JPS6319485Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は駐車空間の有効利用による設備費の低
減を図つた三段式駐車設備の改良に関する。

従来、例えば第１図に示すごとく、建屋１の地
上部１ａに三段、地下ピツト部１ｂに二段の駐車
空間を形成し、地上一段目駐車空間の前面に入出
庫口２を設け、上・中・下三段のパレツト３・
４・５を一体的に連結して適宜昇降装置６により
昇降せしめ、所望パレツトを入出庫口２に配置し
て車両Ｗの入出庫を行い、地上一段目以外の地上
および地下駐車空間が他のパレツトの退避用空間
となるようにした三段式駐車設備があつた。

ところで、入出庫に際し、人が駐車設備内に入
つて車両搭載用ケージまたはパレツトに乗り込む
必要のある機械式駐車設備の場合、入出庫口にお
けるパレツト間隔（パレツト上面からその真上の
パレツトの下面までの距離）は長身の人Ｍが腰を
かがめることなく所望パレツトに出入りできるよ
うに法規で1.8m以上と定められている。しかし
てこの規定に基づき、前述三段式駐車設備では
上・中・下段パレツト３・４・５の各パレツト間
隔を1.8mに固定的に設定されている。

しかし、普通乗用車を対象とすれば、車両の収
容には前述パレツト間隔は約1.6mあれば十分で
あることが知られている。

このことを配慮すれば、前述のように各パレツ
ト間隔を1.8mに固定することは、前述地上部１
ａの高さおよび地下ピツト部１ｂの深さが必要以
上に大きくなり、特に地価の高い都市部では設備
費が割高となり、また既設建屋に駐車設備を組み
込む場合は地上の高さや地下の深さが若干小であ
る場合設置できないこともあり得る。

本考案は前述事情に鑑み、地上三段地下二段の
五段駐車空間のうち三段目に入出庫口を設け、適
宜昇降装置により昇降可能とした上・中・下三段
の車両塔載用パレツトを備えたものにおいて、、
前記昇降装置に連係する昇降用チエンにより上・
中・下段パレツトのいずれかを吊持し、各パレツ
トは側部に設けたガイドローラと駐車空間内に立
設した垂直ガイドレールとの係合により少くとも
車両進退方向への動きを規制し、上・中段パレツ
トおよび中・下段パレツトはそれぞれ一端を両パ
レツト側部に枢結するとともに他端相互を枢結し
て該枢結部に被動ローラを備えて成る各々適宜数
組の関節状リンク機構により上下伸縮自在に連結
し、さらにパレツト側部の外側駐車空間に立設
し、下から三段目の入出庫口のある駐車空間にお
いては前記関節状リンク機構のパレツト側部の枢
結部と前記被動ローラとの水平距離が小となるよ
うに湾曲し、その他の駐車空間においては前記パ
レツト側部の枢結部と前記被動ローラとの水平距
離が大となるように湾曲した湾曲ガイドレール
に、前記被動ローラを転動自在に係合させて昇降
を案内するごとくしたことを特徴とする三段式駐
車設備に関するもので、入出庫時と格納時とでパ
レツトの上下間隔を変更して収容空間の有効利用
を図ることを目的としたものである。

以下、第２〜５図の実施例に基づき詳述する。
説明の便宜上、第２〜５図における左・右を
「前」・「後」、第２・４・５図の紙面左方から駐車
設備をみて左・右を「左」・「右」と呼称する。

１０は建屋、１１は建屋１０の地上床１２に堀
設した地下ピツトで、該地下ピツト１１内に下か
ら一段目・二段目駐車空間１３・１４を形成し、
建屋１０の地上内部に下から三段目・四段目・五
段目駐車空間１５・１６・１７を形成し、また三
段目駐車空間１５の前面に入出庫口１８を設けて
いる。

