30%、微分ヤング率曲線の第一次
変曲点Y1のヤング率が96g/デニール、熱水収縮率
の標準偏差0.6)と下記の条件でそれぞれ空気交絡処
理し、交絡数60個/mの複合混繊糸を得た。
【0039】・混繊条件 糸速 800m/分 インターレーサー デュポン社製JD−1 空気圧 2.0kg/cm2
【0040】この糸条に300回/mの追撚を行い、得
られた糸条を経糸および緯糸に用いて、経糸密度145
本/吋、緯糸密度85本/吋の2/2斜文織物を製織し
た。次いで、この生機を120℃×30分で高圧リラッ
クスし、180℃×30秒でプレセットし、カセイソー
ダで減量率18%の減量処理を行った後、Foron Yellow
SE-CTL 2%owf 、Rubine SE-CTL 0.2%owf 、Dark Blue
S-CTL 0.3%owf の3種の染料配合で液流染色機を用いて
染色し、170℃×30秒の仕上げセットをして、実施
例1〜3及び比較例1〜5の織物を得た。得られた織物
の外観(収縮斑、ナチュラル感)、ソフト感、ハリ・コ
シ、嵩高性について官能検査を行い、その結果を表3に
示した。なお、評価は、◎:非常に良好、○:良好、
×:劣るの基準で行った。
【0041】
【表3】
【0042】表3の織物風合の官能検査結果から明かな
ごとく、本発明に係る実施例1〜3の織物においては、
良好な外観、ハリ・コシとソフトな風合いの織物が得ら
れ、満足する結果を示している。これに対して、比較例
1〜5の織物においては以下のとおり、いずれかの点で
満足できない織物であった。
【0043】比較例1は、糸条Aとして構造一体性パラ
メーター(ε0.2 )が45%以上の高配向未延伸糸を、
自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処
理を施した糸条を用いた織物であり、未延伸部と延伸部
の太細差が大きすぎナチュラル感に劣るものであり、比
較例2は、糸条Aとして構造一体性パラメーター(ε0.
2 )が15%以下の高配向未延伸糸を、自然延伸倍率よ
り低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施した糸条
を使用した織物で、太細斑、収縮斑、ナチュラル感共に
不満足なものであった。比較例3は、糸条Aとして高延
伸倍率で延伸した後弛緩熱処理をして定伸長領域がなく
なった糸条を用いた織物で、熱収縮率のバラツキが減少
して特にナチュラル感に劣るものであった。比較例4
は、糸条Aとして自然延伸倍率より高い延伸倍率で延伸
した後弛緩熱処理をして、切断伸度が低く、ヤング率が
高く、収縮斑が減少した糸条を使用した織物で、ソフト
感がなくなりナチュラル感も不満足なものであった。比
較例5は、糸条Bとして単フィラメントの繊度が1.5
デニール以下のマルチフィラメントの糸条を使用した織
物で、ハリ・コシが不足して不満足であった。
【0044】実施例4〜6、比較例6〜10 実施例1〜3、比較例1〜4で用いた糸条Aとポリエチ
レンテレフタレートマルチフィラメント糸20デニール
/8フィラメント(単糸2.5デニール、切断伸度25
%、微分ヤング率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が
94g/デニール、熱水収縮率の標準偏差0.3)及び
比較例5で用いた糸条Aとポリエチレンテレフタレート
マルチフィラメント糸20デニール/18フィラメント
(単糸1.1デニール、切断伸度30%、微分ヤング率
曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が91g/デニー
ル、熱水収縮率の標準偏差0.4)とを実施例1と同様
の条件で空気交絡処理を施して,それぞれ交絡数50個
/mの複合混繊糸を得た。これらの複合混繊糸に100
回/mの追撚を行い、得られた糸条を用いて、編針密度
が32ゲージの丸編機を使用してインターロック組織の
編地を編成し、次いでこの生機を120℃×30分で高
圧リラックスし、180℃×30秒でプレセットし、カ
セイソーダで減量率15%の減量処理を行った後、Foro
n Yellow SE-CTL 2%owf 、Rubine SE-CTL 0.2%owf 、Da
rk Blue S-CTL 0.3%owf の3種の染料配合で液流染色機
を用いて染色し、170℃×30秒の仕上げセットをし
て、実施例4〜6及び比較例6〜10の編物を得た。得
られた編物の外観(収縮斑、ナチュラル感)、ソフト