そして後述する車両Ｗ搭載用パレツトの厚さを
ｄ、搭載予定の最大車両Ｗを収容するのに最小限
必要なパレツト間隔（以下、車両収容可能間隔と
呼称）をL₁、法規で定められた入出庫口１８に
おける入出庫に必要なパレツト間隔（以下、車両
入出庫可能間隔と呼称）をL₂（＞L₁）とした場
合、建屋１０内部の地上高さＨおよび地下ピツト
１１の深さＤをそれぞれＨ＝2L₁＋L₂＋2d，Ｄ＝
2L₁＋3dに設定してある。

１９・２０・２１は車両Ｗ搭載用の上・中・下
段パレツト、２２は該パレツト１９〜２１の後部
左・右側方において凹部を対向させた状態で下端
をピツト床１１ａに固定し上端を建屋１０の天井
１０ａに固定した１対の垂直ガイドレールで、該
垂直ガイドレール２２の凹部に上・中・下段パレ
ツト１９・２０・２１の後方左・右側面に軸支し
たガイドローラ２３・２４・２５を転動自在に係
合させ、各パレツト１９〜２１の昇降時の案内を
行つている。

２６は建屋１０の後方上部に設置したチエン・
スプロケツト機構より成る昇降装置で、天井１０
ａに沿つて前方水平に導出した左・右２本１組計
４本の昇降用チエン２７を天井１０ａの左・右，
前・後部に軸支した吊持スプロケツト２８より垂
下させて、上段パレツト１９の前・後，左・右上
面に係着して該上段パレツト１９を水平に吊持し
ている。

２９・３０はそれぞれ上・中段パレツト１９・
２０間および中・下段パレツト２０・２１間を上
下伸縮自在に連結する第１および第２関節状リン
ク機構で、上・中段パレツト１９・２０および
中・下段パレツト２０・２１の左・右側面，前・
後部に設けた同一構成の各４組より成る。

このうち第１関節状リンク機構２９は、等長の
一対のリンク２９ａ・２９ｂの各一端を上・中段
パレツト１９・２０の側面に枢支し、他端同士を
枢結し、該枢結部と同軸に被動ローラ２９ｃを枢
着している。同様にして前記第２関節状リンク機
構３０は、等長の一対のリンク３０ａ，３０ｂの
各一端を中段パレツト２０の前記リンク２９ｂ枢
支部と同軸および下段パレツト２１の側面に枢支
し、他端同士を枢結し、該枢結部と同軸に被動ロ
ーラ３０ｃを枢着して構成している。

３１・３１′はパレツト昇降動作と協働して前
記第１および第２関節状リンク機構２９・３０に
屈伸動作を行わせるための前後対称形状の断面凹
形湾曲ガイドレールで、パレツト１９〜２１の
左・右側方において前記第１および第２関節状リ
ンク機構２９・３０より前方および後方に離間し
て配置し、それぞれ凹部をパレツト側に向けた状
態で上・下部垂直部３１ａ・３１ｂ，３１′ａ・
３１′ｂが一垂直線となるように上・下端を天井
１０ａおよびピツト床１１ａに固定し、二段目お
よび四段目駐車空間１４・１６と三段目駐車空間
１５との境目付近より漸次それぞれ後方および前
方に湾曲し、湾曲先端部３１ｃ・３１′ｃが地上
床１２より丁度L₂×1/2の高さ位置となるように
形成してある。

しかして前記第１および第２関節状リンク機構
２９・３０は、常時それぞれ前・後のリンク機構
を互いに離反する側に、リンク２９ａ・２９ｂ，
３０ａ，３０ｂを屈折させた状態で、被動ローラ
２９ｃ・３０ｃを前記湾曲ガイドレール３１・３
１′の凹部に転動自在に係合させている。

したがつて、湾曲ガイドレールの湾曲は下から
三段目駐車空間においては前記第１および第２関
節状リンク機構２９・３０のパレツト側部の枢支
部と湾曲ガイドレール３１・３１′に係合してい
る被動ローラ２９ｃまたは被動ローラ３０ｃとの
前後方向の偏位距離は小となり、その他の駐車空
間においては前記パレツト側部の枢支部と前記被
動ローラ２９ｃまたは被動ローラ３０ｃとの前後
方向の偏位距離が大となるごとくなつている。