感、ハリ・コシ、嵩高性について官能検査を行い、その
結果を表4に示した。なお、評価は、◎:非常に良好、
○:良好、×:劣るの基準で行った。
【0045】
【表4】
【0046】表4の編物風合の官能検査結果から明かな
ごとく、本発明に係る実施例4〜6の編物においては、
良好な外観、ハリ・コシとソフトな風合いの編物が得ら
れ、満足する結果を示している。これに対して、比較例
6〜10の編物においては以下のとおり、いずれかの点
で満足できない編物であった。
【0047】比較例6は、糸条Aとして構造一体性パラ
メーター(ε0.2 )が45%以上の高配向未延伸糸を、
自然延伸倍率より低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処
理を施した糸条を用いた編物であり、未延伸部と延伸部
の太細差が大きすぎナチュラル感に劣るものであり、比
較例7は、糸条Aとして構造一体性パラメーター(ε0.
2 )が15%以下の高配向未延伸糸を、自然延伸倍率よ
り低い延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施した糸条
を使用した編物で、太細斑、収縮斑、ナチュラル感共に
不満足なものであった。比較例8は、糸条Aとして高延
伸倍率で延伸した後弛緩熱処理をして定伸長領域がなく
なった糸条を用いた編物で、熱収縮率のバラツキが減少
してナチュラル感に劣るものであった。比較例9は、糸
条Aとして自然延伸倍率より高い延伸倍率で延伸した後
弛緩熱処理をして、切断伸度が低く、ヤング率が高く、
収縮斑が減少した糸条を使用した編物で、ソフト感がな
くなりナチュラル感も不満足なものであった。比較例1
0は、糸条Bとして単フィラメントの繊度が1.5デニ
ール以下のマルチフィラメントの糸条を使用した編物
で、ハリ・コシが不足して不満足であった。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明織編物は、従来から
合成繊維を使用して製造した織編物では具備し得なかっ
た天然繊維のようなランダムな太細斑と、ナチュラルな
外観と嵩高性のある新規なソフト風合い、良好なハリ・
コシを有する織編物であり、商品価値の優れたものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる糸条の延伸・弛緩熱処理工程の
一実施態様を示す概略工程図である。
【図2】定伸長領域を示す荷重−伸長曲線の具体例を模
式的に示したものである。
【図3】微分ヤング率曲線の具体例を模式的に示したも
のである。
【符号の説明】 1 未延伸糸パッケージ 2 供給ローラ 3 第一ローラ 4 第二ローラ 5 ヒータ 6 第三ローラ 7 捲取ボビン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 15/00 A J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
    レートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が
    15〜45%の高配向未延伸糸を自然延伸倍率より低い
    延伸倍率で延伸した後、弛緩熱処理を施して得た糸条で
    あって、荷重−伸長曲線において初期に定伸長領域を実
    質的に示し、かつ、切断伸度が70%以上、微分ヤング
    率曲線の第一次変曲点Y1のヤング率が70g/デニー
    ル以下、熱水収縮率の標準偏差が2.0以上である糸条
    Aと、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートか
    らなり、単フィラメントの繊度が1.5デニール以上、
    切断伸度が50%以下、微分ヤング率曲線の第一次変曲
    点Y1のヤング率が75g/デニール以上である糸条B
    とを混繊した複合混繊糸を少なくとも一部に用いて製織
    編することを特徴とする新規なソフト風合い織編物の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010168685A (ja) * 2009-01-22 2010-08-05 Asahi Kasei Fibers Corp 耐摩耗性ポリエステル繊維及びその製造方法

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