また前記第１および第２関節状リンク機構２
９・３０と湾曲ガイドレール３１・３１′の関係
位置、リンク２９ａ・２９ｂ・３０ａ・３０ｂの
長さ、前記上・下部垂直部３１ａ・３１ｂ・３
１′ａ・３１′ｂと湾曲先端部３１ｃ・３１′ｃと
の前後方向の偏位距離等は、被動ローラ２９ｃ・
３０ｃが上部垂直部３１ａ・３１′ａまたは下部
垂直部３１ｂ・３１′ｂに係合しているとき、リ
ンク２９ａ・２９ｂ・３０ａ・３０ｂが大きく屈
折して上・中段パレツト１９・２０間隔または
中・下段パレツト２０・２１間隔を前記車両収容
可能間隔L₁に縮まつた状態に保持し、被動ロー
ラ２９ｃ・３０ｃが湾曲先端部３１ｃ・３１′ｃ
に到達したときにはリンク２９ａ・２９ｂ・３０
ａ・３０ｂが上下に伸びて各パレツト間の支持間
隔が前記入出庫可能間隔L₂となるように設定し
てある。

尚、図示は省略したが、入出庫時のパレツト揺
動防止および昇降用チエン２７が万一切断したと
きの安全のためには、少くとも三段目（入出庫位
置）・四段目・五段目駐車空間１５・１６・１７
におけるパレツトロツク装置を適宜設けておくも
のとする。

使用に際し、先ず上段パレツト１９が地上床１
２に面一に停止した第５図の状態では、そのまま
上段パレツト１９に対する入出庫が可能である。
この状態では、被動ローラ２９ｃ・３０ｃがいず
れも湾曲ガイドレール３１・３１′の下部垂直部
３１ｂ・３１′ｂに係合しているため、上・中・
下段パレツト１９・２０・２１はそれぞれ第１お
よび第２関節状リンク機構２９・３０により各パ
レツト間隔を車両収容可能間隔L₁に縮まつた状
態に保持され、しかも地下ピツト１１の深さＤ
（＝2L₁＋3d）の寸法関係より下段パレツト２１
は丁度ピツト床１１ａに着床している。

これより中段パレツト２０に対する入出庫を行
う場合は、昇降装置２６のパレツト上昇動作によ
り、上・中・下段パレツト１９・２０・２１を一
体的に上昇させる。被動ローラ２９ｃが湾曲先端
部３１ｃ・３１′ｃに向つて前後方向に移動しな
がら上昇することにより第１関節状リンク機構２
９が漸次伸長する。そして中段パレツト２０が地
上床１２と面一になつて停止したとき、被動ロー
ラ２９ｃはパレツト側部枢支部との距離が小であ
る湾曲先端部３１ｃ・３１′ｃに達し、上・中段
パレツト１９・２０の間隔が入出庫可能間隔L₂
に広がるため、中段パレツト２０に対する入出庫
が可能となる（第４図参照）。一方、被動ローラ
３０ｃは依然としてパレツト側部枢支部との距離
が大である前記下部垂直部３１ｂ・３１′ｂにあ
るため、中・下段パレツト２０・２１の間隔は車
両収容可能間隔L₁のままである。

さらに、第４図の状態から下段パレツト２１に
対する入出庫を行う場合は、昇降装置２６のパレ
ツト上昇動作によりパレツト１９〜２１を一体的
に上昇させる。被動ローラ２９ｃが湾曲先端部３
１ｃ・３１′ｃから上部垂直部３１ａ・３１′ａに
向け、また被動ローラ３０ｃが下部垂直部３１
ｂ・３１′ｂから湾曲先端部３１ｃ・３１′ｃに向
けて前後方向に移動しながら上昇するため、第１
および第２関節状リンク機構２９・３０はそれぞ
れ漸次短縮および伸長する。そしそ下段パレツト
２１が地上床１２と面一になつて停止したとき、
被動ローラ２９ｃ・３０ｃはそれぞれ上部垂直部
３１ａ・３１′ａおよび湾曲先端部３１ｃ・３
１′ｃに達し、上・中段パレツト１９・２０の間
隔および中・下段パレツト２０・２１の間隔がそ
れぞれ車両収容可能間隔L₁および入出庫可能間
隔L₂になるため、下段パレツト２１への入出庫
が可能となる。従つて、上段パレツト１９と天井
１０ａとの間隔も、地上高さＨ（＝2L₁＋L₂＋2d）
の寸法関係より車両収容可能間隔L₁に縮まつて
いる。

また、昇降用チエン２７は上段パレツト１９を
吊持したが、中段パレツト２０または下段パレツ
ト２１を吊持してもよい。

以上詳述せるごとく、本考案の三段式駐車設備
によるときは、昇降装置，垂直ガイドレール，第
１・第２関節状リンク機構，湾曲ガイドレール等
の相互の連係により、入出庫口に位置した所望パ
レツトとその上位のパレツトとの間隔は入出庫可
能間隔に広がつて入出庫可能となるも、下段パレ
ツトおよび上段パレツトに対する入出庫時にそれ
ぞれ地上上方の駐車空間に退避する上・中段パレ
ツト間隔および地下ピツト内に退避する上・中・
下段パレツトの各パレツト間隔はいずれも車両の
収容に必要最小限の車両収容可能間隔に縮まつた
状態となるため、従来の設備より建屋内の地上高
さを低く、また地下ピツトの深さを浅くし得、パ
レツト間隔の変更には特別の外部動力を必要とせ
ず、駐車設備全体の設備費の大巾な低減を図り得
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の三段式駐車設備を示す正面図、
第２〜５図はいずれも本考案の実施例を示すもの
で、第２図は側面図、第３図は第２図の−矢
視拡大図、第４・５図は作用説明図である。 図中、１０は建屋、１１は地下ピツト、１８は
入出庫口、１９・２０・２１はそれぞれ上・中・
下段パレツト、２２は垂直ガイドレール、２６は
昇降装置、２９・３０はそれぞれ第１および第２
関節状リンク機構、３１・３１′は湾曲ガイドレ
ールである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 地上三段地下二段の五段駐車空間を形成して
   下から三段目の駐車空間前面に入出庫口を設
   け、適宜昇降装置により昇降可能とした上・
   中・下三段の車両搭載用パレツトを備えたもの
   において、前記昇降装置に連係する昇降用チエ
   ンにより上・中・下段パレツトのいずれかを吊
   持し、各パレツトは側部に設けたガイドローラ
   と駐車空間内に立設した垂直ガイドレールとの
   係合により少くとも車両進退方向への動きを規
   制し、上・中段パレツトおよび中・下段パレツ
   トはそれぞれ一端を両パレツト側部に枢結する
   とともに他端相互を枢結して該枢結部に被動ロ
   ーラを備えて成る各々適宜数組の関節状リンク
   機構により上下伸縮自在に連結し、さらにパレ
   ツト側部の外側駐車空間に立設し、下から三段
   目の入出庫口のある駐車空間においては前記関
   節状リンク機構のパレツト側部の枢支部と前記
   被動ローラとの前後方向の偏位距離が小となる
   ように湾曲し、その他の駐車空間においては前
   記パレツト側部の枢支部と前記被動ローラとの
   前後方向の偏位距離が大となるように湾曲した
   湾曲ガイドレールに、前記被動ローラを転動自
   在に係合させて昇降を案内するごとくしたこと
   を特徴とする三段式駐車設備。 (2) 前記関節状リンク機構は、両側に対向状に２
   組宛設けた、実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の三段式駐車設備。